ローマ人への手紙(13)—すべての人は罪人—

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このメッセージでは...

すべての人が罪人であることを示す。
チャート「神の義の啓示」

「すべての人は罪人」

1.はじめに

  (1)序言(1~17節)

  (2)救いの第1番目の要素「義認」について論じ始める。

①神が罪人に神の義を転嫁すること。

  ②1:18~5:21まで

(3)パウロの論理展開

  ①異教徒の罪(1:18~32)

  ②文化的異教徒の罪(2:1~16)

  ③ユダヤ人の罪(2:17~3:8)

  ④結論:すべての人は罪人(3:9~20)

  2.ヘブル的読み方

(1)パウロはラビ的手法で書いている。

(2)「大から小へ(from the greater to the lesser)」の論法

  ①ユダヤ人が大で異邦人が小

  (例話)プロのゴルファーが打てない距離をアマチュアが打てるはずがない。

  ②マコ2:1~13

③きょうの箇所の議論は、ユダヤ人中心に展開している。

(3)「真珠の数珠つなぎ(pearl-stringing)」の論法

  ①ある結論の証拠として、似たような聖句をつなげていく論法

  3.メッセージのアウトライン

    (1)全人類は有罪(9節)

(2)有罪の証拠(10~18節)

(3)適用(19~20節)

  4.メッセージのゴール

    (1)有罪宣言(1:18~3:20)のまとめ

(2)救いの必要性

このメッセージは、すべての人が罪人であることを示すためのものである。

Ⅰ.全人類は有罪(9節)

  1.ユダヤ人は異邦人よりも優れているわけではない。

  「では、どうなのでしょう。私たちは他の者にまさっているのでしょうか。決してそうで

はありません。私たちは前に、ユダヤ人もギリシヤ人も、すべての人が罪の下にあると責

めたのです」(9節)

  (1)パウロは3:1~8で、ユダヤ人には特権が与えられていると論じた。

  (2)「私たちは他の者にまさっているのでしょうか」

  ①「私たち」とはユダヤ人のこと。

  ②「他の者」とは異邦人のこと。

  ③特権が与えられているユダヤ人は、異邦人よりも優れているのか。

  ④あるいは、ユダヤ人は異邦人よりも優れているから特権が与えられたのか。

    (3)「決してそうではありません」

  ①ユダヤ人の選びは、神の一方的な選びによる。

  ②ユダヤ人が神に背を向けても、神のユダヤ人に対する忠実さは変わらない。

  ③神は、異邦人の中からでも選びの民を選ぶことができた。

  (4)「私たちは前に、ユダヤ人もギリシヤ人も、すべての人が罪の下にあると責めた

のです」

  ①異邦人の罪(1:18~2:16)

  ②ユダヤ人の罪(2:17~3:8)

  ③特権はあっても、ユダヤ人もまた異邦人同様、神の裁きを受ける立場にある。

Ⅱ.有罪の証拠(10~18節)

  1.旧約聖書から7ヶ所の引用が列挙される。

    (1)ラビ的手法である。「真珠の数珠つなぎ」論法

(2)引用は、詩篇と預言書からのもの。

  ①第一義的には、ユダヤ人に向かって語られている。

  ②ユダヤ人の有罪を証明すれば、全人類が有罪であることの証明となる。

  2.7ヶ所の引用の分類

(1)すべての人が罪の束縛の中にある(10~12節)

「義人はいない。ひとりもいない。悟りのある人はいない。神を求める人はいな

い。すべての人が迷い出て、みな、ともに無益な者となった。善を行う人はいない。

ひとりもいない」

①詩14:1~3と詩53:1~3の引用

「愚か者は心の中で、『神はいない』と言っている。彼らは腐っており、忌まわ

しい 事を行っている。善を行う者はいない」(詩14:1)

  ②内的確信が間違っている。

  ③結果として、行為が堕落する。

    (2)すべての人が言葉の罪を犯している(13~14節)

「彼らののどは、開いた墓であり、彼らはその舌で欺く」

「彼らのくちびるの下には、まむしの毒があり、」

「彼らの口は、のろいと苦さで満ちている。」

  ①詩5:9と詩140:3の引用

  ②言葉を発する器官が4つ上げられている。

*のど(開いた墓)

*舌(欺きの道具)

*くちびる(まむしの毒がある)

*口(のろいと苦さで満ちている)

(3)すべての人が隣人に対して罪を犯している(15~17節)

「彼らの足は血を流すのに速く、彼らの道には破壊と悲惨がある。また、彼らは平和

の道を知らない」

  ①イザ59:7~8の引用

  ②大きな文脈は、イスラエルの霊的回復である。

③直前の文脈では、イスラエルの国家的罪を論じた箇所である。

  ③その罪が、神とイスラエルの民を隔てる中垣となっている。

(4)まとめ(18節)

「彼らの目の前には、神に対する恐れがない」

  ①詩36:1の引用

「罪は悪者の心の中に語りかける。彼の目の前には、神に対する恐れがない」

②罪が擬人法で語られている。

③10節に戻っている。「義人はいない。ひとりもいない」

*「ウーク エスティン」(ギ)

Ⅲ.適用(19~20節)

  1.律法の擬人化

  「さて、私たちは、律法の言うことはみな、律法の下にある人々に対して言われているこ

とを知っています。それは、すべての口がふさがれて、全世界が神のさばきに服するため

です」

  (1)ここでの律法とは、旧約聖書全体のこと

  ①モーセの律法(トーラー、モーセの五書)を指すこともある。

  (2)律法が擬人化されてユダヤ人に語っている。

  ①ユダヤ人がテストケースである。

  ②ユダヤ人が失敗したなら、全人類が失敗する。

  ③神に選ばれ、神の啓示を受けた民がだめなら、その他の民もまただめである。

    ④これは、「大から小へ」の論法である。

2.律法が与えられている目的

「なぜなら、律法を行うことによっては、だれひとり神の前に義と認められないからです。

律法によっては、かえって罪の意識が生じるのです」

  (1)律法の目的については、先に行ってから詳細に論じられる。

  (2)ここでは、そのひとつが紹介されている。

  ①律法は人を義とするものではない。

  ②律法によって、人に罪の意識が生じる。

  ③つまり、律法は人を罪に定めるものである。

結論:

  1.
有罪宣言(1:18~3:20)のまとめ


(1)野蛮人の異教徒の罪(1:18~32)


  ①彼らには、被造物という証拠やその他の一般啓示が与えられている。


  ②彼らは、その基準によって裁かれる。


(2)文化的異教徒の罪(2:1~16)


  ①彼らには、良心という証拠やその他の一般啓示が与えられている。


  ②彼らは、その基準によって裁かれる。

    (3)ユダヤ人の罪(2:17~3:8)


  ①彼らには、聖書という特別啓示が与えられている。


  ②彼らは、その基準によって裁かれる。

    (4)すべての人は罪人(3:9~20)


  ①ユダヤ人の失敗を証明した。


  ②それによって、全人類の失敗を証明した。

  2.救いの必要性

  (1)罪の擬人化

「私たちは前に、ユダヤ人もギリシヤ人も、すべての人が罪の下にあると責めたので

す」(9節)

  ①罪人は、罪の支配下にある。

(2)当時のユダヤ教のテーマ


  ①人には2人の主人がいる。神か罪か。

  ②そのどちらに仕えるかによって、その人の生き方が決まって来る。

  ③この考え方は、福音書の中にも出てくる。

(3)罪人は罪という主人に仕え、その支配下にある。

  ①その報酬は死である。

  「罪から来る報酬は死です」(ロマ 6:23a)

(4)罪人は、罪の赦しと、罪の力からの解放を必要としている。

  ①神がくださる救いは、恵みによる。

  「しかし、神の下さる賜物は、私たちの主キリスト・イエスにある永遠のいのち

です」(ロマ6:23b)

②罪の赦しは義認である。

③罪の力からの解放は聖化である。

(例話)NZ地震で、子どもが見つからないで帰国してきた親たち。

(例話)熊本市で3日夜から行方不明となっていた女児(3歳)が4日夕方、遺

体で発見された。警察は大学生2年の男を死体遺棄の疑いで緊急逮捕した。

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