使徒の働き(96)―大嵐との遭遇―

  • 2020.03.23
  • 使徒の働き 27章9~26節
  • スピーカー 中川健一
  • 東京定例会
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大嵐との遭遇について学ぶ。

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「大嵐との遭遇」

使徒27:9~26

1.はじめに

(1)文脈の確認

①パウロは、カイザリヤからローマに向かう(27:1~28:15)

②パウロは、ローマに上るというゴールを常に意識していた。

③使19:21

Act 19:21 これらのことが一段落すると、パウロは御霊の示しにより、マケドニヤとアカヤを通ったあとでエルサレムに行くことにした。そして、「私はそこに行ってから、ローマも見なければならない」と言った。

④カイザリヤでの拘留は2年にも及んだが、彼の確信が揺らぐことはなかった。

⑤ここには、神の主権による支配とそれに信頼する人間の責務の調和が見られる。

⑥前回は、カイザリヤからクレテ(クレタ)までの旅程を取り上げた。

*船は、クレテの島陰を航行し、「良い港」に着いた。

⑦今回は、大嵐との遭遇を取り上げる。

 

 

(2)アウトライン

①パウロの助言(9~12節)

②船の漂流(13~17節)

③絶望する乗員たち(18~20節)

④パウロの励まし(21~26節)

 

 

結論:

(1)人生の羅針盤

(2)羅針盤を持った人の特権

(3)羅針盤を持った人の使命

 

 

大嵐との遭遇について学ぶ。

 

 

Ⅰ.パウロの助言(9~12節)

1.9~10節

Act 27:9 かなりの日数が経過しており、断食の季節もすでに過ぎていたため、もう航海は危険であったので、パウロは人々に注意して、

Act 27:10 「皆さん。この航海では、きっと、積荷や船体だけではなく、私たちの生命にも、危害と大きな損失が及ぶと、私は考えます」と言った。

(1)「良い港」に着いた船は、重大な決断を迫られた。

①このまま航海を続けるべきかどうかの判断を迫られた。

②船は、天候が回復するのを「かなりの日数」待った。

③この間、パウロがクレテで伝道したかどうかは、分からない。

④テト1:5

Tit 1:5 私があなたをクレテに残したのは、あなたが残っている仕事の整理をし、また、私が指図したように、町ごとに長老たちを任命するためでした。

*パウロは、ローマでの投獄から解放されて後、クレテで伝道している。

 

 

(2)パウロは、出帆に反対した。

①当時の地中海航行の常識は、次のようなものであった。

*9月14日〜11月11日までは航行が危険な時期である。

*11月11日から5ヶ月間は冬の時期で、航行は完全にストップされた。

「断食の季節」を過ぎており、海が危険な状態になっていたからである。

「断食の季節」とは「贖罪の日」のことで、9月末から10月初めにやって来る。

*1日だけの祭りで、巡礼祭ではない(レビ16:29〜34参照)。

*大祭司が至聖所に入り、罪の贖いのためのいけにえの血を捧げる日である。

*告白していない罪、まだ赦されていない罪を、神に赦していただく日。

*イエスは、大祭司として、またいけにえとして、罪の贖いを完成された。

*この日、ユダヤ人たちは、居住地において断食を行った。

 

 

(3)そこでパウロは、こう進言した。

「皆さん。この航海では、きっと、積荷や船体だけではなく、私たちの生命にも、危

害と大きな損失が及ぶと、私は考えます」

①これは神からの啓示ではなく、パウロの体験に基づく意見である。

②彼は、数度に及ぶ伝道旅行で、航海に関してはかなりの経験を積んでいた。

*11~12回も船旅を経験し、少なくとも4,800キロを船で移動した。

③2コリ11:25

2Co 11:25 むちで打たれたことが三度、石で打たれたことが一度、難船したことが三度あり、一昼夜、海上を漂ったこともあります。

④4回目の難船を避けたいと願うのは、当然である。

 

 

2.11~12節

Act 27:11 しかし百人隊長は、パウロのことばよりも、航海士や船長のほうを信用した。

Act 27:12 また、この港が冬を過ごすのに適していなかったので、大多数の者の意見は、ここを出帆して、できれば何とかして、南西と北西とに面しているクレテの港ピニクスまで行って、そこで冬を過ごしたいということになった。

(1)しかし、百人隊長はその警告を無視した。

①海に関しては、パウロは素人である。

②百人隊長は、専門家の航海士や船長の判断を採用したのである。

③この種の穀物輸送船は、ローマ帝国の管理下に置かれていた。

*ローマ帝国のための仕事をしているとみなされた。

*所有者と船長は、ローマの官憲の指示に従う。

 

 

(2)大多数の者の意見も、百人隊長と同じであった。

①今停泊中の「良い港」は、冬を越すのに適していない。

②80km西にあるクレテの港ピニクスまで行き、そこで冬を過ごしたい。

③専門家の判断が間違いで、パウロの判断が正しかったことは、後で分かる。

 

Ⅱ.船の漂流(13~17節)

1.13節

Act 27:13 おりから、穏やかな南風が吹いて来ると、人々はこの時とばかり錨を上げて、クレテの海岸に沿って航行した。

(1)大多数の意見の正しさを証明するかのように、穏やかな南風が吹いて来た。

①これまでは、北西の風に悩まされていた。

②人々は、天が味方してくれたと感じ、急いで錨を上げた。

③クレテ島の海岸に沿って航行すれば、1日でピニクス港に着くはずであった。

 

 

2.14~15節

Act 27:14 ところが、まもなくユーラクロンという暴風が陸から吹きおろして来て、

Act 27:15 船はそれに巻き込まれ、風に逆らって進むことができないので、しかたなく吹き流されるままにした。

(1)ところが、突然「ユーラクロン」(北東から吹く嵐)が陸から吹きおろして来た。

①船は、風に逆らって進むことができない。

②吹き流されるままにしておくしか、方法はない。

③船は、クレテ島の沿岸から、大海に放り出された。

 

 

3.16~17節

Act 27:16 しかしクラウダという小さな島の陰に入ったので、ようやくのことで小舟を処置することができた。

Act 27:17 小舟を船に引き上げ、備え綱で船体を巻いた。また、スルテスの浅瀬に乗り上げるのを恐れて、船具をはずして流れるに任せた。

(1)クラウダという小さな島の陰に入った。

①風が少し収まったので、対策を講じた。

②船の後ろに繋いであった小舟を、ようやくのことで引き上げることができた。

*これは、救命ボートである。すでに海水が満ちていたであろう。

*そのままでは、本船に衝突する危険性があった。

*この小舟は、先に行ってから、上陸のために必要になるかもしれない。

③本船がバラバラにならないように、船底に綱を回し、船全体をその綱で巻いた。

*浸水を防ぐための応急処置である。

④また、船具を外して、船が流れるままにした。

*「船具」とあるのは、「帆」のことであろう。

*浅瀬に乗り上げるのを恐れて、「帆」を外したのである。

「スルテスの浅瀬」とは、北アフリカ(リビヤ)沿岸の浅瀬である。

Ⅲ.絶望する乗員たち(18~20節)

1.18~19節

Act 27:18 私たちは暴風に激しく翻弄されていたので、翌日、人々は積荷を捨て始め、

Act 27:19 三日目には、自分の手で船具までも投げ捨てた。

(1)翌日、さらに状況は悪化した。

①人々は、積荷を捨て始めた。

②これは、船を軽くするための方法である。

③ヨナ1:5

Jon 1:5 水夫たちは恐れ、彼らはそれぞれ、自分の神に向かって叫び、船を軽くしようと船の積荷を海に投げ捨てた。しかし、ヨナは船底に降りて行って横になり、ぐっすり寝込んでいた。

 

 

(2)3日目には、自分の手で、「船具」までも投げ捨てた。

①「船具」とは、帆、ロープ、錨などのことであろう。

*ただし、最低限必要なものは、残しておいたはずである。

 

 

2.20節

Act 27:20 太陽も星も見えない日が幾日も続き、激しい暴風が吹きまくるので、私たちが助かる最後の望みも今や絶たれようとしていた。

(1)ルカは、「太陽も星も見えない日が幾日も続き、…」と記している。

①漂流は丸2週間続くことになる。

②当時は、羅針盤がまだ発明されていなかった。

*羅針盤(コンパス)は、磁石が南北を示すことを利用して方位を測る道具。

③陸地の風景や、天体の運行によって、船の位置を確認していた。

④太陽も星も見えないとは、完全に方向感覚をなくしたということである。

 

 

(2)「私たちが助かる最後の望みも今や絶たれようとしていた」という状況であった。

①276人の乗員の中で、希望を抱いていたのはパウロだけであった。

*ローマに行くという神の約束があった。

②同行していたルカでさえも、絶望的になった。

Ⅳ.パウロの励まし(21~26節)

1.21~22節

Act 27:21 だれも長いこと食事をとらなかったが、そのときパウロが彼らの中に立って、こう言った。「皆さん。あなたがたは私の忠告を聞き入れて、クレテを出帆しなかったら、こんな危害や損失をこうむらなくて済んだのです。

Act 27:22 しかし、今、お勧めします。元気を出しなさい。あなたがたのうち、いのちを失う者はひとりもありません。失われるのは船だけです。

(1)嵐の中で、だれも長いこと食事をとっていなかった。

①船酔いと失望による食欲減退。

②乗員たちは、これ以上嵐が続けば、一行が助かる見込みはないと考えていた。

③最悪の状況になった時、パウロは立ち上がって励ましの言葉を語った。

 

 

(2)クレテを出帆する時に、私の忠告に耳を傾けていれば、こうはならなかった。

①つまり、彼らは重要な助言を無視したということである。

*それゆえ、次に与えられる忠告には耳を傾けなければならない。

*パウロは、過去の失敗よりも、将来の希望に目を向けさせた。

 

 

(3)しかし、いのちを失う者はひとりもいないので、元気を出せ。

①失われるのは船だけである。

②「いのちを失う者はひとりもいない」が、これ以降の物語の展開の鍵となる。

③個人的な予測では、「積荷や船体だけではなく、私たちの生命にも、危害と大き

な損失が及ぶと、私は考えます」となっていた(10節)。

④神からの啓示が与えられたので、それを修正して、「いのちを失う者はひとりも

いない」と断言した。

 

 

2.23~24節

Act 27:23 昨夜、私の主で、私の仕えている神の御使いが、私の前に立って、

Act 27:24 こう言いました。『恐れてはいけません。パウロ。あなたは必ずカイザルの前に立ちます。そして、神はあなたと同船している人々をみな、あなたにお与えになったのです。』

(1)前の夜、彼は、天使からの御告げを受けた。

「私の仕えている神の御使い」

②これは、異教の神とパウロが仕えている神を区別するための言葉である。

③御使いはパウロに、必ずカイザルの前に立つようになると告げた。

④つまり、パウロはそれまでは死なないということである。

 

 

(2)「神はあなたと同船している人々をみな、あなたにお与えになったのです」

①同船している人々も、パウロのゆえに助かる。

②パウロはローマに着くという神の計画の上に、全員が乗せられたのである。

 

 

3.25~26節

Act 27:25 ですから、皆さん。元気を出しなさい。すべて私に告げられたとおりになると、私は神によって信じています。

Act 27:26 私たちは必ず、どこかの島に打ち上げられます。」

(1)パウロは、すべて啓示された通りになるから、元気を出しなさいと励ました。

①このことをされるのは、パウロが信じている神であることを印象づけた。

 

 

(2)最後に彼は、船は必ず、どこかの島に打ち上げられると予告した。

①結果的には、その島はマルタ島だった。

②この時点では、そこまでは知らされていなかった。

③神の導きは、必要なときに、必要なだけ、与えられる。

結論

1.人生の羅針盤

(1)安全な航海のためには羅針盤が必要である。

①おそくとも、11世紀末には中国の船に装備されていた。

②それがヨーロッパに伝わって改良され,大航海時代の幕を開く計器となった。

 

 

(2)パウロが乗った船には、羅針盤はなかった。

①昼は、陸地の景色が羅針盤となった。

②夜は、月や星が羅針盤となった。

③嵐の中では、すべての羅針盤が奪われた状態になる。

 

 

(3)パウロには、羅針盤があった。

①ローマに行くという神の約束が、彼の羅針盤であった。

②神の御使いは、幻の中で、その羅針盤が正しいことを保証した。

 

 

(4)人生における羅針盤は、神のことばである。

 

2.羅針盤を持った人の特権

(1)羅針盤を与えられたパウロは、その船の中で際立った存在になった。

①彼には、揺れ動くということがなかった。

②彼ひとりだけが、絶望しなかった。

 

 

(2)彼の立場は、囚人からリーダーに移行した。

①最初は、彼の意見は無視されたが、最後は、皆が耳を傾けるようになった。

②羅針盤を持った人の最大の特権は、人々に仕えることである。

 

3.羅針盤を持った人の使命

(1)羅針盤を持った人の使命は、絶望した人々に希望を語ることである。

①パウロは2度、「元気を出しなさい」と語っている。

②使27:36

Act 27:36 そこで一同も元気づけられ、みなが食事をとった。

 

 

(2)この希望は、神を信じるところから来る希望である。

①パウロは、彼が信じる神から啓示が与えられたことを強調した。

②マルタ島に上陸する直前に、ともに食事をした。

③使27:35~37

Act 27:35 こう言って、彼はパンを取り、一同の前で神に感謝をささげてから、それを裂いて食べ始めた。

Act 27:36 そこで一同も元気づけられ、みなが食事をとった。

Act 27:37 船にいた私たちは全部で二百七十六人であった。

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