私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
サムエル記第一(2)「ハンナの祈り」1サム1:9~18
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命題:イスラエルの民は、霊的刷新を必要としていた。この個所に記された3つの対比が、そのことを示している。
サムエル記第一(2)
「ハンナの祈り」
1サム1:9~18
1.文脈の確認
Ⅰ.王政に向けた準備(1~9章)
A.サムエルの誕生と幼少期(1章)
1.サムエルの家族(1:1~8)
2.ハンナの祈り(1:9~18)
3.サムエルの誕生(1:19~28)
2.注目すべき点
(1)士師の時代の末期、イスラエルは政治的にも霊的にも、混乱状態にあった。
(2)新しい時代を導くのは、預言者サムエルである。
(3)前回は、神の御業は小さなことから始まるということを学んだ。
(4)今回は、サムエル誕生の経緯について学ぶ。
命題:イスラエルの民は、霊的刷新を必要としていた。
この個所に記された3つの対比が、そのことを示している。
Ⅰ.立ち上がる女vs.座っている祭司(9節)
1.9節
1Sa 1:9 シロでの飲食が終わった後、ハンナは立ち上がった。ちょうどそのとき、祭司エリは【主】の神殿の門柱のそばで、椅子に座っていた。
(1)この物語は、士師の時代の終わりに位置づけられている。
①イスラエルは道徳的にも霊的にも混乱した状態にあった。
②「人々は皆、自分の目に正しいと見えることを行っていた」
③そのような時代に、神は新しい器を準備しておられた。
(2)「ハンナは立ち上がった」
①これは単なる動作ではない。
②彼女は、祈る決断、神のもとへ出て行く決断を下した。
(3)「祭司エリは【主】の神殿の門柱のそばで、椅子に座っていた」
①「座っていた」は、ある種の受動性や無感覚さを象徴している。
②形式的には正しい場所にいながら、神の臨在に対しては無感覚である。
③これは、当時の祭司制度全体の霊的な鈍さを象徴している。
(4)教訓
①神は、信仰によって「立ち上がる者」を用いられる。
②時代を変えるのは、地位や資格ではなく、信仰と行動である。
Ⅱ.祈る女vs.鈍感な祭司(10~13節)
1.10節
1Sa 1:10 ハンナの心は痛んでいた。彼女は激しく泣いて、【主】に祈った。
(1)ハンナという一人の信仰者の涙と祈りが、歴史の流れを変える。
①「心の痛み」と「涙の祈り」は、苦難の中で希望を見いだすヘブル的信仰の型。
②詩6篇、42篇
(2)激しく泣く祈りは、メシアの系譜の起点となった。
①ハンナの涙
②サムエル誕生
③預言者制度の幕開け
④ダビデ王朝
⑤メシアの系譜
2.11節
1Sa 1:11
そして誓願を立てて言った。「万軍の【主】よ。もし、あなたがはしための苦しみをご覧になり、私を心に留め、このはしためを忘れず、男の子を下さるなら、私はその子を一生の間、【主】にお渡しします。そしてその子の頭にかみそりを当てません。」
(1)この請願は、万軍の【主】への呼びかけである。
①サムエルの誕生は、イスラエルの霊的・軍事的刷新の第一歩となる。
②この請願は、神の主権への信頼の表明である。
(2)ナジル人の請願に似ている。
①「頭にかみそりを当てません」は、ナジル人の外的しるしの一つである。
②期間限定ではなく、「一生」という点で、この請願は特異なものである。
③祈りの質の転換が見られる。
*神の栄光のために子を求めた。
*サムエルは、預言者・祭司・士師として霊的刷新をもたらす。。
(3)教訓
①神の栄光をゴールとする祈りは、聞き届けられる。
②神の主権的働きと、それに応答する人間の信仰は、両立する必要がある。
3.12~13節
1Sa 1:12 ハンナが【主】の前で長く祈っている間、エリは彼女の口もとをじっと見ていた。
1Sa 1:13 ハンナは心で祈っていたので、唇だけが動いて、声は聞こえなかった。それでエリは彼女が酔っているのだと思った。
(1)ハンナの祈りの革新性
①個人が神に直接、静かに祈るというスタイルは斬新である。
②「心で祈っていた」は、旧約時代では極めて異例な表現である。
③沈黙の祈りは、人には理解されにくいが、神には届く。
(2)エリの誤解
①当時の祭司制度は、霊的識別力を失っていた。
②祭司エリは、ハンナが酔っていると誤解した。
③祈る者vs.見る者の対比は、鮮明である。
④時代は、新しい啓示の受け手となる預言者を必要としていた。
Ⅲ.全的信頼vs.部分的理解(14~18節)
1.14~16節
1Sa 1:14 エリは彼女に言った。「いつまで酔っているのか。酔いをさましなさい。」
1Sa 1:15
ハンナは答えた。「いいえ、祭司様。私は心に悩みのある女です。ぶどう酒も、お酒も飲んではおりません。私は【主】の前に心を注ぎ出していたのです。
1Sa 1:16 このはしためを、よこしまな女と思わないでください。私は募る憂いと苛立ちのために、今まで祈っていたのです。」
(1)「いつまで酔っているのか」
①叱責的ニュアンスが込められている。
②「あなたの上からぶどう酒を取り去れ」(直訳)
③これは、霊的リーダーによる権威の誤用である。
④エリは、神の宮で起きている真実な霊的行動を見抜けなかった。
⑤神の宮の管理者が、儀式的・外面的役割しか果たしていない。
⑥霊的リーダーの腐敗と信仰者の叫びの対比は、鮮烈である。
(2)「いいえ、祭司様」
①「いいえ、わが主よ」と丁寧なことばで応じた。
②「私は【主】の前に心を注ぎ出していたのです」
③液体をこぼすように、心の奥底まで神に明け渡していた。
④レビ人でも預言者でもない、ただの苦しむ信者の個人的な祈り
⑤自己の最も深い部分を差し出すのは、詩篇の祈りの型である。
(3)「このはしためを、よこしまな女と思わないでください」
①「ベリヤアルの娘」(ならず者の女)
②ハンナは自分のことを「はしため」と称した。
③彼女は、道徳的攻撃に対して明確に反論した。
④エリの誤解の深刻さが浮き彫りになる。
(4)教訓
①いわれのない批判を受けたなら、丁寧なことばで応じる。
②道徳的攻撃に対しては、明確に、毅然とした態度で反論する。
2.17節
1Sa 1:17 エリは答えた。「安心して行きなさい。イスラエルの神が、あなたの願ったその願いをかなえてくださるように。」
(1)エリの態度は一変した。
①霊的鈍感さからの部分的回復
②「安心して行きなさい」→「平安(シャローム)のうちに帰りなさい」
③神の祝福を代弁する者へと変えられた。
④神は、不完全な者をも用いられる。
3.18節
1Sa 1:18
彼女は、「はしためが、あなたのご好意を受けられますように」と言った。それから彼女は帰って食事をした。その顔は、もはや以前のようではなかった。
(1)へりくだったことばで、エリに別れを告げた。
①彼女は、通常の生活に戻った。
②食事をした。顔は以前のようではなかった。
③心の状態が変化したのである。
④祈りの答えは得ていないが、エリのことばを答えの保証として受け取った。
(2)教訓
①平穏な日常生活の回復は、内面の平安から始まる。
②神のことばに全的信頼を置くなら、内面の平安が与えられる。
結論:今日の信者への適用
1.立ち上がる
(1)信仰の停滞を拒否する。
(2)心の一新によって、信仰的な行動を開始する。
2.心を注ぎ出す
(1)形式ではなく、真実な心で神に向かう。
(2)形式的な祈りを捨て、誠実な祈りを献げる。
3.委ねる
(1)神の栄光を第一に願う。
(2)祈りの答えを神に献げる決心をする。
4.平安に生きる
(1)答えを見ずとも神を信頼する。
(2)万軍の【主】に不可能はない。




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