60分でわかる旧約聖書(40)「中間時代」

  • 2018.10.02
  • スピーカー 中川健一
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中間時代について学ぶ。

60分でわかる旧約聖書(40)「中間時代」

 

1.はじめに

(1)中間時代とは

①英語で「intertestamentalperiod」という。

②マラキ書が完成してからキリストが登場するまでの期間を指す。

③預言者マラキの時代から、バプテスマのヨハネの登場までの期間

*マラ3:1

Mal3:1 「見よ。わたしは、わたしの使者を遣わす。/彼はわたしの前に道を整える。/あなたがたが尋ね求めている主が、/突然、その神殿に来る。/あなたがたが望んでいる契約の使者が、/見よ、来ている」と万軍の【主】は仰せられる。

④「400年の沈黙の期間」とも言う。

⑤この期間に、イスラエルの政治的、宗教的、社会的状況は激変した。

 

(2)新しい啓示は与えられなかったが、神が休憩していたということではない。

①この期間は、新しい啓示を必要としない時代である。

②神は、契約の民イスラエルを忘れてはおられなかった。

③神は、ご自身の計画を進めておられた。

④中間時代は、メシア登場の舞台が整う時代である。

 

2.アウトライン

Ⅰ.政治的状況の変化

Ⅱ.宗教的状況の変化

Ⅲ.社会的状況の変化

 

 

中間時代について学ぶ。

Ⅰ.政治的状況の変化

はじめに:政治的状況は、ダニ2:31~35の預言通りに進んだ。

Dan2:31 王さま。あなたは一つの大きな像をご覧になりました。見よ。その像は巨大で、その輝きは常ならず、それがあなたの前に立っていました。その姿は恐ろしいものでした。 

Dan2:32 その像は、頭は純金、胸と両腕とは銀、腹とももとは青銅、 

Dan2:33 すねは鉄、足は一部が鉄、一部が粘土でした。 

Dan2:34 あなたが見ておられるうちに、一つの石が人手によらずに切り出され、その像の鉄と粘土の足を打ち、これを打ち砕きました。 

Dan2:35 そのとき、鉄も粘土も青銅も銀も金もみな共に砕けて、夏の麦打ち場のもみがらのようになり、風がそれを吹き払って、あとかたもなくなりました。そして、その像を打った石は大きな山となって全土に満ちました。 

(1)王は、夢で一つの大きな像の幻を見た(異邦人の4大帝国の興亡)。

(2)ダニエルによる解き明かし

①頭は純金(バビロン帝国)。

②胸と両腕は銀(メド・ペルシヤ連合帝国)。

③腹とももは青銅(アレクサンドロス大王のギリシヤ帝国)。

④すねは鉄、足は一部が鉄、一部が粘土(第4の帝国‐帝国主義)。

⑤一つの石が人手によらずに切り出され、像の鉄と粘土の足を打ち砕いた。

*その像を打った石は、大きな山となって全土に満ちた。

*この山は、メシア的王国(千年王国)を象徴している。

 

1.頭は純金(バビロン帝国)

(1)バビロンは、メド・ペルシヤ連合帝国によって滅ぼされた(前539年)

 

2.胸と両腕は銀(メド・ペルシヤ連合帝国)

(1)イスラエルの民は、ペルシヤ帝国の支配下に置かれた(前532~332年)。

①ペルシヤ帝国は、ユダヤ人が自分の宗教を維持することを許した。

②ペルシヤの王クロスは、エルサレムの神殿の再建を許可した。

③この時期は、ユダヤ人にとっては比較的平和な時代であった。

④旧約時代の最後の100年から中間時代の最初の100年にかけの合計200年。

 

3.腹とももは青銅(アレクサンドロス大王のギリシヤ帝国)

(1)アレクサンドロス大王がペルシヤのダリヨスを破った(前331年)。

①マケドニア帝国が世界の覇権国となる。

②彼はギリシア文明の庇護者であった。

*アリストテレスの弟子

*ギリシア哲学や政治学を学んだ。

*征服した地に、ギリシア文明を紹介した。

③ギリシア文明は、ユダヤ人に悪影響をもたらした。

*世俗的

*人間中心

*偶像礼拝

 

(2)アレクサンドロスの死後、帝国は3分割された。

①マケドニアのアンティゴノス朝

②エジプトのプトレマイオス朝

③シリアのセレウコス朝

 

(3)セレウコス朝の王アンティオコス・エピファネスが神殿を冒涜した。

①神殿に豚を捧げ、異教の祭壇を築いた(前167年頃)。

②ユダヤ人の抵抗運動であるマカベア戦争が起こった(前166~前142年)。

③この戦争の結果、ユダヤ人の自治がしばらく続いた(ハスモン朝)。

 

4.すねは鉄、足は一部が鉄、一部が粘土(第4の帝国‐帝国主義)

(1)ローマのポンペイウスがイスラエルを征服した(前63年)。

①ヘロデは、ローマ帝国によってユダヤの王に任命された。

②ユダヤ人たちは、ローマの圧政と重税に苦しめられた。

 

(2)ユダヤでは、ギリシア・ローマ文明とヘブル文明が混在するようになった。

 

 

Ⅱ.宗教的状況の変化

1.サドカイ派

(1)サドカイ派は、祭司たちと貴族階級の者たちから成っていた。

①政治的には、親ローマである。一般大衆の支持はなかった。

②神学的には、モーセの五書しか神のことばとして認めていなかった。

③パリサイ派の口伝律法に強く反発した。

④天使や悪霊の存在を否定した。

⑤魂の永遠性を否定し、肉体の復活も否定した。

 

2.パリサイ派

(1)パリサイ派は、ヘブル語「パラシム」で、ギリシア語で「ファリサイオス」。

①「分離した」という意味。

②ユダヤ教の種々のグループの中で、文化的には最も保守的である。

*特に、ヘレニズム化には抵抗した。

③教理的には、イエスと弟子たちは、サドカイ派よりもパリサイ派に近かった。

*死者の復活を信じていた。

*永遠の報奨と永遠の裁きを信じていた。

*天使や悪霊の存在を信じていた。

*神の主権と人間の責務をバランス良く理解していた。

*律法、預言者、諸書の全体を神の啓示と信じていた。

*律法の遵守に熱心。律法の周りに垣根を立てた(口伝律法)。

④この時代、民衆にとっては、ユダヤ教と言えばパリサイ的ユダヤ教であった。

⑤パリサイ人の中には、イエスを支持する人とイエスに敵対する人がいた。

⑥教会が誕生した直後は、パリサイ派は教会に対して中立的な立場を取った。

⑦使8章になって、パリサイ人のサウロが教会を迫害するようになる。

 

3.ギリシア語訳聖書

(1)ヘブル語を話さないユダヤ人の増加。ギリシア語訳聖書が必要になった。

①七十人訳聖書が誕生した。

②新約の記者が旧約聖書から引用する場合は、ほとんどが七十人訳聖書。

③新約聖書はギリシア語で書かれている。

 

 

Ⅲ.社会的状況の変化

1.ユダヤ人たちの霊的渇望

(1)ユダヤ人たちは、絶望していた。

①バビロンからの帰還、ペルシヤ、ギリシアによる支配

②マカベア戦争による自治の回復

③ローマによる支配

 

(2)信仰はなきに等しかった。

①メシアの到来しか、この問題を解決することができない。

②メシア待望の高まり

 

2.異邦人たちの宗教への失望

(1)多神教への疑問

①道徳的退廃

②ギリシア神話からユダヤ人の聖書へ

③聖書は、ギリシア語で読めるようになっていた。

 

3.その他の変化

(1)ローマによる平和

①安全な旅行が可能になった。

 

(2)ローマによる道路建設

①移動が容易になった。

 

(3)ギリシア語が共通語になった。

①コイネー・グリーク

②新約聖書のギリシア語である。

 

(4)会堂が各地に建設された。

①バビロン捕囚の期間に誕生したと思われる。

②神殿崩壊後も、ユダヤ教を維持するための方法として生まれた。

③会堂は、祈りとトーラーの学びのためのコミュニティセンターとなった。

④捕囚からの帰還後、各地にシナゴーグが建てられた。

⑤ディアスポラの地に留まったユダヤ人たちも、会堂での活動を継続した。

⑥両者にとって、会堂は神殿での礼拝を補完するものとなった。

⑦紀元1世紀、イスラエルの地には480の会堂があったとされる。

⑧会堂は、その地におけるユダヤ人の生活の中心となった。

*イスラエルの地においても、ディアスポラの地においても、そう言える。

*コミュニティセンター

*礼拝、祈り、説教の場

*冠婚葬祭の場

*時事問題を論じる場

*学校(成人学校、子どものための学校、改宗者のための学校)

⑨会堂は、水辺の近くに建てられた。洗礼槽のための水。

⑩会堂は、パウロの伝道旅行のためのインフラストラクチャーとなった。

⑪ディアスポラの地では、会堂のそばに宿屋が建てられることが多かった。

 

結論

1.ルカ312

Luk3:1皇帝テベリオの治世の第十五年、ポンテオ・ピラトがユダヤの総督、ヘロデがガリラヤの国主、その兄弟ピリポがイツリヤとテラコニテ地方の国主、ルサニヤがアビレネの国主であり、

Luk3:2アンナスとカヤパが大祭司であったころ、神のことばが、荒野でザカリヤの子ヨハネに下った。

 

2.ガラ44

Gal4:4 しかし定めの時が来たので、神はご自分の御子を遣わし、この方を、女から生まれた者、また律法の下にある者となさいました。 

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