私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
使徒の働き(5)―使徒の補充―
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使徒の補充について学ぶ。
「使徒の補充」
使徒1:15~26
1.はじめに
(1)前回の内容の確認
①昇天(9~11節)
②エルサレムへの帰還(12節)
③一致した祈り(13~14節)
(2)アウトライン
①指導者ペテロ(15節b)
②ユダの運命(16~19節)
③ペテロの提言(20~22節)
④12番目の使徒(23~26節)
結論: 使徒について
使徒の補充について学ぶ。
Ⅰ.指導者ペテロ(15節)
1.15節
Act 1:15 そのころ、百二十名ほどの兄弟たちが集まっていたが、ペテロはその中に立ってこう言った。
(1)ペテロは、120名ほどの信者の群れのリーダーとして行動している。
①昇天から聖霊降臨までの10日間、彼らは熱心に祈っていた。
②使徒の働きの前半は、ペテロを中心に物語が展開する(1~15章)。
(2)それゆえ、ペテロの経歴の再確認が重要になる。
①ヘブル名はシメオン。
Act 15:14 神が初めに、どのように異邦人を顧みて、その中から御名をもって呼ばれる民をお召しになったかは、シメオンが説明したとおりです。
②イエスが与えたニックネームは、ギリシア語でPetros、アラム語でKepha。
Joh 1:42 彼はシモンをイエスのもとに連れて来た。イエスはシモンに目を留めて言われた。「あなたはヨハネの子シモンです。あなたをケパ(訳すとペテロ)と呼ぶことにします。」
③ペテロとアンデレは兄弟で、ベツサイダ出身の漁師であった。
*一番初期に召された弟子たちであった。
*元はバプテスマのヨハネの弟子であった。
④ペテロは結婚しており、カペナウムで大きな家に住んでいた。
*この家は、会堂に近かった。
*ペテロの姑は、イエスによって熱病が癒された。
⑤ペテロの名は、常に12使徒のリストの最初に出てくる。
*マタ10:2、マコ3:16、ルカ16:14、使1:13
⑥イエスに最も近かった3人の中に入っている(ペテロ、ヤコブ、ヨハネ)。
⑦イエスを3度拒否した(四福音書すべてにこの記録がある)。
⑧復活のイエスを見た最初の使徒である。
Luk 24:33 すぐさまふたりは立って、エルサレムに戻ってみると、十一使徒とその仲間が集まって、
Luk 24:34 「ほんとうに主はよみがえって、シモンにお姿を現された」と言っていた。
⑨復活のイエスは、ペテロを教会の羊飼いに任命された(ヨハ21:15~17)。
⑩彼には、「天の御国の鍵」(複数形)が与えられた。
Mat 16:19 わたしは、あなたに天の御国のかぎを上げます。何でもあなたが地上でつなぐなら、それは天においてもつながれており、あなたが地上で解くなら、それは天においても解かれています。」
*ユダヤ人の救い(2章)
*サマリヤ人の救い(8章)
*異邦人の救い(10章)
⑪ユダヤ的に言えば、彼はラビ長として奉仕をしたのである。
*律法に関わることについて判断を下した。
*罪を裁いた。
*彼の権威は、超自然的な力によって証明された。
・アナニヤとサッピラの死(使5:15)
⑫使15章以降、巡回伝道者として奉仕をしたと思われる。
Ⅱ.ユダの運命(16~19節)
1.16~17節
Act 1:16 「兄弟たち。イエスを捕らえた者どもの手引きをしたユダについて、聖霊がダビデの口を通して預言された聖書のことばは、 成就しなければならなかったのです。
Act 1:17 ユダは私たちの仲間として数えられており、この務めを受けていました。
(1)「聖霊がダビデの口を通して預言された聖書のことば」
①ペテロは、聖書の霊感を信じていた。
*二重著者(聖霊とダビデ)
②ユダの裏切りは、聖書預言の成就である。
*詩篇から2箇所を引用した(詩69:25、109:8)。
③「成就しなければならなかったのです」は、神の計画から見た必然性である。
④ユダは、使徒のひとりとして任命を受けていたが、イエスを裏切った。
(2)ルカは、ペテロの話をさえぎる形で挿入句を入れ、ユダの死について説明する。
2.18節
Act 1:18 ( ところがこの男は、不正なことをして得た報酬で地所を手に入れたが、まっさかさまに落ち、からだは真っ二つに裂け、はらわたが全部飛び出してしまった。
(1)ルカは、ユダが不正な報酬で地所を手に入れたと書いている。
①マタ27:3~10では、祭司長たちが地所を買ったことになっている。
②ユダヤ的に解釈するなら、これは矛盾ではない。
③献金が不正の富である場合、それは献金者に返還された。
④ユダの場合は、すでに自殺していたので、返還は不可能であった。
⑤それゆえ、祭司長たちはユダの名で地所を買い、公の用に供したのである。
(2)ルカは、「からだは真っ二つに裂け、はらわたが全部飛び出してしまった」と書
いている。
①マタ27:5
Mat 27:5 それで、彼は銀貨を神殿に投げ込んで立ち去った。そして、外に出て行って、首をつった。
②ユダヤ的に解釈するなら、矛盾は解決する。
③死体は汚れと見なされ、城壁内に夜を越えて留まることは許されなかった。
④ユダの死体は、城壁からヒンノムの谷に投げ落とされた。
3.19節
Act 1:19 このことが、エルサレムの住民全部に知れて、その地所は彼らの国語でアケルダマ、すなわち『血の地所』と呼ばれるようになった。)
(1)この話は、エルサレム中で有名なものとなった。
①彼らは、その地所を「血の地所」と呼んだ。
②血塗られた金を使って、ユダの名で買われた地所である。
③アラム語で「アケルダマ」である。
(2)挿入句はここで終わり、ペテロの話に戻る。
Ⅲ.ペテロの提言(20~22節)
1.20節
Act 1:20 実は詩篇には、こう書いてあるのです。『彼の住まいは荒れ果てよ、そこには住む者がいなくなれ。』また、『その職は、ほかの人に取らせよ。』
(1)詩69:25と詩109:8を引用した。
①詩篇の中には、悪人に神の裁きが下るように祈り求める詩篇がある。
*これは、「復讐」ではなく、「神の義」が守られることを願うものである。
②ペテロが引用したのは、ともにこの範疇に入る詩篇である。
(2)ダビデは、具体的にユダについて預言したわけではない。
①引用した2つの聖句は、王に対する反逆者が裁かれるようにという祈りである。
②王はメシアの予型である。
③イエスを裏切ったユダは、旧約聖書における「王に対する反逆者」と同じ。
④「王に対する反逆者」が裁きを受けたとするなら、イエスを裏切ったユダが裁
きを免れるはずがない。
*これは、「大から小への議論」(カル・バホメル)である。
2.21~22節
Act 1:21 ですから、主イエスが私たちといっしょに生活された間、
Act 1:22 すなわち、ヨハネのバプテスマから始まって、私たちを離れて天に上げられた日までの間、いつも私たちと行動をともにした者の中から、だれかひとりが、私たちとともにイエスの復活の証人とならなければなりません。」
(1)使徒となる資格
①イエスの公生涯の期間、共に行動した者であること。
*バプテスマのヨハネの活動から、イエスの昇天に至るまでの間のこと。
②イエスの復活の目撃者であること。
*使徒の使命は、イエスの復活の証人となること。
*福音の中心は、イエスの復活にある。
*彼らの証言によって、多くの人たちがイエスを救い主と信じるようになる。
(2)この条件に合う者は、120人の中で2人しかいなかった。
①どちらが神から選ばれているかは、神に訊ねるしかない。
Ⅳ.12番目の使徒(23~26節)
1.23節
Act 1:23 そこで、彼らは、バルサバと呼ばれ別名をユストというヨセフと、マッテヤとのふたりを立てた。
(1)「バルサバと呼ばれ別名をユトスというヨセフ」
①ヨセフ
②2つのニックネームがあった。
*ヘブル名は、バルサバ(安息日の息子)。安息日に誕生したか。
*ローマ名は、ユトス。
(2)マッテヤ
①ここ以外に情報がない。
②伝承では、エチオピアで伝道し、殉教の死を遂げたとされている。
2.24~25節
Act 1:24 そして、こう祈った。「すべての人の心を知っておられる主よ。
Act 1:25 この務めと使徒職の地位を継がせるために、このふたりのうちのどちらをお選びになるか、お示しください。ユダは自分のところへ行くために脱落して行きましたから。」
(1)祈りの根拠
①使徒の条件に合う人物が2人いたが、どちらを選ぶべきか分からない。
②しかし、神はすでに選んでおられる。
③祈りの内容は、神の選びが明らかにされることである。
④人間が選ぶわけではない。
3.26節
Act 1:26 そしてふたりのためにくじを引くと、くじはマッテヤに当たったので、彼は十一人の使徒たちに加えられた。
(1)彼らが採用した方法は、「くじ」である。
①この方法は旧約的なもので、決して間違ったものではない。
*レビ16:8、ヨシ14:2、ネヘ10:34、11:1、箴16:33
②両者の名前を記した石を堅い器の中で振り、最初に飛び出た石が当たりである。
*ひとつを取り出した可能性もある。
③くじは、マッテヤに当たった。
④聖霊降臨以降は、くじを引く必要はなくなった。
(2)これ以降、マッテヤの名は一度も出て来ない。
①しかし、12使徒という言葉が出て来る。
②彼は、12使徒のひとりとして、忠実に奉仕をしたのである。
*使2:14、6:2
(3)マッテヤの選びの正当性
①マッテヤの選びを疑問視する人がいる。
②しかし、聖書にはこの方法を非難するような箇所は見当らない。
③パウロは、公生涯の期間イエスと生活をともにしていない。
④使6:2には、「そこで、十二使徒は弟子たち全員を呼び集めてこう言った」と
あるので、マッテヤを含めた12人が権威をもって奉仕をしていたことが分かる。
結論:使徒について
1.使徒は、ギリシア語で「apostolos」である。
(1)使徒の働きの中で30回以上出て来る。
①任命を受けた者、遣わされた者
(2)任命するのは、キリストである。
①キリストの権威を委譲され、キリストの代理人として派遣された者
2.使徒の2区分
(1)第一義的な使徒たち。12使徒に限定される。
①イエスによって個人的に選ばれた。
②イエスの公生涯と復活の証人となる。
③教会の土台としてリーダーシップを発揮する(エペ2:20)。
Eph 2:20 あなたがたは使徒と預言者という土台の上に建てられており、キリスト・イエスご自身がその礎石です。
④メシア的王国においては、12の部族を裁く(マタ19:28)。
Mat 19:28 そこで、イエスは彼らに言われた。「まことに、あなたがたに告げます。世が改まって人の子がその栄光の座に着く時、わたしに従って来たあなたがたも十二の座に着いて、イスラエルの十二の部族をさばくのです。
⑤使徒の補充が重要である理由は、ここにある。
*ユダは、現在の使命も、将来の使命も、放棄したのである。
⑥使徒の継承という概念も、回復という概念も、聖書にはない。
*ヤコブが死んでも(使12:2)、使徒職の補充はなかった。
(2)第二義的な使徒たち
①イエスの復活を目撃した人たち(1コリ9:1)
1Co 9:1 私には自由がないでしょうか。私は使徒ではないのでしょうか。私は私たちの主イエスを見たのではないでしょうか。あなたがたは、主にあって私の働きの実ではありませんか。
②イエスの弟のヤコブ、バルナバ、そしてパウロ
③パウロは、自分が最後だと認識している(1コリ15:8~9)。
1Co 15:8 そして、最後に、月足らずで生まれた者と同様な私にも、現れてくださいました。
1Co 15:9 私は使徒の中では最も小さい者であって、使徒と呼ばれる価値のない者です。なぜなら、私は神の教会を迫害したからです。
3.使徒たちは全員ユダヤ人である。
(1)異邦人クリスチャンは、このことを忘れている。
(2)使徒は、教会に与えられた聖霊の賜物のひとつである。
①1コリ12:28
1Co 12:28 そして、神は教会の中で人々を次のように任命されました。すなわち、第一に使徒、次に預言者、次に教師、それから奇蹟を行う者、それからいやしの賜物を持つ者、助ける者、治める者、異言を語る者などです。
②エペ4:11
Eph 4:11 こうして、キリストご自身が、ある人を使徒、ある人を預言者、ある人を伝道者、ある人を牧師また教師として、お立てになったのです。
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