私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ルカの福音書(1)献呈の辞 ルカ1:1~4
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ルカの福音書の前書きについて学ぶ。
ルカの福音書 01回
献呈の辞
ルカ1:1~4
1.はじめに
(1)四福音書の特徴(前書きにヒントがある)
①マタイ
*メシアの系図で始まる。
*ユダヤ人向けの福音書である。
*メシアを「ユダヤ人の王」として描いている。
②マルコ
*前書きなしで、すぐにイエスの公生涯に入る。
*ローマ人向けの福音書である。
*イエスの教えよりもイエスの行動に重点が置かれている。
*メシアを「【主】のしもべ」(イザヤ書)として描いている。
③ルカ
*献呈の辞から始まる。
*ギリシア人(異邦人、知識人)向けの福音書である。
*メシアを「理想的な人(知的、肉体的に)」として描いている。
④ヨハネ
*神学的な内容を含んだ長い前書きで始まっている。
*教会全体のための福音書である。
*共観福音書が書き漏らしたことを書いている。
*行動よりも教えに重点がある。
*メシアを「神の子」として描いている。
(2)著者はルカである。
①ルカの福音書にも使徒の働きにも、ルカという名称は出て来ない。
②使徒の働きには、「we」セクションが出て来る。
*使16:10~17、20:5~21:18、27:1~28:16
③使徒の働きとルカの福音書の著者は、ルカである。
④ルカは異邦人であったとするのが通説である。
*根拠は、コロ4:14でルカが異邦人たちの中に置かれていること。
⑤ルカはユダヤ人であったとする説もある(フルクテンバウム師)。
*ユダヤ人の習慣を知悉している。
*エルサレムに対する愛が顕著である。
(3)講解メッセージを語る人が直面するチャレンジ
①今の時代の特徴のひとつは、「権威」に対する疑いである。
②最大の権威のひとつであるメディアに対する信頼性の欠如が見られる。
*フェイクニュースという言葉が、盛んに使われている。
*ジャーナリズムは、客観的報道よりも、イデオロギーを重視。
*メディアが報じる内容を鵜呑みにできない。
③ルカは歴史家である。
*同時代の出来事を記録しているという意味で、ジャーナリストである。
*彼は、フェイクニュースとは無縁のジャーナリストである。
*今私は、非常に新鮮な思いでルカの福音書に向かっている。
④私が採用するルカの福音書の解釈法は、古くて新しいものである。
*字義通りの解釈
*著者の意図を探ることをゴールとする解釈
*ヘブル的枠組みを前提とした解釈
2.アウトライン
(1)歴史家ルカ(1~2節)
(2)執筆の動機と方法(3節)
(3)執筆の目的(4節)
3.結論:福音伝達の5つのステップ
ルカの福音書の前書きについて学ぶ。
Ⅰ.歴史家ルカ(1~2節)
1.1~2節
Luk 1:1
私たちの間で成し遂げられた事柄については、初めからの目撃者で、みことばに仕える者となった人たちが私たちに伝えたとおりのことを、多くの人がまとめて書き上げようとすでに試みています。
Luk 1:2 [前節と合節]
(1)ルカは、パウロと同様に、一度も公生涯の間のイエスに会ったことがない。
①ルカは、70人の弟子のひとりではないかと考える人もいる。
②しかし、その可能性は低い。彼自身は、目撃者ではない。
③ルカは医者である(コロ4:14)。
Col 4:14 愛する医者のルカ、それにデマスが、あなたがたによろしくと言っています。
④ルカは、信者になる前から知的な人物であった。
(2)ルカは、古典文学の形式を用いてこの福音書を書いている。
①前書き(1~4節)は、ギリシア語の原文では一つの文である。
②前書きの目的は、著者の資格、調査内容、その作品の信頼性を伝えること。
③ルカは、既存の資料を基に、この福音書を書いたと説明している。
(3)「私たちの間で成し遂げられた事柄については、」
①「私たち」とは、信者のことである。
②イエスの生涯は隠されたものでなく、多くの人たちが目撃したことである。
(4)「初めからの目撃者」
①「初めからの目撃者」とは、使徒として召された人たちのことである。
*「初め」とは、イエスの公生涯の始まりのことである。
*バプテスマのヨハネの奉仕から、イエスの公生涯が始まる。
*「目撃者」のギリシア語は、オートプテイスである。
*これは医学用語で、解剖するという意味である(autopsy)。
②彼らは、「みことばに仕える者」となった。
*「みことば」とは、福音のことである。
*「初めからの目撃者」=「みことばに仕える者」である。
(5)「私たちに伝えたとおりのことを」の「私たち」
は、狭い範囲の信者である。
①彼らは、自分たちが目撃したことを、「私たち」に伝えてくれた。
*これらは、そのほとんどが口伝情報である。
(6)「多くの人がまとめて書き上げようとすでに試みています」
①「多くの人」とは、幾人かという意味である。
*それが誰のことかは、私たちには分からない。
②「書き上げる」(エピケイレオウ)には困難な試みというニュアンスがある。
*イエスの公生涯の正確な記録を残すことは、容易なことではない。
Ⅱ.執筆の動機と方法(3節)
1.3節
Luk 1:3
私も、すべてのことを初めから綿密に調べていますから、尊敬するテオフィロ様、あなたのために、順序立てて書いて差し上げるのがよいと思います。
(1)「すべてのことを初めから綿密に調べていますから、」
①「初め」とは、イエスの公生涯の序曲となる2つの誕生物語である。
*バプテスマのヨハネの誕生物語とイエスの誕生物語
②ルカはイエスの公生涯を綿密に調べた。
③その際、ルカは2種類の資料を用いた。
*文書化された資料
・マタイの福音書、マルコの福音書、その他の短い資料
・ヨハネの福音書は、まだ書かれていない。
*口伝の資料
・中には、不正確な情報もあったと思われる。
④ルカは、既存の記録よりもより包括的で信頼できる記録を書こうとした。
*ルカは、目撃者に直接インタビューを行ったはずである。
*エリサベツとマリアへのインタビュー内容は、非常に興味深い。
(2)「順序立てて書いて差し上げるのがよいと思います」
①ルカは、すでに存在している資料を吟味し、その内容を熟知している。
②取捨選択した資料を順序立てて書き上げる。
③ルカの福音書は、イエスの公生涯の出来事を時間順に記している。
(3)「尊敬するテオフィロ様」
①テオフィロとは、「神を愛する人」という意味である。
②最初にルカの福音書を受け取り、それを流布させた実在の人物か。
③神を愛するすべての人を指す言葉なのか。
④「尊敬する」(クラティストス)という敬称が付いている。
*「テオピロ閣下」(口語訳)
⑤テオピロとは、ローマ帝国の高官であったと思われる。
⑥ルカの著作活動を援助した、パトロンである可能性が高い。
⑦使徒の働きも、同じ人物に献呈された(使1:1)
Act 1:1 テオフィロ様。私は前の書で、イエスが行い始め、また教え始められたすべてのことについて書き記しました。
Ⅲ.執筆の目的(4節)
1.4節
Luk 1:4 それによって、すでにお受けになった教えが確かであることを、あなたによく分かっていただきたいと思います。
(1)テオフィロが信者であったかどうかは分からない。
①彼は、すでに教えを受けていた。
②メシアの生涯、福音の内容、キリスト教の教理などについての教え
(2)テオフィロがすでに受けた教えが、信頼できるものであることを証明する。
①この文書がローマ帝国内で流布し、信者が多く起こされることを期待する。
(3)「すでにお受けになった教えが確かであることを、」
①聖書が教える「霊感」とは何か。
*聖霊が、ルカを導き、誤りのない記録を書かせた。
*ルカは、あらゆる人間的な努力を惜しまなかった。
*聖霊は、ルカの性質、経験、能力などもお用いになった。
結論
1.福音伝達の5つのステップ
(1)信者の間である出来事が実現した(神が歴史に介入された出来事)。
①その意義は、2000年経っても変わらない。
(2)その出来事をある人たちが伝えた。
①彼らは、目撃者である。
②彼らは、みことばに仕える人々である。
(3)多くの人たちがまとめて書き上げようと試みている。
①これは困難が伴う試みである。
(4)ルカは、それらの記録や口伝情報を綿密に調査し、順序立てて書いた。
①信頼できない情報は、排除された。
②ルカ独自の調査も行った。
(5)私たちは、ルカの福音書を通して、メシアの生涯についての情報を得ている。
①信じるとは、事実を事実として受け入れることである。
②救いの確信がないのは、聖書が神のことばであるという確信がないから。
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