ガラテヤ人への手紙(6) ーペテロの偽善ー

  • 2020.05.31
  • ガラテヤ人への手紙 2章11~21節
  • スピーカー 中川健一
  • 東京定例会
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ペテロの偽善行為について学ぶ。

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ガラテヤ6回
「ペテロの偽善」ガラ2:11~21

 

1.はじめに
(1)ガラテヤ人への手紙のアウトライン
①個人的弁明:パウロの使徒職(1:1~2:21)
②教理的教え:信仰義認(3:1~4:31)
③実践的教え:キリスト者の自由(5:1~6:18)

 

(2)文脈の確認
①パウロは、ガラテヤの信者たちが「ほかの福音」に移っていくことに驚いた。
②「ほかの福音」を伝える者は、呪われるべきである。
③パウロの福音は、神からの啓示によって与えられたものである。
④パウロの福音理解は、使徒たちのそれと一致していた。

 

2.メッセージのアウトライン
(1)律法主義者を恐れるペテロ(11~13節)
(2)ペテロを戒めるパウロ(14節)
(3)信仰義認を主張するパウロ(15~21節)

 

3.結論
(1)ペテロの貢献
(2)ペテロの失敗
(3)私たちへの教訓

 

ペテロの偽善的行為について学ぶ。
Ⅰ.律法主義者を恐れるペテロ(11~13節)
1.11節
Gal 2:11 ところが、ケファがアンティオキアに来たとき、彼に非難すべきことがあったので、私は面と向かって抗議しました。
(1)これは、パウロの履歴書に記された歴史的出来事の最後のものである。
①福音を守るために、パウロは、使徒のリーダーであるペテロを非難した。
②これは、パウロの使徒職を証明するためのエピソードでもある。

 

(2)前回取り上げた箇所でのペテロと、ここでのペテロは、劇的に異なる。
①パウロがエルサレムを訪問した際、ペテロは友好の右手を差し出した。
②ガラ2:9
Gal 2:9 そして、私に与えられたこの恵みを認め、柱として重んじられているヤコブとケファとヨハネが、私とバルナバに、交わりのしるしとして右手を差し出しました。それは、私たちが異邦人のところに行き、彼らが割礼を受けている人々のところに行くためでした。

 

(3)ペテロがアンティオキアの教会を訪問した。
①「ケファ」というヘブル名が使用されている。
②使徒の働きの中には、この訪問は記されていない。
③恐らく、パウロ、バルナバ、テトスがエルサレムから戻った直後であろう。
④ペテロが偽善的行為を行ったので、パウロは面と向かって抗議した。
⑤パウロは、ペテロと同じ権威を委ねられた使徒として行動している。
*パウロは、12使徒からは独立した、対等な立場に立つ使徒である。

 

2.12節
Gal 2:12 ケファは、ある人たちがヤコブのところから来る前は、異邦人と一緒に食事をしていたのに、その人たちが来ると、割礼派の人々を恐れて異邦人から身を引き、離れて行ったからです。
(1)アンティオキアの教会には、ユダヤ人信者と異邦人信者がいた。
①彼らは、ユダヤ教の食物規定に囚われず、食事をともにしていた。
②ペテロは、皮なめしシモンの家で幻を見たことがあった(使10:9~16)。
*「神がきよめた物を、あなたがきよくないと言ってはならない」
③ペテロには、異邦人信者と食事をともにすることへの抵抗感はなかった。
④これは、ユダヤ人と異邦人のキリストにある一致を示す麗しい光景だった。
⑤また、ユダヤ人も異邦人も、律法から解放されたことを示す光景だった。

 

(2)しかし、あることが原因で、ペテロは異邦人から離れ行った。
①「ある人たちがヤコブのところから来る」
②パウロは彼らのことを「兄弟たち」とは呼んでいない。
③彼らは、エルサレムから下って来た律法主義者たちである。
④彼らは、ヤコブの承認を得ていたわけではない。

 

(3)「割礼派の人々を恐れて異邦人から身を引き、離れて行った」
①ペテロの神学が変わったわけではない。
②彼は、恐れのゆえに異邦人信者と一緒に食事をしなくなったのである。
③使11:18で見られたペテロの姿とは、大いに異なる。
Act 11:18 人々はこれを聞いて沈黙した。そして「それでは神は、いのちに至る悔い改めを異邦人にもお与えになったのだ」と言って、神をほめたたえた。

 

3.13節
Gal 2:13 そして、ほかのユダヤ人たちも彼と一緒に本心を偽った行動をとり、バルナバまで、その偽りの行動に引き込まれてしまいました。
(1)ペテロの欺瞞的行為が、他の人たちに悪影響を与えた。
①ほかのユダヤ人信者も、異邦人信者から離れて行った。
②ついに、バルナバまでその偽りの行動に引き込まれてしまった。
③バルナバはパウロの同労者であったので、パウロにとっては衝撃であった。
④恐らく、聖餐式が2つ(ユダヤ人信者向けと、異邦人信者向け)別々に行わ
れるようになったのであろう。
⑤今日でも、正統派のユダヤ人は異邦人とは食事をともにしない。
*異邦人と同じ器を使うと、儀式的な汚れを受けると考えている。

 

(2)ペテロやバルナバは、ユダヤ人と異邦人はキリストにあって一つであると教
えていた。
①ところが、実践においては、これを否定するような行動を取った。
②教えていることと行いが一致していないことを、偽善という。

 

Ⅱ.ペテロを戒めるパウロ(14節)
1.14節
Gal 2:14 彼らが福音の真理に向かってまっすぐに歩んでいないのを見て、私は皆の面前でケファにこう言いました。「あなた自身、ユダヤ人でありながら、ユダヤ人ではなく異邦人のように生活しているのならば、どうして異邦人に、ユダヤ人のように生活することを強いるのですか。」
(1)パウロはみなの面前(公の場)で、ペテロの過ちを指摘した。
①福音の真理が曲げられるのを恐れたからである。
②ペテロの欺瞞的行為は公の場で行われたので、叱責も公に行われる。

 

(2)パウロの論理は、以下のようなものである。
①自分たちユダヤ人は、律法によっては救われないということを知った。
②自分たちは、イエス・キリストを信じて救われた。
③異邦人も同じように信仰によって救われた。
④なぜ、異邦人信者にユダヤ人のように生活することを強いるのか。

 

(3)ペテロがどう応答したかは、書かれていない。
①その偽善の重大さのゆえに、大いに恥を被ったであろう。
②パウロの叱責のことばが14節で終わったかどうかを判定するのは難しい。
*パウロは、もっと多くのことを語ったはずである。
③とりあえず、15節以降はパウロによる神学的考察と考えておこう。
*15~21節は、ガラテヤ3~4章へのブリッジとなる。
*ガラテヤ3~4章の主要なテーマは、「信仰義認」である。

 

Ⅲ.信仰義認を主張するパウロ(15~21節)
1.15節
Gal 2:15 私たちは、生まれながらのユダヤ人であって、「異邦人のような罪人」ではありません。
(1)パウロは、ユダヤ人の同胞を意識しながら書いている。
①パウロ、ペテロ、バルナバ、その他のユダヤ人信者が含まれる。

 

(2)「私たちは、・・・『異邦人のような罪人』ではありません」
①パウロがそう考えていたということではない。
*この言葉は、パウロ独特の皮肉(アイロニー)である。
②ユダヤ人一般は、異邦人を罪人と見なし、彼らに対して優越感を持っていた。
③ペテロの欺瞞的な行為は、ユダヤ人の優越感の現われである。
④その私たちユダヤ人でさえも、律法ではなく信仰によって救われた。
⑤それゆえ、異邦人に律法を押しつけてもなんの意味もない。

 

2.16節
Gal 2:16 しかし、人は律法を行うことによってではなく、ただイエス・キリストを信じることによって義と認められると知って、私たちもキリスト・イエスを信じました。律法を行うことによってではなく、キリストを信じることによって義と認められるためです。というのは、肉なる者はだれも、律法を行うことによっては義と認められないからです。
(1)「義と認められる」
①ガラテヤ書で最も重要な言葉は、「ディカイオオウ」(義とされる)である。
②その言葉が、ここで初めて登場する。
③これは法律用語である。法廷で「義と宣言される」という意味である。

 

(2)義とされる方法(not A but B)
①否定的宣言―律法を行うことによってではない。
②肯定的宣言―イエス・キリストを信じる信仰による。

 

(3)「私たちもキリスト・イエスを信じました」
①私たちの中に、パウロもペテロもバルナバも含まれる。
②パウロとペテロとバルナバの福音理解は、同じはずである。

 

3.17~18節
Gal 2:17 しかし、もし、私たちがキリストにあって義と認められようとすることで、私たち自身も「罪人」であることになるのなら、キリストは罪に仕える者なのですか。決してそんなことはありません。
Gal 2:18 もし自分が打ち壊したものを再び建てるなら、私は自分が違反者であると証明することになるのです。
(1)ここでパウロは、「キリスト論的アプローチ」を取っている。
①もし律法を行わないことが罪なら、キリストを信じた人は、律法を行わなく
なるので、「罪人」となる。
②それなら、キリストは罪の助成者となるが、それはあり得ない。

 

(2)ペテロの欺瞞的行為は、自分自身を違反者にするものである。
①自分は律法に違反していたことを認めることになる。

 

5.19~20節
Gal 2:19 しかし私は、神に生きるために、律法によって律法に死にました。私はキリストとともに十字架につけられました。
Gal 2:20 もはや私が生きているのではなく、キリストが私のうちに生きておられるのです。今私が肉において生きているいのちは、私を愛し、私のためにご自分を与えてくださった、神の御子に対する信仰によるのです。
(1)キリストを信じた者の体験を「死と復活」というキーワードを基に解説する。
①信者の体験は、信仰によってキリストの死と復活につながるということ。
②同じことが2度繰り返されているのは、ヘブル的対句法を思わせる。

 

(2)死の体験
①「神に生きるために、律法によって律法に死にました」
*律法は、律法に違反した者の死刑を要求する。
②「私はキリストとともに十字架につけられました」
*キリストは、十字架の上で罪の代価を払ってくださった。

 

(3)復活の体験
①「もはや私が生きているのではなく、キリストが私のうちに生きておられ
るのです」
②「今私が肉において生きているいのちは、私を愛し、私のためにご自分を与
えてくださった、神の御子に対する信仰によるのです」

 

6.21節
Gal 2:21 私は神の恵みを無にはしません。もし義が律法によって得られるとしたら、それこそ、キリストの死は無意味になってしまいます。
(1)「私は神の恵みを無にはしません」は、ペテロとの対比を考えたものである。
①恵みとは、受けるに値しない者に注がれ神の祝福である。
②ペテロの欺瞞的行為は、神の恵みを排除したものである。
③義が律法によって得られるなら、キリストの死は無意味なものになる。

 

結論:
1.ペテロの貢献
(1)ペテロは、12使徒のスポークスマンであった。
①使2:14
Act 2:14 ペテロは十一人とともに立って、声を張り上げ、人々に語りかけた。「ユダヤの皆さん、ならびにエルサレムに住むすべての皆さん、あなたがたにこのことを知っていただきたい。私のことばに耳を傾けていただきたい。

 

(2)ペテロは、教会誕生の立役者であった。
①使2:41
Act 2:41 彼のことばを受け入れた人々はバプテスマを受けた。その日、三千人ほどが仲間に加えられた。

 

(3)ペテロは、ユダヤ人、サマリア人、異邦人のために御国の扉を開いた。
①使2章、8章、10章

 

2.ペテロの失敗
(1)ペテロは、十字架の預言を否定した。
①マタ16:22
Mat 16:22 すると、ペテロはイエスをわきにお連れして、いさめ始めた。「主よ、とんでもないことです。そんなことがあなたに起こるはずがありません。」

 

(2)ペテロは、イエスを知らないと言った。
①マタ26:69~70
Mat 26:69 ペテロは外の中庭に座っていた。すると召使いの女が一人近づいて来て言った。「あなたもガリラヤ人イエスと一緒にいましたね。」
Mat 26:70 ペテロは皆の前で否定し、「何を言っているのか、私には分からない」と言った。

 

(3)ペテロは、アンティオキアの教会で、律法主義者を恐れた。
①ペテロには、圧力がかかると妥協するという癖があった。

 

3.私たちへの教訓
(1)神は、不完全な器を用いてご自身の計画をお進めになる。
①人間の失敗は、神の計画を無効にするものではない。

 

(2)使徒たちは、神の霊感によって啓示の書を記している間だけ、間違いを犯す
ことから守られている。
①それ以外の時は、間違いを犯す可能性がある。

 

(3)指導者に対する姿勢
①尊敬の念を持って接する。
②間違いを犯す可能性もあることを、心に覚える。
③すべての判断を、聖書に基づいて行う。

 

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