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メシアの生涯(35)—レプラ患者の癒し—
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新しい時代の到来について学びます。
「レプラ患者の癒し」
§045 マコ1:40~45、マタ8:2~4、ルカ5:12~16
1.はじめに
(1)前回の箇所で、4人の弟子たちが召された。
①2つの癒しの記事が続く。
*レプラ患者の癒し(この癒しは、特別なものである)
*中風の人の癒し
②ともに、メシアの権威を証明する奇跡である。
③宗教的指導者層との対立が激しくなる。
(2)A.T.ロバートソンの調和表
レプラ患者の癒し(§45)
マコ1:40~45、マタ8:2~4、ルカ5:12~16
2.用語についての考察
(1)ギリシア語の「レプラ」の訳語
①かつては、「らい病」と訳されていた。
②英語では、「leprosy」である。
③これらの用語は、医学的には、「ハンセン氏病」と呼ばれるものである。
④しかし、当時のパレスチナには、この病気はなかった。
*これは、慢性の皮膚病であろう。乾癬(かんせん)がその例である。
*織物、編物、皮製品に関する言及もある(レビ13章)。
*家の壁に関する言及もある(レビ14章)。
⑤「らい病」という用語には、悲しい歴史がある。
*偏見にまみれた言葉である。
*キリスト教界にも、偏見があった。
(2)反省に立った新しい訳語
①「ツァラアト」(新改訳第3版)
②「重い皮膚病」(新共同訳)
*これ自体、問題を起こす可能性がある。
3.アウトライン(ルカ5:12~16)
(1)絶望(12節a)
(2)懇願(12節b)
(3)癒し(13節)
(4)癒しの結果(14~16節)
4.メッセージのゴール
(1)メシア時代の到来
(2)新約時代の到来
このメッセージは、新しい時代の到来について学ぼうとするものである。
Ⅰ.絶望(12節a)
「さて、イエスがある町におられたとき、全身ツァラアトの人がいた」
1.この人は、ユダヤ人のレプラ患者である。
(1)なぜなら彼は、癒しの後、モーセの律法の定めに従っていけにえを捧げている。
①彼は、モーセの律法のもとにいる。
(2)後で見るが、ユダヤ人のレプラ患者が癒されるのは、これが初めてである。
2.レビ記13~14章にツァラアトに関する規定がある(合計116節)
「ある人のからだの皮膚にはれもの、あるいはかさぶた、あるいは光る斑点ができ、から
だの皮膚にツァラアトの患部が現れたときは、彼を、祭司アロンか、祭司であるその子ら
のひとりのところに連れて来る。祭司はそのからだの皮膚の患部を調べる。その患部の毛
が白く変わり、その患部がそのからだの皮膚よりも深く見えているなら、それはツァラア
トの患部である。祭司はそれを調べ、彼を汚れていると宣言する」 (レビ13:2~3)
(1)ツァラアトの判定を下すのは、祭司である。
①ツァラアトは、儀式的に汚れている状態にある。
②幕屋や神殿に入ることができない。霊的祝福を受ける機会が奪われた。
③ツァラアト患者に触れると、その人も汚れた状態になる。
④ラビの中には、ツァラアトは罪の結果(象徴)であると強く主張する者もいた。
⑤キリスト教会もまた、長年、同様の過ちを犯してきた。
⑥しかし聖書は、そこまでは強調していない。
⑦モーセの律法の多くは、神の聖さを教えるためのものである。
(2)ツァラアトの判定を受けた者は、絶望状態に陥る。
「患部のあるそのツァラアトの者は、自分の衣服を引き裂き、その髪の毛を乱し、そ
の口ひげをおおって、『汚れている、汚れている』と叫ばなければならない」
(レビ13:45)
①その患者は、自分の衣服を引き裂く。
②家族や共同体を離れて、隔離された地区に住むようになる。
③髪の毛を乱し、目から下の顔の部分を覆う。
④歩く時は、「汚れている、汚れている」と叫ぶ。
⑤実に悲劇的であるが、目的は、ツァラアトの伝染を防ぐためである。
⑥微生物や細菌に関する知識がない時代の規定としては、驚くべきものである。
Ⅱ.懇願(12節b)
「イエスを見ると、ひれ伏してお願いした。『主よ。お心一つで、私をきよくしていただ
けます』」 (12節b)
1.レプラ患者の態度
(1)彼は、「ひれ伏してお願いした」。
①この動作は、旧約的なもの。
②神に祈りを捧げる時の姿勢である。
(2)「主よ」
①キュリオス(キュリエ)という呼びかけ。
②シモンが同じ呼びかけをした。
「これを見たシモン・ペテロは、イエスの足もとにひれ伏して、『主よ。私のよ
うな者から離れてください。私は、罪深い人間ですから』と言った」 (ルカ5:8)
③前者はイエスに近づき、後者はイエスから離れていく。
④ともに、健全な応答である。
2.レプラの患者の信仰
(1)訳語の比較
「主よ。お心一つで、私をきよくしていただけます」(新改訳)
「主よ、御心ならば、わたしを清くすることがおできになります」(新共同訳)
「主よ、みこころでしたら、きよめていただけるのですが」(口語訳)
「主よ、御意ならば、我を潔くなし給ふを得ん」(文語訳)
「お願いでございますっ! どうぞ私の体を、体をもとどおりにしてください。 あな
た様のお気持ちひとつで治るのですから」 (リビングバイブル)
(2)彼は、イエスにはツァラアトを癒す力があると信じていた。
①「主よ」という呼びかけの言葉が、それを示している。
(3)しかし、イエスが、実際にそうしてくださるかどうか確信がなかった。
①愛されたことのない人は、愛を受けることに慣れていない。
②彼は、自分の存在について自問自答したことであろう。
(例話)ユダヤ民族は、愛を示された時、どう振る舞えばよいのか分からない。
(例話)韓国の孤児院で育った女性の証し。相手に唾を吐く。
Ⅲ.癒し(13節)
「イエスは手を伸ばして、彼にさわり、『わたしの心だ。きよくなれ』と言われた。する
と、すぐに、そのツァラアトが消えた」
(1)イエスの憐み
①イエスは、ことばを発するだけで癒しを行えた。
②しかし、手を伸ばして、彼にさわった。
③本来は、ツァラアト患者に触れると、汚れるとされた。
④ペテロの姑の癒しの場合も、「手を取って起こされた」とある(マコ1:31)。
⑤「わたしの心だ」と言われた。
(2)イエスの力
①「きよくなれ」は、ギリシア語で一言「καθαρίσθητι」。
②即座に癒された。
(3)魂と肉体の癒し
①ツァラアトの宣告を受けてから、彼は、他人から触れられたことがなかった。
②イエスのことばと行動によって、彼は全人的に癒された。
Ⅳ.癒しの結果(14~16節)
1.14節
「イエスは、彼にこう命じられた。『だれにも話してはいけない。ただ祭司のところに行
って、自分を見せなさい。そして人々へのあかしのため、モーセが命じたように、あなた
のきよめの供え物をしなさい』」
(1)「だれにも話してはいけない」
①群衆が、奇跡にとらわれ過ぎないように。
②イエスのメッセージが、正しく理解されるように。
(2)レビ記13章、14章には、レプラから癒された場合の手続きが記録されている。
①イエスは、モーセの律法に従ったきよめの手順を指示している。
②2羽の生きているきよい小鳥を取り、1羽をほふる。
③生きている小鳥を血に浸し、それから野に放す。
④小鳥の血を癒された人に、7度振りかける。
⑤7日間の厳しい観察の期間が続く。
⑥その後、癒されたと宣言される。
⑦8日目に、4種類の捧げ物を捧げる。
*罪過のためのいけにえ
*罪のためのいけにえ
*全焼のいけにえ
*穀物の捧げ物
⑧罪過のためのいけにえの血を取り、それをきよめられる者に塗る。
*右の耳たぶ
*右手の親指
*右足の親指
⑨同じ場所に、オリーブ油を塗る。
⑩その後、ユダヤ人社会に復帰することができる。
2.15~16節
「しかし、イエスのうわさは、ますます広まり、多くの人の群れが、話を聞きに、また、
病気を直してもらいに集まって来た。しかし、イエスご自身は、よく荒野に退いて祈って
おられた」
(1)イエスの意図通りにはならなかった。
(2)イエスは、荒野に退いて祈っておられた。
①これは、イエスの日常の習慣であった。
結論
1.メシア時代の到来
(1)これは、ユダヤ人のツァラアト患者が癒された最初の例である。
①祭司たちは、このために「きよめの供え物」を捧げたことがなかった。
(2)ミリアムの例
「雲が天幕の上から離れ去ると、見よ、ミリヤムはツァラアトになり、雪のようにな
っていた。アロンがミリヤムのほうを振り向くと、見よ、彼女はツァラアトに冒され
ていた」(民12:10)
①この癒しは、モーセの律法が完結する前の出来事である。
(3)ナアマン将軍の例
「そこで、ナアマンは下って行き、神の人の言ったとおりに、ヨルダン川に七たび身
を浸した。すると彼のからだは元どおりになって、幼子のからだのようになり、きよ
くなった」(2列5:14)
①ナアマンは、シリア人であった。
(4)ユダヤ教では、奇跡は「一般的な奇跡」と「メシア的奇跡」に分類される。
①ツァラアトの癒しは、メシア的奇跡である。
②祭司たちは、それを理解した。
③一般民衆も、それを理解した。
④メシア的奇跡の場合は、通常の反応とは異なる反応が返って来た。
(5)ユダヤ人たちが待ち望んでいたメシア時代が到来したのだ。
(例話)イスラエルに初めて降り立った時
①国家的に危機に際して、預言者たちはメシア的王国を預言した。
②バビロン捕囚以降も、同じである。
③マラキ以降、メシア待望の時代になる。
④バプテスマのヨハネの登場
⑤そして今、民族的期待が成就した。
⑥しかし彼らは、態度を保留にしている。
2.新約時代の到来
(1)イエスは、モーセの律法に忠実であった。
①パリサイ的律法(口伝律法)には反対された。
(2)イエスの死によって、モーセの律法の要求はすべて満たされた。
①しかし、いまだにモーセの律法に支配されているクリスチャンがいる。
(3)私たちは今、キリストの律法に従って生きている。
「互いの重荷を負い合い、そのようにしてキリストの律法を全うしなさい」
(ガラ6:2)
(例話)35年間、アメリカに不法入国を繰り返したメキシコ人
①愛の律法
②聖霊の律法
③「聖霊に満たされよ」
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