私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ローマ人への手紙(9)—異教徒の罪(1)—
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罪人が置かれている立場を理解する。
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「異教徒の罪(1)」
1.はじめに
(1)序言(1~17節)
(2)救いの第1番目の要素「義認」について論じ始める。
①神が罪人に神の義を転嫁すること。
②1:18~5:21まで
(3)義認を論じる前に、罪について理解する必要がある。
①罪人としての自覚がないなら、救いを求めて神のもとに来ることはない。
②パウロは、すべての人が有罪であることを論証しようとしている。
③それが、有罪宣言の内容である(1:18~3:20)。
④自らが霊的に病人であることを知らなければ、霊的医者のもとには来ない。
(4)人類の2分法
①ユダヤ人による分類法:ユダヤ人と異邦人(異教徒)
②ギリシア人による分類法:文化的な人と野蛮人
(5)パウロの論理展開
①異教徒の罪(1:18~32)
②文化的異教徒の罪(2:1~16)
③ユダヤ人の罪(2:17~3:8)
④結論:すべての人は罪人である(3:9~20)
2.メッセージのアウトライン
(1)知識の啓示(1:18~20)
(2)知識の拒否(1:21~23)
(3)拒否の結果(1:24~32)
今回は、(1)と(2)を扱う。
3.メッセージのゴール:福音を聞かないで死んだ人はどうなるのか。
このメッセージは、罪人が置かれている立場を理解するためのものである。
Ⅰ.知識の啓示(1:18~20)
「というのは、不義をもって真理をはばんでいる人々のあらゆる不敬虔と不正に対して、
神の怒りが天から啓示されているからです」(18節)
1.訳語の問題
(1)「というのは」(For)という接続後を訳しているのは、新改訳だけである。
(2)これは重要な接続詞である。
①パウロは、17節でロマ書のテーマを提示した。
「なぜなら、福音のうちには神の義が啓示されていて、その義は、信仰に始まり
信仰に進ませるからです。『義人は信仰によって生きる』と書いてあるとおりで
す」
②今から、そのテーマの論証が始まる。
③その内容は、8章の終りまで続く。
④パウロは、福音以外の救いの方法は無力であることを論証しようとしている。
2. 神の怒り
(1)神の不快感、神の立腹のこと
①復讐ではない。
②神の愛の中に含まれる感情である。
(例話)ファイドという犬が便器から水を飲んでいる。
(2)「不敬虔と不正に対して」
①「不敬虔」とは、宗教的な意味での罪のことである。
*神を無視すること
*神がいないかのような生活を続けていること
②「不正」とは、道徳的な意味での罪のことである。
(3)彼らは、「不義をもって真理をはばんでいる人々」である。
①「不義によって真理の働きを妨げる人間」(新共同訳)
②真理を押さえつけていること
③「真理」は彼らに啓示されている。
3.真理の啓示
「それゆえ、神について知られることは、彼らに明らかです。それは神が明らかにされた
のです」(19節)
(1)「それゆえ」ではなく、「なぜなら」(新共同訳)である。
①「ディオティ」という非常に強い接続詞である。
②異教徒がどのようにして真理を押さえつけているかを明らかにしている。
(2)聖書を持たない人にも啓示が与えられている。
①被造世界を通して、神についての知識を得ることができる。
②程度の差はあるが、すべての人にある程度の啓示が与えられている。
③人間は神の「かたち」に創造されている。神を認識する能力がある。
4.弁解の余地はない
「神の、目に見えない本性、すなわち神の永遠の力と神性は、世界の創造された時からこ
のかた、被造物によって知られ、はっきりと認められるのであって、彼らに弁解の余地は
ないのです」(20節)
(1)福音の内容は分からないが、神についての啓示は与えられている。
①特別啓示と一般啓示
(2)被造の世界を通した啓示には、少なくとも2つの要素がある。
①神が存在する(目に見えるものは目に見えないものによって創造された)。
②神は力あるお方である。
(3)「弁解の余地はない」とはきつい言葉である。
①人間には神に関する知識がある。
②人間はそれを押さえつけて、宗教的に、道徳的に、自分勝手に生きている。
③人間は意図的に真理を押さえつけている。だから、弁解の余地はない。
Ⅱ.知識の拒否(1:21~23)
1.接続詞の訳語の問題
「それゆえ」
(1)「なぜなら」(新共同訳)がよい。
①20節の「弁解の余地がない」という理由を説明している。
②神が罪人を裁くのは正しいということを説明している。
(2)異教徒は、神を知っていながら、意図的に堕落へのステップを踏んでいる。
2.堕落の7つのステップ
「彼らは神を知っていながら、その神を神としてあがめず、感謝もせず、かえってその思
いはむなしくなり、その無知な心は暗くなりました。彼らは、自分では知者であると言い
ながら、愚かな者となり、不滅の神の御栄えを、滅ぶべき人間や、鳥、獣、はうもののか
たちに似た物と代えてしまいました」
(1)神を神としてあがめない。
①唯一の神の存在を認めない。
②全知全能の神の存在は、歓迎されない。
(2)神に感謝もしない。
①命と祝福の源である神を無視する。
②感謝のない人は、心が頑なになり、霊的に鈍感になる。
③その結果、さらに堕落のステップを踏むことになる。
(3)その思いはむなしくなる。
①「むなしい思いにふけり」(新共同訳)
②自分中心にものごとを考えるようになる。
③むなしい議論に走り、ますます神の知識から離れて行く。
(4)その無知な心は暗くなる。
①内なる人のこと。
②理解力が不鮮明になり、論じる力が減退する。
(5)自分では知者であると言いながら、愚かな者となる。
①哲学者のことを「フィロソファー(知識を愛する者)」という。
②聖書では、神を恐れない者は「愚か者」である。
③知識が愚かになると、行動も愚かになる。
(6)不滅の神の御栄えを像(イメージ)に変える。
①神の栄光が傷つくわけではない。
②人間の内にある神概念が変化するだけである。
③礼拝と感謝の対象を、像(イメージ)に変えるのである。
(7)滅ぶべき人間や、鳥、獣、はうもののかたちに似た像を作る。
①英雄が神として崇められる。
②鳥が神として崇められる。
*エジプトの鷹
*ローマの鷲
③獣が神として崇められる。
*エジプトの牛
④はうものが神として崇められる。
*蛇、とかげ、わに、など。
結論:福音を聞かないで死んだ人はどうなるのか。
1.「弁解の余地はない」とはきつい言葉である。
(例話)私の父の反論(キリストを信じない人は滅びるというのは、狭い考え方)
2.福音を聞かないで死んだ人は、滅びている。
(1)人間には神に関する知識がある。
(2)人間はそれを押さえつけて、宗教的に、道徳的に、自分勝手に生きている。
(3)人間は意図的に真理を押さえつけている。だから、弁解の余地はない。
(4)福音を聞いていなくても、死んだ異教徒は滅びに至っている。
(5)聞いた人だけが滅びるなら、福音を伝えることは最悪のこととなる。
3.神の正義はどこにあるか。
(1)人は与えられている啓示の量によって裁かれる。
(2)福音を聞いていない人は、一般啓示によって裁かれる。
(3)福音を聞いた人は、特別啓示によって裁かれる。
(4)一般啓示に応答して生きている人には、さらなる啓示が与えられる。
①宣教師が感じる使命の背後にこの真理がある。
②神の超自然的な介入もある。
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