メシアの生涯(158)—祭司長と民の長老たちによる小羊の吟味(3)—

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小羊の吟味から、霊的教訓を学ぶ。

「祭司長と民の長老たちによる小羊の吟味(3)」

マタ22:1~14

1.はじめに

  (1)文脈の確認

    ①イエスの最後の1週間について学んでいる。

②きょうの出来事は、火曜日に起こったものである。

③イエスは、神の小羊として4つのグループの指導者たちから挑戦を受ける。

④挑戦の目的は2つある。

  *群衆を誘導し、イエスに敵対させること

  *イエスがローマ法に違反しているという口実を見つけること

    (2)これまでの内容の確認

      ①イエスに挑戦した最初のグループは、祭司長とパリサイ人たちである。

      ②彼らは、イエスの権威に挑戦した。

      ③イエスは、ヨハネの権威はどこから来たかという問いで彼らを沈黙させた。

      ④続いて、3つのたとえ話を語られた。

  (3)A.T.ロバートソンの調和表

    §132 サンヘドリンは、公にイエスの権威に挑戦する。

        マコ11:27~12:12、マタ21:23~22:14、ルカ20:1~19

  2.アウトライン

    (1)イエスの権威に対する挑戦(23~27節)

    (2)ふたりの息子のたとえ話(28~32節)

    (3)ぶどう園の主人と農夫のたとえ話(33~46節)

    (4)婚宴のたとえ話(22:1~14節)

    (今回は、(4)を取り上げる)

  3.結論:

    (1)3つのたとえ話とイスラエルの霊的歴史

    (2)婚礼の礼服

小羊の吟味から、霊的教訓を学ぶ。

Ⅳ.婚宴のたとえ話(1~14節)

  1.1~3節

Mat 22:1 イエスはもう一度たとえをもって彼らに話された。

Mat 22:2 「天の御国は、王子のために結婚の披露宴を設けた王にたとえることができます。

Mat 22:3 王は、招待しておいたお客を呼びに、しもべたちを遣わしたが、彼らは来たがらなかった。

    (1)このたとえ話に出て来る言葉の意味

      ①結婚の披露宴は、天の御国(メシア的王国)を意味している。

        *メシア的王国を宴会にたとえるのは、旧約聖書の伝統である。

        *ユダヤ人たちも、その伝統を受け入れている(ルカ14:15参照)。

      ②披露宴を設けた王は、父なる神である。

      ③王子は、イエス・キリストである。

        *キリストと教会の婚姻をイメージすると、たとえ話の意味が混乱する。

        *ここでは、教会の祝福や役割については、何も語られていない。

    (2)王の招き

      ①王は事前に招待状を出しておいた。これは、当時の習慣でもある。

      ②招待しておいたお客を呼びに、しもべたちを遣わした。

      ③これが第一段階の招きである。

*「しもべたち」とは、バプテスマのヨハネとイエスの12弟子たちである。

        *彼らは、イエスを信じるなら神の国が現れると説いた。

    (3)招待客たちの反応

      ①当時の結婚の披露宴

        *富豪の場合は、町全体を招待することもあった。

        *王に招かれることは、大変な特権である。

        *客には時間的犠牲が要求された。通常、7日間続く宴会である。

        *貧しい農夫の場合は、出席することがかなり難しい。

        *それでも、王に招かれることは名誉なことである。

      ②招待客たちは、「来たがらなかった」「来ようとしなかった」「断ってきた」。

        *彼らは、貧しい農夫たちではない。

*これは、王に対する侮辱である。

        *これは、王に対する反抗と受け取られても仕方がない。

  2.4~6節

Mat 22:4 それで、もう一度、次のように言いつけて、別のしもべたちを遣わした。『お客に招いておいた人たちにこう言いなさい。「さあ、食事の用意ができました。雄牛も太った家畜もほふって、何もかも整いました。どうぞ宴会にお出かけください。」』

Mat 22:5 ところが、彼らは気にもかけず、ある者は畑に、別の者は商売に出て行き、

Mat 22:6 そのほかの者たちは、王のしもべたちをつかまえて恥をかかせ、そして殺してしまった。

    (1)王の招きの第二段階

      ①王は、招待されることの祝福を丁寧に説いた。

      ②宴会の準備が終わり、何もかも整っている。

      ③「別のしもべたち」とは、使徒行伝の前半に宣教する使徒たちと考えられる。

    (2)招待客たちの反応

      ①ある者たちは、無視した。

      ②ある者たちは、畑に行った。

      ③別の者たちは、商売に出て行った。

      ④以上のことから、招待客たちは貴族階級であることが分かる。

      ⑤これは、王に対する侮辱である。彼らは、事前に招待されていたのである。

    (3)最悪の招待客たち

      ①王のしもべたちに恥をかかせ、殺してしまった。

      ②使徒たちのほぼ全員が殉教の死を遂げている。

  3.7節

Mat 22:7 王は怒って、兵隊を出して、その人殺しどもを滅ぼし、彼らの町を焼き払った。

    (1)王の怒り

      ①人殺しどもを滅ぼし、彼らの町を焼き払った。

②火をつけるのは、町を破壊させる最後の段階である。

    (2)これは、紀元70年のエルサレム滅亡の預言である。

      ①エルサレムは破壊され、火で焼かれた。

      ②王の兵隊とは、ローマ軍のことである。

        *彼らは異邦人であるが、神の裁きの道具として用いられた。

  4.8~10節

Mat 22:8 そのとき、王はしもべたちに言った。『宴会の用意はできているが、招待しておいた人たちは、それにふさわしくなかった。

Mat 22:9 だから、大通りに行って、出会った者をみな宴会に招きなさい。』

Mat 22:10 それで、しもべたちは、通りに出て行って、良い人でも悪い人でも出会った者をみな集めたので、宴会場は客でいっぱいになった。

     (1)宴会の用意はできたが、招待されていた人たちは出席を拒否した。

      ①誰も来ない宴会は、王子に対する侮辱となる。

      ②そこで、最初の招待客よりも広範囲の人たちにチャンスが与えられた。

    (2)大通りで出会った者とは、異邦人のことである。

      ①宴会に招かれていなかった者たちが、招きの言葉を聞いた。

      ②「良い人でも悪い人でも」みな招かれた。

      ③その結果、宴会場は客でいっぱいになった。

    (3)使徒行伝の伝道に広がり

      ①使7章(ステパノの殉教)

      ②使8章(サマリヤ人への伝道)

      ③使10章(異邦人への伝道)

5.11~13節

Mat 22:11 ところで、王が客を見ようとして入って来ると、そこに婚礼の礼服を着ていない者がひとりいた。

Mat 22:12 そこで、王は言った。『あなたは、どうして礼服を着ないで、ここに入って来たのですか。』しかし、彼は黙っていた。

Mat 22:13 そこで、王はしもべたちに、『あれの手足を縛って、外の暗やみに放り出せ。そこで泣いて歯ぎしりするのだ』と言った。

     (1)宴会に出るために必要な準備がある。

      ①その場にふさわしい礼服を着用する必要がある。

      ②当時の習慣では、婚礼の礼服は主人が用意した。

    (2)しかし、礼服を着ていない者がひとりいた。

      ①彼は、王が用意した礼服を着用してない。

      ②王は彼を問い詰めるが、彼は沈黙したままである。

    (3)「あれの手足を縛って、外の暗やみに放り出せ。そこで泣いて歯ぎしりするのだ」

      ①その者は、宴会場から外に放り出された。

      ②「外の暗やみ」とは、「燃える火の池」(地獄)である。

      ③そこでは、火は痛みを与えるが光を提供しない。

      ④「泣いて」とは、悲しみと嘆きの表現である。

⑤「歯ぎしりする」とは、痛みの表現である。

  6.14節

Mat 22:14 招待される者は多いが、選ばれる者は少ないのです。」

     (1)多くの者が招待される。

      ①しかし、その招待に応答する人は少ない。

      ②応答した人は、キリストを救い主として信じた人である。

      ③その人は、神によって選ばれた人である。

結論:

  1.3つのたとえ話とイスラエルの霊的歴史

    (1)イスラエルは、豊かな実を付けることを期待して選ばれたが、失敗した。

      ①ふたりの息子のたとえ話

        *イスラエルは、父の命令に不従順であった。

      ②ぶどう園の主人と農夫のたとえ話

        *イスラエルは、御子を十字架に付けた。

      ③婚宴のたとえ話

        *イスラエルは、聖霊の招きに抵抗した。

    (2)イスラエルは脇に置かれ、キリストの祝福が教会に与えられた。

「兄弟たち。私はあなたがたに、ぜひこの奥義を知っていていただきたい。それは、

あなたがたが自分で自分を賢いと思うことがないようにするためです。その奥義とは、

イスラエル人の一部がかたくなになったのは異邦人の完成のなる時までであり、こう

して、イスラエルはみな救われる、ということです」(ロマ11:25~26a)

      ①この状態は、異邦人の完成のなる時まで続く。

  2.婚礼の礼服

    (1)王に受け入れられるためには、婚礼の礼服が必要である。

      ①王が用意する礼服である。

      ②良い人も悪い人も、ともにこの礼服が必要である。

    (2)王は、礼服を着ないで宴会場に入っている人を問い詰めた。

      ①彼は、自分の義をもって神の前に出ている人である。

      ②彼は、沈黙するしかない。

      ③イスカリオテのユダを思い出せ。

    (3)婚礼の礼服とは、「義の衣」である。

    「こういうわけで、私たちはキリストの使節なのです。ちょうど神が私たちを通して

懇願しておられるようです。私たちは、キリストに代わって、あなたがたに願います。

神の和解を受け入れなさい」(2コリ5:20)

    (4)このたとえ話を、天国の情景だと思ってはならない。

      ①地上生涯でどういう選びをするかが、永遠の運命を決する。

      ②婚礼の宴会と「外の暗やみ」の対比を思え。

      ③婚礼の宴会には、光が満ちている。

      ④「外の暗やみ」とは、「燃える火の池」(地獄)である。

        *そこでは、火は痛みを与えるが光を提供しない。

      ⑤「恐ろしい」という理由で、死後の世界を直視することを避けてはならない。

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