私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
創世記(33)—イサクの奉献—
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このメッセージでは...
聖書のメッセージのクライマックスについて学ぶ。
創世記33 創世記22章1節~19節
「イサクの奉献」
イントロ:
1.前回までの復習
(1)アブラハムには4回の転機(危機)が訪れた。
①父の家を出たこと
②ロトとの別離
③イシュマエルの追放
④イサク奉献
(2)アブラハムの成長とともにアブラハム契約の内容が明らかになっていく。
(3)きょうの箇所で、アブラハム契約の全貌が明らかになる。
2.メッセージのアウトライン
(1)神の命令
(2)アブラハムの従順
(3)神の介入
(4)アブラハム契約の追認
3.きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。
(1)アブラハムの人生のクライマックス(最大の試練)
(2)聖書のメッセージのクライマックス(信仰義認)
(3)メシアの死の予表(贖いの教理)
このメッセージは、聖書のメッセージのクライマックスについて学ぼうとするものである。
Ⅰ.神の命令(1~2節)
1.アブラハムのテスト(1節)
(1)「これらの出来事の後」
①イサク、イシュマエル、アビメレクのことがら(21章)の後
②30~31年の経過が見られる。
(2)アブラハムの生涯のクライマックスが訪れる。
①訳文比較
「神はアブラハムを試練に会わせられた」(新改訳)
「神はアブラハムを試みて」(口語訳)
「神はアブラハムを試された」(新共同訳)
②これは、神からのテストである。
2.神は「アブラハムよ」と呼びかけた。
(1)アブラハムは、「はい、ここにおります」と答えた(新改訳)。
(2)「ヒネイニ」というヘブル語。強調された言葉。
(3)創世記22章では、アブラハムは神に対してこの言葉しか語っていない。
(4)もう一個所は、創22:11。
(5)彼は数々の失敗を犯してきたが、ここでは神のことばに全面的に応答している。
3.神の命令(2節)
(1)ヘブル語では、このテストは次第に痛みが激しくなっていくように書かれている。
①あなたの息子
②ひとり子
③あなたの愛している子
④イサク
(2)ラビ的伝承では次のようになっている。
①「あなたの息子を連れて」。「私にはふたりの息子がおりますが」
②「ひとり子だよ」。「それぞれが母親にとってはひとり子ですが」
③「あなたの愛している子だよ」。「私は両方とも愛していますが」
④「イサクだよ」
(3)「ひとり子」のヘブル的意味
①年齢や誕生の後先に関係はない。
②質的意味が重要。イサクは約束の子、アブラハム契約が成就する子。
③イスラム教徒の解釈は間違っている。
(4)「モリヤの地に行きなさい」
①創世記12:1と同じ。
②ヘブル語「レッフ・レハ」。「自分のために行け」、「あなたのためになる」。
③この言い方は、2箇所にして出てこない。
(5)「モリヤの地」とは、ソロモンが神殿を建設する場所である(Ⅱ歴3:1)。
①そこに着いたなら、イサクを全焼のいけにえとして捧げる。
②そこは、後にシオンの山と呼ばれる場所である(現在の神殿の丘)。
(6)テストの内容は2つある。
①アブラハムは、愛する息子を殺す(捧げる)だろうか。
②その子を通してアブラハム契約が成就する「ひとり子」を殺すだろうか。
*人身供養が禁じられるのは、モーセの律法以降のことである。
*レビ18:21、20:1~5、申18:10
Ⅱ.アブラハムの従順(3~10節)
1.7つのステップがある(3節)。
(1)翌朝早く
(2)アブラハムはろばに鞍をつけ
(3)ふたりの若い者と
(4)息子イサクとをいっしょに連れて行った。
(5)彼は全焼のいけにえのためのたきぎを割った。
(6)立って、
(7)神がお告げになった場所へ出かけて行った。
2.到着(4節)
(1)彼は100キロ前後を移動した。
(2)ほぼ3日の道のり。
(3)イサクをいけにえにする場所が、はるかかなたに見えた。
3.若い者たちへの言葉(5節)
「あなたがたは、ろばといっしょに、ここに残っていなさい。私と子どもとはあそこに行
き、礼拝をして、あなたがたのところに戻って来る」
(1)「私と子ども」とある。
(2)アブラハムには、ふたりとも戻ってくるという信仰があった。
①「イサクから出る者が、あなたの子孫と呼ばれるからだ」(21:12)
②イサクが死んだら、神が彼を復活させない限りこの約束は成就しない。
4.それから先の旅(6節)
(1)イサクは自分がその上で焼かれるためのたきぎを背負って歩んだ。
(2)メシアが十字架を背負って歩まれたのと同じ。
(3)アブラハムは、火と刀とを自分の手に取り、ふたりはいっしょに進んで行った。
(4)父なる神が、御子を犠牲にされたのと同じ。イザ53:7~10。
5.イサクとアブラハムの対話(7~8節)
(1)「火とたきぎはありますが、全焼のいけにえのための羊は、どこにあるのですか」
(2)「神ご自身が全焼のいけにえの羊を備えてくださるのだ」
(3)イサクはそれ以上は尋ねなかった。
6.ほふる準備(9~10節)
「ふたりは神がアブラハムに告げられた場所に着き、アブラハムはその所に祭壇を築いた。
そうしてたきぎを並べ、自分の子イサクを縛り、祭壇の上のたきぎの上に置いた」
(1)当時は祭壇しかない。後に神殿が建つ。
(2)イサクを縛った。
①ユダヤ人たちの頭の中では、この動詞が印象深く残った。
②この箇所は、「アケイダー」(縛り)と呼ばれる。
③ロシュ・ハシャナ(新年の祭り)に朗読される。
(3)イサクは、幼児ではない。父に抵抗できる大人である。
(4)しかし彼は、父に従った。信頼したからである。
(5)「アブラハムは手を伸ばし、刀を取って自分の子をほふろうとした」
Ⅲ.神の介入(11~14節)
1.新しい命令
(1)「アブラハム。アブラハム」
①2度名前を呼んでいるのは、強調のため。
(2)彼は答えた。「はい。ここにおります」
①ヘブル語で「ヒネイニ」。
(3)「あなたの手を、その子に下してはならない。その子に何もしてはならない」
(4)「今、わたしは、あなたが神を恐れることがよくわかった
①神はアブラハムが神を恐れることを知っておられた。
②それが今や、経験的知識となった。
(5)わかった理由:
「あなたは、自分の子、自分のひとり子さえ惜しまないでわたしにささげた」
2.雄羊
(1)角をやぶにひっかけている一頭の雄羊がいた。
①この雄羊がイサクの身代わりであることを認識した。
(2)その雄羊を取り、それを自分の子の代わりに、全焼のいけにえとしてささげた。
①「自分の子の代わりに」
②ラビ伝承もそれを認める。
③アブラハムは、屠殺、血の注ぎかけなどすべての行為の過程で神に祈った。
「この行為が私の息子に為されたと、神が認めてくださるように」
3.場所の命名
(1)「アドナイ・イルエ」(新改訳)
(2)ヤーウェ・イルエ(主は備えてくださる)」(新共同訳)
(3)格言となった。「【主】の山の上には備えがある」
(4)主の山とはモリヤの山、後にシオンの山と呼ばれる場所(今日の神殿の丘)。
①そこは、将来「贖いの場」となる。
②そこに、いけにえが用意される。
4.ラビ伝承(ミッドラッシュ・ラバー、ベレシット46:9)
(1)アブラハムが刀をイサクの喉に付けた時、イサクの魂は肉体を離れた。
(2)神の声があってから、その魂は肉体に戻った。
(3)イサクは、アブラハムが殺さなくても死んだ。そして、復活した。
(4)ラビ的伝承の中には復活という概念がある。
Ⅳ.アブラハム契約の追認(15~19節)
1.5回目で、最後の、アブラハム契約の追認である。
(1)「わたしは自分にかけて誓う」。神にとって可能な、最も厳粛な誓いである。
2.4つの約束
(1)わたしは確かにあなたを大いに祝福し、
(2)あなたの子孫を、空の星、海辺の砂のように数多く増し加えよう。
(3)そしてあなたの子孫は、その敵の門を勝ち取るであろう。
(4)あなたの子孫によって、地のすべての国々は祝福を受けるようになる。
①異邦人の祝福が含まれている。
②創世記12章からこの約束が含まれていた。
③「子孫」(単数形)はメシアのこと
3.ベエル・シェバへの帰還
(1)アブラハムが言ったように、ふたりとも帰還した。
結論
1.アブラハムの人生のクライマックス(最大の試練)
(1)信仰は、神のことばに完全に従う。
(2)信仰は、神に最高のものを捧げる。
(3)信仰は、神が与えてくださるのを待つ。
2.聖書のメッセージのクライマックス(信仰義認)
(1)アブラハムは、すでに信仰によって救われていた(15:6)。
(2)彼の信仰は、この行為によって証明された。
(3)ヤコ2:22~24の教えと一致する。
3.メシアの死の予表(贖いの教理)
(1)イサクがたきぎを負って歩む姿は、メシアが十字架を負って歩む姿と重なる。
(2)雄羊は、メシアの型である。
(3)「ヤハウェ・イルエ」という地名
①シオンの山のこと
②そこで用意される最終的な犠牲とは、メシアの命のことである。
(4)アブラハムがイサクを取り戻したのは、復活の型である。
①ヘブ11:17~19
(5)型と実態がオーバーラップしない点がある。
①イサクは、象徴的な意味で死んだだけである。
②メシアは、文字通り死なれた。
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