申命記(1)申命記の歴史的背景

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申命記の歴史的背景について学ぶ。

申命記1回
「申命記の歴史的背景」
申命記1:1~4

 

1.はじめに
(1)旧約聖書の最初の五書は、本来は「ひとつの書」として書かれたものである。

①著者はモーセである。
②モーセは、カナンの地に入国する前のイスラエル人のために五書を書いた。
③彼らは、イスラエルの歴史や出エジプトの歴史を知らない世代である。
④彼らは、正しい世界観と人生観を持つ必要があった。
*自分たちは、どこから来たのか。
*自分たちにカナンの地を与えると約束してくれたのは、誰か。
*カナンの地で生きる目的は何か。

 

(2)モーセの五書(トーラー)の文脈

①創世記は、罪の起源と、罪を解決するメシアの到来について教えている。
②出エジプト記は、エジプトでの奴隷状態からの解放を記録している。
③レビ記は、聖い神との交わりを維持する方法を教えている。
④民数記は、約束の地への旅と、その過程で起こった世代交代を記録している。
⑤申命記は、新しい世代に対して律法の内容を解説している。

 

(3)申命記という名称

①ヘブル語の書名は「エレー・ハデバリム」である。
*この書の最初の3語が、タイトルになっている。
*英語で「These are the words」という意味である。
②英語では、「Deuteronomy」と言う。
*七十人訳聖書の「Deuteronomion」(第2の律法)から出たもの。
*七十人訳は、申17:18の「律法の写し」という言葉を誤訳した。
③日本語の「申命記」は、漢語訳聖書からの借用である。
*「申命」とは「繰り返して命じる」という意味である。
*漢語訳の書名にも、「第2の律法」という誤解が反映されている。
④申命記は「第2の律法」ではなく、啓示されていた律法の解説書である。

 

(4)申31~34章は、モーセが書いたのではない。恐らくヨシュアであろう。

②これを根拠に、モーセが著者であることを否定すべきではない。
③この部分は、本来はヨシュア記に属するものである。

 

(5)申命記のアウトライン(宗主権契約の形式)

①第1の説教:歴史の回顧(1:5~4:43)
②第2の説教:契約に基づく義務(4:44~26:19)
③第3の説教:祝福と呪いの宣言(27:1~29:1)
④第4の説教:契約条項のまとめ(29:2~30:20)
⑤モーセからヨシュアへの世代交代(31~34章)

 

2.メッセージのアウトライン(イントロダクション)
(1)話し手と聴衆(1節a)
(2)場所(1節b)
(3)時(2~4節)

 

3.結論
(1)【主】という御名の意味
(2)【主】という御名の使用法の変遷

 

申命記の歴史的背景について学ぶ。
Ⅰ.話し手と聴衆(1節a)
これは、モーセがイスラエルのすべての民に告げたことばである。
1.話し手は、モーセである。
(1)モーセは、シナイ契約を更新するために、新しい世代に語りかけた。

 

①イスラエルの民は、ヨルダン川の東側の地域を征服した。
②約束の地は目の前に見えている。
③モーセの死期は近い。
④そこでモーセは、揺れ動く民に向かって力あるメッセージを語った。

 

(2)モーセには、語る資格があった。

①彼は、シナイ契約の仲介者であった。
②彼は、イスラエルで最初の預言者であった。
*アブラハムも預言者と呼ばれている(創20:7)。
*しかし、その頃はイスラエルの民はまだ存在していなかった。
③申34:10

 

モーセのような預言者は、もう再びイスラエルには起こらなかった。彼は、【主】が顔と顔を合わせて選び出したのであった。

 

④メシアが到来するまでは、モーセのような預言者は出なかった。
*「私のような一人の預言者」(申18:15)
*「モーセのような預言者」(申34:10)
⑤新約聖書では、旧約の人物の中でモーセの名が一番多く出て来る(91回)。

 

2.聴衆は、イスラエルの民である。
(1)「イスラエルのすべての民」(全イスラエル)(all Israel)

①申命記では、この表現が12回出て来る。
②イスラエルの民が運命共同体であることが強調されている。
*ともに、エジプトからの脱出を経験した。
*ともに、シナイ契約の締結に参加した。
*ともに、約束の地に向かっている。

 

(2)イスラエルの民は、どの民族とも異なるユニークな民である。

①彼らは、全人類を救うための器となる「選びの民」である。
②モーセが語る神のことばが、イスラエルの民にとっての憲法である。
③それゆえ、彼らは真剣に耳を傾ける必要がある。

 

Ⅱ.場所(1節b)
ヨルダンの川向こう、パランと、トフェル、ラバン、ハツェロテ、ディ・ザハブとの間の、スフに面したアラバの荒野でのことであった。
1.イスラエルの民は、約束の地の戸口に立っていた。
(1)ここは、モアブの草原である。

①民22:1

 

イスラエルの子らは旅を続け、ヨルダンのエリコの対岸にあるモアブの草原に宿営した。

②「ヨルダンの川向こう」とは、ヨルダン川の東岸地区である。
③「アラバの荒野」とは、ガリラヤ湖から紅海(アカバ湾)に至る渓谷である。

 

(2)今では分からなくなっている地名がある。

①パラン、トフェル、ラバン、ハツェロテ、ディ・ザハブ、スフ

 

Ⅲ.時(2~4節)
1.2節
──ホレブからセイル山を経てカデシュ・バルネアに至る道のりは、十一日である──
(1)時間を記す理由

①神の啓示を歴史の中に位置づけるため
②神への不従順がいかに恐ろしいものであるかを示すため

 

(2)ホレブからカデシュ・バルネアまでは、11日間で移動できる。

①ホレブは、シナイ山を含む山脈である。
②カデシュ・バルネアは、南側から約束の地に入るための玄関口である。
③ホレブからカデシュ・バルネアまでは、約240キロの距離である。
④この距離には、霊的意味がある。
*ホレブは、契約締結の場所である。
*カデシュ・バルネアは、約束の地の南の境界線にある。

 

(3)しかし、シナイ山からモアブの草原に来るのに、38年間もかかった。

①神の約束を信じない者は、人生の指針を失う。
*その人は、信仰者ではなく、単なる放浪者となる。
②38年後にたどり着いたモアブの草原は、約束の地への第2の玄関口である。
③ここは、東側から約束の地に入る入り口である。

 

(4)遅延の原因は、イスラエルの民の不信仰である。

①歴史から学ばない者は、同じ失敗を繰り返す。
②使7:39~40(ステパノのメッセージ)

ところが私たちの先祖たちは、彼に従うことを好まず、かえって彼を退け、エジプトをなつかしく思って、
アロンに言いました。『われわれに先立って行く神々を、われわれのために造ってほしい。われわれをエジプトの地から導き出した、あのモーセがどうなったのか、分からないから。』

③マタ8:10(百人隊長の信仰に驚いたイエスのことば)

イエスはこれを聞いて驚き、ついて来た人たちに言われた。「まことに、あなたがたに言います。わたしはイスラエルのうちのだれにも、これほどの信仰を見たことがありません。

 

(5)それでも神は、不信仰な民を用いてご自身の計画を成就しようとされる。

①アブラハム契約のゆえである。
②アブラハム契約は、無条件契約である。
③新しい契約も、無条件契約である。

 

2.3節
第四十年の第十一月の一日にモーセは、【主】がイスラエルの子らのために彼に命じられた、すべてのことにしたがって、彼らに語った。
(1)荒野の放浪期間の最後に、モーセはイスラエルの民に語った。

①内容は、【主】がモーセに命じたことである。
②その命令は、イスラエルの子らに祝福を与えるためのものである。
③それをモーセは、「ことごとく告げた」(口語訳)

 

3.4節
それはモーセが、ヘシュボンに住んでいたアモリ人の王シホン、およびアシュタロテに住んでいたバシャンの王オグを、エデレイで打ち破った後のことであった。
(1)これが、歴史的背景の締めくくりである。

①2人の王を打ち破った後のことであった。
*ヘシュボンに住んでいたアモリ人の王シホン
*アシュタロテに住んでいたバシャンの王オグ
②民21:21~35

 

(2)この記述は、イスラエルの民に希望を与えるためのものであろう。

 

 

結論:
1.【主】という御名の意味
(1)申1:3
第四十年の第十一月の一日にモーセは、【主】がイスラエルの子らのために彼に命じられた、すべてのことにしたがって、彼らに語った。
(2)申命記では、【主】(ヤハウェ)という御名が220回以上登場する。

①申1:3で、【主】という御名が初めて登場する。
②神(エロヒム)は、わずか38回である。

 

(3)【主】とは、契約の神の御名である。

①出3:13~14

モーセは神に言った。「今、私がイスラエルの子らのところに行き、『あなたがたの父祖の神が、あなたがたのもとに私を遣わされた』と言えば、彼らは『その名は何か』と私に聞くでしょう。私は彼らに何と答えればよいのでしょうか。」
神はモーセに仰せられた。「わたしは『わたしはある』という者である。」また仰せられた。「あなたはイスラエルの子らに、こう言わなければならない。『わたしはある』という方が私をあなたがたのところに遣わされた、と。」

②【主】とは、「わたしは『わたしはある』という者である」という意味。
③特に、イスラエルの民と関わる場合の神の御名である。

 

(4)申命記は、【主】とイスラエルの民の間の契約の書である。

①【主】は、契約の民がご自身の倫理基準に従って歩むことを期待される。

 

2.【主】という御名の使用法の変遷
(1)ユダヤ教徒の習慣

①旧約聖書が完成した直後(前5世紀の終わり)に、迷信が考え出された。
②公の聖書朗読に際して、「ヤハウェ」と発音しないで、「アドナイ」と読み
替えるようになった。
③「アドナイ」とは、「我が主」という意味である。
④結果的には、ユダヤ教は「ヤハウェ」が持つ豊かな霊的意味を失った。

 

(2)クリスチャンの習慣

①クリスチャンは、神に向かって「ヤハウェ」とは呼びかけない。
②神は、イエス・キリストにあってご自身を啓示された。
③ヘブ1:1~2
④クリスチャンは、祈りの中で「父よ」と呼びかける。
⑤ヨハ14:6

イエスは彼に言われた。「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。わたしを通してでなければ、だれも父のみもとに行くことはできません。

⑥ロマ8:15

あなたがたは、人を再び恐怖に陥れる、奴隷の霊を受けたのではなく、子とする御霊を受けたのです。この御霊によって、私たちは「アバ、父」と叫びます。

⑦1コリ1:3

私たちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安があなたがたにありますように。

 

 

(3)自問自答してみよう。

①私は、どこから来て、どこへ行こうとしているのか。
②私は、なんのために生きているのか。

 

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