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60分でわかる新約聖書(2)マルコの福音書
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マルコの福音書について学ぶ。
60分でわかる新約聖書(2)「マルコの福音書」
1.はじめに
(1)マルコの福音書の位置づけ
①マルコの福音書は、最も短い福音書である。
②マルコ書の内容の約90%が、マタイとルカにも含まれている。
③4世紀から19世紀に至るまで、学者たちはマルコを重視して来なかった。
④19世紀末から、マルコが最初に書かれた福音書だという認識が広まった。
⑤福音書は、単なるイエス・キリストの伝記ではない。
⑥4人の著者たちは、ある読者を想定し、その必要に答えるために執筆した。
⑦マルコの視点は、牧会者のそれである。
*信仰に入って間のないローマ人クリスチャンを励ますために書いた。
*キリストの弟子として生きることの意味を教えるために書いた。
(2)著者と執筆年代
①初期の教会教父たちは、マルコが著者であると証言している。
②使12:12
Act 12:12 こうとわかったので、ペテロは、マルコと呼ばれているヨハネの母マリヤの家へ行った。そこには大ぜいの人が集まって、祈っていた。
③彼の母は、初代教会の指導者のひとりで、エルサレムに家を持っていた。
④彼は、バルナバのいとこであった(コロ4:10)。
⑤また彼は、ペテロの同労者でもあった。
1Pe 5:13 バビロンにいる、あなたがたとともに選ばれた婦人がよろしくと言っています。また私の子マルコもよろしくと言っています。
⑥執筆年代は、紀元55~59年頃であろう(紀元70年以前)。
2.アウトライン:マルコの福音書の特徴
Ⅰ.イエスの行動の強調
Ⅱ.目撃者の証言
Ⅲ.十字架と復活に向って進むイエス
Ⅳ.イエスの弟子であることの意味
結論
マルコの福音書について学ぶ。
Ⅰ.イエスの行動の強調
1.イエスの教えよりも行動が強調されている。
(1)18の奇跡が記録されている。
①たとえ話はわずか4つである。
(2)長い説教は、わずか1つである。
①マコ13:3~7オリーブ山の説教
(3)「教えられた」という表現が繰り返し出て来るが、内容は書かれていない。
①マコ1:21
Mar 1:21 それから、一行はカペナウムに入った。そしてすぐに、イエスは安息日に会堂に入って教えられた。
②マコ1:39
Mar 1:39 こうしてイエスは、ガリラヤ全地にわたり、その会堂に行って、福音を告げ知らせ、悪霊を追い出された。
Ⅱ.目撃者の証言
1.表現が非常に生々しい。
(1)ペテロが情報源になっている。
①マコ2:4
Mar 2:4 群衆のためにイエスに近づくことができなかったので、その人々はイエスのおられるあたりの屋根をはがし、穴をあけて、中風の人を寝かせたままその床をつり降ろした。
②マコ4:37~38
Mar 4:37 すると、激しい突風が起こり、舟は波をかぶって、水でいっぱいになった。
Mar 4:38 ところがイエスだけは、とものほうで、枕をして眠っておられた。弟子たちはイエスを起こして言った。「先生。私たちがおぼれて死にそうでも、何とも思われないのですか。」
(2)自分を登場させている。
①マコ14:51~52
Mar 14:51 ある青年が、素はだに亜麻布を一枚まとったままで、イエスについて行ったところ、人々は彼を捕らえようとした。
Mar 14:52 すると、彼は亜麻布を脱ぎ捨てて、はだかで逃げた。
2.文学的な文章ではなく、日常会話に近い平易なギリシア語である。
(1)歴史的現在形という時制が頻繁に用いられている。
①150回以上
(2)「すぐに」(ユーセイス)が42回出て来る。
①マコ1:10
Mar 1:10 そして、水の中から上がられると、すぐそのとき、天が裂けて御霊が鳩のように自分の上に下られるのを、ご覧になった。
②マコ1:17~18
Mar 1:17 イエスは彼らに言われた。「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしてあげよう。」
Mar 1:18 すると、すぐに、彼らは網を捨て置いて従った。
③マコ1:21
Mar 1:21 それから、一行はカペナウムに入った。そしてすぐに、イエスは安息日に会堂に入って教えられた。
Ⅲ.十字架と復活に向って進むイエス
1.ピリポ・カイザリヤでのペテロの信仰告白以降、イエスは十字架に向って進まれた。
(1)ピリポ・カイザリヤ→ガリラヤ→エルサレム
①マコ8:31
Mar 8:31 それから、人の子は必ず多くの苦しみを受け、長老、祭司長、律法学者たちに捨てられ、殺され、三日の後によみがえらなければならないと、弟子たちに教え始められた。
②マコ9:33
Mar 9:33 カペナウムに着いた。イエスは、家に入った後、弟子たちに質問された。「道で何を論じ合っていたのですか。」
③マコ10:32
Mar 10:32 さて、一行は、エルサレムに上る途中にあった。イエスは先頭に立って歩いて行かれた。弟子たちは驚き、また、あとについて行く者たちは恐れを覚えた。すると、イエスは再び十二弟子をそばに呼んで、ご自分に起ころうとしていることを、話し始められた。
(2)最後の1週間の記録が全体の約36%を占める。
①エルサレム入城(マコ11:1~11)
②復活(マコ16:1~8)
Ⅳ.イエスの弟子であることの意味
1.イエスが神の子であることが強調されている。
(1)冒頭の聖句は、系図ではない。異邦人は系図に興味を持たない。
①マコ1:1
Mar 1:1 神の子イエス・キリストの福音のはじめ。
(2)父なる神がこれを承認した。
①マコ1:11
Mar 1:11 そして天から声がした。「あなたは、わたしの愛する子、わたしはあなたを喜ぶ。」
②マコ9:7
Mar 9:7 そのとき雲がわき起こってその人々をおおい、雲の中から、「これは、わたしの愛する子である。彼の言うことを聞きなさい」という声がした。
(3)悪霊もこれを認めた。
①マコ3:11
Mar 3:11 また、汚れた霊どもが、イエスを見ると、みもとにひれ伏し、「あなたこそ神の子です」と叫ぶのであった。
②マコ5:7
Mar 5:7 大声で叫んで言った。「いと高き神の子、イエスさま。いったい私に何をしようというのですか。神の御名によってお願いします。どうか私を苦しめないでください。」
(4)イエスもこれを認めた。
①マコ14:61~62
Mar 14:61 しかし、イエスは黙ったままで、何もお答えにならなかった。大祭司は、さらにイエスに尋ねて言った。「あなたは、ほむべき方の子、キリストですか。」
Mar 14:62 そこでイエスは言われた。「わたしは、それです。人の子が、力ある方の右の座に着き、天の雲に乗って来るのを、あなたがたは見るはずです。」
(5)ローマ人の百人隊長もこれを認めた。
①マコ15:39
Mar 15:39 イエスの正面に立っていた百人隊長は、イエスがこのように息を引き取られたのを見て、「この方はまことに神の子であった」と言った。
(6)その他の証拠
①権威ある教え
②病を癒す権威
③悪霊に対する権威
④自然界を支配する権威
⑤死に打ち勝つ権威
2.弟子たちの理解が遅いことが強調されている。
(1)個人的な教えを受けながら、理解が進まなかった。
①マコ4:13
Mar 4:13 そして彼らにこう言われた。「このたとえがわからないのですか。そんなことで、いったいどうしてたとえの理解ができましょう。
②マコ8:17~21
Mar 8:17 それに気づいてイエスは言われた。「なぜ、パンがないといって議論しているのですか。まだわからないのですか、悟らないのですか。心が堅く閉じているのですか。
Mar 8:18 目がありながら見えないのですか。耳がありながら聞こえないのですか。あなたがたは、覚えていないのですか。
Mar 8:19 わたしが五千人に五つのパンを裂いて上げたとき、パン切れを取り集めて、幾つのかごがいっぱいになりましたか。」彼らは答えた。「十二です。」
Mar 8:20 「四千人に七つのパンを裂いて上げたときは、パン切れを取り集めて幾つのかごがいっぱいになりましたか。」彼らは答えた。「七つです。」
Mar 8:21 イエスは言われた。「まだ悟らないのですか。」
(2)イエスが一番教えたかったのは、「苦難のしもべ」というメシア像である。
①マコ10:45
Mar 10:45 人の子が来たのも、仕えられるためではなく、かえって仕えるためであり、また、多くの人のための、贖いの代価として、自分のいのちを与えるためなのです。」
*イザ52:13~53:12の預言の成就
②イエスは栄光の王として戻って来られるが、その前に受難のしもべとして
父なる神の御心に忠実に歩まれる。
③弟子たちには、理解するのが難しかった。
結論
1.マルコの福音書の執筆目的は、牧会的なものである。
(1)ローマのクリスチャンたちはすでに福音を信じていた。
①ロマ1:8
Rom 1:8 まず第一に、あなたがたすべてのために、私はイエス・キリストによって私の神に感謝します。それは、あなたがたの信仰が全世界に言い伝えられているからです。
(2)彼らは、困難な状況の中で、自らの信仰内容を再確認する必要があった。
①特に、イエスの弟子であることの意味を再確認する必要があった。
②そのために、イエスの行いと教えを学び直す必要があった。
③読者は、12使徒と自分を重ね合わせてこれを読むことを期待されている。
④マコ8:34~35
Mar 8:34 それから、イエスは群衆を弟子たちといっしょに呼び寄せて、彼らに言われた。「だれでもわたしについて来たいと思うなら、自分を捨て、自分の十字架を負い、そしてわたしについて来なさい。
Mar 8:35 いのちを救おうと思う者はそれを失い、わたしと福音とのためにいのちを失う者はそれを救うのです。
2.マルコ自身も、イエスの弟子として成長した。
(1)第一次伝道旅行で、マルコは、バルナバとサウロの助手として奉仕した。
①第二次伝道旅行で、マルコを参加させるかどうかで論争が起こった。
②結果的に、2つの伝道隊が誕生した。
(2)パウロは晩年になって、マルコの奉仕を評価するようになった。
2Ti 4:11 ルカだけは私とともにおります。マルコを伴って、いっしょに来てください。彼は私の務めのために役に立つからです。
3.パウロは、マルコの福音書のテーマをこのように要約している。
(1)ピリ2:3~11
Php 2:3 何事でも自己中心や虚栄からすることなく、へりくだって、互いに人を自分よりもすぐれた者と思いなさい。
Php 2:4 自分のことだけではなく、他の人のことも顧みなさい。
Php 2:5 あなたがたの間では、そのような心構えでいなさい。それはキリスト・イエスのうちにも見られるものです。
Php 2:6 キリストは神の御姿である方なのに、神のあり方を捨てられないとは考えず、
Php 2:7 ご自分を無にして、仕える者の姿をとり、人間と同じようになられました。人としての性質をもって現れ、
Php 2:8 自分を卑しくし、死にまで従い、実に十字架の死にまでも従われました。
Php 2:9 それゆえ神は、この方を高く上げて、すべての名にまさる名をお与えになりました。
Php 2:10 それは、イエスの御名によって、天にあるもの、地にあるもの、地の下にあるもののすべてが、ひざをかがめ、
Php 2:11 すべての口が、「イエス・キリストは主である」と告白して、父なる神がほめたたえられるためです。
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