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60分でわかる旧約聖書(13)歴代誌第一
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歴代誌を通して、歴史の中に見られる霊的原則について考える。
60 分でわかる旧約聖書( 13 )「歴代誌第一」
1.はじめに
(1)書名
①サムエル記、列王記、歴代誌は、それぞれ本来は一書である。
②七十人訳が便宜的に第一と第二に分けた。
③それ以降、その習慣が定着した(ヘブル語聖書も同様)。
④ヘブル語のタイトル:「ディブレ・ハヤミム」
*「the words concerning the days」
⑤ギリシア語(七十人訳)のタイトル:「パラレイポメナ」
*省略という意味
*このタイトルは、半分合っているが正解ではない。
⑥歴代誌(Chronicles)という書名は、ブルガタ訳(ラテン語)から出ている。
(2)著者
①恐らくエズラであろう(ユダヤ教の伝統)。
②用語や文章のスタイルが、エズラ記とネヘミヤ記に似ている。
③歴代誌にはエズラ記とネヘミヤ記も含まれていたと思われる。
(3)内容
①ヘブル語聖書の最後の書である。
②歴代誌第一の内容は、サムエル記第一と第二に対応している。
③歴代誌第二の内容は、列王記第一と第二に対応している。
2.歴代誌第一のアウトライン
Ⅰ.アダムからサウルまでの系図(1~9章)
Ⅱ.サウルの治世(10章)
Ⅲ.ダビデの治世(11~29章)
1.ダビデの軍勢(11~12章)
2.ダビデと契約の箱(13~16章)
3.ダビデと神殿建設の願い(17章)
4.ダビデの勝利(18~20章)
5.人口調査と疫病(21章)
6.神殿建設の準備(22~26章)
7.軍事と政治におけるリーダーたち(27章)
8.ダビデの晩年(28~29章)
3.メッセージのアウトライン
(1)再記述の法則とは何か。
(2)歴代誌と他の歴史書(サムエル記と列王記)の関係は何か。
(3)歴代誌の教訓とは何か。
歴代誌を通して、歴史の中に見られる霊的原則について考える。
Ⅰ.再記述の法則とは何か。
はじめに
(1)歴代誌は、サムエル記と列王記の複製なのか。
①決してそうではない。歴代誌には、サムエル記や列王記とは別の目的がある。
(2)それを理解するために、再記述の法則を学ぶ必要がある。
1.再記述の法則とは
(1)ひとつの長い記述を終えると、再びその記述に戻り、情報を追加する。
①ある部分を取り上げ、そこに詳細な説明を加える。
②その部分は、聖書記者(聖霊)が重要だと判断している箇所である。
(2)二度目の記述は、最初の記述の要約であったり、解説であったりする。
(3)歴代誌は、再記述の法則をサムエル記と列王記に適用したものである。
①ある部分はカットされている。
②ある部分は詳細に解説されている。
③歴代誌は、サムエル記と列王記の出来事を別の角度から解釈したもの。
2.創世記2章
(1)創世記1章の7日間の記録の再記述
(2)創2:4a
Gen 2:4 これは天と地が創造されたときの経緯である。
(3)創世記2章は、ひとつのテーマにズームインする。
①人類の創造
②この情報は、私たちにとって極めて重要である。
③人類は、アダムの子孫である。
3.申命記
(1)モーセの律法の繰り返しではない。
(2)40年の荒野の放浪生活を前提に、モーセの律法を解釈したものである。
Ⅱ.歴代誌と他の歴史書(サムエル記と列王記)の関係は何か。
1.歴代誌は他の歴史書の再記述である。
(1)歴代誌第一の強調点はダビデであり、第二の強調点はダビデの子孫である。
(2)祭壇という視点から書かれた歴史vs.王座という視点から書かれた歴史
(3)神殿を中心に書かれた歴史vs.王宮を中心に書かれた歴史
(4)宗教的歴史vs.政治的歴史
(5)祭司の視点vs. 預言者の視点
2.歴代誌は、いくつかの重要な出来事を省略している。
(1)南北分裂以降、北王国(イスラエル)の歴史はほとんど無視されている。
①歴代誌の記録は、南王国に焦点を合わせている。
(2)ダビデとサウルの葛藤
①ダビデは、ゆえなくサウル王に追われた。
(3)サウルの息子イシュ・ボシェテとの争い
①歴代誌は、政治的歴史からは距離を置いている。
(4)ダビデの罪を取り上げていない。
①バテ・シェバとの関係とウリヤ殺害の罪
②ダビデの家庭内の問題(アムノンとアブシャロム)
(5)アドニヤの野望
①王位継承を狙う。
(6)ソロモンの罪
3.歴代誌は、いくつかの出来事を強調している。
(1)ダビデ、ダビデの子孫によるエルサレムからの統治
(2)王国の南北分裂は、ソロモンの罪の結果ではなく、ヤロブアムの政治的野心
の結果である。
(3)ダビデとソロモンが、ほとんど理想化されている。
①ダビデは、神殿建設のための資材を用意した。
②ダビデは、賛美と楽器を用意し、祭司やレビ人の組織化を行った。
③ソロモンは神殿を建設した。
Ⅲ.歴代誌の教訓とは何か。
1.歴史は、神が働かれたことの記録である。
(1)歴史上の出来事は、それ自体が啓示であり、神の御業の結果である。
(2)それらの出来事の意味を理解するためには、解釈が必要である。
(3)解釈もまた啓示によって得られる。
2.歴代誌は、歴史的出来事を解釈した書である。
(1)多神教の民には、このような解釈は与えられない。
(2)彼らは、歴史上の出来事の意味を自分で判断するしかない。
(3)歴代誌は、イスラエルの民に与えられた歴史的出来事の解釈である。
(4)歴史は一般啓示であり、解釈は特別啓示である。
3.歴代誌は、契約の民にいくつかの霊的教訓を教えた。
(1)民が従順であれば、神は彼らを祝福する。
(2)民が不従順であれば、罰し、訓練する。
(3)神の忍耐が尽きた時、南王国ユダはバビロン捕囚を経験した。
(4)神は、敵が神殿と町を破壊することを許された。
(5)歴代誌の最後は、ユダヤ人の祖国帰還を許可するクロス王の勅令で終わる。
(6)そこからエズラ記へと続く。
(7)人が罪を犯しても、神の計画は継続していく。
4.ダビデの罪とソロモンの罪がカットされている。
(1)神はダビデの罪を赦された。
(2)神が罪を赦すとき、神はその罪を忘れてくださる。
(3)ヘブ8:12
「なぜなら、わたしは彼らの不義にあわれみをかけ、もはや、彼らの罪を思い出
さないからである」
(4)エレ31:34
「そのようにして、人々はもはや、『【主】を知れ』と言って、おのおの互いに
教えない。それは、彼らがみな、身分の低い者から高い者まで、わたしを知るか
らだ。
──【主】の御告げ──わたしは彼らの咎を赦し、彼らの罪を二度と思い出さな
いからだ」
①新しい契約は、アブラハム契約の成就である。
②神とイスラエルの民の間の契約である。
③しかし、アブラハム契約の中には最初から異邦人の救いが約束されている。
④「罪を思い出さない」という約束は、私たち異邦人のものでもある。
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