60分でわかる旧約聖書(31)オバデヤ書

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オバデヤ書の内容について学ぶ。

60 分でわかる旧約聖書( 31 )「オバデヤ書」

1.はじめに

(1)オバデヤ書の位置づけ

①大預言書(the Major Prophets)

*イザヤ書、エレミヤ書、哀歌、エゼキエル書、ダニエル書

②小預言書(the Minor Prophets)

*ホセア書からマラキ書までの12書。

③オバデヤ書は、捕囚期前預言書(12)のひとつである。

④旧約聖書で最も短い書である。21節しかない。

⑤ほぼ無視されている預言書である。

*新約聖書にも引用されていない。

⑥しかし、この書のテーマは多岐にわたっているので、軽視できない。

*神の正義について、学ぶことができる。

 

(2)オバデヤ書の著者

①旧約聖書には、オバデヤという名の人物が少なくとも12人いる。

②しかし、この書の著者オバデヤに関しては、何も知られていない。

*オバデヤとは、「【主】(ヤハウェ)のしもべ」という意味である。

③彼は、【主】のしもべとして「幻」を見せられ、それをそのまま語っている。

④すべての預言者が幻を通して主からの語りかけを受けるわけではない。

⑤彼の場合は、幻によって未来の出来事を見ることができた。

⑤彼が活動した地は、エルサレムを中心としたユダの地である。

 

(3)執筆年代については諸説ある。

①オバデヤは、エレミヤよりも前の預言者である。

*オバ1〜4節は、エレ49:14〜16に引用されている。

*オバ5〜6節は、エレ49:9〜10に引用されている。

②オバデヤは、ヨエルよりも前の預言者である。

*オバ17節は、ヨエ2:32に引用されている。

③10〜14節は、エルサレムに起こったある悲劇的な出来事への言及である。

*これには2つの可能性がある。

*ヨラム王の時代(前845年)に起こったペリシテ人とアラビヤ人によ

るエルサレム侵略(2歴21:16〜17)

*前605〜586年に起こったネブカデネザル王による侵略(2列24:1以

下)

*オバデヤがヨエルやエレミヤよりも前の預言者であることを考えると、

前者の可能性が高いと思われる。

*オバデヤ書は、前845年前後に執筆されたと考えてよいだろう。

④オバデヤは、小預言書の12人の預言者の中で最初に登場する預言者である。

 

(4)オバデヤ書のテーマ

①イスラエルに敵対する不信仰な異邦人に下る裁き

②信仰を持つイスラエルに与えられる神の恵み

③以上の2点は、旧約聖書の預言書に共通したテーマである。

④オバデヤ書は、旧約聖書の預言書のミニチュア版である。

 

2.アウトライン

Ⅰ.エドムに下る裁き( 1~9節)

Ⅱ.裁きの理由(10~14節)

Ⅲ.裁きの時期(15~16節)

Ⅳ.メシア的王国(千年王国)の預言(17~21節)

 

オバデヤ書の内容について学ぶ。

Ⅰ.エドムに下る裁き( 1 9 節)

1.1節

Oba 1:1 オバデヤの幻。/神である主は、エドムについてこう仰せられる。/私たちは【主】から知らせを聞いた。/使者が国々の間に送られた。/「立ち上がれ。エドムに立ち向かい戦おう。」

 

2.エドムとイスラエルは、親戚同士である。

(1)イサクからエサウとヤコブが誕生した。

①エドムは、エサウの子孫である。

②イスラエルは、ヤコブの子孫である。

③エドムとイスラエルは、激しく敵対し合った。

④この書では、エドムとエサウとは同義語として使われている。

 

(2)モアブとアモンは、ロトの子孫である。

①彼らは、イスラエルと従兄弟の関係にあった。

②しかし、エドムはイスラエルと兄弟の関係にあった。

③モアブとアモンもイスラエルに敵対したが、エドムの方がその敵対ぶりは

徹底していた。

 

(3)エドムに厳しい裁きが下る理由

①傲慢のゆえに、神に敵対した。

②神の選びの民に敵対した。

③兄弟関係にある民に敵対した。

④旧約聖書では、他のいかなる民族よりも、エドムに対する裁きが一番多く預

言されている。

 

3.「使者」が国々の間に送られている。

(1)天使とも、人間の使者とも取れる。

①使者が語る【主】からのメッセージは、エドムに立ち向かい戦えということ。

 

(2)この時のエドムの心は、高慢に満ちていた。

①彼らは、岩の裂け目に住み、高い所を住まいとしていた。

②そこはセイル山、つまり現在のヨルダン南部の地域である。

③そこには、ボズラ(現在のペトラ)という町がある。

④岩間にできた難攻不落の町である。

Oba 1:3 あなたの心の高慢は自分自身を欺いた。/あなたは岩の裂け目に住み、高い所を住まいとし、/「だれが私を地に引きずり降ろせようか」と/心のうちに言っている。

 

(3)しかし、彼らが誇りとしていたものは、彼らにとっては罠となった。

①神以外のものに信頼するなら、必ず失望させられる。

Oba 1:4 あなたが鷲のように高く上っても、/星の間に巣を作っても、/わたしはそこから引き降ろす。/──【主】の御告げ──

 

4.徹底的な裁きが預言される。

(1)どんな盗人でも強盗でも、完全に奪い去るということはなく、取り残しの実

を残していくものである。

①しかし、エサウ(エドム)の場合は、完全に略奪される。

 

(2)同盟国の者たちは、うわべだけ友好的な態度を見せる。

①最後になると、親しい友や、エドムによって養われていた者たちが、エドム

を裏切り、罠を仕掛けるようになる。

 

(3)エドムに下る裁きは、極めて厳しいものとなる。

①彼らは、民族として存在しなくなる。

Oba 1:9 テマンよ。あなたの勇士たちはおびえる。/虐殺によって、エサウの山から、/ひとり残らず絶やされよう。

②どのように堅固な砦に守られていても、神に信頼を置かない者の人生は、哀

れである。

③今日、ペトラの遺跡を訪問する者たちは、その遺跡の壮大さに仰天すると同

時に、地上の栄華がいかにはかないものであるかを悟るのである。

 

Ⅱ.裁きの理由( 10 14 節)

1.兄弟が兄弟に対して犯す罪

(1)エドムがイスラエルを苦しめるのは、兄弟が兄弟に対して犯す罪である。

①「あなたの兄弟、ヤコブへの暴虐」

②しかもこの場合は、双子の兄弟である。

 

(2)エドムの敵対心は、すでに民数記14章に記録されている。

①エジプトを出たイスラエルの民は、エドムの地を通過して約束の地に向か

う計画を立てた。

②エドムはそれを承認せず、イスラエルの民を追い返した。

 

(3)エゼ35:1〜5にも、エドムに対する裁きが預言されている。

Eze 35:5 おまえはいつまでも敵意を抱き、イスラエル人が災難に会うとき、彼らの最後の刑罰の時、彼らを剣に渡した。

 

2.エドムが犯した6つの罪

(1)エドムは、兄弟であるヤコブ(イスラエル)への暴虐のために、永遠に絶や

される(10節)。

 

(2)エドムは、外国人(ペリシテ人とアラビヤ人)がエルサレムを略奪した日に、

ヤコブを助けようとはせず、外国人の仲間のような顔をして知らぬ顔で立ってい

た(11節)。

 

(3)エドムは、ユダの子らの滅び(ヤコブの滅び)を喜んでいた(12節)。

 

(4)エドムは、外国人が去った後にエルサレムに入り、そこに残されたものを略

奪した(13節)。

 

(5)エドムは、逃亡しようとしているイスラエル人の前に立ちはだかり、妨害し

た(14節)。

 

(6)エドムは、逃亡しようとしているイスラエル人を逮捕し、彼らを捕虜として

ペリシテ人やアラビヤ人に引き渡した。

 

3.アブラハム契約の原則

(1)エドムの罪は、2倍重い罪であった。

①彼らは、契約の民イスラエルに敵対した。

②またこれは、兄弟に対する罪でもあった。

 

(2)イスラエルをのろう者は、のろわれる。

Gen 12:3 あなたを祝福する者をわたしは祝福し、/あなたをのろう者をわたしはのろう。/地上のすべての民族は、/あなたによって祝福される。」

①この約束は、今も有効である。

 

Ⅲ.裁きの時期( 15 16 節)

1.エドムに対する裁きが成就するのは、「【主】(ヤハウェ)の日」である。

(1)「【主】の日」とは、神の裁きがイスラエルと諸国民の上に下る日のこと。

①それは、メシア的王国(千年王国)の前兆としてやって来くる。

②順序としては、罪の裁き、そしてメシア的王国の確立である。

 

(2)「【主】の日」は、黙示録では7年間の「患難時代」という言葉で知られて

いる。

①旧約聖書では、「【主】の日」という用語が最も一般的で、預言者たちもそ

れを用いている。

 

2.【主】の日は、エドムだけでなくすべての国々の上に近づいている。

(1)エドムは、自らがイスラエルにしたように、神から取り扱われる。

①まさに、自業自得である。

 

(2)エドムも諸国の民も、聖なる山エルサレムの上で戦勝を祝った。

①「聖なる山で飲んだ」とはそういう意味である。

②それゆえ、彼らは「飲み続ける」ようになる。

③祝いのぶどう酒ではなく、神の復讐の杯、怒りの杯を飲むようになる。

④「彼らは今までになかった者のようになるだろう」とある。

 

3.エドムの滅び

(1)前5世紀、ナボテア人がエドム人を破り、ペトラから追放した。

①エドム人は南部への移住を余儀なくされた。

②彼らが移住した地は、イドマヤと呼ばれていた。

 

(2)ヘロデ大王は、イドマヤ人である。

①紀元70年には、エドム人たちは歴史から姿を消した。

②今日、エドム人は生存していない。

 

 

. メシア的王国(千年王国)の預言( 17 21 節)

1.オバデヤ書の重要なテーマ

(1)オバデヤは、12人いる小預言者の最初の人物である。

①彼は、いくつかの重要なテーマを提起しているが、それが後代の預言者たち

によっても取り上げられ、発展させられていく。

②「イスラエルの残れる者」や「メシア的王国(千年王国)」など。

 

(2)イスラエルの中には、【主】の日(大患難時代)の裁きを逃れる者がいる。

①それが、「イスラエルの残れる者」である。

②大患難時代を生き延びた者たちは、メシア的王国で生活するようになる。

Oba 1:17 しかし、シオンの山には、/のがれた者がいるようになり、/そこは聖地となる。/ヤコブの家はその領地を所有する。

 

(3)同じことが、ヨエ2:32、イザ4:2、37:31〜32などに預言されている。

①大患難時代には、イスラエルの3分の2が死に、3分の1だけが生き残る

(ゼカ13:8〜9)。

 

(4)一方、エサウの家(エドム)には、生き残る者がいなくなる。

①つまり、メシア的王国にはエサウの子孫がいないということである。

②エドムが完全に滅びることは、他の預言者たちも預言している。

*エゼ25:12〜14、イザ34:5〜15、エレ49:19〜20など

③エドムが最終的に滅びる理由は、神が天から硫黄と火を降らせるから。

④そのために、エドムの地はメシア的王国の期間(千年間)ずっと、火と煙で

くすぶり続ける(イザ34:9〜10参照)。

⑤メシア的王国の期間には自然界が回復されるが、エドムとバビロンだけは

火と煙でくすぶり続ける。それは、神の裁きを示す象徴的な景色となる。

 

2.イスラエルに対する約束

(1)メシア的王国においてイスラエルは、ダビデやソロモンの時代でさえも所有

しなかったほどの領土を所有するようになる。

 

(2)最後に、シオンの山(エルサレム)においてメシアの王権が確立される。

①聖書的歴史観や終末観に基づいて、人生設計を考える必要がある。

②神の計画に敵対するなら、それは滅びを意味する。

③メシア的王国(千年王国)は、必ず地上に成就する。

 

結論:オバデヤ書のテーマ

1 )神は、イスラエルのために復讐される。

①アブラハム契約との関係

②神の栄光がかかっている。

 

2 )神は、イスラエルを再び立て直される。

①神の約束は、変わらない。

 

3 )傲慢な者は、神の裁きに会う。

Pro 16:18 高ぶりは破滅に先立ち、/心の高慢は倒れに先立つ。

 

4 )神に信頼する者は、決して失望させられることがない。

1Pe 2:6 なぜなら、聖書にこうあるからです。/「見よ。わたしはシオンに、選ばれた石、/尊い礎石を置く。/彼に信頼する者は、/決して失望させられることがない。」

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