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60分でわかる新約聖書(1)マタイの福音書
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マタイの福音書について学ぶ。
60分でわかる新約聖書(1)「マタイの福音書」
1.はじめに
(1)マタイの福音書の位置づけ
①旧約時代と新約時代の間に、約400年の中間時代が入る。
*中間時代に多くの重要なことが起こった。
*覇権国が、アジア(ペルシヤ)からヨーロッパ(ローマ)に移行した。
*ユダヤ人の生活と信仰がギリシア文明の影響を受けた。
*旧約時代にはなかった諸グループが誕生した。
*会堂が各地に作られた。
*口伝律法が発展した。
②マタイの福音書は、旧約時代と新約時代をつなぐブリッジである。
*それゆえ、新約聖書の最初に置かれている。
③聖書の中で最も重要な書は、創世記とマタイの福音書である。
(2)著者と執筆年代
①元取税人で、12使徒のひとりとなったマタイである。
*彼は、イエスに従うためにすべてを捨てた。
Mat 9:9 イエスはそこから進んで行き、マタイという人が収税所に座っているのを見て、「わたしについて来なさい」と言われた。すると、彼は立ち上がってイエスに従った。
*しかし神は、マタイの経験と賜物をお用いになった。
*その結果、マタイの福音書が生まれた。
②執筆年代は、紀元55~65年頃であろう。
2.アウトライン:マタイの福音書の特徴
Ⅰ.時間順ではなくテーマ別
Ⅱ.旧約聖書からの引用
Ⅲ.イエスの教えの強調
Ⅳ.神の国のプログラム
Ⅴ.普遍的内容
結論
マタイの福音書について学ぶ。
Ⅰ.時間順ではなくテーマ別
1.マタイの福音書は、時間順に配列されたメシアの生涯の記録ではない。
(1)ルカの福音書は、時間の流れに忠実に物語が配列されている。
①ルカは歴史家である。
2.マタイの福音書は、テーマ別にまとめられたメシアの生涯の記録である。
(1)取税人は、種々のテーマを整理し、まとめるのが得意である。
(2)要約の例
①イエスの系図は3区分され、各区分は14代になっている。
②奇跡の記録は、8~10章に集中している。
③たとえ話は、13章に集中している。
④イエスへの敵対は、11~16章に集中している。
Ⅱ.旧約聖書からの引用
1.この書の対象はユダヤ人なので、旧約聖書からの引用が多いのは当然である。
(1)マタイは、イエスが約束のメシアであることを示そうとしている。
①旧約預言を60回以上引用し、イエスがそれを成就させたと書いている。
②「主が預言者を通して語られたことが成就するためであった」が定型句。
2.引用の具体例
(1)処女降誕(マタ1:23)
Isa 7:14 それゆえ、主は自ら、あなたがたに一つのしるしを与えられる。見よ、処女が身ごもっている。そして男の子を産み、その名をインマヌエルと呼ぶ。
(2)ベツレヘムで誕生(マタ2:6)
Mic 5:2 「ベツレヘム・エフラテよ、/あなたはユダの氏族の中で、あまりにも小さい。/だが、あなたからわたしのために/イスラエルを治める者が出る。/その出現は昔から、/永遠の昔から定まっている。」
(3)敵の手からの解放(マタ2:15)
Hos 11:1 「イスラエルが幼いころ、わたしは彼を愛し、/エジプトからわたしの子を呼び出した。
(4)ガリラヤでの奉仕(マタ4:15)
Isa 9:1 しかし、苦しみのあったところに闇がなくなる。/先にはゼブルンの地と/ナフタリの地は辱めを受けたが、/後には海沿いの道、ヨルダンの川向こう、/異邦の民のガリラヤは栄誉を受ける。
Isa 9:2 闇の中を歩んでいた民は/大きな光を見る。/死の陰の地に住んでいた者たちの上に/光が輝く。
(5)肉体と霊の癒し(マタ8:17)
Isa 53:4 まことに、彼は私たちの病を負い、/私たちの痛みを担った。/それなのに、私たちは思った。/神に罰せられ、打たれ、苦しめられたのだと。
(6)たとえ話(マタ13:34~35)
Psa 78:1 私の民よ私の教えを耳に入れ/私の口のことばに耳を傾けよ。
Psa 78:2 私は口を開いてたとえ話を/昔からの謎を語ろう。
(7)勝利の入城(マタ21:5~7)
Zec 9:9 娘シオンよ、大いに喜べ。/娘エルサレムよ、喜び叫べ。/見よ、あなたの王があなたのところに来る。/義なる者で、勝利を得、/柔和な者で、ろばに乗って。/雌ろばの子である、ろばに乗って。
Ⅲ.イエスの教えの強調
1.四福音書の中で、イエスの教えを一番多く記しているのは、マタイである。
(1)取税人の特徴と賜物が生かされている。
①取税人は、速記の技能を身に付けていた。
②山上の垂訓は、ほぼイエスのことばそのものであろう。
(2)教えに関しては、5つのブロックが存在する。
2.5つのブロックの具体例
(1)マタ5~7章山上の垂訓
①弟子たちに向けられた教えである。
②メシアによるモーセの律法の解釈である。
(2)マタ10章弟子たちを派遣する際のメッセージ
①イスラエルの家の失われた羊のところに行け。
②「天の御国は近づいた」と宣べ伝えよ。
③これは、イスラエルに対するメシア的王国の提示である。
(3)マタ13章たとえ話
①ベルゼブル論争の後で語られたたとえ話である。
②イスラエルがメシアを拒否して以降の霊的状態を教えている。
③この状態を「奥義としての王国」と呼ぶ。キリスト教界のことである。
(4)マタ23章イスラエルの霊的指導者たちの叱責
①イスラエルは、民族的にメシアを拒否した。
②その結果、神の裁きが下る。
(5)マタ24~25章オリーブ山の説教
①エルサレムと諸国民の将来に関する預言である。
②メシアの再臨と裁きに関する預言である。
Ⅳ.神の国のプログラム
1.ユダヤ人の疑問
(1)マタイは、イエスが「約束のメシア」であることを示した。
①イエスは、旧約聖書のメシア預言を成就した。
(2)当然の疑問は、「では、メシアがもたらすはずの神の国はどうなったのか」。
①旧約預言のクライマックスは、メシアがもたらす神の国である。
2.「イエスの教えの強調」の中で、マタイはその疑問に答えている。
(1)マタ5~7章山上の垂訓
①イエスは、御自身を神の国の王として示された。
(2)マタ10章弟子たちを派遣する際のメッセージ
①王は弟子たちを派遣し、イスラエルに対して神の国を提示された。
(3)マタ13章たとえ話
①ベルゼブル論争で、イスラエルはイエスを王として受け入れることを拒否
した。
②神の国の提示は、その時代のイスラエルからは取り去られた。
③旧約聖書では預言されていなかった「奥義としての王国」の時代に入る。
(4)マタ23章イスラエルの霊的指導者たちの叱責
①不信仰のゆえに、イスラエルに神の裁きが下ることが確定した。
(5)マタ24~25章オリーブ山の説教
①イスラエルに下る裁きに関する預言である。
②メシアの再臨に関する預言である。
③取り去られた神の国が、いかにして成就するかの預言である。
Ⅴ.普遍的内容
1.マタイの福音書はユダヤ人のために書かれたが、普遍的内容も含んでいる。
(1)マタ1:1
Mat 1:1 アブラハムの子、ダビデの子、イエス・キリストの系図。(新改訳2017)
Mat 1:1 初めに、イエス・キリストの先祖の名前を記すことから始めましょう。イエス・キリストはダビデ王の子孫、さらにさかのぼってアブラハムの子孫です。(リビングバイブル)
(2)原文の語順は、ダビデ、アブラハムである。
①マタイの意図は「王なるお方は、ダビデ王の子孫して来られる」ということ。
②イエスは、ご自分の民のところに王として来られたが、拒否された。
③そこで、諸国民に神の国への招待状が届けられることになった。
2.普遍的内容の例
(1)アブラハム契約の中に、すでに普遍的内容が含まれている。
Gen 12:1 【主】はアブラムに言われた。/「あなたは、あなたの土地、/あなたの親族、あなたの父の家を離れて、/わたしが示す地へ行きなさい。
Gen 12:2 そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、/あなたを祝福し、/あなたの名を大いなるものとする。/あなたは祝福となりなさい。
Gen 12:3 わたしは、あなたを祝福する者を祝福し、/あなたを呪う者をのろう。/地のすべての部族は、/あなたによって祝福される。」
(2)東方の博士たちの礼拝(マタ2:1~12)
(3)信仰のある百人隊長(マタ8:5~13)
(4)カナン人の女(マタ15:22~28)
(5)大宣教命令
Mat 28:18 イエスは近づいて来て、彼らにこう言われた。「わたしには天においても地においても、すべての権威が与えられています。
Mat 28:19 ですから、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい。父、子、聖霊の名において彼らにバプテスマを授け、
Mat 28:20 わたしがあなたがたに命じておいた、すべてのことを守るように教えなさい。見よ。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたとともにいます。」
結論
1.パリサイ人とサドカイ人の失敗
(1)旧約聖書を学んでいた。
(2)しかし、霊の目は閉ざされていた。
(3)自分が描くメシア像を求めた。
(4)イエスは、それに合致しなかった。
2.私たちの問題
(1)神が私たちを選ぶのか、私たちが神を選ぶのか。
(2)私たちが求める神は、愛と恵みに富んだ神である。
(3)しかし、聖であり、義であり、裁きを行う神は、求めたくない。
(4)そのような神は、偶像に等しい。
(5)神は、イエス・キリストを通してご自身に近づく人を求めておられる。
(6)神に忠実に歩む人を求めておられる。
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