60分でわかる新約聖書(22)ペテロの手紙第二

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ペテロの手紙第二からから教訓を学ぶ。

60分でわかる新約聖書(22) 「ペテロの手紙第二」

1.はじめに

  (1)ペテロの手紙第二の位置づけ

    ①5つあるメシアニック・ジュー書簡の第4番目

(ヘブル人への手紙、ヤコブの手紙、ペテロの手紙第一と第二、ユダの手紙)

②1ペテは、迫害に苦しむ信者たちを励ますための手紙であった。

*ユダヤ人信者と異邦人信者

   ③ネロによるクリスチャンの迫害は、64年に始まった。

    ④1ペテは、64年前後に書かれたと思われる。

    ⑤2ペテは、64年~68年(殉教の死の年)の間に書かれたと思われる。

    (2)著者は、ペテロである。

    (3)受け取り手は、1ペテと同じである。

      ①2ペテ3:1

2Pe 3:1
愛する者たち、私はすでに二通目となる手紙を、あなたがたに書いています。これらの手紙により、私はあなたがたの記憶を呼び覚まして、純真な心を奮い立たせたいのです。

②彼らは、小アジアの各地に離散した信者たちである。

③「ポントス、ガラテヤ、カパドキア、アジア、ビティニアに散って寄留して

いる選ばれた人たち、」(1ペテ1:1)

*今日のトルコ北部

*ユダヤ人信者と異邦人信者

    (4)この手紙のテーマは、キリストに関する知識を深めることである。

      ①1ペテでは、受け取り手は霊的な赤子と見なされていた。

*みことばの乳を慕い求めるようにという奨励があった。

②2ペテでは、彼らは固い食物(肉)を食べられる状態にまで成長した。

③ペテロの願いは、彼らの上にさらに恵みと平安が注がれることである。

④それが実現する方法は、キリストに関する知識を深めることである。

⑤キリストに関する知識を深めれば、異端にもてあそばれることはなくなる。

  2.アウトライン

      *あいさつ(1:1~2)

    (1)クリスチャンの資質(1:3~11)

    (2)クリスチャンの霊的成長(1:12~21)

    (3)クリスチャンの霊的戦い(2:1~22)

    (4)クリスチャンの希望(3:1~16)

      *結びのことば(3:17~18)

ペテロの手紙第二からから教訓を学ぶ。

Ⅰ.クリスチャンの資質(1:3~11)

  1.ペテロは、霊的成長の過程を説明している(1:5~7)。

2Pe 1:5 だからこそ、あなたがたはあらゆる熱意を傾けて、信仰には徳を、徳には知識を、

2Pe 1:6 知識には自制を、自制には忍耐を、忍耐には敬虔を、

2Pe 1:7 敬虔には兄弟愛を、兄弟愛には愛を加えなさい。

  (1)「だからこそ」

    ①結果は保証されているので、あらゆる努力をして成長を求めよう。

    ②神にゆだねることと、怠惰であることとは、全く別のものである。

③「信仰には○○を、○○には○○を加えなさい」とある。

④「加えなさい」という動詞から、「コーラス」という言葉が派生している。

⑤一連の過程を踏んで、信仰のハーモニーを体験するようになる。

    (2)成長過程

      ①信仰には徳を(徳とは、道徳的判断をする力である)。

      ②徳には知識を(知識とは、本質を見抜き、識別する力である)。

③知識には自制を(自制とは、自己管理能力のことである)。

④自制には忍耐を(忍耐とは、試練の中で耐える力である)。

⑤忍耐には敬虔を(敬虔とは、霊的なものを尊ぶ心である)。

⑥敬虔には兄弟愛を(兄弟愛とは、信者同士の間に成立する愛である)。

⑦兄弟愛には愛を加えなさい(愛こそ最も大いなる資質である)。

  2.霊的に成長した信者の資質

    (1)主イエスを知る知識

①これは、単に情報が多くなるということではなく「全き知識」のことである。

②メシアであるイエスを、完全に知り体験することである。

(2)豊かな実

①主イエスを知れば知るほど、その人が結ぶ実は豊かになる。

②怠惰、不信仰は、不毛の人生をもたらすだけである。

(3)霊的盲目からの解放

①霊的に成長していない人は、霊的に盲目状態にある。

②何が真理で何が偽物か、判断できない状態にある。

③過去の恵みを忘れ、将来の希望にも目を向けることができない状態にある。

④今のことしか見ていないので、常に不安定な状態にある。

Ⅱ.クリスチャンの霊的成長(1:12~21)

  
1.霊的成長の土台は、神の啓示のことば、つまり「聖書」である(1:12)。

2Pe 1:12
ですから、あなたがたがこれらのことをすでに知り、与えられた真理に堅く立っているとはいえ、私はあなたがたに、それをいつも思い起こさせるつもりです。

    (1)手紙の受け手たちは、すでに真理を知り、そこに堅く立っていた。

①ペテロは、すでに知っている真理を思い出すようにと勧めている。

②彼がこれを書いている目的は、信者を「真理に堅く立たせる」ためである。

    (2)ペテロは、自らの死期が近いことを予感していた。

①それは自然死ではなく、殉教の死である。

②そのことを主イエスが預言していたからである(ヨハ21:18〜19)。

③使徒たちの死後のために、書かれたことばを残しておく必要がある。

  *これが新約聖書である。

④ペテロは、自らの使命を地上生涯において完成させようと努力している。

  2.使徒の教えには権威がある。

    (1)使徒たちの教えは、「巧みな作り話」ではない。

①「巧みな作り話」とは、ユダヤ教の伝承(ミシュナ的律法)のことである。

      ②使徒たちの教えは、主イエスから直接受けたものである。

*変貌山で、3人の弟子たちは主イエスの変貌の様子を目撃した。

*ペテロ、ヤコブ、ヨハネが目撃した。

③その時、父なる神からこういう声がかかった。

「これはわたしの愛する子。わたしはこれを喜ぶ」

④新約聖書の教えは、イエスが語り、それを使徒たちが伝えたものである。

⑤その信頼性は、主イエスの変貌と父なる神の声によって証明された。

    (2)聖書は、自分勝手に解釈するものではない(1:20~21)。

2Pe 1:20 ただし、聖書のどんな預言も勝手に解釈するものではないことを、まず心得ておきなさい。

2Pe 1:21 預言は、決して人間の意志によってもたらされたものではなく、聖霊に動かされた人たちが神から受けて語ったものです。

      ①霊的な視点を無視して自分勝手に解釈することを禁止している。

②正しい解釈のためには、解釈学の原則を知り、聖霊の導きに従ってその原則

を適用する能力が要求される。

③聖書の預言は、すべて聖霊の霊感によるものである。

Ⅲ.クリスチャンの霊的戦い(2:1~22)

  
1.にせ教師に関する警告

    (1)にせ教師は、滅びをもたらす異端をひそかに持ち込む。

①彼らは、主イエスが神であり人であることを否定する。

②さらに、主イエスの贖いのわざも否定する。

③にせ教師の最後は、滅びしかない。

④にせ教師に惑わされる人も、その身に滅びを招くことになる。

    (2)にせ教師の特徴

      ①にせ教師は、好色である。

②また彼らは、貪欲である。

③さらに彼らは、金銭的利得のためなら平気でうそをつく。

    (3)歴史からの教訓

      ①罪を犯した天使たちの例(創6章)

*人間の女たちと結婚した堕天使たち

      ②ノアの例

*ノアを含む8人の者たちは、滅びから救い出された。

*ノアが語る悔い改めのメッセージを信じなかった者たちは、滅びた。

      ③ソドムとゴモラの例

*淫乱で堕落した町ソドムとゴモラは、神のさばきによって破滅した。

      ④ロトの例

*ロトはソドムに住んでいたが、滅びからは救い出された。

*彼は義人であり、住民たちの堕落した生活を見て日々心を痛めていた。

2.にせ教師の特徴

  (1)正当な権威に対して反抗的である。

(2)不遜で傲慢である。

(3)無知である。

(4)欺瞞に満ちている。

(5)淫乱な思いに満たされている。

(6)バラムの罪を犯している(貪欲で不義の報酬を愛した)。

(7)実質を持っていない(枯かれた泉)。

(8)突風が吹けば消えてなくなる霧のように頼りない存在である。

3.にせ教師に惑わされる人

    (1)この世の汚れから脱出できたはずなのに、再び不道徳な生活に戻って行く。

①彼らは、最初から救われていなかった。

②「犬は自分の吐いた物に戻る」(箴言26:11)

Ⅳ.クリスチャンの希望(3:1~16)

  
1.終わりの日に、あざける者が出現すると警告を発している(3:3~4)。

2Pe 3:3 まず第一に、心得ておきなさい。終わりの時に、嘲る者たちが現れて嘲り、自分たちの欲望に従いながら、

2Pe 3:4
こう言います。「彼の来臨の約束はどこにあるのか。父たちが眠りについた後も、すべてが創造のはじめからのままではないか。」

    (1)彼らは、キリストの再臨の教理をあざける。

①彼らは、神が超自然的に人類の歴史に介入されたことを否定する。

  2.ペテロは、3つのポイントを挙げて反論する。

(1)彼らは、意図的に無知になっている。

①神が超自然的に人類の歴史に介入されたことを無視している。

(2)神は裁きという形で超自然的に、有限な世界に介入された。

①地は神のことばによって水から出て、水によって成った。

②そのようにして創造された地は、一度洪水によって滅ぼされた。

(3)神は再び、裁きをもって超自然的にこの世界に介入される。

①今の天と地は、やがて火によって焼かれる。

②今度は、水による裁きではなく、火による裁きが来る。

  3.神と時の関係

    (1)神は時に縛られてはいない(3:8)。

2Pe 3:8
しかし、愛する人たち、あなたがたはこの一つのことを見落としてはいけません。主の御前では、一日は千年のようであり、千年は一日のようです。

      ①人間の目には長い年月と思えることでも、神の目には一瞬のことである。

②神は、時間を超越している。

③再臨が人の目に遅れているように見えるのは、神が無能だからではない。

④神は、さらに多くの人が救われるように、「恵みの時」を延ばしておられる。

    (2)主の日(3:10)

2Pe 3:10
しかし、主の日は盗人のようにやって来ます。その日、天は大きな響きを立てて消え去り、天の万象は焼けて崩れ去り、地と地にある働きはなくなってしまいます。

      ①「主の日」は、患難時代を指す言葉である。

②患難時代は、7年間続く。

③「主の日」は未信者にとっては、盗人のように突如やって来る。

*これは、1テサ5:2〜3でパウロが書いている内容と同じである。

      ④今私たちが見ている天と地は、火によって焼かれる。

        *マタ24:29、黙6:12〜14、8:12。

      ⑤その後に出現するのが、メシア的王国(千年王国)である。

⑥黙21〜22章の「新しい天と新しい地」とは異なる地上における千年王国。

⑦このような確信を持つ者は、清く敬虔に生きることを心がけるはずである。

4.パウロの手紙にある預言

  (1)自分の教えの信頼性を示すために、パウロの手紙を取り上げる。

    ①再臨が遅れているように見えるのは、主の忍耐のゆえである。

②パウロもまたそれと同じことを書いている(ガラテヤ人への手紙)。

③ペテロは「私たちの愛する兄弟パウロ」と呼んでいる。

④ペテロとパウロは、一度仲たがいしたことがある。

⑤ペテロは、パウロの上に神からの知恵が注がれていることを認めた。

⑥パウロの手紙には難解な個所があると書いている。

*深く学ばなければ理解が難しいという意味である。

⑦ところが、無知で心の定まらない人たちは、パウロの手紙を曲解し、自分自

身に滅びを招いている。

    (2)結語(3:18)

2Pe 3:18
私たちの主であり、救い主であるイエス・キリストの恵みと知識において成長しなさい。イエス・キリストに栄光が、今も永遠の日に至るまでもありますように。

      ①キリストの恵みにとどまり、キリストを知る知識を熱心に求めよう。

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