私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
出エジプト記(1)—迫害を受けるイスラエルの民—
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現代の出エジプトについて学ぶ。
出エジ1 出エジプト記1章1節~22節
「迫害を受けるイスラエルの民」
イントロ:
1.文脈の確認
(1)創世記は、光と命から始まり、死と闇で終わった。
(2)アダムの罪と、罪の広がりがその原因である。
(3)神は解決策を用意された。
①アブラハムの選び(アブラハム契約)
②イサク、ヤコブ、ヨセフに与えられた数々の約束
(4)エジプトで約400年間奴隷となる。偶像礼拝の影響を受ける。
(例話)10月28日、鳩山由紀夫首相の所信表明演説に対する各党の代表質問
①トップバッターは自民党の谷垣禎一総裁
②民主党の衆院選マニフェストを踏まえ、「鳩山内閣は内政・外交、象徴的には
日本郵政の人事にいたるまで、約束違反・言行不一致ばかり」と批判。
(5)出エジプト記のテーマは、神はマニフェストを実行されるか、である。
2.名称
(1)日本語で出エジプト記
(2)ギリシア語でExodos、英語でExodus
(3)ヘブル語で「ヴァエレー・シュモット」(さて、これらが名前である)
3.出エジプト記は、解放の書である。
(1)すべての解放の型がここにある。
(2)イスラエルの歴史における解放
①バビロン捕囚からの解放
②20世紀のイスラエルの建国
③1990年代の旧共産圏からのユダヤ人の祖国帰還
(3)イエスによる霊的解放
(4)メシアニック・ジューの登場により、2重の意味で、私たちの解放の物語と
なってきた。
4.メッセージのアウトライン
(1)創世記のまとめ(1:1~7)
(2)苦役に苦しむイスラエルの民(1:8~14)
(3)民族抹殺におびえるイスラエルの民(1:15~22)
4.きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。
(1)反ユダヤ主義の源流
(2)解放の必要性
(3)解放の先にあるもの
このメッセージは、現代の出エジプトについて学ぶためのものである。
Ⅰ.創世記のまとめ(1:1~7)
1.「ヤコブから生まれた者の総数は70人であった」
(1)使徒7:14では、その総数は75人となっている。
(2)死海写本、七十人訳がそうなっている。
(3)ヨセフには5人の孫が生まれた。その5人を加えると、75人になる。
(4)70という数字は、象徴的なもの。完全数。
①70人から、地上の民族を祝福する民が出現する。
②祝福を受ける諸国民は、70である(創10章のセム、ハム、ヤペテの子孫たち)。
2.ヨセフもその兄弟たちも、その時代の人々もみな死んだ。
(1)リーダーシップがなくなった。
(2)彼らは迫害が起こる前に亡くなった。
(3)彼らはシェケムに葬られた(使7:16 ステパノのメッセージ)
(4)なぜ400年もとどまったのか。
①創15:13~15 「エモリ人の咎が、そのときまで満ちることはないから」
②エモリ人とは、カナン人を総称した言葉である。
③イスラエル人によるカナン征服には、神の裁きとしての側面がある。
3.イスラエル人はおびただしく増えた。
(1)エジプトにおいても、アブラハムへの約束は有効であった(創15:5)。
(2)神の守りがあった。
①70人から200万人に
②バビロン捕囚でも
③紀元70年以降の世界離散でも
Ⅱ.苦役に苦しむイスラエルの民(1:8~14)
1.「さて、ヨセフのことを知らない新しい王がエジプトに起こった」
(1)「王」=「パロ」
①パロとは、「偉大な宮殿」という意味。
②パロはエジプトの神々の最高峰であり、絶対的な権威を持っていた。
(2)出エジプト記には2人のパロが登場する。
①モーセが誕生した時のパロ
②出エジプト時のパロ
2.時代背景について
(1)外部から侵入して来た異民族がエジプトを支配した時代
①第16王朝、第17王朝時代
②ヒクソス王朝(前1650~1550年) 「羊飼いの王たち」
③エジプト人はハム系、ヒクソスはセム系。
④ヒクソス王朝は、セム系の移民を歓迎した。
⑤この時代に、ヨセフは宰相となり、ヤコブの一家がエジプトに下った。
(2)ヒクソス王朝から第18王朝への変化
①エジプト人による支配が回復された(前1540年)。
②第18王朝は、セム系の人々を疑いの目で見た。
③これで、イスラエル人を迫害する人種的、宗教的背景が整った。
(3)新しい王朝(第18王朝)の初代の王(アフモス一世)
3.迫害の理由
「さあ、彼らを賢く取り扱おう。彼らが多くなり、いざ戦いというときに、敵側について
われわれと戦い、この地から出て行くといけないから」
(1)「敵側」とはヒクソク王朝の残党
(2)「この地から出て行くといけないから」(新改訳)
(3)「この国を取るかもしれない」(新共同訳)
4.迫害の4段階
(1)苦役をそれまで以上に重くする。
①奴隷を管理するための係長が任命された。
②倉庫の町ピトムとラメセスを建設するために使役した。
*ピトムとは、「ツム(エジプトの偶像神)の家」という意味。
*ラメセスとは、「太陽神の息子」という意味。
*単に倉庫の町ではなく、偶像礼拝の中心となる町を建設させた。
*考古学の発掘:後期青銅器時代(前1550~1250年)に建設された。
(2)しかし、イスラエル人たちはますます増え広がった。
①過酷な労働によって、出生率を減らそうとしたが正反対の結果が出た。
②創15:5の成就。神の守りがあった。
(3)それを見て、エジプト人はイスラエル人に対する恐れを抱いた。
(4)そこでエジプトは、さらに過酷な労働をイスラエル人に課すことにした。
①粘土やれんがの激しい労働
*石はエジプト南部でしか採れない。
*エジプトの北部では、れんがが建材として用いられた。
*貝殻やわらを混ぜた粘土を型に入れ、それを日干しにした。
②畑のあらゆる労働
③過酷な労働
5.クリスチャンへの教訓
(1)イスラエル人の力は、神から来ている。
(2)現代のリバイバルの多くは、迫害のある地域で起こっている。
(3)「…あなたがたは、世にあっては患難があります。しかし、勇敢でありなさい。
わたしはすでに世に勝ったのです」(ヨハ16:33)
Ⅲ.民族抹殺におびえるイスラエルの民(1:15~22)
1.民族抹殺の命令
(1)エジプトの王は、ヘブル人の助産婦に命じる。
①「ヘブル人」とは、イスラエル人が異邦人に自己紹介する時に使う言葉。
②エジプト人やペリシテ人は、軽蔑の意味を込めてこの言葉を使う。
(2)「産み台の上を見て」(新改訳)
①「2つの石を見て」
②「子供の性別を確かめ」(新共同訳)
(3)もし男の子なら殺し、女の子なら生かしておけ。
(4)古代の法律では、子どもの人種は、父親によって決まる。
①イスラエル人の女がエジプト人の子を産むなら、その子はエジプト人。
②あるいは、別の人種の奴隷と結婚するなら、奴隷の数は減らない。
2.シフラとプア
(1)助産婦の代表
(2)助産婦たちは、エジプトの王よりも神を恐れた。
①箴1:7、9:10
(3)王の命令に背き、男の子を生かしておいた。
①王は権力者で、思いのままに人を動かすことができた。
②助産婦たちは奴隷で、無力であった。しかし、王に従わなかった。
3.王の尋問と助産婦たちの答え
(1)なぜ男の子を生かしておいたのか。
(2)「ヘブル人の女はエジプト人の女と違って活力があるので、助産婦が行く前に産
んでしまうのです」
①本当の理由を隠している。
②神は、人がご自身に対して従順であるかどうかを最も問題にされる。
(3)神は、彼女たちの信仰を大いに祝福された。
①イスラエルの民は増え、非常に強くなった。
②彼女たちにも子どもが生まれ、その家は栄えた。
4.反ユダヤ主義政策
(1)助産婦を使うという方法が失敗したので、民を動員するという方策を実行した。
(2)「生まれた男の子はみな、ナイルに投げ込まなければならない。女の子はみな、
生かしておかなければならない」
①反ユダヤ主義政策が、公の政策として採用された。
②エジプトは、反ユダヤ主義政策を公に採用した最初の国となった。
(3)最悪の局面に入った。エジプトを脱出せねばならない日が刻々と近づいていた。
結論:このメッセージは、現代の出エジプトについて考えるためのものである。
1.
反ユダヤ主義の源流
(1)恐れが原因である。
(2)神の計画を妨害する力が背後で働いている。
(3)すべての反ユダヤ主義は、神の計画を否定し、神ご自身を否定する。
2.解放の必要性
(1)1章は解放の必要性について語り、2章は解放者の準備について語っている。
(2)イスラエル人の状況は、解放の必要性を雄弁に語っている。
(3)私たちもまた、霊的には罪からの解放を必要としている。
①認罪は救いの前提条件である。
②パウロはロマ1~2章で、野蛮人もギリシア人もユダヤ人も同罪だとする。
(4)私たちのモーセはすでに現れた。
①ロマ3:23~24
3.解放の先にあるもの
(1)出エジプト記というタイトルについての疑問
①洗礼を受けて満足しているなら、信仰は後退するしかない。
(2)出エジプト記の構造
①1~18章は、出エジプト体験(洗礼を受けるところまで)
②19~24章は、シナイ契約とモーセの律法(神がどういうお方であるかを知る)
③25~40章は、幕屋と神の臨在(神との交わり)
(3)私たちの課題
①求道者は、出エジプト体験をすること。
②洗礼を受けた者は、神を知り、神との交わりを楽しむこと。
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