私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
創世記(52)—ポティファルの僕となるヨセフ—
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創世記39章を「キリスト論」としての切り口から解説。
創世記52 創世記39章1節~23節
「ポティファルの僕となるヨセフ」
イントロ:
1.創世記37章~50章は第11番目のトルドット(歴史、経緯)である。
2.文脈を確認する。
(1)ヨセフ物語は、「ヤコブ一家」から「イスラエル民族」へのリンクとなる。
(2)37章からヨセフの物語が始まった。
(3)38章でユダの物語が挿入された。ヤコブの一家がエジプトに下る理由。
(4)39章は、エジプトでのヨセフの生活を描いている。
(5)ヨセフとキリストの関係
①新約聖書には、ヨセフはキリストの型だと教えている個所はない。
②しかし、ヨセフとキリストの間には類似点が多くある。
3.メッセージのアウトライン
(1)僕となるヨセフ(39:1~6)
(2)誘惑に会うヨセフ(39:7~12)
(3)不当に非難されるヨセフ(39:13~23)
4.きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。
(1)ヨセフに起こったことはキリストにも起こる。
(2)キリストに起こったことは私たちにも起こる。
(3)つまり、ヨセフに起こったことは私たちにも起こるのである。
このメッセージは、キリスト論的に創39章を解説しようとするものである。
Ⅰ.僕となるヨセフ(39:1~6)
1.ヨセフはポティファルに売られる。(1節)
(1)創37:36と創39:1とがつながっている。
(2)商人はヨセフを銀20枚で買い取った。
(3)いくらで売ったかは分からないが、大儲けをしたことは確かである。
(4)しかし、一番儲けたのはポティファルである。
2.ポティファルという人物
(1)パロの廷臣
①ヘブル語「サリス」。通常は、宦官のこと。
②彼には妻がいるので、宦官ではない。
③パロの宮廷で仕える官僚のこと。
(2)侍従長
①ヘブル語「サール・ハ・タバヒム」。ボディーガードの長。衛兵隊の隊長
②別訳は、死刑執行人の長。
(3)エジプト人
3.ヨセフの立場(2節)
(1)ポティファルの奴隷である。
(2)しかし、「主が彼とともにおられた」。
①「主」と訳された言葉は、「ヤハウェ(アドナイ)」である。
②これは、固有名詞であり、契約の神の御名である。
③アブラハム契約の条項のゆえに、神はヨセフとともにいる。
④2節、3節(2回)、5節(2回)、
(3)長服を取られ、奴隷に売られても、残されたものがある。
①高潔な人格
②信仰
(4)世界の文化の中心地エジプトの世界観よりも、ヨセフの世界観の方が大きい。
①ピラミッドが立てられていた時代。
②ヨセフはポティファルの家から逃亡することもなく、そこで忠実に仕えた。
4.ヨセフの働き(3~6節)
(1)主がヨセフのすることをすべて成功させてくださった。
(2)ポティファルは、それがヘブル人の神によるものであることを認めた。
①ポティファルが、主を信じたわけではない。エジプト人は偶像礼拝者。
②祝福の結果を見て、ヨセフの神の偉大さを認めたということ。
(3)ヨセフはポティファルから信頼された。
①最初は、下働きから始まった。
②小さなことに忠実であったので、大きなことを任された。マタ25:21
③ついに、側近の者となり、家の管理と全財産の管理を任された。
(4)アブラハム契約の条項
①ポティファルはヨセフを大切にした。
②主はヨセフのゆえに、ポティファルの家を祝福された。
(5)ポティファルは、自分の食べる食物以外は、すべてヨセフに委ねた。
①エジプト人は、ヘブル人が用意した食事は食べない。
②創43:32参照
Ⅱ.誘惑に会うヨセフ(39:7~12)
1.ポティファルの妻の誘惑
(1)「ヨセフは顔も美しく、体つきも優れていた」(新共同訳)
(2)ヨセフに命令した。
①「わたしと寝なさい」(口語訳)
②「私と寝ておくれ」(新改訳)
③「わたしの床に入りなさい」(新共同訳)
(3)これは強い誘惑である。
①主人の妻からの命令である。
②異国で孤独な生活を送っている。
③誰も見ていない。
(4)背後にサタンがいる。
①もしこの誘惑に乗るなら、神の計画は破壊される。
2.拒否するヨセフ
(1)「あなた以外には、何も私に差し止めておられない」
①これは、エデンの園の「善悪の知識の木」と同じである。
②エバにとっては、ひとつだけ禁止されていることが、誘惑への力となった。
③ヨセフにとっては、誘惑を拒否する力となった。
(2)主人の信頼を裏切ることはできない。
(3)神を裏切れない。
①兄弟たちから裏切られた。
②神だけが信頼できるお方である。
③夢の実現へと進み始めている。
3.しつこく迫るポティファルの妻
(1)誘惑が繰り返される。
(2)ヨセフは、最大限の努力をし、彼女に近寄らなかった。
(3)ある日、家の中に彼女しかいない状況が訪れた。
①仕組まれた状況
②彼女は、ヨセフの上着をつかんで、ヨセフに命令した。
(4)ヨセフは上着を彼女の手に残し、外に逃げた。
(例話)ビリー・グラハム博士から聞いた話
Ⅲ.不当に非難されるヨセフ(39:13~23)
1.ヨセフを誘惑することは失敗に終わった。
2.彼女は怒った。
(1)その家の者どもを呼び寄せた。
(2)夫を非難した。夫婦関係が疑われる状態である。
①「もてあそぶために」(新改訳)
②ヘブル語「ツァハク」。イシュマエルがイサクをからかった時の言葉。
③「わたしたちに戯れます」(口語訳)
④「わたしたちはいたずらをされる」(新共同訳)
(3)ヨセフを非難した。
①ヘブル人という言葉は、軽蔑を表す。
②上着が物的証拠となる。現実味のない証拠。
③ヨセフの上着が、嘘のための証拠として利用されるのは2度目である。
④義人が、罪もなく非難されることはよくある。
(4)彼女は、罪を恥じるのではなく、義人に復讐を図った。
3.ヨセフの投獄
(1)ポティファルは妻の言葉を信じた。
(2)神の摂理が働いている。
①ポティファルはヨセフを死刑にすることができた。
②彼の怒りは、途中でとどめられた(妻の証言への疑い、神の介入)。
③王の囚人が監禁されている監獄(最も厳しい監獄)に入れられた。
4.アブラハム契約の祝福
(1)主がヨセフとともにおられた。
①21節、23節(2回)
(2)ポティファルの家で起こったのと同じことが起こった。
①監獄の長の信頼を得た。
②すべての囚人の世話を委ねられた。
(3)獄中のヨセフの状態:詩篇105:18~19
「彼らは足かせで、ヨセフの足を悩まし、ヨセフは鉄のかせの中に入った。彼のことばがそのとおりになる時まで、【主】のことばは彼をためした」
(4)ヨセフを支えたものは、2つの夢と、主がともにおられるという確信。
結論
1.僕としてのキリスト
(1)キリストは、ローマ帝国に支配されていたユダヤに来られた。
(2)僕としての生涯を歩まれた。
(3)しかし、神はともにおられた。マタ 1:23参照。
「見よ、処女がみごもっている。そして男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。」(訳すと、神は私たちとともにおられる、という意味である。)
(4)ローマ総督ピラトの前でイエスはこう言われた。ヨハ18:36
「わたしの国はこの世のものではありません。もしこの世のものであったなら、わたしのしもべたちが、わたしをユダヤ人に渡さないように、戦ったことでしょう。しかし、事実、わたしの国はこの世のものではありません」
2.誘惑に合うキリスト
(1)荒野での誘惑
①メシアとして誘惑に合っている。
②もしその誘惑に乗るなら、神の計画は破壊される。
(2)サタンはしつこく迫った。
①ペテロの口を通して
②ゲツセマネの園で
③十字架から降りて来いという声で
3.不当に非難されるキリスト
(1)イザ53:4~6の預言
(2)イザ53:10の預言
4.ヨセフに起こったことはキリストに起こり、私たちにも起こる。
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