私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ローマ人への手紙(45)—謙遜の勧め—
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謙遜について学ぶ。
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「謙遜の勧め」
1.はじめに
(1)文脈の確認
①1~8章が教理
②9~11章がイスラエルの救い
③12~16章が適用
(2)ロマ12:1~2(それ以降の行動を導く基本原則)
①神の恵みの理解(1~11章)が土台
②自発的ささげ物をささげる。
*一度限りの決断
③「この時代」と戦い、精神を一新することによって、日々神に変えていただく。
*日々の決断
④アンケートの紹介
(3)きょうの箇所
①教会内での行動(12:3~21)
②謙遜の勧め(3~8節)
③愛の勧め(9~21節)
2.アウトライン
(1)警告(3節)
(2)みからだの教理(4~5節)
(3)御霊の賜物の行使(6~8節)
3.メッセージのゴール
(1)自分の立場
(2)自分の能力
(3)自分の人生のゴール
このメッセージは、謙遜について学ぼうとするものである。
Ⅰ.警告(3節)
1.プライドの問題
(1)献身の生涯を妨げる最大の要因は、プライドである。
①御霊の賜物は、教会内で行使されるもの。
②御霊の賜物の行使について語る前に、謙遜について語る必要がある。
③ここでのテーマは、霊的プライドである。
(2)この箇所は、御霊の賜物の解説というよりは、その行使の方法の解説である。
2.3節a
「私は、自分に与えられた恵みによって、あなたがたひとりひとりに言います」(新改訳)
「わたしに与えられた恵みによって、あなたがた一人一人に言います」(新共同訳)
「わたしは、自分に与えられた恵みによって、あなたがたひとりびとりに言う」(口語訳)
(1)指導者だけでなく、すべての信徒に対する警告である。
(2)パウロの立場
①「恵み」とは、ギリシア語で「カリス」。
②「御霊の賜物」とは、ギリシア語で「カリスマ」、「カリスマタ」(複数形)。
③パウロは、「カリス」に基づいて、「カリスマタ」を論じている。
④自分に適用していない真理を論じているのではない。
(3)ロマ1:5
「このキリストによって、私たちは恵みと使徒の務めを受けました。それは、御名の
ためにあらゆる国の人々の中に信仰の従順をもたらすためです」
①使徒の務めもまた、恵みである。
②「私たち」とあるのは、パウロだけではないということ。
③ローマ教会は、他の人によって設立された。
(4)ロマ15:15~16
「ただ私が所々、かなり大胆に書いたのは、あなたがたにもう一度思い起こしてもら
うためでした。それも私が、異邦人のためにキリスト・イエスの仕え人となるために、
神から恵みをいただいているからです。私は神の福音をもって、祭司の務めを果たし
ています。それは異邦人を、聖霊によって聖なるものとされた、神に受け入れられる
供え物とするためです」
2.3節b
「だれでも、思うべき限度を越えて思い上がってはいけません。いや、むしろ、神がおの
おのに分け与えてくださった信仰の量りに応じて、慎み深い考え方をしなさい」(新改訳)
「自分を過大に評価してはなりません。むしろ、神が各自に分け与えてくださった信仰の
度合いに応じて慎み深く評価すべきです」(新共同訳)
「思うべき限度を越えて思いあがることなく、むしろ、神が各自に分け与えられた信仰の
量りにしたがって、慎み深く思うべきである」(口語訳)
(1)似たような言葉の繰り返しによって、謙遜の重要性を強調している。
①「思うべき限度」は、「フロネオウ」。
②「思い上がる」は、「ヒュペアフロネオウ」。
③「慎み深く」は、「ソウフロネオウ」。
④「思うべきである」は、「フロネオウ」。
(2)意味の比較
①基本形は、「フロネオウ」である(2回出ている)。
②自分を過大評価するのは、「ヒュペア+フロネオウ」である。
③正気で自分を見るのは、「ソウフロネオウ」である。
(3)「ヒュペロオン」という名詞
「彼らは町に入ると、泊まっている屋上の間に上がった。この人々は、ペテロとヨハ
ネとヤコブとアンデレ、ピリポとトマス、バルトロマイとマタイ、アルパヨの子ヤコ
ブと熱心党員シモンとヤコブの子ユダであった」(使1:13)
①「屋上の間」(使1:13)
②「the upper room」
③自分を過大評価するとは、上から目線で人を見ることである。
(4)3節bの「慎み深く」は、「ソウフロネオウ」。
①正気になって考えなさい、という言葉である。
②これは、酔った状態、中毒状態を暗示している。
③私にとって、私が一番大事である。
④この状態は、「エゴホリック」である。
⑤パウロは、正気になれと勧告している。
3.信仰もまた、賜物である。
(1)各人に、信仰の限度容量が与えられている。
①信仰の強さを誇ることは、赦されない。
②与えられた信仰の限度容量に従って考える。
(2)ピリ2:3
「何事でも自己中心や虚栄からすることなく、へりくだって、互いに人を自分よりも
すぐれた者と思いなさい」
Ⅱ.みからだの教理(4~5節)
1.人間の体と「みからだ」(教会)の対比
(1)一体性(同じからだに属する)
(2)多様性(異なった働きがある)
(3)調和(愛による賜物の行使)
2.4~5節
「一つのからだには多くの器官があって、すべての器官が同じ働きはしないのと同じよう
に、大ぜいいる私たちも、キリストにあって一つのからだであり、ひとりひとり互いに器
官なのです」
(1)「キリストにあって」がキーワードである。
①教会内の問題の多くは、新生していない「信者」が原因となっている。
②「キリストにあって」、私たちは、おなじからだの一部となる。
③キリスト教は、共同体として信仰体験する宗教である。
(2)プライドが入り込む余地はない。
①御霊の賜物は、すべて恵みによって与えられたものである。
②ひとりの人が、御霊の賜物をすべて所有していることはない。
③ひとつの地域教会が、御霊の賜物をすべて所有していることもない。
④私たちは、お互いを必要としている。
⑤「一匹狼」クリスチャンは、存在しない。
Ⅲ.御霊の賜物の行使(6~8節)
1.御霊の賜物
(1)御霊の賜物それ自体の解説ではなく、それらを謙遜に行使せよとの勧め。
(2)御霊の賜物は、合計19上げられている。
①Ⅰペテ4:10
②ロマ12:4~8
③エペ4:11
④Ⅰコリ7:1、7
⑤Ⅰコリ12:14~16
(3)ここでは、7つの御霊の賜物が上げられている。
①パウロは、2年ほど前にコリント人への手紙第一を書いている。
②1コリ12~14章で、御霊の賜物の行使について、教えている。
*御霊の賜物には、重要性の差があるが、それでもプライドは赦されない。
③ロマ書に詳細なリストがない理由は、この教会が霊的に成熟していたからか。
2.7つの御霊の賜物
(1)預言すること
*神から直接の啓示を受ける人
*アンテオケ教会(使13:1)
*アガボ(使11:27~28、21:10~11)
*ピリポの娘たち(使21:8~9)
*預言者が語ったことは、必ず成就せねばならない。
*新約の完結とともに、この賜物は終わった。
(2)奉仕すること
*ギリシア語で「ディアコニア」。
*奉仕は聖霊の賜物のひとつである。
*執事は、奉仕の賜物のある人が就く役職である。
*全的献身が勧められている。
(3)教えること
*真理をまとめ、聞く人に分かるように語る能力である。
*霊的真理を伝達する能力である。
(4)勧めをすること
*真理を実際生活に適用するように人々を励ますことである。
*教える賜物があっても、この賜物がない場合がある。
*その逆もある。
(5)分け与えること
*すべての信者は、愛の実践として分け与えることを実行する。
*この賜物を持った人は、より多くのものを分け与える。
*収入の90パーセントを捧げるような人には、この賜物がある。
(6)指導すること(管理すること)
*長老職に就く人は、この賜物を持っていなければならない。
*サーバントリーダーシップ(神の権威の下にいる。マタ8:9参照)
(7)慈善を行うこと
*病人、貧しい人に助けの手を伸ばすことである。
*この賜物のある人は、喜んでそれを行うべきである。
結論
1.
自分の立場
(1)ユダヤ人信者と異邦人信者の対立
(2)しかし、生きた供え物には、「立場」や「地位」はない。
(3)メシアニック・ジューを敬愛するが、卑屈になる必要はない。
2.自分の能力
(1)信仰さえも、神からの賜物である。
(2)御霊の賜物には、重要性の順番がある。
(3)しかし、恵みによって与えられているので、誇ることはできない。
3.自分の人生のゴール
(1)キリスト教は、自己実現の宗教ではない。
(2)私たちは、神の栄光のために生きている。
(3)御霊の賜物は、からだ全体を建て上げるためのものである。
(4)これこそ、真の自己実現である。
(例話)「鳥の鳴き声」
鳥の中で鳴き声を出すのは、小さな鳥だけ。
鷲や鷹、七面鳥やダチョウは、さえずらない。
小鳥たちはさえずる。カナリヤ、ミソサザイ、ヒバリなどは、美しい声で歌う。
人間の世界でも、最も美しい歌声は、主の前に謙遜で、自分を「小さな者」と考えて
いるクリスチャンたちから出てくる。
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