メシアの生涯(73)—網のたとえ、一家の主人のたとえ—

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網のたとえ話と一家の主人のたとえを理解する。
(チャート資料「神の国」を添付してあります)

「網のたとえ、一家の主人のたとえ」

§064 マタ13:47~53

1.はじめに

  (1)文脈の確認

    ①9つのたとえ話はユニットである。

②そのテーマは、「奥義としての王国」である。

    ③チャートで「奥義としての王国」の意味を確認する。

  (2)「奥義としての王国」に関する9つのたとえ話

    ①種蒔く人のたとえ(詳細な解説がある)

    ②種のたとえ

    ③毒麦のたとえ(詳細な解説がある)

    ④からし種のたとえ

    ⑤パン種のたとえ

    これ以降、弟子たちだけに話したたとえ話になる。

    ⑥畑に隠された宝のたとえ

    ⑦高価な真珠のたとえ

    ⑧網のたとえ

    ⑨一家の主人のたとえ

(3)A.T.ロバートソンの調和表

      「最初の主要なたとえ話群」(§64)

2.アウトライン

  (1)網のたとえ(マタ13:47~50)

  (2)一家の主人のたとえ(マタ13:51~53)

  3.結論:9つのたとえ話の復習

網のたとえ話と一家の主人のたとえを理解する。

Ⅰ.網のたとえ(マタ13:47~50)

   1.47~48節

  「また、天の御国は、海におろしてあらゆる種類の魚を集める地引き網のようなものです。

網がいっぱいになると岸に引き上げ、すわり込んで、良いものは器に入れ、悪いものは捨

てるのです」

   (1)ガリラヤ湖の漁法

    ①投網

    ②刺し網

    ③地引き網(日本では九十九里浜が有名)

  (2)地引き網

    ①小規模なものは、「片手廻し」と呼ばれる漁法である。

    ②岸にいる人たちが、網を岸に引き上げる。

    ③雑多な魚やゴミなどが交じっている。

    ④すわり込んで、良い魚と悪い魚(もの)を選別する。

2.49~50節

「この世の終わりにもそのようになります。御使いたちが来て、正しい者の中から悪い者

をえり分け、火の燃える炉に投げ込みます。彼らはそこで泣いて歯ぎしりするのです」

   (1)世の終わりに起こる選別

    ①これは、異邦人の裁きのことである。

    ②「海」は、異邦人世界を象徴する言葉である。

    ③選別する主体は、天使たちである。

    ④選別されるのは、異邦人たちである。

    ⑤正しい者(信者)の中から悪い者(偽信者)が選別される。

    ⑥悪い者は、火の燃える炉に投げ込まれる。

3.ヨエ3章に出て来る裁き

  (1)1~3節

  「見よ。わたしがユダとエルサレムの繁栄を元どおりにする、その日、その時、わ

たしはすべての国民を集め、彼らをヨシャパテの谷に連れ下り、その所で、彼らがわ

たしの民、わたしのゆずりの地イスラエルにしたことで彼らをさばく。彼らはわたし

の民を諸国の民の間に散らし、わたしの地を自分たちの間で分け取ったからだ。彼ら

はわたしの民をくじ引きにし、子どもを遊女のために与え、酒のために少女を売って

飲んだ」

  4.マタ25章に出て来る裁き

    (1)10人の乙女のたとえ(1~13節) イスラエルの裁き

    (2)タラントのたとえ(14~30節) イスラエルの裁き

    (3)羊と山羊のたとえ(31~46節)

      ①これは、異邦人の裁きのたとえである。

②「国々の民」とは、大患難時代をくぐり抜けた異邦人である。

      ③彼らは、民族としてではなく、個人的に裁かれる。

      ④千年王国が始まる前に行われる異邦人の裁きである。

      ⑤彼らは、羊と山羊が交じった集団である。

    *大患難時代にユダヤ人をどのように扱ったかによって羊か山羊かが決まる。

    *羊の異邦人は、信仰のある異邦人である。親ユダヤ。

    *山羊の異邦人は、信仰のない異邦人である。反ユダヤか無関心派。

  ⑥羊の異邦人は、王によって千年王国に招かれる。

  ⑦山羊の異邦人は、永遠の刑罰に入る。

Ⅱ.一家の主人のたとえ(マタ13:51~53)

   1.51節

  「『あなたがたは、これらのことがみなわかりましたか。』彼らは『はい』とイエスに言っ

た」

  (1)弟子たちは、「はい」と答えた。

    ①彼らの答えは、驚くべきものである。

    ②これ以降の彼らの質問や態度を見ていると、到底理解したとは思えない。

2.52~53節

「そこで、イエスは言われた。『だから、天の御国の弟子となった学者はみな、自分の倉

から新しい物でも古い物でも取り出す一家の主人のようなものです。』これらのたとえを

話し終えると、イエスはそこを去られた」

   (1)訳文の比較

  「天の御国の弟子となった学者」(新改訳)

  「天の国のことを学んだ学者」(新共同訳)

  「天国のことを学んだ学者」(口語訳)

  「天の御国について教えを受けた律法学者」(直訳)

    ①グラマテュースとは、英語でscribeである。

    ②ここでイエスは、ユダヤ的文脈で語っている。

    ③イエスの弟子たちは、奥義としての王国について学んだ律法学者である。

    (2)「自分の倉から新しい物でも古い物でも取り出す一家の主人」

       ①弟子たちは、今や自由に資産を運用する一家の主人のようになった。

      ②ここでのイメージは金庫である可能性がある。

        *この主人は、金庫に新しいコインと古いコインを入れている。

        *必要に応じて、それらのコインを用いる。

      ③あるいは、倉に新しい宝と古い宝を持っていると考えてもいい。

        *それを、自由自在に取り出し、利用する。

      ④この主人が新しい宝と古い宝を所有しているという点が、ポイントである。

        *古い宝とは、旧約聖書の知識である。

          ・あるいは、他の4つの神の国に関する知識と言ってもよい。

        *新しい宝とは、新約聖書の知識である。

          ・あるいは、奥義としての王国に関する知識と言ってもよい。

  3.旧新の知識の対比

    (1)メシア的王国について

①メシアが支配する王国が出現することは知っていた。

②しかし、それが提供された時、ユダヤ人がそれを拒否することは知らなかった。

    (2)御国の性質について

      ①メシア的王国では、義と善が支配することを知っていた。

      ②しかし、奥義としての王国では、義と悪が並存することは知らなかった。

    (3)新しい知識の内容

      ①奥義としての王国の出現(メシアの拒否から再臨までの期間)

      ②小さな始まりが大きな結果を生む。

      ③イエスを主と告白する人の中に、本物と偽物が交じっている。

      ④この期間、神はイスラエルとの関係を維持しつつ、教会を創造する。

      ⑤この期間の終わりに、異邦人の裁きが行われる。

*羊の異邦人は千年王国に入り、キリストとともに千年間支配する。

  4.9つのたとえ話を学んだ私たちは、一家の主人である。

    (1)私たちには、新旧の知識を取り出し、福音を宣べ伝える使命と責任がある。

(2)私たちには、他の人たちを訓練して、キリストの弟子とする使命と責任がある。

結論:9つのたとえ話の復習

  *奥義としての王国とは、キリスト教界(真の信者と偽の信者がともに含まれる)のこと

である。

  1.種蒔く人のたとえ

  「継続して福音の種が蒔かれ続けるが、多くの人がそれを拒否する」

  2.種のたとえ

  「福音の種には、自ら芽を出す内的いのちが宿っている」

  3.毒麦のたとえ

  「本物の信仰を持った信者と、偽物の信仰を持った信者とが、混在する」

  4.からし種のたとえ

  「奥義としての王国は、小さな始まりから巨大な規模にまで成長する」

  5.パン種のたとえ

  「奥義としての王国は、その内に偽りの教理を内包している」

  6.畑に隠された宝のたとえ

  「主は、イスラエルの残れる者をご自分のものとされる」

  7.高価な真珠のたとえ

  「主は、異邦人の中からもご自分のものを獲得される」

  8.網のたとえ

  「奥義としての王国は、異邦人の裁きをもって終わる」

  9.一家の主人のたとえ

  「奥義としての王国は、他の4つの王国に似ている点もあるが、異なっている点も多い」

  総まとめ

  *イスラエルのメシア拒否して以降、メシア的王国はどうなったのかという疑問への回答。

  *メシア的王国は、メシアの再臨の時に成就する。

  *それまでの間は、善と悪がともに存在する。

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