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60分でわかる旧約聖書(27)ダニエル書
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ダニエル書の内容について学ぶ。
ダニエル書の内容について学ぶ。
60 分でわかる旧約聖書( 27 )「ダニエル書」
1.はじめに
(1)ダニエル書の位置づけ
①ヘブル語聖書では、第2区分の預言者には含まれていない。
②第3区分の諸書(Writings)に含まれている。
③この書の中では、ダニエルは預言者と呼ばれていない。
④しかし、主イエスはダニエルを預言者と呼んでおられる。
Mat 24:15 それゆえ、預言者ダニエルによって語られたあの『荒らす憎むべき者』が、聖なる所に立つのを見たならば、(読者はよく読み取るように。)
(2)著者ダニエル
①同時代の預言者エゼキエルは、ダニエルを義人と呼んでいる。
*ノア、ダニエル、ヨブが並んで登場する(エゼ14:14、20)。
②エゼキエルは、ダニエルを知恵ある者として紹介している(エゼ28:3)。
③家族関係についてはほとんど知られていない。
*ユダ部族の属する貴族の生まれである(1:3、6)。
*心身ともに優れている(1:4)。
④ネブカデネザルによって連行されたのは、前605年であった。
⑤ペルシヤの王クロスの第3年(前536年)には、まだ生きていた(10:1)。
*彼の活動は70年前後にも及んだ。
(3)ダニエル書の文学形式
①聖書の中の最初の黙示文学である。
*黙示=「アポカリプシス」(ギリシア語)=「アポカリプス」(英語)
*覆いを取る、啓示などの意味がある。
*聖書全体が神の啓示であるが、啓示の様態が特殊なものを黙示と呼ぶ。
②黙示文学の特徴
*神の幻を見た者が、その内容を書き記す。
*象徴(シンボル)やしるし(サイン)が、多用される。
*通常は、神の民イスラエルの将来に関する啓示である。
*他の預言書では韻文が用いられるが、黙示文学では散文が用いられる。
③他の黙示文学
*エゼ37~48
*ゼカ1:7~7:8
*黙示録
④黙示文学の解釈
*主観的解釈を慎む。
*聖書が聖書を解釈するという原則を常に意識する。
*厳密な聖書研究をしなければ、黙示文学の解釈は不可能である。
(4)ダニエル書の言語
①1:1~2:4aは、ヘブル語で書かれている。
②2:4b~7:28は、アラム語で書かれている。
③8~12章は、ヘブル語で書かれている。
④その理由
*ヘブル語は、契約の民イスラエルの言語である。
*アラム語は、当時の共通語である(異邦人の言語)。
*ダニエル書には、2つの強調点がある。
*異邦人諸国に対する神の計画(アラム語で書かれている)
*契約の民イスラエルに対する神の計画(ヘブル語で書かれている)
2.アウトライン
( 1)ダニエル書の要約
①1章:バビロン捕囚
②2~4章:巨大な像の幻
③5~7章:壁に書かれた文字
④8~12章:将来の御国の幻
(2)ダニエル書の目的
①献身の勧め
②異邦人諸国に対する神の主権
③契約の民に対する神の忠実さ
ダニエル書の内容について学ぶ。
Ⅰ.ダニエル書の要約
1.1章:バビロン捕囚
(1)バビロン軍によるエルサレム征服
①ユダの王エホヤキムの第3年、ネブカデネザルが神殿を略奪した。
②王は、王族か貴族の少年を数人選んでバビロンに連行した。
③その中に、ダニエルと3人の友人たちが含まれていた。
Dan 1:7 宦官の長は彼らにほかの名をつけ、ダニエルにはベルテシャツァル、ハナヌヤにはシャデラク、ミシャエルにはメシャク、アザルヤにはアベデ・ネゴと名をつけた。
(2)少年たちは、汚れを避けるために、王が提供するごちそうを食べなかった。
①彼らは、ベジタリアンになった(主食は穀物である)。
②その結果、王のごちそうを食べる少年たちよりも、顔色がよくなった。
(3)彼らは、神の助けによって、王の宮廷で仕えることになった。
Dan 1:19 王が彼らと話してみると、みなのうちでだれもダニエル、ハナヌヤ、ミシャエル、アザルヤに並ぶ者はなかった。そこで彼らは王に仕えることになった。
Dan 1:20 王が彼らに尋ねてみると、知恵と悟りのあらゆる面で、彼らは国中のどんな呪法師、呪文師よりも十倍もまさっているということがわかった。
2.2~4章:巨大な像の幻
(1)ネブカデネザルは、巨大な像の夢を見た(2章)。
①ダニエルだけがそれを言い当て、解き明かしをすることができた。
②この像は、将来起こる異邦人の帝国を預言したものであった。
(2)ネブカデネザルは、自分の像を造り、それを拝むように命じた(3章)。
①シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴは、それを拒否した。
②彼らは、7倍熱くした炉の中に投げ込まれた。
③炉の中に第4の者が現れ、彼らを守った。
(3)神は、ネブカデネザルの傲慢を裁かれた(4章)。
①ネブカデネザルは、獣のようになった。
Dan 4:33 このことばは、ただちにネブカデネザルの上に成就した。彼は人間の中から追い出され、牛のように草を食べ、そのからだは天の露にぬれて、ついに、彼の髪の毛は鷲の羽のようになり、爪は鳥の爪のようになった。
②正気に戻ったとき、神をほめたたえた。
3.5~7章:壁に書かれた文字
(1)ネブカデネザルの孫ベルシャツァルは、エルサレムの神殿から略奪してき
た器を、宴会のために用いた(5章)。
①突然、人間の指が現れ、宮廷の壁に文字を書いた。
②それは神からの裁きのメッセージであった。
③ダニエルだけが、その文字を読み解くことができた。
④ベルシャツァルは殺され、メディヤ人ダリヨスがその国を受け継いだ。
(2)ダニエルは、ダリヨス王に祈願するように命じられた(6章)。
①ダニエルは真の神に祈ったので、獅子の穴に投げ込まれた。
②王は、愚かな禁令を制定したことを悔いた。
③ダニエルは、天使によって守られた。
(3)ダニエルは、4頭の獣の幻を見た(7章)。
①バビロン、メド・ペルシヤ、ギリシア、帝国主義の国(ローマ)
②「人の子のような方」が到来し、御国を建てた。
4.8~12章:将来の御国の幻
(1)雄羊と雄山羊の幻(8章)
①将来の帝国の預言
(2)70週の預言(9章)
①メシアの到来と死がいつになるかの預言が与えられた。
②イスラエルと7年の契約を結ぶ反キリストの到来。
③7年の中間で契約が破棄される。
④後半の3年半が終わると、神の大いなる裁きが行われる。
⑤天使がダニエルにこの幻の解釈を与える。
(3)イスラエルの将来に関する預言(10~12章)
Ⅱ.ダニエル書の目的
1.献身の勧め
(1)1章に記された内容は、捕囚の地にあっていかに生きるべきかを教えている。
①神は、いかなる状況下にあっても、ご自身の民を忘れてはいない。
②これは、捕囚民にとって励ましとなった。
(2)ダニエルとヤコブの息子のヨセフは、似ている。
①異郷において、神に忠実であった。
②高い地位に上げられた。
③神の助けによって、夢や幻を解き明かした。
2.異邦人諸国に対する神の主権
(1)ダニ2章と7章は、世界の覇権国の変遷の預言である。
①神は、異邦人の帝国を支配しておられる。
②神の歴史のゴールは、メシア的王国である。
(2)ルカは、「異邦人の時」という言葉を使っている。
Luk 21:24 人々は剣の刃に倒れ、捕虜となってあらゆる国に連れて行かれる。異邦人の時代が完了するまで、エルサレムは異邦人に踏み荒らされる。」
①再臨のメシアが、エルサレムから世界を統治するまでは、異邦人の時が続く。
②異邦人は、イスラエルの民をどう扱うかについて注意する必要がある。
3.契約の民に対する神の忠実さ
(1)イスラエルの民は、不従順のゆえにバビロン捕囚を経験した。
①しかし、捕囚の地にあっても、神は契約の民を守られた。
(2)ダニエル書は、メシア的王国におけるイスラエルの祝福を預言している。
①私たちは、新しい契約の民である。
②今は、神の計画に基づく過去と未来に挟まれた「今」である。
③歴史のゴールから、「今」を見ることを学ぼう。
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