私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ヨハネの福音書(20)仮庵の祭りでの教え(3)ヨハ7:37~44
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仮庵の祭りでの教えについて学ぶ。
ヨハネの福音書(20)
仮庵の祭りでの教え(3)
ヨハ7:37~44
1.文脈の確認
(1)前書き(1:1~18)
(2)イエスの公生涯(1:19~12:50)
①公生涯への序曲(1:19~51)
②初期ガリラヤ伝道(2:1~12)
③最初のエルサレム訪問(2:13~3:36)
④サマリア伝道(4:1~42)
⑤ガリラヤ伝道の再開(4:43~54)
⑥2度目のエルサレム訪問(5:1~47)
⑦後期ガリラヤ伝道(6:1~7:9)
⑧3度目のエルサレム訪問(7:10~10:42)
*仮庵の祭りでの教え(7:10~44)
2.注目すべき点
(1)イエスの本質がより深く啓示されていく。
(2)それと比例して、イエスへの敵意が激しくなっていく。
(3)イエスは、父なる神のもとに行くと語った後、御霊の約束を与える。
①より詳細な内容は、14~16章で啓示される。
3.アウトライン :仮庵の祭りでの教え
(1)祭りの雰囲気(7:10~13)
(2)イエスの権威(7:14~24)
(3)イエスの出自と本質(7:25~36)
(4)御霊の約束(7:37~44)
4.結論
(1)仮庵の祭りの意義
(2)イエスの宣言の意義
仮庵の祭りでの教えについて学ぶ。
Ⅳ.御霊の約束(7:37~44)
1.37節a
Joh 7:37a
さて、祭りの終わりの大いなる日に、イエスは立ち上がり、大きな声で言われた。
(1)「祭りの終りの大いなる日」
①仮庵の祭りは、7日間続く(申16:13)。
②8日目は、「聖なる会合の日」、「安息の日」である(レビ23:36)。
③「祭りの終りの大いなる日」とは、祭りの8日目のことであろう。
(仮庵を建てている様子を写真で表示)
(2)仮庵の祭りの期間、水汲みの儀式が行われた。
①第二神殿時代に始まったもので、イエス時代にはこの習慣は確立していた。
(エルサレムの地図を表示)
②儀式の概要(ミシュナの規定)
*祭司が、シロアムの池まで行き、金の水差しで水を汲む。
・シロアムの池は、エルサレムの南端にある池である。
・ギホンの泉からシロアムの池に水が流れ込む。
*金の水差しの容量は、300ml~350ml(片手で持てるサイズ)。
*大祭司の率いる行列がシロアムの池から神殿に向かう。
・標高差60m、移動時間約30分
*その途中、聖歌隊がイザ12:3を歌った。
「あなたがたは喜びながら水を汲む。救いの泉から」(イザ12:3)
・「マイム・マイム」は、1900年代に作曲された曲である。
・歌詞は、イザ12:3がそのまま採用された。
*仮庵の祭りは喜びの祭りであり、喜びのピークがこの儀式である。
*人々は、木の枝を振った。
(木の枝を振っている写真)
・ルラヴ(Lulav)-ナツメヤシの葉-神に向かう心
・ハダス(Hadas)-ミルトスの枝-行動の清さ
・アラヴァ(Aravah)-ヤナギの枝-謙遜
・エトログ(Etrog)-柑橘類の実(シトロン)-人徳
*神殿に着くと、祭壇の周りを1度回り、用意された銀の器に水を注ぐ。
*銀の器の容量は1ヒン(4l~6l)で、注ぎ口が付いていたと思われる。
*朝のささげ物の時間に、銀の器から水を注ぎ、祭壇の土台を潤す。
*もう一つの銀の器にぶどう酒を入れ、水と同時に祭壇の土台に注ぐ。
・金と銀の器を用いるのは、この儀式が聖なるものだからである。
*7日目には祭壇の周りを7度回り、祭壇に水を注ぐ。
*この日から、雨のために祈り始める。
・乾季から雨季に移行する時期である。
・仮庵の祭りのテーマは、水である。
・水の重要性は、イスラエルを訪問したときに理解した。
(3)8日目に立ち上がって大声で叫ぶ理由
①8日目には、水汲みの儀式はない。
②雨のために祈り始めた日に、イエスは「生ける水」の約束を語った。
③立ち上がって教えるのは、通常のラビの姿勢ではない。
④大声で叫ぶのは、その内容が重要だからである。
2.37b~38節
Joh 7:37b
「 だれでも渇いているなら、わたしのもとに来て飲みなさい。
Joh 7:38
わたしを信じる者は、聖書が言っているとおり、その人の心の奥底から、生ける水の川が流れ出るようになります。」
(1)「だれでも渇いているなら、わたしのもとに来て飲みなさい」
①この渇きは、霊的渇きである。
②イエスは、すべての人を招かれた。
③「わたしのもとに来て飲みなさい」とは、信じなさいという招きである。
*「食べる」と「飲む」は、ともに比ゆ的ことばである。
(2)「その人の心の奥底から、生ける水の川が流れ出るようになる」
①「rivers of living water」
②イエスは、どの聖書箇所かは語っていない。
*詩78:15~16、ゼカ14:8などが考えられる。
③「生ける水」の源は、イエスである。
④イエスを信じる者は、溢れるほどの霊的満たしを経験する。
⑤「心の奥底」(腹)とは、人格の中心である。
⑥信者は、スポンジではなく、泉となる。
2.39節
Joh 7:39
イエスは、ご自分を信じる者が受けることになる御霊について、こう言われたのである。イエスはまだ栄光を受けておられなかったので、御霊はまだ下っていなかったのである。
(1)ヨハネによる解説
①ここでは、「生ける水の川」は聖霊のことである。
②教会時代の信者は、聖霊のバプテスマ、証印、内住を経験する。
(2)「栄光を受けておられなかった」
①「栄光を受ける」とは、十字架、復活、昇天のことである。
②昇天したイエスは父なる神の右の座に着座し、聖霊を信者の上に注がれる。
③五旬節の祭りで、この約束が成就した(使2章)。
④この日は、教会の誕生日となった。
3.40~42節
Joh 7:40
このことばを聞いて、群衆の中には、「この方は、確かにあの預言者だ」と言う人たちがいた。
Joh 7:41
別の人たちは「この方はキリストだ」と言った。しかし、このように言う人たちもいた。「キリストはガリラヤから出るだろうか。
Joh 7:42
キリストはダビデの子孫から、ダビデがいた村、ベツレヘムから出ると、聖書は言っているではないか。」
(1)イエスの評価に関して、分裂が起こった。
①「確かにあの預言者だ」という者がいた。
*モーセのような預言者(申18:15)
②「キリスト(メシア)だ」という者もいた。
*あの預言者とキリストは、別の人物だと考えられていた。
③「キリストはガリラヤから出るだろうか」という者もいた。
*彼らは、イエスはガリラヤ出身なのでキリストではないと考えた。
*彼らは、キリストはダビデの子孫で、ベツレヘムで誕生すると知っていた。
*しかし、イエスがベツレヘムで誕生したことは知らなかった。
4.43~44節
Joh 7:43 こうして、イエスのことで群衆の間に分裂が生じた。
Joh 7:44
彼らの中にはイエスを捕らえたいと思う人たちもいたが、だれもイエスに手をかける者はいなかった。
(1)「イエスのことで群衆の間に分裂が生じた」
①この状況は、今も変わらない。
②イエスをどう考えるかで、人類は2分される。
③信者は、イエスが神の子(神性と人性を持つ)であることを知っている。
(2)「だれもイエスに手をかける者はいなかった」
①父なる神の許しがない。
②つまり、イエスの時がまだ来ていないということである。
③神の御心の中を歩む人は、その働きが完成するまでは、守られる。
結論
1.仮庵の祭りの意義
(1)仮庵の祭りは、荒野の放浪を記念する祭りである。
①水汲みの儀式は、岩から水が出たことを記念している。
②神は、荒野で水を供給された。
(2)仮庵の祭りは、メシア的王国(千年王国)を予表する祭りである。
①神は、メシア的王国において、満たしと清めを提供される。
②ゼカ14:1~21が朗読される。
Zec 14:8
その日には、/エルサレムからいのちの水が流れ出る。/その半分は東の海に、/残りの半分は西の海に向かい、/夏にも冬にも、それは流れる。
③エゼ47:1~23が朗読される。
Eze 47:1
彼は私を神殿の入り口に連れ戻した。見ると、水が神殿の敷居の下から東の方へと流れ出ていた。神殿が東に向いていたからである。その水は祭壇の南、神殿の右側の下から流れていた。
(3)荒野での水の供給と約束の地での雨は、千年王国における祝福の先駆け。
①水は、聖霊が与えるいのちを象徴している。
②ぶどう酒は、聖霊が与える喜びを象徴している。
*カナの婚礼での奇跡
2.イエスの宣言の意義
(1)イエスは、自分こそメシア的王国の祝福をもたらす者であると主張した。
①水汲みの儀式のない8日目に、この宣言をした。
(2)「だれでも渇いているなら、わたしのもとに来て飲みなさい」
①これこそ福音である。
②生きておられるイエスを信じるなら、聖霊が与えられる。
*聖霊のバプテスマ、証印、内住
③聖霊の約束の完全な成就は、メシア的王国において実現する。
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