日本人のルーツはユダヤ人か(2)日ユ同祖論を広めた日本人たち

  • 2021.12.20
  • スピーカー 中川健一
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日ユ同祖論を最初に主張したのは、明治初期に来日した英国のユダヤ人実業家、ノーマン・マクロードであった。
アウトライン
  ①佐伯好郎(よしろう)
  ②酒井勝軍(かつとき)
  ③小谷部全一郎(おやべ)

はじめに

  
(1)「日本人のルーツはユダヤ人か」というテーマで、3回に分けて話している。

  (2)日ユ同祖論を最初に主張したのは、明治初期に来日した英国のユダヤ人実業家、

ノーマン・マクロードであった。

②彼は、『日本古代史の縮図』(明治8年)という本を書いた。

③日本人は北の十部族の末裔だと主張したが、日本語には翻訳されなかった。

  (3)失われた北の十部族論は、聖書的ではない。

(4)アウトライン

  ①佐伯好郎(よしろう)

  ②酒井勝軍(かつとき)

  ③小谷部全一郎(おやべ)

1.佐伯好郎(よしろう)

  (1)彼は、日ユ同祖論を初めて主張した日本人である。

①東京専門学校(現・早稲田大学)英語文学科を卒業後渡米し、帰国後教職に就く。

②聖公会の東京築地教会で洗礼を受けてクリスチャンとなる。

(2)景教の研究で、東京帝国大学より文学博士号を授与される。

①東京文理科大学(現・筑波大学)の学長を務める。

(3)1908年(明治41年)『太秦(うずまさ)を論ず』という論文を発表した。

  ①「秦氏(はたし)がユダヤ人の景教徒である」と主張した。

  ②秦氏とは、4、5世紀頃、朝鮮半島から渡来してきたと言われる豪族の一族。

③京都に「太秦」(うずまさ)という地名が残っている。

④秦氏が信じていた神の名前ではないかとの説がある。

  (4)朝鮮半島を経由して大陸から渡来した秦氏は、ユダヤ人の景教徒だった。

    ①景教とは、ネストリウス派キリスト教の中国での名称である。

②ネストリウス派は、紀元431年エペソ公会議において異端とされた。

③東方に伝道を展開し、中国では635年頃、時の皇帝から厚遇を受けた。

④景教の由来と教義を書いた「大秦景教流行中国碑」(781年建立)が発見された。

⑤佐伯好郎は、この碑文を研究し、景教を世に知らしめた。

⑥「うずまさ」の語源はアラム語のイシュ・マシャ。訛ってウズマサになった。

  (5)問題は、ネトリウス派が中国に来る前に、秦氏は日本に渡来していることである。

2.酒井勝軍(かつとき)

  
(1)若い日に米国に留学したクリスチャンである。

①明治35年に帰国すると、賛美歌伝道に従事した。

②その後、シベリア出兵に通訳として従軍し、ユダヤ陰謀説に出会ったと思われる。

  (2)『猶太(ユダヤ)民族の大陰謀』(大正13年)を発表した。

①「日本人こそ失われた十部族である。正しいシオニズムは、日本回帰運動である」

②現在のユダヤ人は、選民として本文を忘れたユダヤ人、非正統なユダヤ人である」

(3)1935年(昭和10年)の頃「キリストの墓」伝説

①青森県旧戸来(へらい)村の伝説

②酒井と新宗教・天津(あまつ)教の教祖竹内巨麿(きよまろ)の合作である。

③偽造文書によって広まった捏造伝説である。

3.小谷部全一郎(おやべ)

  (1)渡米してエール大学を卒業し、最後は博士号を取得した。

    ①1898年(明治31年)帰国後、横浜組合教会の牧師になった。

②その後、北海道に渡り、アイヌ伝道に従事した。

③帰京し、東京皇典講究所と國學院大學の講師となった。

  (2)『成吉思汗(ジンギスカン)ハ源義経ナリ』(大正13年刊)

    ①これは、世の中を大騒ぎさせた空想物語である。

    ②小谷部の方法論は、日本語とモンゴル語の語呂合わせである。

  (3)『日本及日本国民之起源』(昭和4年刊)

①日本人はユダヤ人と同じ祖先を持つ。

②今回は、日本語とヘブライ語の語呂合わせである。

③ミカドはガド族のガドに「御」が付き、訛って「御カド」となった。

④彼は、両民族の類似点を百数十挙げて、日ユ同祖論を証明しようとした。

⑤「我が大日本の基礎民族はヘブライ神族の正系にしてユダヤ人はその傍系」

まとめ

  (1)以上の3名が、日ユ同祖論の原型を作り上げた。

    ①それ以降の日ユ同祖論は、原型から出た派生形である。

  (2)以上の3名に共通している点がある。

    ①海外留学の経験がある。

      *つまり、海外でユダヤ人に関する情報を得る機会があった。

    ②クリスチャンであった。

      *つまり、日本では少数派のクリスチャンであることに引け目を感じていた。

    ③日本人が偉大な先祖を持っていることを証明したいという動機があった。

  (3)日ユ同祖論の弊害

①ユダヤ陰謀説とつながりやすい。

②日ユ同祖論が福音になってしまう危険性がある。

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