ルカの福音書(77)弟子道に関する逆転の発想(2)17:11~19

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弟子道に関する逆転の発想(2)について学ぶ。

ルカの福音書 77回

弟子道に関する逆転の発想(2)

17:11~19

1.はじめに

(1)文脈の確認

  ①ルカは、エルサレムへの旅という枠組みの中に、種々の教えを配置している。

  ②ルカ16章のテーマは、弟子の責務であった。

    *特に、富の使用に関する教えが語られた。

    *パリサイ人たちは、多くのユダヤ人たちを信仰から遠ざけていた。

  ③ルカ17章のテーマは、弟子たちもつまずきを与えることがあるという警告。

    *私たちには、弟子道に関する逆転の発想が必要である。

    *これは、神の国が成就することを前提とした逆転の発想である。

(2)ルカ17:1~19の内容

  ①つまずきを与えることは、深刻な罪(1~2節)。

  ②罪を犯した者を赦すことは、弟子の責務(3~4節)。

  ③信仰は量ではなく、質が問題(5~6節)。

  ④責務を果たすのは、当然のこと(7~10節)。

  ⑤感謝を忘れてはならない(11~19節)。

(3)10人のツァラアト患者の癒やし

  ①イエスの神性の証明は、主要テーマではない。

  ②前回の教え(責務を果たすのは当然)と恵みによる癒やしが対比されている。

  ③恵みに対して感謝を表すことは、イエスの弟子の責務である。

2.アウトライン

(1)10人のツァラアト患者(11~14節)

(2)戻って来た1人のツァラアト患者(15~16節)

(3)弟子訓練のことば(17~19節)

3.結論

(1)10人のツァラアト患者から学ぶ教訓

(2)サマリア人のツァラアト患者から学ぶ教訓

弟子道に関する逆転の発想(2)について学ぶ。

Ⅰ.10人のツァラアト患者(11~14節)

1.11節

Luk 17:11 さて、イエスはエルサレムに向かう途中、サマリアとガリラヤの境を通られた。

(1)ルカの福音書では、地理的情報は新しいセクションの始まりを示している。

  ①ルカ17:11~19を「弟子道に関する逆転の発想」に含めた理由は、同じテーマが続くからである。

  ②イエスの弟子にはどのような特徴があるかというテーマが続いている。

(2)エルサレムに上る通常のルートは、ヨルダン川の東岸を南下することである。

  ①イエスは、ガリラヤの南の国境とサマリアの北の国境の間を通った。

  ②ヨルダン川の東岸に出ないで、そのままサマリアを南下した可能性もある。

  ③いずれにしても、最後の過越の祭りを祝うためにエルサレムに上る旅である。

(3)サマリアとガリラヤの境

  ①同じグループの中に、ユダヤ人の患者とサマリア人の患者がいた。

  ②共通の苦難(ツァラアト)が、彼らに仲間意識を与えたのである。

2.12~13節

Luk 17:12 ある村に入ると、ツァラアトに冒された十人の人がイエスを出迎えた。彼らは遠く離れたところに立ち、

Luk 17:13 声を張り上げて、「イエス様、先生、私たちをあわれんでください」と言った。

(1)ある村に入ると、10人のツァラアト患者がイエスに出会った。

  ①聖書のツァラアトは、広範囲に及ぶ皮膚病であるが、ハンセン病ではない。

  ②後になって分かるが、9人はユダヤ人、1人はサマリア人である。

  ③通常、両者には人種的壁があったが、ツァラアトはそれを吹き飛ばした。

(2)彼らは遠く離れた所に立って、声を張り上げた。

  ①レビ13:45~46

Lev 13:45 患部があるツァラアトに冒された者は自分の衣服を引き裂き、髪の毛を乱し、口ひげをおおって、『汚れている、汚れている』と叫ぶ。

Lev 13:46 その患部が彼にある間、その人は汚れたままである。彼は汚れているので、ひとりで住む。宿営の外が彼の住まいとなる。

  ②彼らは、イエスに助けを求めた。

  ③「先生」(エピスタタ)(エピスタテイス)は、ルカだけが使っている。

    *彼らは、イエスに対してなんらかの信仰を持っていた。

3.14節

Luk 17:14 イエスはこれを見て彼らに言われた。「行って、自分のからだを祭司に見せなさい。」すると彼らは行く途中できよめられた。

(1)イエスの応答は、彼らにとっては予想外のものであったと思われる。

  ①彼らは、こう期待していたのではないか。

    *イエスなら、からだに触れて癒やしを祈ってくれる。

    *あるいは、清めを宣言してくれる。

(2)しかしイエスは、自分のからだを祭司に見せなさいとだけ命じた。

  ①そのことばを信じて行動を起こすなら癒やされる、という約束である。

  ②これは、彼らの信仰を試すことばである。

    *イエスを「エピスタテイス」と認めるなら、そのことばに従うはずである。

  ③彼ら全員が、その命令に従った。

    *その結果、彼らは祭司のところに行く途中で癒やされた。

(3)イエスは、社会復帰のための律法の規定を尊重された(レビ記13~14章)。

  ①ツァラアトが癒やされたなら、祭司に自分のからだを見せる。

  ②祭司は、癒やされたという証明書を発行する。

  ③これによって、元患者たちは、ユダヤ人共同体に復帰することができる。

Ⅱ.戻って来た1人のツァラアト患者(15~16節)

1.15~16節

Luk 17:15 そのうちの一人は、自分が癒やされたことが分かると、大声で神をほめたたえながら引き返して来て、

Luk 17:16 イエスの足もとにひれ伏して感謝した。彼はサマリア人であった。

(1)そのうちの1人が、イエスの元に戻って来た。

  ①彼は、自分が癒やされたことが分かると、大声で神をほめたたえた。

    *彼は、イエスが神からの使者であることを認めた。

  ②彼は、イエスの足もとにひれ伏して感謝した。

    *これは、礼拝の姿勢である。

  ③彼は、サマリア人であった。

    *これがこの出来事のメインポイントである。

    *この事実を基に、弟子訓練のことばが語られる。

Ⅲ.弟子訓練のことば(17~19節)

1.17~18節

Luk 17:17 すると、イエスは言われた。「十人きよめられたのではなかったか。九人はどこにいるのか。

Luk 17:18 この他国人のほかに、神をあがめるために戻って来た者はいなかったのか。」

(1)イエスの3つの質問

  ①9人のユダヤ人たちの感謝のなさを浮き彫りにする。

  ②彼らは、ユダヤ人一般のイエスに対する無関心を浮き彫りにしている。

2.19節

Luk 17:19 それからイエスはその人に言われた。「立ち上がって行きなさい。あなたの信仰があなたを救ったのです。」

(1)イエスは、その人を祝福された。

  ①彼の従順な姿勢は、信仰から出たものである。

  ②その信仰は、イエスに対する信仰である。

  ③正しい信仰が彼を癒やし、彼を救ったのである。

  ④彼は、魂の救いも得た。

結論:逆転の発想:神の国の成就を前提とした生き方

1.信仰が幼い者につまずきを与えることは、深刻な罪である。

2.あなたに対して罪を犯した者が、「悔い改めます」と言うなら、赦してやる。

3.イエスは、信仰は量ではなく、質が問題であると教えた。

4.主人は奴隷に感謝を表さない。

5.感謝を忘れてはならない

(1)10人のツァラアト患者たちの応答

  ①彼らは、イエスのことばを信じ、それに従った。

  ②その結果、癒やしを受けた。

  ③彼らに信仰はあったが、信仰に基づく忠実さはなかった。

  ④ユダヤ人たちは、サマリア人よりも律法に関する知識を持っていた。

  ⑤しかし彼らは、感謝するためにイエスのところに戻っては来なかった。

  ⑥彼らは、イエスから祝福を受けることは得意であったが、イエスをメシアとは信じなかった。

(2)サマリア人のツァラアト患者の応答

  ①サマリア人は、自分の身に起きたことは、特別な恵みであることを理解した。

  ②彼は、神の恵みを受けた者には感謝を表す道徳的義務があることを理解した。

 (3)詩103:1~2

Psa 103:1 わがたましいよ 【主】をほめたたえよ。/私のうちにあるすべてのものよ/聖なる御名をほめたたえよ。

Psa 103:2 わがたましいよ 【主】をほめたたえよ。/主が良くしてくださったことを何一つ忘れるな。

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