Q.15 なぜ、聖書には色んな翻訳があるの?

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本屋さんの聖書コーナーに行くと、色々な翻訳の聖書がありますよね?最近クリスチャンになった編集部のI氏は、どれを買ったら良いか悩んだ末、結局なにも買わずに帰ってきた事があるとかないとか。
どうして、聖書にこんなに種類があるのでしょう。

Q.15 なぜ、聖書には色んな翻訳があるの?

 

Q. 質問

聖書を読んでみようと思い、図書館に行ったところ日本語訳だけでも何種類もあり、どの聖書が正しいのかわからず、結局借りずに帰ってきてしまいました。なぜ聖書には多くの翻訳があるのですか。やはり1番古いものが正確なのでしょうか。

 

A. 回答

いい質問だと思います。いつものように、3つ申し上げます。

 

1番目に、聖書の「原典」は変わりません。

原典というと、旧約聖書は「ヘブル語」で書かれています。一部、「アラム語」が混じっています。新約聖書は「ギリシア語」で書かれています。ですから、「ヘブル語」の旧約聖書および「ギリシア語」の新約聖書は、変わることがありません。

 

2番目に、「ではなぜ、多くの翻訳が出てくるのか」という点ですが、それは、私たちの使う言葉は常に変化しているからです。

たとえば、日本語訳聖書を調べてみますと、とても古い訳で「文語訳聖書」というものがあります。これは、大変美しい日本語で書かれています。しかし、今の若い人たちが「文語訳聖書」を読んでも、なかなかピンと来ません。そのため「文語訳聖書」は、現在、教会ではほとんど用いられなくなっています。ただし、「文語訳聖書」の文体がとても素晴らしいので、今でもそれを用いている教会が少数ですが存在しています。しかし一般的には、文語調の文章は若い人たちには馴染みがないので、分かり易い言葉に翻訳し直す必要があるわけです。

 

以上のような理由で、「文語訳聖書」以外に、「口語訳聖書」、「新改訳聖書」、「新共同訳聖書」などが出てくるわけです。これ以外にも、個人訳聖書がいくつもあります。これは、「言葉自体」が変化しているので、時代の要請に答えるために新しい訳文が必要となるということです。

 

3番目に、聖書の言葉の意味について、新しい発見が出てくるということが上げられます。

冒頭に、原典は変わらないと言いましたが、「これが原典だ」と言えるものが物理的に存在しているわけではありません。私たちが持っているのは、原典から派生した何千という「写本群」です。学者たちは、それらの写本を比較検討しながら、「原典が何か」を常に探究しています。その結果、今では原典の99%以上が回復されたと考えられる状態になっています。原典は物理的には存在しませんが、文字情報としては、信頼できる程度に回復されているわけです。

 

研究は常に前進しています。もし、「新しい写本が出てきた」、「新しい発見があった」というようなことになると、原典に関してより深い理解が進むわけです。さらに、考古学上で、さまざまな文書が発見されることがあります。聖書の一部ではなく、一般の文書でもよいのですが、聖書時代の文書が発見されると、それまで意味不明であった言葉に新しい光が当たります。文脈で判断すると、「なるほど、この言葉にはこういう意味があるんだ」というような理解が進みます。聖書には1度しか出てこないため、十分に分からなかった言葉も、別の資料を参考にすることによって、理解できるようになります。

 

このような発見の積み重ねによって、より正確な聖書翻訳が可能になります。そのため、ある期間が経過すると、聖書を訳し直す必要が出てくるわけです。

 

これは、聖書の信頼性の破壊ではなく、より正確な訳に近づこうとする試みです。聖書学者たちは、こういう努力を絶えずしています。

 

参考になる聖句

「あなたがたは、朽ちる種からではなく、朽ちない種から、すなわち、神の変わることのない生きた言葉によって新たに生まれたのです。こう言われているからです。『人は皆、草のようで、その華やかさはすべて、草の花のようだ。草は枯れ、花は散る。しかし、主の言葉は永遠に変わることがない。』これこそ、あなたがたに福音として告げ知らされた言葉なのです」ペテロの手紙第一1:23)

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