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使徒の働き(25)―ステパノの弁明(3)―
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ステパノの弁明について学ぶ。
「ステパノの弁明(3)」
使徒7:44~53
1.はじめに
(1)ステパノは、使徒の働きの物語の岐路に立つ人物である。
①ステパノの裁判が始まる。
②偽証人たちは、ステパノがユダヤ教の4つの土台を冒涜していると攻撃した。
*神、モーセ、トーラー、神殿
(2)ステパノの弁明
①この弁明は、使徒の働きの中で最も長いメッセージである。
②この弁明は、歴史的事実の羅列ではなく、旧約聖書の組織神学である。
③これまでにステパノは、神、モーセ、トーラーについて論じた。
④残されているのは、神殿だけである。
(3)ステパノの弁明の6つのポイント(7:1~53)
①アブラハム:ユダヤ教の土台(7:1~8)
②ヨセフ:拒否された者が高く上げられ救い主になった(7:9~16)。
③モーセ:拒否された者が解放者になった(7:17~40)。
④イスラエルの慢性的罪:偶像礼拝(7:41~43)
⑤神殿:神の臨在の普遍性(7:44~50)
⑥イスラエルの民の糾弾:常に聖霊に逆らっている(7:51~53)。
2.アウトライン
(5)神殿:神の臨在の普遍性(7:44~50)
(6)イスラエルの民の糾弾:常に聖霊に逆らっている(7:51~53)。
結論:神の計画の進展
(1)律法の時代から恵みの時代へ
(2)ユダヤ人信者と律法の関係
(2)恵みの時代と異邦人
ステパノの弁明について学ぶ。
Ⅴ.神殿:神の臨在の普遍性(7:44~50)
1.44節
Act7:44 私たちの父祖たちのためには、荒野にあかしの幕屋がありました。それは、見たとおりの形に造れとモーセに言われた方の命令どおりに、造られていました。
(1)ステパノは、神殿のテーマに入る前に、幕屋を取り上げる必要があった。
①イスラエルの民は、荒野で幕屋を造った。
②これは、「あかしの幕屋」と呼ばれている。
*「あかしの箱」(契約の箱)が至聖所に置かれていた。
*「あかしの箱」には、十戒が書かれた石版が2枚入っていた。
③出25:16
「わたしが与えるさとしをその箱に納める」(新改訳)
「そしてその箱に、わたしがあなたに与えるあかしの板を納めなければならない」
(口語訳)
(2)あかしの幕屋は、神がモーセに示した設計図通りに造られた。
①幕屋の目的は、神の臨在がその中に現れるためである。
②神の臨在は、荒野に現れた。
③神の臨在が現れる場所は、エルサレムに限定されていない。
2.45節
Act7:45 私たちの父祖たちは、この幕屋を次々に受け継いで、神が彼らの前から異邦人を追い払い、その領土を取らせてくださったときには、ヨシュアとともにそれを運び入れ、ついにダビデの時代となりました。
(1)幕屋は、折りたたんで、持ち運び可能な構造になっていた。
①イスラエルの民は、荒野の旅で幕屋を持ち運んだ。
②イスラエルの民は、代々幕屋を受け継いできた。
③イスラエルの民は、カナン征服の際にも、幕屋をその地に運び入れた。
(2)幕屋は、ヨシュアの時代からダビデの時代まで、用いられた。
①ダビデの時代には、神殿はまだ建ってなかった。
3.46~47節
Act7:46 ダビデは神の前に恵みをいただき、ヤコブの神のために御住まいを得たいと願い求めました。
Act7:47 けれども、神のために家を建てたのはソロモンでした。
(1)ダビデは、神殿建設を願った。
①ヤコブの神(イスラエルの神)のために。
②仮住まいではなく、御住まいを用意したい。
③しかし、ダビデの願いは聞かれなかった。
(2)息子のソロモンが、神殿を建てた。
①このとき、神殿は幕屋に取って代わった。
②ステパノは、神殿を過小評価しているわけではない。
③ダビデもまた、神から示された設計図を持っていた。
④1歴28:19
1Ch28:19 「これらすべては、主の御手がわたしに臨んで記されたもので、計画された工事の全貌を理解させてくれる。」(新共同訳)
⑤ソロモンは、その設計図に従って神殿を建設した。
4.48~50節
Act7:48 しかし、いと高き方は、手で造った家にはお住みになりません。預言者が語っているとおりです。
Act7:49 『主は言われる。/天はわたしの王座、/地はわたしの足の足台である。/あなたがたは、どのような家を/わたしのために建てようとするのか。/わたしの休む所とは、どこか。
Act7:50 わたしの手が、これらのものを/みな、造ったのではないか。』
(1)しかし、ダビデとソロモンの意図とは異なり、神は人間が造った家に閉じ込めら
れる方ではない。
①神は、宇宙の創造主である。
②天は神の王座、地は神の足の足台である。
(2)ソロモンの祈り(1列8:27)
1Ki8:27 それにしても、神ははたして地の上に住まわれるでしょうか。実に、天も、天の天も、あなたをお入れすることはできません。まして、私の建てたこの宮など、なおさらのことです。
(3)イザヤの預言(66:1~2)
Isa66:1 【主】はこう仰せられる。/「天はわたしの王座、地はわたしの足台。/わたしのために、あなたがたの建てる家は、/いったいどこにあるのか。/わたしのいこいの場は、いったいどこにあるのか。
Isa66:2 これらすべては、わたしの手が造ったもの、/これらすべてはわたしのものだ。/──【主】の御告げ──/わたしが目を留める者は、/へりくだって心砕かれ、/わたしのことばにおののく者だ。
(4)パウロのメッセージ(使17:24)
Act17:24 この世界とその中にあるすべてのものをお造りになった神は、天地の主ですから、手でこしらえた宮などにはお住みになりません。
(5)ステパノは、神殿での礼拝を否定していない。
①彼は、神殿を正しく位置づけることの重要性を強調している。
②神殿が不要になる時代が来ようとしている。
③その時代への準備はできているかと問うているのである。
④サドカイ人にとっては、死活問題である。
Ⅵ.イスラエルの民の糾弾:常に聖霊に逆らっている(7:51~53)。
1.51節
Act7:51 かたくなで、心と耳とに割礼を受けていない人たち。あなたがたは、父祖たちと同様に、いつも聖霊に逆らっているのです。
(1)ここから、ステパノの弁明がクライマックスに入る。
①ここでのステパノの言葉と姿は、旧約聖書の預言者を彷彿とさせる。
②これまでは、三人称で語っていた。
③ここからは、サンヘドリンに対して二人称で激しく語りかける。
(2)「かたくなで、心と耳とに割礼を受けていない人たち」という呼びかけ
①「かたくな」
*出32:9、33:3、5、34:9、申9:6、10:16
②「心と耳とに割礼を受けていない人たち」
*レビ26:41、申10:16、エレ4:4、6:10、9:26、エゼ44:7
③「いつも聖霊に逆らっている」
*イザ63:10
Isa63:10 しかし、彼らは逆らい、/主の聖なる御霊を痛ませたので、/主は彼らの敵となり、みずから彼らと戦われた。
2.52節
Act7:52 あなたがたの父祖たちが迫害しなかった預言者がだれかあったでしょうか。彼らは、正しい方が来られることを前もって宣べた人たちを殺したが、今はあなたがたが、この正しい方を裏切る者、殺す者となりました。
(1)先祖たちの罪
①預言者たちを迫害した。
②「正しい方」(メシア)の到来を預言した預言者たちを殺した。
(2)ここまでステパノは、イエスという名を出すことを控えてきた。
①ここでは、「正しい方」がイエスである。
②「正しい方」とは、受難のしもべのタイトルである。
③イザ53:11
Isa53:11 彼は、自分のいのちの/激しい苦しみのあとを見て、満足する。/わたしの正しいしもべは、/その知識によって多くの人を義とし、/彼らの咎を彼がになう。
(3)サンヘドリンが裏切り、殺したのはこの「正しい方」(メシア)である。
①イスカリオテのユダの罪は、裏切りである。
②サンヘドリンの罪は、裏切り+殺人である。
3.53節
Act7:53 あなたがたは、御使いたちによって定められた律法を受けたが、それを守ったことはありません。」
(1)イスラエルの民は、一貫して神に反抗し、律法を否定してきた。
①律法の付与には、御使いたちが関係していた。
*使7:38参照
(2)イスラエルの民の反抗は、ヘブル語聖書の証言と合致している。
①2歴36:15~16
2Ch36:15 彼らの父祖の神、【主】は、彼らのもとに、使者たちを遣わし、早くからしきりに使いを遣わされた。それは、ご自分の民と、ご自分の御住まいをあわれまれたからである。
2Ch36:16 ところが、彼らは神の使者たちを笑いものにし、そのみことばを侮り、その預言者たちをばかにしたので、ついに、【主】の激しい憤りが、その民に対して積み重ねられ、もはや、いやされることがないまでになった。
結論:神の計画の進展
(1)律法の時代から恵みの時代へ
①神は、ご自分の栄光のために歴史を導かれる。
②神の計画は、神の栄光のために進んで行く。
③神の経綸(ディスペンセーション)は、律法の時代から恵みの時代に入った。
④律法の時代において神殿が持っていた役割は、終わった。
*モーセの律法が要求する祭儀の体系は、不要になった。
(2)ユダヤ人信者と律法の関係
①ユダヤ人信者は、モーセの律法から解放され、キリストの律法に従う者となった。
②モーセの律法に関しては、それを行う自由も、行わない自由もある。
③律法を行う人は、そうすることが救いや聖化に役立つと思ってはならない。
④また、行わない人を批判してはならない。
⑤律法を行わない人は、行う人を批判してはならない。
(3)恵みの時代と異邦人
①異邦人は、最初からモーセの律法の下にはいなかった。
②モーセの律法は、エジプトを出た契約の民に与えられたものである。
③異邦人にとっての律法とは、基本的には良心である。
④恵みの時代になり、異邦人もまた、恵みと信仰によって、救われるようになった。
⑤異邦人信者は、今はキリストの律法の下にいる。
⑥ロマ書7章クリスチャンからロマ書8章クリスチャンへの変化が必要である。
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