キリストの使徒たちが伝えたこと(1)—使徒信条とは—「イントロダクション」

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このメッセージは、使徒信条を通して自らの信仰の確認をしようとするものである。
このメッセージは、使徒信条を通して自らの信仰の確認をしようとするものである。

キリストの使徒たちが伝えたこと(1)

―使徒信条とは―

「イントロダクション」

使徒信条

我は天地の造り主、全能の父なる神を信ず。

我はその独り子、我らの主、イエス・キリストを信ず。


主は聖霊によりてやどり、処女マリヤより生れ、ポンテオ・ピラトのもとに苦しみを受け、十字架につけられ、死にて葬られ、陰府にくだり、三日目に死人のうちよりよみがえり、天に昇り、全能の父(ちち)なる神の右に座したまえり。
かしこより来たりて生ける者と死にたる者とを審きたまわん。

我は聖霊を信ず。

聖なる公同の教会、聖徒の交わり、罪の赦し、身体のよみがえり、永遠の生命を信ず。

アーメン。

  1.はじめに

    (1)クリスチャンにはよく知られた信条である。

      ①ある教会では、毎週の礼拝で使徒信条の斉唱がある。

    (2)しかし、実際のところは、あまり知られていない信条でもある。

      ①信条とは何か。

      ②使徒信条はどのようにして生まれたのか。

      ③その目的は何か。

      ④その内容はどういうものか。

    (3)使徒信条の内容

      ①三位一体論を土台とした信仰告白である。

      ②キリスト論が一番強調されている。

    (4)使徒信条について連続メッセージを語る理由は何か。

      ①異端やカルトに騙されないために。

      ②新しい教えの風に揺り動かされることのないように。

  2.アウトライン

    (1)使徒信条の歴史

    (2)使徒信条が必要とされた理由

    (3)「信ず」という言葉について

  3.結論:伝統の重要性

このメッセージは、使徒信条を通して自らの信仰の確認をしようとするものである。

Ⅰ.使徒信条の歴史

  1.はじめに:信条とは何か。

    (1)キリスト教の教義の要点を、簡潔に述べた声明(定式)のことである。

    (2)最も有名なものは、使徒信条とニケア信条(紀元4世紀)である。

  2.使徒信条は、最古の信条である。

    (1)短い形のものは、古ローマ信条と呼ばれる(紀元140年頃まで遡る)。

    (2)現在の形のものは、紀元8世紀まで遡ることができる。

      ①西方教会(カトリック教会、聖公会、プロテスタント)はこれを採用している。

②東方教会(正教会、東方諸教会)は、内容は否定していないが、信条としては

受け入れていない。

  3.使徒信条は、使徒たちの作品ではない。

    (1)しかし、使徒たちの教えが要約されているので、使徒信条と呼んでもよい。

Ⅱ.使徒信条が必要とされた理由

  1.洗礼式のために

    (1)洗礼のための「信仰告白」として定型のものが必要とされた。

      ①初代教会時代、洗礼が重視された。

      ②その後(3~4世紀)、受洗希望者は受難週に信仰の基本について学び、イース

ターに洗礼を受けた。

    (2)受洗の際の3つの質問(3世紀)(Apostolic Tradition by Hippolytus of Rome)

      ①あなたは、全能の父なる神を信じるか。

      ②あなたは、私たちの救い主、イエス・キリストを信じるか。

      ③あなたは、聖霊と、聖なる教会と、罪の赦しを信じるか。

    (3)この3つの質問が、やがて拡大して信仰告白の形に発展した。

      ①使徒信条は、「洗礼信条」から発展したものである。

      ②使徒信条は、ラテン語で「Symbolum Apostolicum」という。

      ③「Symbolum」は、キリスト者を不信者から区別する象徴である。

  2.異端との戦いのために

    (1)2世紀に入ると、グノーシス主義との戦いが激しくなった。

      ①1世紀に誕生した宗教・思想で、地中海世界に広がった。

      ②その特徴は、物質と霊の二元論である。

      ③グノーシスとは、ギリシア語で知識を意味する。

      ④隠された知識を得ることで、自己の本質と真の神についての認識に到達すると

教える。

⑤グノーシスとの論争は、救済論に関係したものである。

    (2)リヨンのエイレナイオスの功績(約130~200年)

      ①独創的な教えに対して、「使徒たちの伝統」という概念を武器に戦った。

      ②彼は、「その解釈は、使徒たちの教えと調和しているか」と問うた。

      ③この論理によって、使徒たちの信仰が一貫性をもって次世代に継承された。

  3.使徒信条と聖書の関係

  (1)使徒信条は、聖書と同格ではない。

    ①聖書を解釈するための、しもべとしての役割を演じる。

Ⅲ.「信ず」という言葉について

  
1.日常用語としての「信ず(信じる)」の意味

    (1)100%証明はできないが、それが事実(正しいこと)だと受け取っている。

    (2)「(あると)思い込む」(類語辞典)

  2.合理主義の主張

    (1)「証明できないものは信じない」

    (2)マイケル・ポラニー(Michael Polanyi、1891~1976年)の貢献

①ハンガリー出身の科学哲学者

②自然科学の研究法の背後には、証明不可能な前提(信仰)が存在している。

    (3)現在では、「有神論も無神論も証明不可能である」との認識が一般的である。

      ①神が存在することは、証明できない。

      ②神が存在しないことも、証明できない。

  3.クリスチャンによる神の存在証明

    (1)存在論的証明

    神は存在する。なぜなら、人類はどの文化圏にあっても、普遍的に神の存在を信じて

いる。人類は、自分が責任を負うべき『存在』を求めている。これは、「アプリオリ(先

験的)議論」とも呼ばれる。

(2)宇宙論的証明

神は存在する。なぜなら、宇宙には因果関係の法則が働いている。神という「原因」

が存在しないなら、「宇宙」という結果は存在し得ない。宇宙の複雑さを考える時、こ

れが偶然の産物とは思えない。

(3)目的論的証明

神は存在する。なぜなら、すべての形あるものの背後には設計者の存在がある。宇宙

は複雑でありながら、秩序正しく運行している。この事実は、宇宙を設計した神が存

在することと、その神が無限の知恵と力を持っていることを証明している。

(4)人間論的証明

神は存在する。なぜなら、人間の存在は、神の創造の御業を抜きにしては説明できな

いからである。人間には、知(考える力)、情(感じる力)、意(道徳的選択をする力)

が備わっている。この事実は、人間を創造した神が同様の性質を保持し、しかも人間

よりも偉大な存在であることを証明している。

  4.以上のことは、厳密な意味で神の存在証明にはなっていない。

    (1)神の存在を暗示している証拠ではある。

    (2)別の理由ですでにクリスチャンになった者が、自分の信仰を論理的に理解しよう

試みた結果である。

(3)「神学とは、信仰を論理化する試みである」

(4)「信仰とは、非理性的なものではなく、超理性的なものである」

  5.キリスト教における信仰とは何か。

    (1)信仰とは、単なる知的承認ではない。

    「あなたは、神はおひとりだと信じています。りっぱなことです。ですが、悪霊ども

もそう信じて、身震いしています」(ヤコ2:19)

(2)信仰とは、個人的な信頼のことである。

「信仰は望んでいる事がらを保証し、目に見えないものを確信させるものです」(ヘブ

11:1)

「信仰によって、ノアは、まだ見ていない事がらについて神から警告を受けたとき、

恐れかしこんで、その家族の救いのために箱舟を造り、その箱舟によって、世の罪を

定め、信仰による義を相続する者となりました」(ヘブ11:7)

「信仰によって、アブラハムは、相続財産として受け取るべき地に出て行けとの召し

を受けたとき、これに従い、どこに行くのかを知らないで、出て行きました」(ヘブ

11:8)

(3)信仰とは、信じる対象としての神が存在することである。

「信仰がなくては、神に喜ばれることはできません。神に近づく者は、神がおられる

ことと、神を求める者には報いてくださる方であることとを、信じなければならない

のです」(ヘブ11:6)

(4)信仰とは、神が与えてくださった良き約束に信頼することである。

(5)信仰の有効性は、その人の熱心さによってではなく、信じる対象によって決まる。

  ①いくら熱心でも、信仰の対象が間違っていれば、その信仰は有効とは言えない。

  ②いくら弱い信仰であっても、信仰の対象が正しければ、その信仰は有効である。

結論:伝統の重要性

  1.悪い伝統

    (1)イエスは、口伝律法を否定された。

  2.良い伝統

(1)初代教会の姿

    「そして、彼らは使徒たちの教えを堅く守り、交わりをし、パンを裂き、祈りをして

いた」(使2:42)

    (2)パウロの時代に、すでに「使徒たちから出た伝統」が存在していた。

    「兄弟たち。私は今、あなたがたに福音を知らせましょう。これは、私があなたがた

に宣べ伝えたもので、あなたがたが受け入れ、また、それによって立っている福音で

す。また、もしあなたがたがよく考えもしないで信じたのでないなら、私の宣べ伝え

たこの福音のことばをしっかりと保っていれば、この福音によって救われるのです。

私があなたがたに最もたいせつなこととして伝えたのは、私も受けたことであって、

次のことです。キリストは、聖書の示すとおりに、私たちの罪のために死なれたこと、

また、葬られたこと、また、聖書の示すとおりに、三日目によみがえられたこと、」

(1コリ15:1~4)

    (3)牧会書簡にある命令

    「そして、あなたにゆだねられた良いものを、私たちのうちに宿る聖霊によって、守

りなさい」(2テモ1:14)

「多くの証人の前で私から聞いたことを、他の人にも教える力のある忠実な人たちに

ゆだねなさい」(2テモ2:2)

(4)独創的な教えが次々に出て来る時代にあって、「使徒たちの教え」を確認するこ

とは、非常に重要である。

(例話)KKさん(詳細不明)

「私は日本統一教会に所属していました。統一教会は聖書を入門書として学びながら、

聖書の魅力を最大限活用しつつ、間違った聖書解釈を織り交ぜて、文鮮明が再臨主で

あるという思想に繋げて行くノウハウを確立しています。その間違った信仰に対抗出

来るのは、正しい聖書解釈による矯正だと思い続けていました。私は、ハーベストタ

イムの中川牧師さんが行っている聖書を1章づつ解説し、時代背景とともに理解して

行くこの方法こそ、最大の対抗と正しい聖書理解に通じるものと確信します。これか

らのお働きをますます期待いたします」

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