私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ルカの福音書(57)ヨナのしるし11:27~36
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イエスが語った3つの教えについて学ぶ。
ルカの福音書 57回
ヨナのしるし
ルカ11:27~36
1.はじめに
(1)文脈の確認
①ルカ9:51からエルサレムへの旅が始まった(ルカ9:51~19:27)。
②ルカは、エルサレムへの旅という枠組みの中に、種々の教えを配置している。
(2)直近の文脈
①派遣された70人が帰還した。
②イエスは、弟子としていかに生きるべきかを語った。
③今後の展開
*イエスとイエスのメッセージに対する拒否がクライマックスを迎える。
*拒否という現実の中で、弟子としていかに生きるべきかが教えられる。
(3)ルカ11:14~54の内容
①ベルゼブル論争(14~26節)
②神のことばを守ることの重要性(27~28節)
③ヨナのしるし(29~32節)
④光に応答することの重要性(33~36節)
⑤パリサイ人たちの敵意(37~54節)
2.アウトライン
(1)神のことばを守る(27~28節)
(2)ヨナのしるし(29~32節)
(3)光に応答する(33~36節)
3.結論:私たちへの教訓
イエスが語った3つの教えについて学ぶ。
Ⅰ.神のことばを守る(27~28節)
1.27~28節
Luk 11:27
イエスがこれらのことを話しておられると、群衆の中から、ある女が声をあげてイエスに言った。「あなたを宿した胎、あなたが吸った乳房は幸いです。」
Luk 11:28
しかし、イエスは言われた。「幸いなのは、むしろ神のことばを聞いてそれを守る人たちです。」
(1)群衆の中から、ある女が声をあげてイエスに言った。
①「あなたを宿した胎、あなたが吸った乳房は幸いです」
②彼女は、イエスのような息子を産んだマリアはなんと幸いであろうかと言った。
③イエスはこの機会を捉えて、しるしを求める群衆に結論的な教えを与えた。
④彼らは、イエスの教えに耳を傾け、それに従うべきであった。
(2)イエスは、マリアを過小評価も過大評価もしていない。
①メシアの母となるのは、確かに特権である。
②ルカ1:48
Luk 1:48 この卑しいはしために/目を留めてくださったからです。/ご覧ください。今から後、どの時代の人々も/私を幸いな者と呼ぶでしょう。
③しかし、マリア以上に幸いな人たちがいる。
④イエスから救いのことばを聞き、それを信じ、実行に移す人は、幸いである。
*「救いのことば」とはベルゼブル論争の中で語られた教えである。
⑤イエスの教えを聞いている人は、それを信じ、実行すべきだということ。
Ⅱ.ヨナのしるし(29~32節)
1.29~30節
Luk 11:29
さて、群衆の数が増えてくると、イエスは話し始められた。「この時代は悪い時代です。しるしを求めますが、しるしは与えられません。ただし、ヨナのしるしは別です。
Luk 11:30
ヨナがニネベの人々のために、しるしとなったように、人の子がこの時代のために、しるしとなるからです。
(1)「群衆の数が増えてくると」
①ここでの教えは、ベルゼブル論争とつながっている。
②イエスの教えは、しるしを求める群衆に向けられたものである。
(2)「この時代は悪い時代です」
①「今の時代の者たちはよこしまだ」(新共同訳)
②「悪い時代」とは、イエスと同時代のユダヤ人たちのことである。
③彼らは、イエスがメシアであることを証明する外的「しるし」を求めた。
④しかし、ヨナのしるし以外のしるしは与えられない。
⑤ヨナは、3日3晩大魚の腹の中にいて、そこから復活した。
*ユダヤ人たちはそれをよく知っていたので、イエスはそれには触れない。
⑥ヨナのしるしは、3つある(時間順に)。
*ラザロの蘇生(ヨハ11章)
*イエスの復活
*2人の証人の復活(黙11章)
⑦これらのしるしは、イエスが神から派遣されたメシアであることを証明する。
(3)ヨナは、ニネベの人々のためにしるしとなった。
①彼は、迫り来る神の裁きと、悔い改めの必要性を説いて回った。
②ニネベの人々は、ヨナのことばを信じ、悔い改めた。
③ニネベの町は、一時的に破壊を免れた。
(4)人の子は、この時代のためのしるしとなった。
①異邦人はヨナのことばを信じたが、ユダヤ人はイエスのことばを信じない。
*人の子は、ヨナよりも上位におられる方である。
②それゆえ、イスラエルの上に降る神の裁きは確実なものとなる。
*御国(メシア的王国)の成就が延期される。
*エルサレムが崩壊する。
2.31節
Luk 11:31
南の女王が、さばきのときに、この時代の人々とともに立って、この時代の人々を罪ありとします。彼女はソロモンの知恵を聞くために地の果てから来たからです。しかし見なさい。ここにソロモンにまさるものがあります。
(1)「南の女王」とは、シェバの女王である(1列10:1~13)。
①彼女は、ソロモンの知恵を聞くために遠方からやって来た。
②しかし、イエスと同時代のユダヤ人たちは、イエスの知恵に耳を貸さない。
③イエスは、ソロモンよりも偉大なお方である。
④シェバの女王の信仰は、ユダヤ人たちの信仰よりもすぐれている。
*彼女は、外的しるしがなくても、ソロモンのことばを信じた。
3.32節
Luk 11:32
ニネベの人々が、さばきのときに、この時代の人々とともに立って、この時代の人々を罪ありとします。ニネベの人々はヨナの説教で悔い改めたからです。しかし見なさい。ここにヨナにまさるものがあります。
(1)ニネベの人々とシェバの女王の共通点
①なんの奇跡も見ないのに、語られることばをそのまま信じた。
*ヨナのことばとソロモンについてのことばを、そのまま信じた。
(2)イエスはヨナやソロモンよりもすぐれたお方である。
この時代のユダヤ人たちは、イエスを信じようとしない。
(3)ニネベの人々とシェバの女王は、この時代のユダヤ人たちを罪ありとする。
Ⅲ.光に応答する(33~36節)
1.33節
Luk 11:33
だれも、明かりをともして、それを穴蔵の中や升の下に置く者はいません。燭台の上に置きます。入って来た人たちに、その光が見えるようにするためです。
(1)これは、「悪霊の追い出し」と「しるし」に関する議論の締めくくりである。
①無知という暗やみから抜け出し、イエスのことばに応答すべきである。
(2)イエスは、このたとえを好んで用いられた。
①マタ5:15~16
Mat 5:15 また、明かりをともして升の下に置いたりはしません。燭台の上に置きます。そうすれば、家にいるすべての人を照らします。
Mat 5:16
このように、あなたがたの光を人々の前で輝かせなさい。人々があなたがたの良い行いを見て、天におられるあなたがたの父をあがめるようになるためです。
②ルカの福音書では、イエスが闇を追い出す方(ランプ)として描かれている。
③イエスの奉仕は、暗やみの中にいる人たちに光を届けるものである。
2.34~35節
Luk 11:34
からだの明かりは目です。あなたの目が健やかなら全身も明るくなりますが、目が悪いと、からだも暗くなります。
Luk 11:35
ですから、自分のうちの光が闇にならないように気をつけなさい。
(1)イエスは、人間の目をランプにたとえた。
①光源という意味ではなく、光を取り入れる機関という意味である。
②イエスの教えを受け入れる人は、健やかな目を持った人である。
③その人は、霊的に光の中に置かれる。
④イエスの教えを受け入れない人は、霊的に闇の中にとどまる。
⑤イエスの教えにどのように応答するかで、その人の霊性が決まる。
3.36節
Luk 11:36
もし、あなたの全身が明るくて何の暗い部分もないなら、明かりがその輝きであなたを照らすときのように、全身が光に満ちたものとなります。」
(1)イエスは、積極的なことばでこの教えを締めくくる。
①イエスのことばを受け入れるなら、全身が明るくなる。
②全身とは、人格のことである。
③その人の人格が、霊的な知恵に満ちたものとなる。
結論:私たちへの教訓
1.神のことばを守る
(1)ユダヤ人たちは、家族関係を重視した。
(2)ユダヤ人たちは、自分たちがアブラハムの子孫であることを誇りとした。
①人の価値は、誰が先祖であるかによって決まった。
②婦人の価値は、生まれた子どもによって決まった。
(3)イエスは、血縁関係よりも、神のことばを聞き、それに従うことを重視した。
(4)ルカは、福音が人種の壁を乗り越えて伝わって行くことを記録した。
(5)ここには、マリアを崇拝することへの警告が記されている。
2.ヨナのしるし
(1)ヨナの物語を神話と考える人たちがいる。
(2)しかしイエスは、ヨナをソロモンと同じように歴史上の人物とされた。
(3)信仰とは、証拠の上にではなく、神のことばの上に成り立つものである。
(4)神のことばを信じない人は、死者の復活を見ても信じないだろう。
(5)「信じれば見えるようになる」というのが、信者の体験である。
3.光に応答する
(1)ニネベの人々とシェバの女王は、わずかばかりの光に応答した。
(2)イエスと同時代のユダヤ人たちは、大いなる光に応答しなかった。
(3)私たちには、イエスと同時代のユダヤ人たち以上に光が与えられている。
(4)復活の目撃者情報、聖霊の力、無数の聖書、2千年の教会史、インターネット
(5)光に応答しないなら、ニネベの人々とシェバの女王が私たちを裁くことになる。
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