申命記(31)聖なる生き方を教える律法 14:1~29

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聖なる生き方を教える律法について学ぶ。

申命記 31回

「聖なる生き方を教える律法」

申14:1~29 (朗読箇所 14:1~8)

1.はじめに

    (1)第2の説教:契約に基づく義務

      ①総論:臣下の義務(4:44~5:33)

      ②全的従順の呼びかけ(6~11章)

      ③律法の解説と日常生活への適用(12:1~26:15)

      ④【主】に対する誓約(26:16~19)

    (3)この箇所は、律法の各論的解説とその適用である。

      ①この箇所を12項目に分割して説明している。

      ②今回は、項目4を取り上げる。

      ③内容は、「聖なる生き方を教える律法」である。

        *聖であるとは、神のご用のために選び別たれているという意味である。

        *イスラエルの民には、独自のライフスタイルが命じられた。

   2.メッセージのアウトライン

    (4)聖なる生き方を教える律法(14:1~29)

       ①異教徒の服喪の習慣(14:1~2)

      ②食物規定(14:3~21)

      ③十分の一のささげ物(14:22~29)

   3.結論

    (1)食物規定の現状

    (2)十分の一のささげ物の現状

聖なる生き方を教える律法について学ぶ。

Ⅰ.異教徒の服喪の習慣(14:1~2)

  1.1~2節

Deu 14:1 あなたがたは、あなたがたの神、【主】の子どもである。死人のために自分の身を傷つけたり、また額を剃り上げたりしてはならない。

Deu 14:2 あなたは、あなたの神、【主】の聖なる民だからである。【主】は地の面のあらゆる民の中からあなたを選んで、ご自分の宝の民とされた。

    (1)「【主】の子ども」「ご自分の宝の民」

      ①地上の諸国民の中で、イスラエルだけが【主】との特別な関係に置かれた。

      ②イスラエルは、祭司の民とされた。

      ③諸国民は、イスラエルの民の奉仕を通して【主】に近づくことができる。

      ④申7:6

Deu 7:6 あなたは、あなたの神、【主】の聖なる民だからである。あなたの神、【主】は地の面のあらゆる民の中からあなたを選んで、ご自分の宝の民とされた。

    (2)カナンの地の諸民族は、それぞれ独自の服喪の習慣を持っていた。

①死者の霊を礼拝することがあった。

②額を剃り上げることがあった(今となっては詳しいことは分からない)。

③嘆きの表現として自分の身を傷つけることがあった。

    (3)イスラエルの民への命令

      ①カナン人の習慣を真似てはならない。

②【主】への信頼を表明すべきである(カナン人の服喪の習慣を避ける)。

③この命令は、イスラエルの民を偶像礼拝から守るためのものである。

④エレ16:6(文脈は、ユダに下る裁きである)

Jer 16:6 この地の身分の高い者や低い者が死んでも葬られず、だれも彼らを悼み悲しまず、彼らのために身を傷つけず、髪も剃らない。

Ⅱ.食物規定(14:3~21)

  1.3節

Deu 14:3 あなたは、忌み嫌うべきものは、どのようなものも食べてはならない。

       *食物規定(清浄と不浄の区別)に関する4種類の説明

    (1)説明1:衛生上の理由で、ある種の食物が禁じられた。

      ①旧約時代に禁じられたものが、新約時代に許可されるのはおかしい。

      ②主イエスは、すべての食物は清いとされた(マコ7:14~23)。

      ③ペテロが見た幻も、同じことを教えている(使10:9~23)。

      ④汚れた食物が健康に良くないという記述はどこにもない。

    (2)説明2:汚れた動物は、偶像礼拝に用いられていた。

      ①証拠不十分である。

      ②中近東の偶像礼拝で用いられていた雄牛は、清い食物に分類されている。

    (3)説明3:清い動物と汚れた動物は、人間の心にある善と悪を象徴している。

      ①これは、歴史的・文法的解釈の基準から逸脱している。

      ②正しく釈義を行った結果、これを心の状態に適用するなら問題はない。

    (4)説明4:神が自らの判断でお決めになった。

      ①食物規定は、イスラエルの民を諸国民から区別した。

      ②【主】はイスラエルの民に、【主】との親密な関係を表現する方法を与えた。

  2.4~8節(地上を歩くもの)

Deu 14:4 あなたがたが食べてもよい動物は牛、羊、やぎ、

Deu 14:5 鹿、かもしか、のろ鹿、野やぎ、くじか、大鹿、野羊。

Deu 14:6 ひづめが分かれ、完全に二つに割れているもので、反芻するものはすべて食べてもよい。

Deu 14:7 ただし、反芻するもの、あるいは、ひづめが分かれているものの中でも、らくだ、野うさぎ、岩だぬきは食べてはならない。これらは反芻するが、ひづめが分かれていないので、あなたがたには汚れたものである。

Deu 14:8 豚もそうである。ひづめは分かれているが、反芻しないので、あなたがたには汚れたものである。それらの肉を食べてはならない。また、それらの死骸に触れてもいけない。

    (1)食べてよい動物の3つの条件

      ①ひづめが分かれ、完全に二つに割れているもので、反芻するもの

      ②10種類の動物が例示されている。

    (2)3つの条件が満たされていないものは、儀式的に汚れている。

      ①らくだ、野うさぎ、岩だぬき、豚が例示されている。

      ②このリストがすべてではない。

  3.9~10節(水の中にいるもの)

Deu 14:9 水の中にいるすべてのもののうちで次のものを、あなたがたは食べてもよい。ひれと鱗のあるものはすべて食べてもよい。

Deu 14:10 ひれや鱗のないものはすべて、食べてはならない。それは、あなたがたには汚れたものである。

    (1)食べてよいものの2つの条件

      ①ひれと鱗があるもの

    (2)食べてはいけないもの

      ①ひれや鱗のないものはすべて、儀式的に汚れている。

  4.11~20節(空を飛ぶもの)

Deu 14:11 きよい鳥はすべて食べてもよい。

Deu 14:12 しかし、食べてならないのは次のものである。禿鷲、禿鷹、黒禿鷹、

Deu 14:13 黒鳶、隼、鳶の類、

Deu 14:14 烏の類すべて、

Deu 14:15 だちょう、夜鷹、かもめ、鷹の類、

Deu 14:16 ふくろう、みみずく、白ふくろう、

Deu 14:17 森ふくろう、野雁、鵜、

Deu 14:18 こうのとり、鷺の類、やつがしら、こうもり。

Deu 14:19 羽があって群がるものはすべて、あなたがたには汚れたものである。それらを食べてはならない。

Deu 14:20 羽のあるきよいものはすべて食べてもよい。

    (1)鳥類で食べてはいけないものは、猛禽類である。

      ①他の動物を捕食(または腐肉食)する習性のある鳥類である。

②21種類の猛禽類が例示されている。

      ③羽があって群がる昆虫は、儀式的に汚れている。

        *昆虫で食べてよいのは、いなご、バッタ、コオロギである。

    (2)猛禽類以外の鳥は、すべて食べてもよい。

  5.21節(死んだもの)

Deu 14:21 あなたがたは自然に死んだものをいっさい食べてはならない。あなたの町囲みの中にいる寄留者にそれを与えて、彼がそれを食べるのはよい。あるいは異国人に売りなさい。あなたは、あなたの神、【主】の聖なる民だからである。/あなたは子やぎをその母の乳で煮てはならない。

    (1)自然に死んだ動物を食べてはならない。

      ①イスラエルの民にとっては、血を食するのは罪である。

      ②しかし、寄留者や異邦人がそれを食べるのは構わない。

    (2)子やぎをその母の乳で煮てはならない。

      ①カナン人の豊穣神礼拝との関係を断ち切るためである。

Ⅲ.十分の一のささげ物(14:22~29)

  1.22~23節

Deu 14:22 あなたは毎年、種を蒔いて畑から得るすべての収穫の十分の一を、必ず献げなければならない。

Deu 14:23 主が御名を住まわせるために選ばれる場所、あなたの神、【主】の前であなたの穀物、新しいぶどう酒、油の十分の一、そして牛や羊の初子を食べなさい。あなたが、いつまでも、あなたの神、【主】を恐れることを学ぶためである。

    (1)旧約聖書には、3種類の十分の一のささげ物がある。

①レビ人へのささげ物(民18:21~24、申14:27)

②【主】の祭りのためのささげ物(申12:5~7、10~19、14:22~26)

  *十分の一を献げた残り90%の十分の一である。

③貧しい人のためのささげ物(申14:28~29)

  *3年の終わりごとに、その年の収穫の十分の一を献げる。

        *3種類の十分の一を合計すると、年平均で約23%にもなる。

    (2)ここでの規定は、2番目の十分の一に該当する。

      ①指定された場所で2番目の十分の一を食す。

      ②これによって、食物は【主】に依存していることを学ぶ。

  2.24~27節

Deu 14:24 もしあなたの神、【主】が御名を置くために選ばれる場所が遠くて、あなたの神、【主】に祝福していただくために運んで行くことができないほど、道のりが長いなら、

Deu 14:25 あなたはそれを金に換え、その金を包んで手に取り、あなたの神、【主】が選ばれる場所に行きなさい。

Deu 14:26 あなたは、そこでその金を、すべてあなたの欲するもの、牛、羊、ぶどう酒、強い酒、また何であれ、あなたが望むものに換えなさい。そしてあなたの神、【主】の前で食べ、あなたの家族とともに喜び楽しみなさい。

Deu 14:27 あなたの町囲みの中にいるレビ人をないがしろにしてはならない。彼は、あなたと同じようには相続地を割り当てられないからである。

    (1)遠隔地に住む者たちへの特例

      ①指定された場所へ家畜や収穫物を運ぶことができないので、金に換える。

      ②指定された場所に着いたなら、自分が望むものを買う。

      ③「牛、羊、ぶどう酒、強い酒、また何であれ、あなたが望むもの」

        *強い酒とは「蒸留酒」であるが、ここではビールのことであろう。

        *ぶどう酒やビールを【主】の礼拝に用いることが許可された。

      ④箴20:1

Pro 20:1 ぶどう酒は嘲る者。強い酒は騒ぎ立てる者。/これにおぼれる者はみな、知恵がない。

      ⑤家族だけで食べ切るのは不可能なので、残ったものをレビ人に与える。

  3.28~29節

Deu 14:28 三年の終わりごとに、その年の収穫の十分の一を全部持ち出し、あなたの町囲みの中に置いておかなければならない。

Deu 14:29 そうすれば、あなたと同じようには相続地を割り当てられないレビ人や、あなたの町囲みの中にいる寄留者や、孤児や、やもめが来て食べ、満ち足りるであろう。それはあなたの神、【主】があなたのすべての手のわざを祝福してくださるためである。

    (1)これは、3番目の十分の一のささげ物の規定である。

      ①恵まれない人たちのため(レビ人、寄留者・外国人、孤児、やもめ)

      ②これを行う者を【主】は祝福してくださる。

結論

  1.食物規定の現状

    (1)ユダヤ教の食物規定は、申命記14:21がベースになっている。

Deu 14:21b あなたは子やぎをその母の乳で煮てはならない。

    (2)肉類と乳製品を同時に食べることはない。

      ①朝食は、乳製品が中心で肉類は出ない。

      ②肉類を食べる場合は、乳製品は出ない。

    (3)調理器具、食器、流し台のシンクなど、すべてが区分されている。

    (4)3千年以上も前のカナン人の習慣が、今も食物規定に影響を与えている。

    (5)1テモ4:3~5

1Ti 4:3 彼らは結婚することを禁じたり、食物を断つことを命じたりします。しかし食物は、信仰があり、真理を知っている人々が感謝して受けるように、神が造られたものです。

1Ti 4:4 神が造られたものはすべて良いもので、感謝して受けるとき、捨てるべきものは何もありません。

1Ti 4:5 神のことばと祈りによって、聖なるものとされるからです。

  2.十分の一のささげ物の現状

    (1)什一献金はモーセの律法の一部であり、今の時代に適用すべきものではない。

  ①もちろん、自発的に十分の一と決めて捧げるのは素晴らしいことである。

(2)新約聖書の献金に関する教えをまとめると、以下のようになる。

①聖霊に導かれ、恵みに感じて献金を捧げる。

②計画性をもって献金を捧げる(財布を分けておくとよい)。

      ③どこにどれだけ献金するかは、導きによる。

      ④能力に応じて捧げる。

        *困窮している場合は、10パーセント以下のこともあり得る。

*経済的に祝福されている場合は、20、30、50、90、100%もあり得る。

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