私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ローマ人への手紙(20)—義認の喜び(2)—
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義認を受けた者のその後の歩みを教える。
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「義認の喜び(2)」
1.はじめに
(1)ここまでの「義認」についての議論(1:18~4:25)
①ユダヤ人も異邦人も、罪人である。
②ユダヤ人も異邦人も、信仰により、恵みによって救われる。
(2)きょうの箇所で、義認の後に何が起こるかという議論が展開される。
①過去の問題は、義認で解決した。
②将来に不安がある。さまざまな試練や苦難が待っている。
③義認の結果、信者に与えられた5つの祝福が列挙される。
2.メッセージのアウトライン
(1)神との平和(1節)
(2)恵みへのアクセス(利用する権利)(2節a)
(3)栄光の希望に関する誇り(2節b)
(4)今の時の忍耐心(3~10節)
(5)神に関する誇り(11節)
前回は、(1)~(3)を取り上げる。
今回は、(4)~(5)を取り上げる。
3.メッセージのゴール
(1)初代教会に広がっていた患難に関する教え
(2)神に関する誇りの具体的内容
このメッセージは、義認を受けた者のその後の歩みを教えるものである。
Ⅳ.今の時の忍耐心(3~5節)
1.3節a
「そればかりではなく、苦難をも誇りとします」(新共同訳)
(1)「カウカオマイ」という動詞
①新改訳と口語訳は、「喜ぶ」と訳している。
(2)「そればかりではなく」の意味
①「神の栄光にあずかる希望」を誇るのは当然のことである。
②これは、聖化の完成、つまり栄化の希望のことである。
③義認の恵みを受けた者は、それ以上のことを誇りとしている。
④普通は誰もが嫌がる苦難(患難)をも誇りとしている。
(3)患難の種類
①この世から来る憎しみ
②サタンの誘惑
③肉の思い
④神の御心による患難
2.3節b~4節
「それは、患難が忍耐を生み出し、忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望
を生み出すと知っているからです」
(1)患難を誇る理由が書かれている。
①患難は、私たちの内にキリストの似姿を作り出す原動力となる。
(2)霊的公式
①患難+恵み=忍耐
②忍耐+恵み=練られた品性(練達)
*ギリシア語の「ドキメイ」。金属を火で試し、品質を確かめること。
*試された結果、純粋であることが証明されたもの。
*神の承認がある品性という意味である。
③練られた品性+恵み=希望
*神の承認があるので生まれる希望である。
3.5節
「この希望は失望に終わることがありません。なぜなら、私たちに与えられた聖霊によっ
て、神の愛が私たちの心に注がれているからです」
(1)失望しない理由は、神の愛が注がれているという認識があるからである。
(2)この認識は、内住の聖霊を通して与えられる。
①信じた瞬間新生し、内住の聖霊を与えられている。
②ロマ8:9
「けれども、もし神の御霊があなたがたのうちに住んでおられるなら、あなたが
たは肉の中にではなく、御霊の中にいるのです。キリストの御霊を持たない人は、
キリストのものではありません」
③1コリ3:16
「あなたがたは神の神殿であり、神の御霊があなたがたに宿っておられることを
知らないのですか」
④エレ31:33
「彼らの時代の後に、わたしがイスラエルの家と結ぶ契約はこうだ。──【主】
の御告げ──わたしはわたしの律法を彼らの中に置き、彼らの心にこれを書きし
るす。わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる」
4.感動的脱線(6~10節)
(1)6節
「私たちがまだ弱かったとき、キリストは定められた時に、不敬虔な者のために死ん
でくださいました」
①「弱かったとき」とは、神に応答する力がなかったときという意味。
*病人に使う言葉
*道徳的な意味でも使える言葉
*受動的な意味での罪人
②「定められた時」とは、あらかじめ決定されていた時という意味。
*神の怒りが限界に達した時、神の怒りはキリストの上に注がれた。
③キリストは私たちのために死んでくださった。
(2)7~9節
「正しい人のためにでも死ぬ人はほとんどありません。情け深い人のためには、進ん
で死ぬ人があるいはいるでしょう。しかし私たちがまだ罪人であったとき、キリスト
が私たちのために死んでくださったことにより、神は私たちに対するご自身の愛を明
らかにしておられます。ですから、今すでにキリストの血によって義と認められた私
たちが、彼によって神の怒りから救われるのは、なおさらのことです」
①「罪人であったとき」とは、神に敵対する者という意味。
*能動的な意味での罪人
②敵のために死ぬ人はいない。
③正しい人のためでも死ぬ人はいない。
④情け深い人の場合は、そういう可能性もあり。感情に対するアピールがある。
⑤キリストの死は、常識ではありえないことである。
⑥それによって神は、私たちに対する愛を明らかにされた。
⑦ラビ的議論:大から小への議論
*大を証明することよって、小が真理であることを示す。
*罪人のために死ぬという愛が示された。これが大である。
*義とされた私たちは、神の怒りか救われる。これが小である。
(3)10節
「もし敵であった私たちが、御子の死によって神と和解させられたのなら、和解させ
られた私たちが、彼のいのちによって救いにあずかるのは、なおさらのことです」
①ここでも大から小への議論がある。
*敵である者が、御子の死によって神と和解させられた。これが大である。
*和解させられたのだから、キリストの内にあって救われる。少である。
②2コリ5:17~18
「だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いも
のは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。これらのことはすべて、神
から出ているのです。神は、キリストによって、私たちをご自分と和解させ、ま
た和解の務めを私たちに与えてくださいました」
③コロ3:4
「私たちのいのちであるキリストが現れると、そのときあなたがたも、キリスト
とともに、栄光のうちに現れます」
④「永遠の救い」を失う道はない。
Ⅴ.神に関する誇り(11節)
1.11節
「それだけでなく、わたしたちの主イエス・キリストによって、わたしたちは神を誇りと
しています。今やこのキリストを通して和解させていただいたからです」(新共同訳)
(1)「そればかりでなく」は、3節の「そればかりでなく」と並列関係にある。
①つまり、6~10節の感動的脱線が終わったのである。
②その意味は、「神の栄光の望みを誇りとするだけでなく、患難さえも誇りとする。
さらに、神ご自身を誇りとする」ということ。
(2)誇りとする理由は、キリストを通して神と和解させられたから。
①それゆえ、キリストによって(あって)誇るのである。
結論:
1.初代教会に広がっていた患難に関する教え
(1)公同書簡の教えと共通する。
①パウロ書簡と公同書簡がある。
(2)ヤコブとペテロ
①ヤコ1:2~4
「私の兄弟たち。さまざまな試練に会うときは、それをこの上もない喜びと思い
なさい。信仰がためされると忍耐が生じるということを、あなたがたは知ってい
るからです。その忍耐を完全に働かせなさい。そうすれば、あなたがたは、何一
つ欠けたところのない、成長を遂げた、完全な者となります」
②1ペテ1:6~7
「そういうわけで、あなたがたは大いに喜んでいます。いまは、しばらくの間、
さまざまの試練の中で、悲しまなければならないのですが、あなたがたの信仰の
試練は、火で精錬されつつなお朽ちて行く金よりも尊く、イエス・キリストの現
れのときに称賛と光栄と栄誉になることがわかります」
(3)初代の教会の信者が受けていた教えの共通性
①信者にも試練が襲う。
②その試練は、信者を成長させ、完成させる力となる。
③それゆえ、信者は試練の中でも喜ぶことができる。
④さらに、試練そのものを喜ぶようになる。
⑤キーワードは、「恵み」である。
2.
神に関する誇りの具体的内容
(1)神に関する誇りは、義認の結果である。
(2)具体的内容
①神の存在を喜ぶ。
②神の性質を喜ぶ(義、聖、憐れみ、真実、愛)。
③神が自然界を支えておられる。
④罪人にはない感覚であり、体験である。
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