ローマ人への手紙(1)—神の義の啓示—

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ローマ人への手紙の学びを開始する前の準備。
チャート「神の義の啓示」

「神の義の啓示」

1.はじめに

(1)最初の組織神学の書

(2)パウロ自身が設立していない教会に宛てた唯一の手紙

  ①執筆時点では、まだ訪問すらしていない。

  ②パウロは使28章になってようやく、囚人としてローマを訪問している。

(3)パウロが設立した教会への手紙

  ①コリント人への手紙2通

  ②ガラテヤ人への手紙

  ③エペソ人への手紙

  ④ピリピ人への手紙

  ⑤コロサイ人への手紙

  ⑥テサロニケ人への手紙2通

  2.メッセージのアウトライン

(1)だれが書いたか(著者)。

(2)だれ宛てに書いたか(宛先)。

(3)いつごろ書いたか(執筆時期)。

(4)なんのために書いたか(執筆目的)。

(5)何を書いたか(内容)。

  3.メッセージのゴール

(1)ロマ書の歴史的意義

(2)ロマ書の現代的意義

このメッセージは、ローマ人への手紙の学びを開始する前の準備である。

Ⅰ.だれが書いたか(著者)。

  1.使徒パウロ

(1)小アジヤのキリキヤのタルソで生れたユダヤ人(使9:11、21:39、22:3)

①キリキヤの市民にはローマの市民権が与えられた。

②パウロは生れた時からローマの市民権を持っていた。

③すでに両親が市民権を持っていたと思われる。

(2)ベニヤミン族出身

①パリサイ派に属していた(ロマ11:1、ピリ3:5、使23:6)。

②両親もパリサイ派であった(使23:6)。

(3)エルサレムで学んだ。

①13歳のバール・ミツバを終えてからエルサレムに上った。

②姉妹の家に滞在しながら学んだ(使23:16)。

③1世紀最大のラビ、ガマリエル1世のもとで学んだ(使5:34、22:3)。

④当時、シャマイ学派とヒレル学派があった。パウロは前者に属した。

⑤サンヘドリンと良好な関係にあった。

  *大祭司からダマスコの会堂あての手紙をもらった(使9:2、22)。

⑤彼は終生、パリサイ派の伝統とライフスタイルを誇りとした。

(ロマ9:3、2コリ11:22、ピリ3:5~6)

(4)ステパノを石打ちの刑に処する現場に立ち合った(使7:58)。

①教会迫害の先頭に立った(使8:1~3)。

(5)ダマスコ途上で回心を経験した(使9:1~9)。

①天からの光に打ちのめされ、「サウロ、サウロ。なぜわたしを迫害するのか」

という声を聞いた。

②目が見えなくなったが、3日後に、アナニヤという弟子の助けによってバプテ

スマ(洗礼)を受け、視力を回復した。

③彼は、ただちにダマスコで伝道を開始した。

2.神の摂理

(1)パウロはユダヤ人としての教育を受けた。

①職業は天幕作り。

②律法の学びにおいてはラビ。

(2)と同時に、ギリシア・ローマ文化についても造詣が深かった。

①タルソは当時、アンテオケやアレキサンドリヤと並ぶ学術都市。

②異邦人伝道の器になるべき準備がなされていた。

Ⅱ.だれ宛てに書いたか(宛先)。

  1.ローマの教会

  「ローマにいるすべての、神に愛されている人々、召された聖徒たちへ」(1:7)

(1)ローマの教会は、幾つかの家の教会から成り立っている。

(2)ペンテコステの日に回心したユダヤ人が、ローマに戻って伝道したのであろう。

「フルギヤとパンフリヤ、エジプトとクレネに近いリビヤ地方などに住む者たち、ま

た滞在中のローマ人たちで、ユダヤ人もいれば改宗者もいる」(使2:10~11)

(3)この手紙執筆当時、異邦人信者が大半を占めるようになっていた。

  2.ユダヤ人信者と異邦人信者の関係

(1)宗教的、社会的壁があった。

(2)これは、見逃してはならない神学的問題である。

Ⅲ.いつごろ書いたか(執筆時期)。

  1.57年頃に書かれたと思われる。

(1)第3回伝道旅行の終りごろ

(2)コリント滞在中(使20:2~3)

  ①エルサレムに諸教会の献金を届ける直前

2.第3回伝道旅行はエルサレムで終わった。

(1)そこで投獄された。

(2)それからローマに送られた。

①60年にローマに到着(使28:11~15)。

Ⅳ.なんのために書いたか(執筆目的)。

  1.パウロの神学をまとめるため

(1)地中海の東側の地区の宣教を終えた。

(2)次に、スペインを目指している。

(3)過去25年間の活動を振り返り、自らの神学をまとめる必要を感じた。

(4)しかし、キリスト論、教会論、終末論が抜けている。なぜか。

  2.スペイン伝道の支援を求めるため

(1)アンテオケ教会は遠すぎる。

(2)ローマの教会からの支援が不可欠となる。

(3)パウロは論争の的となってきたので、自らの紹介する必要がある。

  ①自分は誰か。

  ②自分は何を信じているか。

  3.ローマの教会の中にあるユダヤ人信者と異邦人信者の対立を解決するため

(1)ロマ14:1~15:13は、そのような視点から読む必要がある。

Ⅴ.何を書いたか(内容)。

  

   ローマ人への手紙のアウトライン参照(添付)

  (内村鑑三の『ロマ書の研究』に倣って)

結論:

  1.ローマ人への手紙の歴史的意義

(1)アウグスティヌス(古代キリスト教世界で最大の影響力を持つ神学者)

  ①386年、ミラノの自宅で隣家の子どもから「取って読め」という声を聞く。

②近くにあったローマ人への手紙を読む。

「遊興、酩酊、淫乱、好色、争い、ねたみの生活ではなく、昼間らしい、正しい

生き方をしようではありませんか。主イエス・キリストを着なさい。肉の欲のた

めに心を用いてはいけません」(ロマ13:13~14)

(2)マルティン・ルター(宗教改革者)

  ①聖アウグスチノ修道会の修道司祭であった。

  ②ローマ人への手紙に出てくる「神の義」の思想に捕えられる。

  ③「信仰義認」の真理に目覚める。

(3)ジョン・ウェスレー(メソジスト派創始者)

  ①1738年5月24日、ロンドンのアルダースゲート街で開かれたモラヴィア派の

  集会に出席。

  ②司会者が朗読するルターの「ロマ書講解」序文を聞いているうちに、不思議な

  回心の体験をした。

  「9時15分前ごろ、キリストを信ずる信仰によって神が人心に働いて起こした

  まう変化について、彼(司会者)が述べていた時、私は自分の心があやしくも熱

  くなるのを覚えた。そしてキリストを、ただひとりの救い主であるキリストを信

  じた。また彼(キリスト)は私の罪をさえも取り去り給うて、私を罪と死の律法

  から救って下さったとの確証が、私に与えられた」

(4)内村鑑三

  ①1921年(大正10年)1月から翌年10月まで、60回にわたって大手町で講演。

  ②61歳から62歳にかけて

  2.ローマ人への手紙の現代的意義

(1)ユダヤ的視点の回復

  ①パウロは、パリサイ派の学びをしたラビである。

  ②ローマ人への手紙は、ユダヤ的文書である。

(2)執筆目的に関する新しい視点

  ①ローマの教会とは

*使2:10で回心を体験したユダヤ人信者がローマに帰って伝道した。

*ユダヤ人信者中心の家の教会がいくつか誕生した。

*紀元49年、皇帝クラウデオがユダヤ人をローマから追放。

*その中には、ユダヤ人信者も含まれていた(使18:2)。

*パウロは、アクラとプリスキラに出会った(ロマ16:3~4)。

*ユダヤ人信者がいなくなってからは、異邦人信者中心の教会となる。

*その後、多くのユダヤ人信者がローマに帰還した。

*この手紙を執筆した当時は、ユダヤ人信者と異邦人信者が対立していた。

*パウロは、その神学的、社会的対立に対して解決策を提示した。

  ②紀元1世紀のユダヤ教について

*宗教改革以来、ロマ書は「個人の救い」を教える書簡として理解されてき

た(マルティン・ルター、ジョン・カルバン、フルドリッヒ・ツゥイングリ)。

*パウロは、律法主義的ユダヤ教と戦っていたという解釈。

*信仰義認の教理

*しかし、紀元1世紀のユダヤ人たちは、「律法を守ることによって救われ

る」とは信じていなかった。

*パリサイ派の神学では、ユダヤ人は神の選びのゆえにすでに救われている。

  ・山上の垂訓での「広い門」と「狭い門」の対比

  ・ニコデモとの対話における「新生」の必要性

*律法を守る理由は、神の民としての地位を守るためである。

*パウロは律法主義と闘っていたのではなく、排他主義(救いはイスラエル

に限定されており、異邦人と分かち合うものではない)と戦っていた。

(3)テーマ:ロマ1:16~17

「私は福音を恥とは思いません。福音は、ユダヤ人をはじめギリシヤ人にも、信じる

すべての人にとって、救いを得させる神の力です。なぜなら、福音のうちには神の義

が啓示されていて、その義は、信仰に始まり信仰に進ませるからです。『義人は信仰

によって生きる』と書いてあるとおりです」

  ①ロマ書のテーマは、「神の義の啓示」である。

  ②福音は、はじめにユダヤ人に提示された。

  ③次に、異邦人に提示された。

  ④神の義とは、信仰による義である。

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