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60分でわかる旧約聖書(7)「士師記」
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士師記を通して、歴史の法則について考える。
60 分でわかる旧約聖書( 7 )「士師記」
1.はじめに
(1)著者
①王政に入って以降に、書かれた書である。
②著者が誰かは分からない。
③サムエルである可能性が高い。
(2)名称
①士師記という名称は、この書に登場する士師たちから取られたものである。
②士師は「ショフェット」である。英語では「judge」「deliverer」である。
③彼らは裁判官であり、また政治的・軍事的指導者、敵からイスラエル人を解
放する解放者、救済者でもあった。
④士師記には、12人の士師たちが登場する。
⑤それぞれの士師に関する記録の長さは異なる。短いものは1節である。
(3)内容
①ヨシュアが死んで以降のイスラエルの民の歴史を取り上げている。
②ヨシュアの指導のもと、土地が各部族に分割された。
③イスラエルの民は、大いなる期待を持って約束の地に入った。
*勝利ある生活
*豊かな生活
*ヤハウェの栄光を反映させた生活
④しかし、各部族は異教の民を完全に追放することができなかった。
*それが問題の根本原因となった。
*イスラエルの民は、しばしば異教の民に征服された。
*神は、その都度「士師」と呼ばれる指導者を立て、民を解放した。
⑤士師記は、「敗北と解放の書」である。
⑥また、「失望の書」でもある。
(4)士師たちの活動期間
①オテニエルからサムソンまで、約325年間
②各士師の活動期間を合計すると、400年以上になる。
③士師たちの記録は、年代順ではない。
④活動が同時進行した士師たちがいる。
⑤彼らの活動は、モーセやヨシュアと異なり地域限定型であった。
2.アウトライン
(1)過去と未来(1:1~3:6)
①過去(1:1~2:10)
②未来(2:11~3:6)
(2)士師たちの時代(3:7~16:31)
(3)民の崩壊(17~21章)
3.結論
(1)歴史の法則
(2)クリスチャン生活の法則
補足:12人の士師たち
1.オテニエル(3:1~11):11節
2.エフデ(3:12~30):22節
3.シャムガル(3:31):1節
4.デボラ(4~5章):2章
5.ギデオン(6:1~8:32):3章
6.トラ(10:1~2):2節
7.ヤイル(10:3~5):3節
8.エフタ(10:6~12:7):2章
9.イブツァン(12:8~10):3節
10.エロン(12:11~12):2節
11.アブドン(12:13~15):3節
12.サムソン(13~16章):4章
士師記を通して、歴史の法則について考える。
Ⅰ.過去と未来( 1 : 1 ~ 3 : 6 )
1 .過去( 1 : 1 ~ 2 : 10 )
(1)ヨシュアが死んで以降の各部族の戦い
①各部族は、自分の割り当て地において先住民を追放する戦いを展開する。
②この戦いは、イスラエルの民にとっては定住地を獲得するための戦い。
③先住民にとっては、主の裁きを受ける戦い。
(2)ユダ族の戦い
①シメオン族との協力
②エルサレムは、エブス人が住み続ける。
③ベニヤミン族との協力
(3)北の部族による征服
①中途半端な戦いしかできなかった。
②カナン人を完全に追い払うことができなかった。
③カナン人が点在していたため、部族間の移動の自由がなくなった。
④カナン人の偶像礼拝はそのまま残された。
⑤イスラエル人はその影響を受け、背教の民となっていく。
⑥カナン人と関係を結ぶようになり、契約の民としての特徴を失っていった。
⑦神は、カナン人の存在を、イスラエル人の信仰を試すものとして利用された。
⑧民が不信仰に陥った時には、神はカナン人を裁きの器として用いた。
⑨悔い改めた時には、カナン人の手から救い出した。
⑩第3世代の者たちには、戦争の経験がなかった。
⑪戦争の経験は、王制に移行するためにどうしても必要なものであった。
(4)第2世代から第3世代へ
①ヨシュアの死後も、【主】の奇跡を目撃した長老たちがいた(第2世代)。
②これらの長老たちが生きている間は、民は【主】に忠実に歩んだ。
③第3世代になると、民は自分勝手な歩みをするようになった。
④第3世代がどのように歩んでいたかが、士師記の時代背景となっている。
2 .未来( 2 : 11 ~ 3 : 6 )
(1)士師時代にくり返されるあるパターンが紹介されている。
①背信の段階
*イスラエル人はバアル礼拝に取り込まれていく。
②裁きの段階
*隣国の人々を用いて、【主】がご自身の民を裁かれる。
③悔い改めの段階
*イスラエルの民は苦難の中から【主】に助けを呼び求める。
④士師による解放の段階
*民の叫びを聞いた【主】は、士師を送り、敵の手から民を救う。
Ⅱ.士師たちの時代( 3 : 7 ~ 16 : 31 )
1 .オテニエル( 3 : 1 ~ 11 ): 11 節
(1)カレブの弟である。
(2)敵は、アラム・ナハライムのクシャン・リシュアタイム。
2 .エフデ( 3 : 12 ~ 30 ): 22 節
(1)左利きの士師
(2)敵は、モアブの王エグロン。
3 .シャムガル( 3 : 31 ): 1 節
(1)「牛の突き棒」を使って戦った士師
(2)敵は、ペリシテ人。
4 .デボラ( 4 ~ 5 章): 2 章
(1)12人の士師の中で唯一の女性。
①彼女は女預言者と呼ばれている。
②実戦の指導者としてバラクを立てたが、バラクはあくまでも援助者。
(2)敵は、ハツォルの王ヤビン。
①鉄の戦車900両がキション川のほとりで動けなくなった。
②【主】が大雨を降らせた。
5 .ギデオン( 6 : 1 ~ 8 : 32 ): 3 章
(1)マナセ族の中で最も弱い分団に属していた。
①酒ぶねの中で小麦を打っていたときに、【主】の使いが現れた。
②神の御心を確認するために、しるしを求めた。
③羊の毛の上に霜が降り、土全体は渇くように。
④次は、その逆を求めた。
(2)敵は、ミデヤン人。
①3万2千人の兵士を300人に減らした。
②水の飲み方で、300人を選抜した。
6 .トラ( 10 : 1 ~ 2 ): 2 節
(1)平和と繁栄の時代の士師である。45年間。
(2)アビメレク(ギデオンの息子)の時代に起こった混乱を静めた。
7 .ヤイル( 10 : 3 ~ 5 ): 3 節
(1)トラと同時代の平和と繁栄の時代の士師である。45年間。
(2)ヨルダン川東岸からの士師である。
8 .エフタ( 10 : 6 ~ 12 : 7 ): 2 章
(1)ギルアデ人の父と遊女の母の間に生まれた。
①正妻の息子たちから差別を受け、ギルアデから追い出された。
②彼の回りにはごろつきどもが集まるようになった。
③彼らは、敵の領土に侵入し、食物や必需品などを略奪するようになった。
④これが彼らに戦闘の経験を与えた。
(2)敵は、アモン人。
①最初に出て来る者を「全焼のいけにえ」として捧げるとの請願を立てた。
②最初に踊りながら出て来たのは、彼のひとり娘であった。
③モーセの律法によれば、これは正式な請願ではないので、取り消すことがで
きた。
④それをしなかったのは、無知であったか、頑なであったかのどちらか。
⑤娘は死んだのか。2つの意見がある。
*文字どおり「全焼のいけにえ」として殺された。
*終生幕屋で仕えるために【主】に捧げられた。
9 .イブツァン( 12 : 8 ~ 10 ): 3 節
(1)ゼブルン族のベツレヘム出身。
①一夫多妻制を実行し、30人の息子と30人の娘をもうけた。
(2)「平和と繁栄の時代」の士師
10 .エロン( 12 : 11 ~ 12 ): 2 節
(1)ゼブルン人
(2)「平和と繁栄の時代」の士師
11 .アブドン( 12 : 13 ~ 15 ): 3 節
(1)エフライム人
①40人の息子と30人の孫がいました。
(2)「平和と繁栄の時代」の士師
①「70頭のろばに乗っていた」とある。
12 .サムソン( 13 ~ 16 章): 4 章
(1)ダン族に属するマノアの無名の妻(不妊)が母である。
①【主】の使いによって、胎内にいる時からナジル人であると宣言された。
②ナジル人とは、「聖別された者」。
(2)敵はペリシテ人
①髪の毛を剃られたとき、彼は力を失った。
②最後に彼は、約3,000人のペリシテ人を殺した。
Ⅲ.イスラエルの民の崩壊( 17 ~ 21 章)
1 .士師 17 : 6
「そのころ、イスラエルには王がなく、めいめいが自分の目に正しいと見えることを
行なっていた」
2 .崩壊の過程
(1)偶像礼拝(17~18章)
(2)不道徳(19章)
(3)内戦(20~21章)
結論
1 .歴史の法則
( 1 )妥協→交流→偶像礼拝→神の裁き
( 2 )士師時代にくり返されるパターン
①背信の段階
②裁きの段階
③悔い改めの段階
④士師による解放の段階
( 3 )国が崩壊する過程
①霊的崩壊
②道徳的崩壊
③物理的崩壊
( 4 )この時代の失敗が、次の王制に移行するための準備となっている。
2 .クリスチャン生活の法則
( 1 )【主】は欠点のある者や弱い者を用いてくださる。
① 3 番目の士師シャムガルの例
②彼は、ペリシテ人 600 人を打ち殺して、イスラエルを救った。
③「牛の突き棒」を使って戦った。それ以外に武器がなかった。
④発掘された突き棒は、長さが約 2.4 メートルで、先端が周囲約 15 センチあ
り、細いほうの先端には、先のとがった鉄製の頭がついていた。
⑤このような粗末な棒で大勝利を収めたとは、驚くべきことである。
⑥ここに、主の戦いに勝利する秘訣がある。
( 2 )勝利する力は、聖霊から来る。
① 12 番目の士師サムソンの例
②サムソンは、胎内にいる時から、神へのナジル人であった。聖別された者。
③酒を飲まない、汚れた物を食べない、頭にかみそりを当てない。
④サムソンはイエス・キリストの型である。
*その出産が、通常のものとは違っていた。
*サムソンは「太陽の子」という名を与えられた。
*サムソンは主の祝福を受けて成長した。
*サムソンは聖霊の力によって活動を開始した。
⑤新約聖書では、バプテスマのヨハネが終生のナジル人である。
⑥霊的には、私たちクリスチャンもまたナジル人である。
「わたしはぶどうの木で、あなたがたは枝です。人がわたしにとどまり、わた
しもその人の中にとどまっているなら、そういう人は多くの実を結びます。
わたしを離れては、あなたがたは何もすることができないからです」(ヨハネ
15 : 5 )
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