ルカの福音書(55)祈りの重要性を教える2つのたとえ話11:5~13

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祈りの動機づけについて学ぶ。

ルカの福音書 55回

祈りの重要性を教える2つのたとえ話

ルカ11:5~13

1.はじめに

(1)文脈の確認

  ①ルカ9:51からエルサレムへの旅が始まった(ルカ9:51~19:27)。

  ②ルカは、エルサレムへの旅という枠組みの中に、種々の教えを配置している。

(2)直近の文脈

  ①派遣された70人が帰還した。

  ②イエスは、弟子としていかに生きるべきかを語った。

(3)ルカ10:25~11:13は、1つのブロックである(ルカだけの情報)。

  ①隣人との関係-良きサマリア人のたとえ(10:25~37)

  ②イエスとの関係-マルタとマリア(10:38~42)

  ③父なる神との関係-主の祈り(11:1~13)

    *主の祈り(1~4節)

    *真夜中にパンを借りる人(5~8節)

    *熱心に求める人(9~13節)

(4)注目すべき点

  ①2つのたとえ話は、祈りの動機づけを与えるためのものである。

  ②最初のたとえ話は、神の性質と隣人の性質を対比させている。

  ③次のたとえ話は、天の父と肉の父親を対比させている。

2.アウトライン

(1)真夜中にパンを借りる人(5~8節)

(2)熱心に求める人(9~13節)

3.結論

(1)祈りのことば

(2)天の父からの答え

(3)聞かれない祈りという問題

祈りの動機づけについて学ぶ。

Ⅰ.真夜中にパンを借りる人(5~8節)

1.5~6節

Luk 11:5

また、イエスはこう言われた。「あなたがたのうちのだれかに友だちがいて、その人のところに真夜中に行き、次のように言ったとします。『友よ、パンを三つ貸してくれないか。

Luk 11:6
友人が旅の途中、私のところに来たのだが、出してやるものがないのだ。』

(1)古代中近東では、旅人をもてなすことは聖なる務めであった。

  ①客が到着すると、通常主人は、泊まる場所と食事を提供した。

(2)当時は、暑さを避けるために夜間に旅する人が多かった。

  ①この旅人も、夜間に移動し、予期せぬ時間帯にこの家に着いた。

  ②不都合な時間帯にその家に着いた理由は、説明されていない。

    *その情報は、どうでも良いことである。

(3)この家の主人は、当惑した。

  ①彼の家には、客に出すパンがなかった。

  ②唯一の解決法は、友人からパンを借りることであった。

  ③彼は、真夜中に友人の家に行った。

  ③当時の家の戸は、日中は開けられたままであった。プライバシーがない。

  ④夜間になると戸を閉めた。「起こさないでください」というサインであった。

  ⑤閉じられた戸を叩くのは非常識なことであるが、これ以外に方法がなかった。

  ⑥主人は、恥を忍んで戸を叩いた。

2.7節

Luk 11:7

すると、その友だちは家の中からこう答えるでしょう。『面倒をかけないでほしい。もう戸を閉めてしまったし、子どもたちも私と一緒に床に入っている。起きて、何かをあげることはできない。』

(1)当時のパレスチナの典型的な家は、ワンルームであった。

  ①同じ部屋に、家族全員が身を寄せ合って寝ていた。

  ②ときには、家畜もそばで寝ていた。

(2)この友だちが起き上がろうとしなかったのは、当然のことである。

  ①もう戸を閉めてしまった。「起こさないでください」というサインを出した。

  ②子どもたちも一緒に床に入っている。

  ③騒々しくしたなら、彼らを起こしてしまうことになる。

3.8節

Luk 11:8

あなたがたに言います。この人は、友だちだからというだけでは、起きて何かをあげることはしないでしょう。しかし、友だちのしつこさのゆえなら起き上がり、必要なものを何でもあげるでしょう。

(1)友情だけでは、この人は動かない。

  ①恥を忍んで、しつこく頼んだことがこの友人を動かした。

  ②「しつこさ」はギリシア語で「アナイデイア」である。

    *これは、恥じ知らずのしつこさである。

(2)イエスは、神の姿勢とこの友人の姿勢を対比させている。

  ①友人は、しつこく頼まないと動かなかった。

  ②神は、私たちが助けを求めただけで答えてくださる。

  ③そのためには、謙遜になって神に祈る必要がある。

  ④多くの場合、私たちは自分で問題を解決しようとする。

  ⑤その場合は、神の助けを得ることができない。

Ⅱ.熱心に求める人(9~13節)

1.9~10節

Luk 11:9

ですから、あなたがたに言います。求めなさい。そうすれば与えられます。探しなさい。そうすれば見出します。たたきなさい。そうすれば開かれます。

Luk 11:10
だれでも、求める者は手に入れ、探す者は見出し、たたく者には開かれます。

(1)イエスによる祈りの勧め

  ①真夜中の緊急時の祈りだけではだめである。

  ②日常的に祈る必要がある。

  ③求める、探す、たたく。

    *動詞の時制は、現在形である(継続した動作)。

    *答えがすぐに来なくても、諦めるな。

    *これは、祈りへの励ましのことばである。

(2)イエスは、祈りが聞かれることを保証された。

  ①「だれでも」とは、祈り求める弟子たちのことである。

  ②これ以上確実な保証はない。

  ③弟子は、祈りを諦めてはならない。

2.11~12節

Luk 11:11
あなたがたの中で、子どもが魚を求めているのに、魚の代わりに蛇を与えるような父親がいるでしょうか。

Luk 11:12
卵を求めているのに、サソリを与えるような父親がいるでしょうか。

(1)2つの例は、父なる神は喜んで祈りに答えてくださるということを教えている。

  ①2つの例は、虚偽であり、危険を伴うものである。

  ②ラビ的教授法:人間の父親でも……、ましてや天の父は……。

(2)肉の父は、魚の代わりに蛇を与えるようなことはしない。

  ①魚と蛇は似ている。

  ②ガリラヤ湖には、ウミヘビが生息していた。

(3)肉の父は、卵の代わりにサソリを与えるようなことはしない。

  ①サソリは卵の殻を破り、中身を食べる。

  ②その後、殻を住み家とする。

  ③白色のサソリが身を丸くすると、卵のように見える。

3.13節

Luk 11:13

ですから、あなたがたは悪い者であっても、自分の子どもたちには良いものを与えることを知っています。それならなおのこと、天の父はご自分に求める者たちに聖霊を与えてくださいます。」

(1)イエスの教えのクライマックス

  ①罪人である肉の父親と天の父の対比

(2)罪人である肉の父親

  ①自分の子どもには良いものを与える。

(3)完ぺきな天の父

  ①天の父は、弟子に必要なものをご存じである。

  ②天の父は、聖霊という最高のものを与えてくださる。

  ③この約束は、使2:1~4で成就した。

  ④今は、すべての信者の内に聖霊が住んでおられる。

  ⑤私たちは、聖霊をくださいと祈る必要はない。

  ⑥聖霊に満たしてくださいと祈る必要がある。

    *聖霊の満たしとは、聖霊の支配のことである。

  ⑦ロマ8:9

Rom 8:9
しかし、もし神の御霊があなたがたのうちに住んでおられるなら、あなたがたは肉のうちにではなく、御霊のうちにいるのです。もし、キリストの御霊を持っていない人がいれば、その人はキリストのものではありません。

結論

1.祈りのことば

(1)ルカによる「主の祈り」は、祈りのことばを教えたものである。

(2)祈りの土台は、神との親子関係である。

(3)イエス・キリストにあって、私たちは神の子とされた。

(4)祈りは、神の子の特権である。

2.天の父からの答え

(1)天の父は、私たちが祈るのを待っておられる。

(2)天の父は、喜んで祈りの答えを与えてくださる。

(3)天の父は、偽物ではなく、本物しか与えない。

3.聞かれない祈りという問題

(1)聞かれない祈りというものは、現実には存在しない。

(2)祈ったとおりにならないのは、求めるものが最善ではないからである。

(3)願ったものが与えられるという約束は、そういう意味で理解する必要がある。

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