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創世記(46)—ヤコブとエサウの再会—
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恐れに勝利し、画期的な人生経験を手に入れる方法を学ぶ。
創世記46 創世記32章1節~33章17節
「ヤコブとエサウの再会」
イントロ:
1.ヤコブの一家が、パダン・アラムからカナンに向かっている。
(1)ラバンとの関係も決着がついた。
(2)ギルアデの契約で、境界線を越えないという約束ができた。
(3)カナンの地は目前である。
2.次の問題は、兄のエサウとの再会である。
(1)かつてエサウは、ヤコブを殺そうとしたことがある。
(2)20年後、エソウの憎しみが消えているかどうか分からない。
(3)ヤコブの心に大きな恐れがあった。
3.きょうの箇所
(1)再会する前の状況(起)
(2)ヤコブの対策(承)
(3)神の対策(転)
(4)再会(結)
4.きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。
(1)恐れにどのように勝利するか。
(2)改名するほどの体験をどのようにして手に入れるか。
*ヤコブからイスラエルへ
このメッセージは、恐れに勝利し、画期的な人生経験を手に入れる方法を学ぼうとするものである。
Ⅰ.再会する前の状況(32:1~6)
1.良い知らせ(1~2節)
(1)ヤコブは旅を続けていた。
(2)ギルアデの山地を南下している。ヨルダン川の東側の高地。
(3)神の使いたち(天使たち)が彼に現れた。
①創28:12 ベテルでの体験
「そのうちに、彼は夢を見た。見よ。一つのはしごが地に向けて立てられている。その頂は天に届き、見よ、神の使いたちが、そのはしごを上り下りしている」
②約束の地を出る時と、そこに入る時に、天使たちの守りがあった。
(4)ヤコブはその地に名前を付けた。
①「ここは神の陣営だ」→ マハナイム
②宿営は、マハネ。その双数形がマハナイム。「2つの宿営」
③エルサレムの「マハネ・イエフダ」という市場がある(民2:3、9)。
④ヤコブの宿営と、神の宿営(天使たちがいる)の2つが並んでいるということ。
(5)私たちもまた、出入りに際して、マハナイムの体験をする必要がある。
2.悪い知らせ(3~6節)
(1)兄のエサウに前もって使者を送る。
①セイルの地とは、ギルアデの南側にある高地。今ヤコブはここにいる。
②エドムの野とは、セイルがあった地区のこと。
(2)メッセージの内容(恐れのためにこのような内容になっている)
①私の主人エサウ
②あなたのしもべヤコブ
③ラバンのもとに寄留していた。
④牛、ろば、羊、男女の奴隷を所有している。
⑤あなたのご好意を得ようとして。
(3)使者の報告
①エサウは400人を引き連れてやって来る。
②理由は、分からない。
③確実なことは、ヤコブがそれを聞いて非常に恐れたということ。
④その恐れが、神との戦いを生み出す原動力になった。
⑤神は、私たちの霊性を高めるために、恐れの経験を与えることがある。
Ⅱ.ヤコブの対策(32:7~21)
1.人間的工夫(7~8)
(1)いっしょにいる人々や、家畜の群れを、2つの組に分けた。
(2)エサウが来て1つの組を打っても、残りの1つの組は逃れられる。
2.祈り(9~12)
(1)呼びかけ。「私の父アブラハムの神、私の父イサクの神よ」。契約の御名。
(2)神の命令によってカナンの地に帰ろうとしているとアピール。
(3)過去の恵みへの感謝
①自分は、今まで受けてきたすべての恵みを受けるに値しない。
②杖一本だけでヨルダン川を渡ったが、今は、2つの宿営を持つようになった。
(4)救助の願い
①エサウが家族を殺しはしないかと恐れている。
②願いの根拠は、ベテルでの神の約束
「あなたはかつて『わたしは必ずあなたをしあわせにし、あなたの子孫を多くて数えきれない海の砂のようにする』と仰せられました」
(5)以上の祈りの要素は、私たちの祈りにも取り入れるべき内容である。
3.贈り物(13~21)
(1)翌日の行動である。
(2)贈り物の内容(合計580頭)
①雌やぎ200頭、②雄やぎ20頭、③雌羊200頭、④雄羊20頭
⑤乳らくだ30頭とその子(30頭)、⑥雌牛40頭、⑦雄牛10頭
⑧雌ろば20頭、⑨雄ろば10頭
(3)これは、ヤコブの財産の一部である。彼は裕福になっていた。
(4)一群れずつを分けて、その間に距離を置く。
①一挙にではなく、順番にエサウへの贈り物を見せる。
②これによって、エサウをなだめようとした。
(5)この作業に一日かけて、彼自身は、宿営地でその夜を過ごした。
①それでもヤコブの不安は去らなかった。
Ⅲ.神の対策(32:22~32)
1.夜のうちの出来事
(1)家族を連れてヤボク川を渡った。次に家畜も渡らせた。
(2)ギルアデとアモンの境界線を東西に流れ、ヨルダン川に注ぎ込む川。
(3)その川を渡ると、カナンの地は目前である。
(4)ヤコブだけがひとりで戻った。ヤボク川の南岸に家族が、北岸にヤコブがいる。
(5)ヤコブがひとりになったことで、神との格闘の舞台ができた。
(6)究極的な試練は、人間の本質を暴き出す。
2.ある人の登場
「すると、ある人が夜明けまで彼と格闘した」
(1)「ある人」とあるのは、神が人間の姿を取って現れたから。
①実態は、主の御使いである。第2位格の神(受肉前の子なる神)。
(2)「格闘した」は「ヤアベク」。
①「アバク」は泥まみれになるという動詞。ここにしか出てこない珍しい言葉。
②ヤボク川との言葉遊び。永遠の記憶として残すために。
②ヤコブは、ヤボク川で、神とヤアベクした。
3.格闘の内容
(1)夜明けまで格闘が続いた。
①決着のつかない激しい戦い。
②ヤコブにとっては、意味不明の戦い。火事場の馬鹿力を発揮した。
(2)その人は、ヤコブに勝てないのを見てとった。
①天使は人間よりも強い。
②この場合は、普通の天使ではなく、主の御使いである。
③神がご自身の力を制限されたので、ヤコブは持ちこたえることができた。
*Ⅰコリ10:13 「あなたがたの会った試練はみな人の知らないものではありません。神は真実な方ですから、あなたがたを、耐えられないほどの試練に会わせることはなさいません。むしろ、耐えられるように、試練とともに脱出の道も備えてくださいます」
(3)その人は、ヤコブのもものつがい(股関節)を打った。
①「イガ」という動詞は、触れたとも、打ったとも、訳せる。
②どちらでも同じこと。これは、超自然的な神の働きである。
*イザ6:7 「見よ。これがあなたのくちびるに触れたので、あなたの不義は取り去られ、あなたの罪も贖われた」
③その結果、ヤコブのもものつがいがはずれた。
④それでも、ヤコブは諦めないで頑張っている。
⑤相手が超自然的な人物であるとの認識が生まれてきている。
4.新しい名前
(1)その人は、格闘の終結を願う。
①理由は、「夜が明けるから」
②人間は、神の顔を見たなら、生き続けることはできない。
(2)ヤコブはなおも食い下がる。
「私はあなたを去らせません。私を祝福してくださらなければ」
①格闘している相手が神であるとの認識ある。
②ヤコブは、最も恐るべき方と格闘している。
③信仰による熱心な祈りには、力がある。
(3)その人からの質問
「あなたの名は何というのか」
(4)ヤコブの回答
「ヤコブです」
①誕生の時に与えられた名前。かかと(アケブ)をつかんでいた(創25:26)。
②人と戦ってきた人生であったとの認識
③しかし、本当は神と戦ってきたことに気づいた。
(5)その人の回答
「あなたの名は、もうヤコブとは呼ばれない。イスラエルだ。あなたは神と戦い、人と戦って、勝ったからだ」
①ヤコブという名がなくなるわけではない。神の恵みを記憶する名である。
②それよりも恵みにあふれた名が与えられた。
③「イスラエル」は、「サラ」(戦う、支配する)と「エル」(神)の合成語。
④その意味は、「神と戦った人」、「神は戦われる」など。
⑤ヤコブは、神と戦い、人と戦い、勝った。
ホセ12:3、4 「彼は母の胎にいたとき、兄弟を押しのけた。彼はその力で神と争った。彼は御使いと格闘して勝ったが、泣いて、これに願った。彼はベテルで神に出会い、その所で神は彼に語りかけた」
⑥イスラエルの基本的な意味は、これである。
「ヤコブのために戦って来られた神は、これからはイスラエルのために戦われる」
⑦これは、兄のエサウに直面しようとしているヤコブにとって慰めとなった。
⑧イスラエルという名は、神の守りを証言する名となった。
5.祝福を獲得したヤコブ
(1)ヤコブはその人の名を尋ねる。
(2)「いったい、なぜ、あなたはわたしの名を尋ねるのか」
①考えれば分かるだろう。
②すでに分かっているだろう。
(3)「その場で彼を祝福した」
①神として彼を祝福した。
②ヤコブは祝福を得るために格闘して、願ったものを得た。
(4)その所にペヌエルという名を付けた。
「私は顔と顔とを合わせて神を見たのに、私のいのちは救われた」
(5)勝利を得たヤコブ
「彼がペヌエルを通り過ぎたころ、太陽は彼の上に上ったが、彼はそのもものために足を引きずっていた」
①太陽は彼の上に上った。
②足をひきずっていた。
*イスラエルはもものつがいの上の腰の筋肉を食べない。
*後のユダヤ教は、これを食物規定の中に含めなかった。
6.まとめ
(1)兄のエサウよりも恐るべきお方と対面し、祝福を勝ち取った。
(2)ヤコブのために戦われた神が、これからはイスラエルのために戦われる。
(3)これで、兄のエサウに再開する準備が整った。
Ⅳ.エサウとの再会(33:1~17)
1.あっけない結果
(1)エサウは400人の者を引き連れてやって来た。
(2)ヤコブは家族の先頭に立ち、地に7回もひれ伏して兄を迎えた(当時の儀礼)。
(3)エサウは、儀礼を無視して行動した。
「エサウは彼を迎えに走って来て、彼をいだき、首に抱きついて口づけし、ふたりは泣いた」
(4)家族をエサウに紹介した。
(5)贈り物を差し出した。
(6)エサウは断った(彼もまた裕福になっていた)。
(7)ヤコブが言い張るので、エサウはそれを受け取った。
2.エサウが道案内を申し出た。
(1)ヤコブはそれを断った。
(2)エサウの住み家であるセイルへ行くと言ったが、そこへは行かなかった。
(3)ヤコブはスコテに移動した。カナンの地に近いが、まだ入っていない。
①彼はそこに家を建て、家畜のために小屋を作った。
②ラビ的伝承では、一年、あるいは、1年半そこに住んだとされる。
③スコテとは、小屋(仮庵)の意味。(スカーの複数形)
④仮庵の祭りは、スコットと呼ばれる。
(4)スコテからカナンの地に入ってからも、ヤコブはすぐにはベテルに行かない。
①シェケムに長期滞在する。
②それが、次のディナ事件を産む原因となる。
結論
1.
恐れにどのように勝利するか。
2.改名するほどの体験をどのようにして手に入れるか。
(1)恐れの原因は、「闘争心」にある。
(2)ヤコブは、人(エサウ、ラバン)と戦い負けることはなかった。
(3)しかしそれは、本質的には神との戦いであった。
(4)「自分はヤコブ(押しのける者)である」との告白が、祝福を受ける鍵となる。
(5)告白に続いて、神の祝福が来る。
(6)ヤコブは、熱心な祈りによってそれを獲得した。
(7)自分が闘うという人生観から、神が闘ってくださるという人生観への変化。
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