私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
パートⅡ.旧約時代13章 ソロモン
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ソロモンに対する悪魔の攻撃について学ぶ。
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パートⅡ.旧約時代
13章 ソロモン
イントロダクション
1.「神の国と悪魔の国の葛藤」というテーマに沿って聖書を読み解いている。
(1)この葛藤は、創世記3章以来続いているものである。
(2)この葛藤は、黙示録20~21章で終わる。
2.パートⅠ.葛藤の舞台設定(1~3章)
3.パートⅡ.旧約時代(4~17章)
4章 カインとアベル
5章 大洪水
6章 バベルの塔
7章 アブラハム契約
8章 出エジプト
9章 律法と幕屋
10章 カナン定住と士師記の時代
11章 士師記の時代から王制へ
12章 ダビデ
*ダビデ契約は、悪魔に対する神からの宣言であった。
*悪魔は、ダビデを誘惑した。
*姦淫と殺人の罪。人口調査の罪。
13章 ソロモン
4.アウトライン
(1)王国の黄金時代
(2)ソロモンの罪
(3)王国の分裂
ソロモンに対する悪魔の攻撃について学ぶ。
Ⅰ.王国の黄金時代
1.イスラエルは、ソロモンの治世下において黄金期を迎えた。
(1)その治世の始まりに、ソロモンは、自分の祝福ではなく知恵を求めた。
①神はそれを喜ばれ、知恵だけでなく、富と誉れも与えると約束された。
②統一王国が黄金期を迎えた理由は、神がソロモンに与えた「知恵」にある。
2.ソロモンが達成した偉業のひとつが、神殿の建設である。
(1)神殿が完成し、契約の箱が至聖所に納められた時、神殿に雲が満ちた。
①この雲は、【主】の臨在を表すシャカイナグローリーである。
②神はソロモンの神殿を受け入れ、そこに臨在することをよしとされた。
③2歴5:13~14
2Ch 5:13
ラッパを吹き鳴らす者たち、歌い手たちが、まるで一人のように一致して歌声を響かせ、【主】を賛美し、ほめたたえた。そして、ラッパとシンバルと様々な楽器を奏でて声をあげ、「主はまことにいつくしみ深い。その恵みはとこしえまで」と【主】に向かって賛美した。そのとき、雲がその宮、すなわち【主】の宮に満ちた。
2Ch 5:14 祭司たちは、その雲のために、立って仕えることができなかった。【主】の栄光が神の宮に満ちたからである。
④モーセが幕屋を完成させた時も、同じ現象が起こっていた(出40:34〜35)。
(2)神は、神殿奉献の祈りへの答えとして、ソロモンを祝福すると約束された。
①ダビデのように忠実に歩むなら、ダビデに約束されたことが成就する。
②その約束とは、ダビデ王朝の継続である。
(3)と同時に、警告のことばも語られた。
①もしソロモンとイスラエルの民が偶像礼拝に走るなら、神の裁きが下る。
②裁きには2つのものがある。
*イスラエルの民はカナンの地を追われ、捕囚に引かれて行く。
*神殿は神から見捨てられ、民は諸国民の物笑いとなる(1列9:1~9)。
Ⅱ.ソロモンの罪
1.悪魔は、王となったソロモンを集中的に攻撃した。
(1)悪魔の狙いは、民が堕落することと、ダビデの家系が途絶えることである。
①「王が堕落すれば、民も堕落する」というのが、悪魔の基本戦略である。
②悪魔の誘惑に乗ったソロモンは、数々の重罪を犯すようなる。
2.軍事力の増強
(1)1列10:26
1Ki 10:26 ソロモンは戦車と騎兵を集め、戦車千四百台と騎兵一万二千人を所有した。彼はこれらを戦車の町々、およびエルサレムの王のもとに配置した。
①当時、戦車は最強の武器であった。
②ソロモンは、戦車を1,400台、騎兵を12,000人確保した。
③「戦車の町々」とは、北からハツォル、メギド、ゲゼルのことである。
④しかし、戦車を大量に保持することは、律法違反であった。
(2)申17:16
Deu 17:16
ただし王は、決して自分のために馬を増やしてはならない。馬を増やすために民をエジプトに戻らせてはならない。【主】は「二度とこの道を戻ってはならない」とあなたがたに言われた。
①富を蓄えたり、戦車を増やしたりするのは、御心に反することである。
②目に見えるものに信頼を置き、神を無視するようになるからである。
③神以外のものに信頼を置くなら、信仰の危機が訪れる。
3.外国の女たちとの結婚
(1)1列11:1~3
1Ki 11:1
ソロモン王は、ファラオの娘のほかに多くの異国人の女、すなわちモアブ人の女、アンモン人の女、エドム人の女、シドン人の女、ヒッタイト人の女を愛した。
1Ki 11:2
この女たちは、【主】がかつてイスラエル人に、「あなたがたは彼らの中に入ってはならない。彼らをあなたがたの中に入れてもいけない。さもないと、彼らは必ずあなたがたの心を転じて彼らの神々に従わせる」と言われた、その国々の者であった。しかし、ソロモンは彼女たちを愛して離れなかった。
1Ki 11:3 彼には、七百人の王妃としての妻と、三百人の側女がいた。その妻たちが彼の心を転じた。
①申17:17は、多くの妻を持つことを禁じている。
②ソロモンのハーレムには、妻が700人、そばめが300人囲われていた。
③その女たちが、ソロモンの心を【主】から偶像神に向けさせた。
(2)晩年のソロモンは、父ダビデの心からはかけ離れて行った。
①とは言え、【主】への信仰を捨てたわけではなかった。
②【主】以外に、妻たちがもたらした偶像神をも礼拝するようになった。
(3)ソロモンが礼拝した偶像神とは、次のようなものである。
①アシュタロテ(シドン人の豊穣と性の女神。礼拝は淫乱なものであった)
②ミルコム(アンモン人の神。子どもをいけにえとすることで悪名高い)
*レビ18:21は、名指しでミルコムを警戒するように命じている。
③モアブ人の偶像神ケモシュとアモン人の偶像神モレク(ミルコムの別名)
*ケモシュとモレクのために、オリーブ山の上に高き所(祭壇)を築いた。
4.ソロモンの失敗の原因
(1)自分もまた他国の王たちと同じように振る舞おうとした点にある。
①ソロモンの偉大さは、【主】から与えられたものであった。
②【主】から離れ、自らの使命を忘れたとき、ソロモンは背教の王になった。
③その結果、神殿が存在していることの意味が希薄となった。
④さらに、霊的混乱が民の間に広がった。
⑤この状況を一番喜んだのが悪魔であることは、言うまでもない。
Ⅲ.王国の分裂
1.ソロモンの死後、統一王国は南北に分裂する。
(1)これは、ソロモンの罪に対する裁きであるが、それだけではない。
①神は、偶像礼拝の震源地であるユダから北の10部族を切り離された。
②また、ダビデの家系の人たちに、偶像礼拝の愚かさを教えようとされた。
(2)この目的のために用いられたのが、ヤロブアムである。
①アヒヤは、外套を12切れに引き裂き、10切れを取れとヤロブアムに命じた。
②ヤロブアムが北の10部族の王となるということの絵画的表現である。
(3)王国が完全に滅びない理由は、ダビデ契約にある。
①1列11:32
1Ki 11:32
ただし、ソロモンには一つの部族だけ残る。それは、わたしのしもべダビデと、わたしがイスラエルの全部族の中から選んだ都、エルサレムに免じてのことである。
②「一つの部族だけが」というのは、ユダ族のことである。
③ベニヤミン族は弱小部族。ユダ族と合わせて一つの部族と見なされた。
③王国は、ダビデ契約のゆえに、小規模になっても生存し続ける。
④そこから、約束のメシアが誕生する。
2.ヤロブアムの台頭
(1)ある時点で、ソロモンはヤロブアムを殺そうとした。
①ソロモンの殺意の背後に、悪魔の策略が見え隠れする。
②ヤロブアムが死ねば、ソロモンから10部族を取り去る計画は挫折する。
(2)ヤロブアムはエジプトに亡命し、ソロモンが死ぬまでそこに滞在した。
①当時のエジプトの王は、シシャクであった(後にユダに侵入する)。
②エジプト滞在は、ヤロブアムに悪影響をもたらした。
③この時期に彼は、「金の子牛」を神とするアイデアを思いついたのであろう。
(3)ソロモンが死ぬと、その子レハブアムが王となった。
①戴冠式の最中に、北の10部族が新王に対して直訴に及んだ。
②そのスポークスマンになったのが、ヤロブアムである。
③彼はエジプトにいたが、エフライム族の代表たちによって呼び戻された。
④ヤロブアムは、2つのことを要請した。
*重税を軽減してほしい。
*強制労働を軽くしてほしい。
⑤ソロモンの時代、王国の維持のために、民は過剰な負担を強いられていた。
⑥この要請は、北の10部族の総意であり、当然のことであった。
(4)レハブアムは、愚かな王であった。
①ヤロブアムの要請を受け入れるようにという長老たちの助言を退けた。
②自分に仕えている若者たちの意見を尊重した。
③若者たちは、ソロモン時代以上に厳しく統治すべきであると助言した。
④彼は、知恵ある助言よりも、自分が聞きたいと思っている助言に耳を傾けた。
⑤かくして、ソロモンの統一王国は、イスラエルとユダに分裂した。
⑥南北分裂は、偶然の出来事ではない。
⑦悪魔の策略に対抗するために、【主】が導かれたことであった。
(5)イスラエルの歴史は、北王国の崩壊、南王国の崩壊へと進んでいく。
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