私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
サムエル記第一(1)「サムエルの家族」1サム1:1~8
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命題:神の御業は、取るに足りないことから始まる。
取るに足りない3つの出来事を見ると、それが分かる。
サムエル記第一(1)
「サムエルの家族」
1サム1:1~8
1.はじめに
(1)本来は、サムエル記第一と第二は、「サムエル記」という一書である。
①七十人訳が便宜的に第一と第二に分け、その区分が定着した。
(2)著者に関しては、3つの可能性が考えられる。
①1サム1:1~24:22までサムエルが書いた可能性がある。
*1サム25:1で、サムエルは死ぬ。
②サムエルのもとで学んだ預言者の1人が、まとめた可能性もある。
*その場合、サムエルが書き残した資料を利用したと思われる。
③祭司エブヤタルが、資料をまとめた可能性もある。
*ダビデと行動をともにした人物(1サム22:20~23参照)
(3)本書の内容
①サムエル記全体は、前1120年頃から約150年間の出来事を記している。
*サムエル→サウル→ダビデ初期
②士師記の時代(混乱した時代)が約300年間続いた。
③国が崩壊の危機に直面したとき、神の介入があった。
④イスラエルの民が王を求めたことにより、王政が始まる。
2.文脈の確認
Ⅰ.王政に向けた準備(1~9章)
A.サムエルの誕生と幼少期(1章)
1.サムエルの家族(1:1~8)
2.ハンナの祈り(1:9~18)
3.サムエルの誕生(1:19~28)
3.注目すべき点
(1)士師記の時代の末期、イスラエルは政治的にも霊的にも、混乱状態にあった。
(2)新しい時代を導くのは、預言者サムエルである。
(3)冒頭で、サムエル誕生の経緯が紹介される。
命題:神の御業は、取るに足りないことから始まる。
取るに足りない3つの出来事を見ると、それが分かる。
Ⅰ.無名の人エルカナ(1節)
1.1節
1Sa 1:1
エフライムの山地ラマタイム出身のツフ人の一人で、その名をエルカナという人がいた。この人はエロハムの子で、エロハムはエリフの子、エリフはトフの子、トフはエフライム人ツフの子であった。
(1)ダビデ王国に至る大河の源流が記される。
(ILL)スメタナの『モルダウ』は、チェコの川を描いた交響詩。
小さな泉から水が流れ出す様子が、弦楽器と木管楽器で奏でられる。
①サムエル記も、小さな流れから始まる。
(2)エルカナの家系
①ラマタイム(二つの高地)は、ラマ(1:19)と同じ。
②エルカナは、実際はレビ人である(1歴6:33~38)。
*エフライムの領地に住むレビ人である。
③エルカナは「神が買い取られた」という意味。
④この家系からサムエルが出る。
⑤サムエルは、サウルとダビデに油を注ぐことになる。
(3)教訓
①偉大な神の業は、無名の一人の人から始まる。
②神の主権の下に置かれた一人の人を軽視してはならない。
③私たちにも、神から委ねられた使命がある。
Ⅱ.不妊の女ハンナ(2~3節)
1.2節
1Sa 1:2
エルカナには二人の妻がいた。一人の名はハンナといい、もう一人の名はペニンナといった。ペニンナには子がいたが、ハンナには子がいなかった。
(1)エルカナの二人の妻
①ハンナ(1番目):恵み、好意という意味。
②ペニンナ(2番目):宝石、真珠という意味。
(2)キアズム(ABBA)
①ペニンナには子どもがあった。
②ハンナには子どもがなかった。
③焦点はハンナにあり、物語の中心人物となることが示唆される。
(3)ハンナが不妊だったので、ペニンナが側室になった可能性が高い。
①聖書は、一夫多妻制を規定する(申21:15)が、肯定はしない。
②一夫多妻制は、不和や争いの原因になる(アブラハム、ヤコブの例)。
(4)恵まれた女に子がいないという現実をどう理解するか。
①神の働きの余地がある。
②サラ、リベカ、ラケル、マノアの妻(サムソンの母)、エリサベツ
2.3節
1Sa 1:3
この人は、毎年自分の町から上って行き、シロで万軍の【主】を礼拝し、いけにえを献げることにしていた。そこでは、エリの二人の息子、ホフニとピネハスが【主】の祭司をしていた。
(1)エルカナは、旧約的な意味での義人である。
①毎年、シロに上って、万軍の【主】を礼拝し、いけにえを献げていた。
②申16:16に巡礼祭の規定がある(年に3度)。
③当時、幕屋はシロにあった(ヨシ18:1)。
④「上る」は、物理的に高地に行くことであるが、霊的行為も意味する。
(2)「万軍の【主】」(יְהוָ֣ה צְבָא֔וֹת)は、ここで初めて出てくる。
①天の軍団の統率者。圧倒的な権威と力を持つ戦いの【主】。
②この御名は、預言書では頻繁に出てくる。
③ハンナの祈りは、万軍の【主】に向けた祈りである。
④【主】は、ハンナ個人の悩みと、イスラエル全体の問題を解決される。
(3)エリの二人の息子ホフニとピネハスが祭司として奉仕をしていた。
①彼らは、霊的に堕落していた。
(4)教訓
①堕落した環境の中でも、個人が誠実に神を求めることは可能である。
②万軍の【主】の権威と力に焦点を合わせることが、礼拝の鍵となる。
③私たちが見上げている神は、どのようなお方か。
Ⅲ.家庭の不和(4~8節)
1.4節
1Sa 1:4
そのようなある日、エルカナはいけにえを献げた。彼は、妻のペニンナ、そして彼女のすべての息子、娘たちに、それぞれの受ける分を与えるようにしていたが、
(1)「ある日になったとき」=いけにえを献げる特別な日
①エルカナにとっては、喜びの日、厳粛な日である。
②彼は、律法に従って、いけにえを献げた。
③家族を霊的儀式に参加させた。
(ILL)元旦での父親のスピーチ(祭司的役割)
(2)妻のペニンナに、分け前(取り分)を与えた。
①これは、祭儀で分配される肉の部分である。
②彼女のすべての息子、娘たちに、それぞれの受ける分を与えるようにしていた。
③エルカナは、家族への責任を果たしていた。
④通常の分け前を与えていた。
*ハンナへの偏った愛情を際立たせるための布石
2.5節
1Sa 1:5
ハンナには特別の受ける分を与えていた。【主】は彼女の胎を閉じておられたが、彼がハンナを愛していたからである。
(1)ペニンナとハンナの対比
①ハンナには、特別な割り当て(二倍の分け前)与えていた。
*量的にも質的にも特別な割り当て
②なぜなら、彼はハンナを愛していたから。
③語順に注意。しかし、【主】は彼女の胎を閉じておられた。
(2)教訓
①ここには、人間の愛と神の主権の葛藤が見られる。
②ハンナの葛藤は、信仰の逆転劇の序章である。
3.6節
1Sa 1:6
また、彼女に敵対するペニンナは、【主】がハンナの胎を閉じておられたことで、彼女をひどく苛立たせ、その怒りをかき立てた。
(1)ペニンナは、わざと挑発的なことばや態度で、ハンナを苦しめた。
①動機の根源には、【主】がハンナの胎を閉ざしていたという事実がある。
②表面的には祝福を受けているが、その態度と動機は御心に反する。
(2)教訓
①ペニンナのような存在は、信仰者の信仰を純化する道具となる。
4.7節
1Sa 1:7
そのようなことが毎年行われ、ハンナが【主】の家に上って行くたびに、ペニンナは彼女の怒りをかき立てるのだった。こういうわけで、ハンナは泣いて、食事をしようともしなかった。
(1)この苦しみは、継続的な、年中行事のたびに繰り返されるものであった。
①エルカナは、【主】の家に上ることをくり返していた。
②ハンナは、霊的な期待感を持って【主】の家に上って行った。
③しかし、ペニンナのいじめによって、礼拝の場は苦痛の場となった。
④ハンナは、泣いて、食事をしようともしなかった。
⑤神との出会いを求める魂の叫びが見られる。
(2)教訓
①信仰者が神に近づこうとすると、サタンが妨害をしかけてくる。
②私たちにとっても、礼拝の場は霊的戦いの場である。
5.8節
1Sa 1:8
夫エルカナは彼女に言った。「ハンナ、なぜ泣いているのか。どうして食べないのか。どうして、あなたの心は苦しんでいるのか。あなたにとって、私は十人の息子以上の者ではないか。」
(1)エルカナの4つの疑問
①なぜ泣くのか?(感情)
②なぜ食べないのか?(肉体)
③なぜ心が痛むのか?(霊)
④私はあなたにとって十人の息子よりましではないか?(関係)
(2)エルカナはハンナを思いやっているが、根本的な理解に欠けている。
①ハンナの苦しみは、「子がいないこと」以上に、霊的なものであった。
②神を信じているが、神の沈黙に苦しんでいるという信仰者に特有の経験
③夫のことばをきっかけに、神に直接訴える道を選ぶことになる。
(3)教訓
①神の沈黙は、信仰者の内に真実な祈りを生み出す。
②ハンナの祈りは、「痛みの祈りから、請願の祈りに」転換する。
結論:今日の信者への適用
1.神のわざは、小さなことから始まる。
(1)キリストにある自分を過小評価してはならない。
2.不遇は、神の計画の一部であることが多い。
(1)遅れてくる答えは、想像を超える祝福をもたらす。
3 .万軍の【主】は、無名の人の祈りを聞いてくださる。
(1)祈りの力を軽視してはならない。




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