キリストの使徒たちが伝えたこと(9)—使徒信条とは—「子なる神(5)」

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このメッセージでは...

このメッセージは、子なる神についての5回目の考察である。

キリストの使徒たちが伝えたこと(9)

―使徒信条とは―

「子なる神(5)」

使徒信条

我は天地の造り主、全能の父なる神を信ず。

我はその独り子、我らの主、イエス・キリストを信ず。


主は聖霊によりてやどり、処女マリヤより生れ、ポンテオ・ピラトのもとに苦しみを受け、十字架につけられ、死にて葬られ、陰府にくだり、三日目に死人のうちよりよみがえり、天に昇り、全能の父(ちち)なる神の右に座したまえり。
かしこより来たりて生ける者と死にたる者とを審きたまわん。

我は聖霊を信ず。

聖なる公同の教会、聖徒の交わり、罪の赦し、身体のよみがえり、永遠の生命を信ず。

アーメン。

  1.はじめに

    (1)使徒信条について

      ①三位一体論を土台とした信仰告白である。

      ②キリスト論が一番強調されている。

③使徒信条は、使徒たちの作品ではないが、使徒たちの教えが要約されてい

るので、使徒信条と呼んでもよい。

      ④洗礼式のために、また、異端との戦いのために必要となった。

    (2)子なる神について(4)

      ①キリスト教信仰の中心テーマである。

      ②キリスト論が間違っていると、救済論が間違ってくる。

  *異端の教えは、例外なしにキリスト論が間違っている。

  *異端の教えでは、キリストは被造物である。

  2.アウトライン

    (1)処女降誕

    (2)イエスの歴史性

    (3)福音の3要素

    (4)イエスの死後の状態

    (5)昇天

    (6)再臨

    *今回は、「(5)昇天」を取り上げる。

*キリストの死と復活はよく語られるが、昇天はそうでもない。

*しかし、昇天は祝されたクリスチャン生活と深い関係にある。

*メシアの辱めは、受肉で始まり、埋葬で終わった。

*メシアの高揚は、埋葬で始まり、復活、昇天へと続く。

  3.このメッセージのアウトライン

    (1)昇天の預言

    (2)昇天の成就

(3)昇天の結果(意義)

このメッセージは、子なる神についての5回目の考察である。

Ⅰ.昇天の預言

1.詩68:18

「あなたは、いと高き所に上り、捕らわれた者をとりこにし、人々から、みつぎを受けられました。頑迷な者どもからさえも。神であられる主が、そこに住まわれるために」

    (1)詩68は、神がシナイからエルサレムに入る様子を歌ったものである。

(2)その様子は、凱旋将軍が捕虜を連れて高き所に上るようなものである。

(3)18節の「頑迷な者」とは、反抗する敵のことである。

    (4)エペ4:8~9

    「そこで、こう言われています。『高い所に上られたとき、彼は多くの捕虜を引き連れ、人々に賜物を分け与えられた』──この「上られた」ということばは、彼がまず地の低い所に下られた、ということでなくて何でしょう。この下られた方自身が、すべてのものを満たすために、もろもろの天よりも高く上られた方なのです──」

  ①パウロは詩68:18をイエス・キリストに適用している。

  ②エペ4:8は難解である。詩68:18をテキスト通りに引用していない。

  ③昇天のキリストが教会に御霊の賜物を分け与えたという真理を説明するた

  めに、当時一般的になっていたパリサイ的解釈(タルグム)を採用している。

  ④原文の意味と、パリサイ的解釈の最大の相違点は、「みつぎを受けられまし

  た」と「賜物を分け与えられた」である。

  2.その他の聖句

(1)詩110:1

(2)箴30:4

  3.ヨハ7:33

「そこでイエスは言われた。『まだしばらくの間、わたしはあなたがたといっしょにいて、それから、わたしを遣わした方のもとに行きます。あなたがたはわたしを捜すが、見つからないでしょう。また、わたしがいる所に、あなたがたは来ることができません』」

    (1)イエスは、自分はやがて、自分を遣わした父のもとに戻ると言われた。

    (2)パリサイ人たちは、そこに行くことはできない。

(3)パリサイ人たちは、イエスがユダヤを去って離散に地に行くのかと誤解した。

  4.ルカ9:51

  「さて、天に上げられる日が近づいて来たころ、イエスは、エルサレムに行こうとして御顔をまっすぐ向けられ、」

(1)昇天の預言になっている。

Ⅱ.昇天の成就

  1.ルカ24:50~53

  「それから、イエスは、彼らをベタニヤまで連れて行き、手を上げて祝福された。そして祝福しながら、彼らから離れて行かれた。彼らは、非常な喜びを抱いてエルサレムに帰り、いつも宮にいて神をほめたたえていた」

  2.使1:9~12

  「こう言ってから、イエスは彼らが見ている間に上げられ、雲に包まれて、見えなくなられた。イエスが上って行かれるとき、弟子たちは天を見つめていた。すると、見よ、白い衣を着た人がふたり、彼らのそばに立っていた。そして、こう言った。『ガリラヤの人たち。なぜ天を見上げて立っているのですか。あなたがたを離れて天に上げられたこのイエスは、天に上って行かれるのをあなたがたが見たときと同じ有様で、またおいでになります。』そこで、彼らはオリーブという山からエルサレムに帰った。この山はエルサレムの近くにあって、安息日の道のりほどの距離であった」

  3.観察

    (1)場所は、ベタニヤのあたり。

  ①オリーブ山の東側(ベタニヤ側のオリーブ山)

  ②オリーブ山の頂上には昇天記念教会があるが、そこではない。

(2)昇天の様子

  ①これは文字通りの肉体を持った昇天である。

  ②キリストは、手を上げて弟子たちを祝福された(ルカ24:59)。

  ③キリストは自力で昇ったのではなく、天に上げられた。

  ④父なる神によって天に上げられたという点が大切である。

    *すべての被造物に対して権威を持つ地位に就かれたということである。

  ⑤途中から雲に包まれて弟子たちの目には見えなくなった。

⑥キリストを包んだ雲は、シャカイナグローリーである。

⑦キリストの昇天は瞬時にではなく、ある時間をかけて起こった出来事。

    (3)天使たちの約束(白い衣を着た人がふたり)

「ガリラヤの人たち。なぜ天を見上げて立っているのですか。あなたがたを離れて天に上げられたこのイエスは、天に上って行かれるのをあなたがたが見たときと同じ有様で、またおいでになります」(使1:11)

  ①キリストはいつか、雲に包まれて再臨される。

  ②約束されたのは、「同じ場所に」ではなく、「同じ有様で」ということである。

    *再臨の場所は、ボツラ(今のペトラ)である(イザ63:1)。

Ⅲ.昇天の結果(意義)

  1.キリストの地上生涯が終わった。

(1)父なる神のもとに帰還された。

  ①ベツレヘムでの誕生から始まり、昇天で終わる。

  ②キリストの地上生涯は、成功に終わった。

    *父なる神の御心を行った。

    *旧約聖書の預言が成就した。

    (2)栄光の姿に戻られた。

  ①地上生涯の例外は、変貌山の出来事である(マタ17:1~9)。

2.父なる神の右の座に着座され、新しい働きの領域に入られた。

    (1)神の右の座(権威の座)

    ①使2:32~36

  ②エペ1:19~23

  ③ピリ2:9~11

  ④ヘブ1:13

  3.聖霊の時代が到来した。

    (1)「もうひとりの助け主」(パラクレイトス)を送ると約束しておられた。

  ①聖霊の派遣は、イエスが父なる神のもとに帰った後に成就する。

  ②ヨハ14:16~18、26、15:26、16:7

    (2)ペンテコステの日にその約束が成就した。

  ①使2:32~33

「神はこのイエスをよみがえらせました。私たちはみな、そのことの証人です。ですから、神の右に上げられたイエスが、御父から約束された聖霊を受けて、今あなたがたが見聞きしているこの聖霊をお注ぎになったのです」

②復活、昇天、聖霊の降臨は、一連の出来事である。

  4.キリストは、教会の頭となられた。

    (1)キリストは、教会を生み出した。

  ①信者は、五旬節の日に聖霊によってバプテスマを受け、教会が誕生した。

  ②それは聖霊の業であるが、究極的には聖霊を遣わしたキリストの業である。

    *使1:5、2:33、1コリ12:13

  ③その結果、信者は古い生活から分離され、新しい命に生きるようになった。

    *ロマ6:4~5

    (2)キリストは、教会に種々の賜物を与える。

  ①エペ4:7~13

  ②詩68:18(既出)

  ③ロマ12:3~8、1コリ12:4~11に賜物が列挙されている。

      ④これらの賜物は、代表的なものであって、すべてではない。

  5.大祭司となられた。

    (1)大祭司として、信者のために執りなしをしておられる。

「したがって、ご自分によって神に近づく人々を、完全に救うことがおできになります。キリストはいつも生きていて、彼らのために、とりなしをしておられるからです」(ヘブ7:25)

  ①私たちがまだ気づいていない必要のためにも祈っておられる。

②人間の弱さを思いやってくださる大祭司である。

  *ヘブ2:18、4:14~16

    (2)私たちの「先駆け」として天の幕屋に入られた。

「この望みは、私たちのたましいのために、安全で確かな錨の役を果たし、またこの望みは幕の内側に入るのです。イエスは私たちの先駆けとしてそこに入り、永遠にメルキゼデクの位に等しい大祭司となられました」(ヘブ6:19~20)

  ①メシアはすでに天の幕屋におられる。

  ②信者は、自分もまたそこに入るとの確信を持つことができる。

6.私たちのために住まいを用意してくださる。

    (1)ヨハ14:1~3

    「あなたがたは心を騒がしてはなりません。神を信じ、またわたしを信じなさい。わたしの父の家には、住まいがたくさんあります。もしなかったら、あなたがたに言っておいたでしょう。あなたがたのために、わたしは場所を備えに行くのです。わたしが行って、あなたがたに場所を備えたら、また来て、あなたがたをわたしのもとに迎えます。わたしのいる所に、あなたがたをもおらせるためです」

①「わたしの父の家」とは、天国のことである。

  ②そこに場所を用意するためには、父のもとに帰る必要がある。

  ③今もキリストは、私たちのために場所を備える働きをしておられる。

  ④用意ができたら携挙が起こる。

  ⑤次のテーマは、携挙と再臨である。

結論

  1.普遍的救いの教えは、非聖書的である。

  2.昇天の出来事から学ぶこと

    (1)聖霊のバプテスマがなければ教会は誕生しなかった。

    (2)キリストを信じなければ、聖霊によって教会にバプテスマされることはない。

    (3)つまり、未信者は教会の一員ではないし、救われてもいない。

    (4)クリスチャン生活は、大祭司に守られた生活である。

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