使徒の働き(1)―前書き(1)―

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使徒の働きの全体像について学ぶ。

「前書き(1)」

使徒1:1~5

1.はじめに

(1)新約聖書の約25パーセントがルカの著作である。

①ルカの福音書

②使徒の働き

(2)使徒の働きの学びの冒頭で、3つの重要な問いに答える。

 

2.アウトライン

(1)ルカとは誰か。

(2)この書はいつ執筆されたのか。

(3)この書が書かれた目的は何か。

①歴史的目的

②神学的目的

③弁証論的目的

 

 

結論:

(1)この書の今日的意義は何か。

 

使徒の働きの全体像について学ぶ。

Ⅰ.ルカとは誰か。

1.ルカの福音書と使徒の働きの執筆者である。

(1)ルカに関しては、ほとんど情報がない。

①彼が高等教育を受けていたことは、疑いようがない。

②彼は、医者であった。

*癒しの奇跡に関して、医学的見地から証言することができた。

③当時、有名な大学町が3つあったが、そのいずれかで医学を学んだのであろう。

*アテネ(ギリシア)

*アレキサンドリア(エジプト)

*タルソ(小アジアのキリキヤ、パウロの出身地)

 

2.ルカは異邦人なのかユダヤ人なのか。

(1)ルカは異邦人であるというのが通説である。

①その説は、コロ4:14を根拠としている。

Col 4:14 愛する医者ルカ、それにデマスが、あなたがたによろしくと言っています。

②コロ4:10~11で、パウロはユダヤ人信者たちの名前を列挙している。

③ルカの名は、その中にはなく、異邦人グループの中に出て来る。

 

(2)しかし、ルカはユダヤ人であるという説もある。

①イスラエルの地に住むユダヤ人ではなく、ディアスポラのユダヤ人である。

②つまり、ギリシア語を話すユダヤ人である(ヘレニスティック・ジュー)。

③見事なギリシア語の文章の背後に、エブライズムが存在している。

*彼は、ヘブル語で考え、ギリシア語で文章を書いていたのかもしれない。

④ユダヤ教の神学や習慣に精通している。

*ユダヤ教のセクト(教派)

*神殿での祭儀

*ユダヤの祭り

⑤エルサレムへの深い関心が見られる。

⑥ヘブル語聖書(旧約聖書)に精通している。

 

(3)第3の可能性は、神を恐れる異邦人か、ユダヤ教への改宗者というものである。

①使徒の働きの中には、上記2者への言及が頻繁に出て来る。

 

(4)個人的には、ルカはディアスポラのユダヤ人である可能性が高いと思う。

①ロマ3:1~2参照

 

Ⅱ.この書はいつ執筆されたか。

1.紀元70年以前に書かれた。

(1)エルサレムが崩壊したのは、紀元70年である。

①もしそれがすでに起こっていたとするなら、ルカがそれを省略するはずがない。

②この書の主要なテーマは、福音がユダヤ人から異邦人に伝えられたということ

であるので、エルサレムの崩壊は、ルカにとっては重要なテーマである。

 

2.紀元66~68年以前に書かれた。

(1)伝統的に、パウロは紀元66年~68年ごろに死んだと言われている。

①もしパウロの死後に書かれたとしたら、ルカがそれを省略するはずがない。

 

3.紀元64年以前に書かれた。

(1)ネロによるクリスチャンの迫害は、ローマの大火の直後から始まった。

①もしネロの迫害の迫害以降に書かれたとしたら、ローマの官憲によるキリスト

教を合法と認める判決は、意味をなさなくなる。

 

4.紀元60~62年頃に書かれた。

(1)パウロがローマで投獄されていたのは、紀元60~62年である。

①この時期に、この書は執筆されたと思われる。

 

(2)使28:30~31

Act 28:30 こうしてパウロは満二年の間、自費で借りた家に住み、たずねて来る人たちをみな迎えて、

Act 28:31 大胆に、少しも妨げられることなく、神の国を宣べ伝え、主イエス・キリストのことを教えた。

①使徒の働きの最後の聖句(2節)は、紀元60~62年ごろの状況説明である。

②つまり、使徒の働きは完結したわけではなく、執筆の時点までの教会の歴史を

まとめたものだと言える。

③ルカの貢献によって、教会の最初の約30年間の歴史資料が手に入った。

 

Ⅲ.この書が書かれた目的は何か。

1.歴史的目的(エルサレムからローマまでの教会の拡大)

(1)ルカの福音書の続編が、使徒の働きである。

①ルカの福音書は、イエスの地上におけるミニストリー(働き)の記録である。

②使徒の働きは、天に昇られた復活のイエスのミニストリーズの記録である。

*復活のイエスは、使徒たちを通し、また教会を通して御業を継続される。

*聖霊が使徒たちと教会を導く。

③「使徒の働き」や「使徒行伝」は、正確なタイトルではない。

*使徒たちの中で詳細に取り上げられているのは、ペテロとパウロだけ。

④「復活のイエスの働き」の方が、内容を言い当てている。

 

(2)ルカは、30年間の教会の歴史を、地理的拡大に沿って記録している。

①エルサレムでの伝道(1:1~8:4)

②ユダヤとサマリヤでの伝道(8:5~12:25)

③地の果てへの伝道(13:1~28:31)

 

(3)ルカは、30年間の教会の歴史を、前半(15年)と後半(15年)に分けている。

①前半は、ペテロが中心である(1:1~12:25)。

②後半は、パウが中心である(13:1~28:31)。

③ペテロとパウロは、相似形で描かれている。

④これは、パウロの使徒職の弁証になっている。

 

(4)使徒の働きは、福音書、書簡、黙示録を有機的につなげる連結器の役割を果たし

ている。

①使徒の働きがなければ、パウロ書簡の理解は正確性を欠いたことであろう。

 

2.神学的目的

(1)キリスト教は旧約聖書から派生した正当な信仰であることを証明しようとした。

①神がイスラエルの民に約束されたことと、教会が受け取ったことの間には、継

続性がある。

 

(2)教会時代になっても、神がイスラエルの民に約束されことが破棄されたわけでは

ない。

①今はイスラエルの民は神に敵対する者となっているが、やがて彼らは救われる。

②使3:21

Act 3:21 このイエスは、神が昔から、聖なる預言者たちの口を通してたびたび語られた、あの万物の改まる時まで、天にとどまっていなければなりません。

 

(3)注意点:使徒の働きは、歴史的記録である。

①そこから、普遍的な適用を導き出してはならない。

*ペンテコステの体験

*サウルのダマスコ途上の体験

*使徒たちの裁定、奇跡、裁きなど

②普遍的適用を想定した唯一の神学的テーマは、「異邦人の救いの条件」である。

*異邦人が救われるためには、ユダヤ教に改宗する必要があるのかどうか。

 

3.弁証論的目的

(1)キリスト教がローマ帝国にとって危険な宗教ではないことを証明しようとした。

①イエス・キリストを信じる信仰は、ユダヤ人の指導者たちからの迫害に会った。

*ユダヤ人の指導者たちは、キリスト教を不吉で危険な宗教と断じた。

*この状況は、今も変わっていない。

②しかし、ローマの官憲はそうではなかった。

*キリスト教にユダヤ教と同じ特権(公認宗教)を与えた。

*実際のところ、彼らはほとんど無関心であった。

 

(2)ルカは、キリスト教は政治運動ではなく、宗教運動であることを示そうとした。

①キリスト教のルーツはユダヤ教である。

②それゆえ、キリスト教にユダヤ教と同じ特権(公認宗教)を与えるべきである。

 

(3)ルカは、使徒パウロが政治的に無害であることを示そうとした。

①パウロは、ローマの市民であり、謀反を煽動する者ではない。

 

結論:この書の今日的意義は何か。

1.エルサレムで誕生した教会が、どのようにして今日にまで至ったのかを知る。

2.教会を取り巻く最初の30年間の状況を知る。

(1)歴史的、社会的、文化的、政治的、宗教的状況

(2)学んだことを今の時代に適用する。

3.初期の信仰者たちの信仰と活動から、励ましを得る。

(1)私たちを導いてくれた先輩たちへの感謝を覚えよう。

(2)その感謝は、初期の信仰者たちにまで至るはずである。

4.使徒の働きは、普通の人たちの物語である。

(1)使徒の働きは、未完の書である。

(2)私たちは、今その書を書き継いでいる。

(3)主役は、復活のイエスである。

(4)復活のイエスは、聖霊によって、私たちを通して働きを継続しておられる。

(5)そのイエスは、やがて地上に戻ってこられる。

*復活のイエスの働きでないものは、排除しよう。

*復活のイエスの働きであるなら、そこに関わる人たちは同労者である。

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