60分でわかる旧約聖書(14)歴代誌第二

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歴代誌を通して、歴史の中に見られる霊的原則について考える。

60 分でわかる旧約聖書( 14 )「歴代誌第二」

1.はじめに

(1)書名

①サムエル記、列王記、歴代誌は、それぞれ本来は一書である。

②七十人訳が便宜的に第一と第二に分けた。

③それ以降、その習慣が定着した(ヘブル語聖書も同様)。

 

(2)著者

①恐らくエズラであろう(ユダヤ教の伝統)。

②用語や文章のスタイルが、エズラ記とネヘミヤ記に似ている。

③歴代誌にはエズラ記とネヘミヤ記も含まれていたと思われる。

 

(3)内容

①ヘブル語聖書の最後の書である。

②歴代誌第一の内容は、サムエル記第一と第二に対応している。

③歴代誌第二の内容は、列王記第一と第二に対応している。

④列王記は預言者の視点から書かれている。政治的記録。

⑤歴代誌は祭司の視点から書かれている。宗教的記録。

⑥歴代誌が強調するテーマ

*レビ人、神殿建設、申命記に記された神の契約、聖なる都エルサレム

 

2.メッセージのアウトライン

Ⅰ.ソロモンの治世(1~9章)

Ⅱ.王国の南北分裂(10~12章)

Ⅲ.南王国の崩壊(13~36章)

1.アサ(14~16章)

2.ヨシャパテ(17~20章)

3.ヨアシュ(23~24章)

4.ウジヤ(26章)

5.ヒゼキヤ(29~32章)

6.ヨシヤ(34~35章)

 

結論:私たちへの適用

 

歴代誌を通して、歴史の中に見られる霊的原則について考える。

Ⅰ.ソロモンの治世( 1 9 章)

1.1列1~11章の内容とほぼ同じ。

(1)ソロモンは【主】に信頼してその治世を始めた。

①しかし、徐々に心は【主】から離れて行った。

②外国の妻たちが持ち込んできた偶像を礼拝するようになった。

 

(2)【主】が王たちに禁じたこと(申17:14~20)をすべて行った。

①馬や戦車を増やすこと

②多くの外国の妻を持つこと

③金銀を増やすこと

 

(3)王国は、物質的には栄えていたが、霊的には崩壊しつつあった。

 

Ⅱ.王国の南北分裂( 10 12 章)

1.ソロモンの息子レハブアム

(1)彼には、王国を【主】に立ち帰らせるチャンスが与えられた。

①もし長老たちの助言に従っていたなら、統一王国は継続した。

②しかし彼は、若い友人たちの助言を採用した。

 

(2)年長者が知者で、若者が愚かだというのではない。

①問題は、レハブアム自身がソロモンの宮廷で育てられたということである。

②彼には、知恵ある助言を聞き分ける力がなかったのである。

 

2.【主】からの裁き

(1)王国の分裂は、ソロモンの罪に対する【主】からの裁きであった。

①南王国の王レハブアムにもその責任はある。

②北王国は10部族、南王国は2部族(ユダ族とベニヤミン族)からなった。

 

(2)ヤロブアムは、ダンとベテルに金の子牛を安置した(ヤロブアムの道)。

①それ以降、北王国には19人の王が出現した(9王朝)。

②善王はひとりもいない(北王国は一度も【主】に立ち帰らなかった)。

③アッシリヤ捕囚になった。

 

3.南王国の存続

(1)単一王朝で、20人の王が出現した。

①その内、8人が善王である。

②しかし、民の罪は余りにも深かったので、大勢としては崩壊に向かった。

 

(2)【主】が南王国を可能な限り守られたのは、ダビデ契約のゆえである。

①歴代誌の記録は、南王国を中心に書かれたものである。

 

Ⅲ.南王国の崩壊( 13 36 章)

1 .アサ( 14 16 章)

(1)初めは良かった。

①偶像を取り除き、【主】に立ち返るように民に命じた。

②【主】は、10年間の平和を与えた。

③その間、町々を要塞化した。

④【主】との契約の更新を行った。

「さらに、彼らは、心を尽くし、精神を尽くしてその父祖の神、【主】を求め、

だれでもイスラエルの神、【主】に求めようとしない者は、小さな者も大きな

者も、男も女も、殺されるという契約を結んだ」(15:12~13)

⑤母マアカを王母の地位から退け、彼女がおがむアシェラ像を焼いた。

 

(2)終わりは悪かった。

①【主】から心が離れた。

②神殿の宝物倉から銀と金を取り出し、アラムの王ベン・ハダデに贈った。

③預言者ハナニに糾弾されたが、悔い改めなかった。

④両足ともに重病にかかったが、【主】に立ち帰らないで、医者を求めた。

 

(3)教訓:初めが良くても、終わりも良いとは限らない。

 

2 .ヨシャパテ( 17 20 章)

(1)南王国で最も偉大な王のひとりである。

①神を求めた王である。

②祭司たちを派遣し、民にモーセの律法を教えた。

③しかし彼は、3つの失敗を犯している。

 

(2)第1の失敗は、政略結婚によって北王国との和平を求めたことである。

①息子のヨラムを、アハブとイゼベルの娘アタルヤと結婚させた。

②アタルヤは、バアル礼拝を南王国にもたらすことになる。

③政略結婚が偶像礼拝につながるというのは、ソロモンの時と同じである。

④ヨシャパテは、自らの信仰的な立場を妥協させた。

 

(3)第2の失敗は、アハブと同盟を結び、北王国の敵と戦ったことである。

①アハブはヨシャパテに、王服を着て戦場に行くように願った。

②【主】はヨシャパテを守り、アハブが殺されるようにされた。

③罪を犯したが、【主】がヨシャパテ守られたという例外的な事例である。

 

(4)第3の失敗は、富を得るために、悪王アハズヤと同盟を結んだこと。

①タルシュシュ行きの船団は、嵐に会って難破した。

②これは、今も信仰者が犯しやすい過ちである。

 

(5)モアブ人とアモン人の連合軍との戦いにおいては、信仰を発揮した。

①彼は、【主】に信頼した。

②祈り、預言、賛美によって勝利した(20章)。

「それから、彼は民と相談し、【主】に向かって歌う者たち、聖なる飾り物を

着けて賛美する者たちを任命した。彼らが武装した者の前に出て行って、こう

歌うためであった。『【主】に感謝せよ。その恵みはとこしえまで』」

(20:21)

 

(6)教訓:礼拝は、クリスチャンの武器である。

 

3 .ヨアシュ( 23 24 章)

(1)彼は、奇跡の子である。

①祖母のアタルヤは、ダビデの家系に属する者たちを皆殺しにした。

②大祭司ヨダヤは幼子ヨアシュをかくまい、後に王として擁立した。

③メシアの家系を断ち切ろうとする悪魔の意図が背後にある。

 

(2)大祭司ヨダヤの影響

①多くの改革を行った。

②特に、神殿の修復が特記すべき事項である。

 

(3)大祭司ヨダヤの死後

①ヨアシュは、レハブアムと同じ過ちを犯し、世俗的助言に耳を傾けた。

②彼は、ヨダヤの息子ゼカリヤを殺した。

 

(4)教訓:内に神への愛がないなら、霊的指導者がいなくなった時に堕落する。

 

4 .ウジヤ( 26 章)

(1)アザルヤとも呼ばれた。

①長期に渡る繁栄を経験した。

 

(2)彼の失敗は、祭司の役割を果たそうとしたこと。

①傲慢が彼を堕落させた。

「ところが、彼は勢力を増すとともに思い上がって堕落し、自分の神、主に背

いた。彼は主の神殿に入り、香の祭壇の上で香をたこうとした」(26:16)

②彼は、重い皮膚病で打たれた。

②王であり祭司であるのは、キリストだけである。

 

(4)教訓:傲慢になると、自分に委ねられていない権威を行使したくなる。

 

5 .ヒゼキヤ( 29 32 章)

(1)王たちの中で最も霊的な人物である。

①神殿を修復した。

②かつてないほどの規模で、真の礼拝を回復した。

③北王国と南王国がいっしょに過越の祭りを守るように呼びかけた。

④国内から偶像を取り除いた。

 

(2)アッシリヤのセナケリブの攻撃を受けた。

「これらの誠実なことが示されて後、アッシリヤの王セナケリブが来て、ユダに入

り、城壁のある町々に対して陣を敷いた。そこに攻め入ろうと思ったのである」

(32:1)

①この時、ヒゼキヤはトンネルを掘った。

 

(3)教訓:【主】は、ご自身に忠実な人をさらに試される。

 

6 .ヨシヤ( 34 35 章)

(1)ヒゼキヤの息子マナセは、南王国で最悪の王である。

①父ヒゼキヤの業績をすべて破壊した。

②晩年になって、マナセは悔い改め、【主】は彼を赦された。

③マナセの息子アモンも悪王で、2年でその統治が終わった。

④続いて、アモンの息子ヨシヤが王となった。

 

(2)ヨシヤは8歳で王となり、16歳で【主】を求め始めた。

①偶像を取り除き、種々の改革を行った。

②神殿修復の際に、律法の書を発見した。

③大規模な過越の祭りを行った。

 

(3)彼の失敗は、自分に関係のない戦いにかかわったことである。

①エジプトの王ネコの進行を食い止められると思った。

②ネコはヨシヤに警告(神のことば)を発したが、それは無視された。

③ヨシヤは変装していたが、戦場で矢に当たり負傷する。

④エルサレムに戻り、そこで死ぬ。

 

(4)教訓:自信過剰になると、自分に関係のないことに首を突っ込みたくなる。

 

結論:

1 .はじめに

1 )ヨシヤの死後、弱小の王たちのみが登場する。

2 )最後の王はゼデキヤである。

3 )前 586 年、南王国はバビロン捕囚になる。

 

2 .南王国が滅びた原因は何か

1 )民が【主】から離れ、偶像を礼拝するようになったことが原因である。

①最初は、偶像礼拝は秘密裏に行われた。

*神殿では【主】を礼拝しながら、同時に偶像も礼拝した。

②次に、堂々と【主】を離れ、敵の神々をおがむようになった。

 

2 )善王がもたらした好影響は、長続きしなかった。

①善王がもたらす改革は、外面の改革である。

②内面が変化しない限り、真の霊的再生にはつながらない。

 

3 .私たちへの適用

1 )私たちの成功は、【主】から来るものか、この世との協力から来るものか。

2 )どのような基準で、クリスチャンとしての成功を判断するのか。

「わたしの名を呼び求めているわたしの民がみずからへりくだり、祈りをささげ、

わたしの顔を慕い求め、その悪い道から立ち返るなら、わたしが親しく天から聞

いて、彼らの罪を赦し、彼らの地をいやそう」( 7 14

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