私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ヨハネの黙示録(21)—イスラエルに対する戦い(1)—
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イスラエルに対する戦い(1)について学ぶ。
「イスラエルに対する戦い(1)」
黙12:1~6
1.はじめに
(1)キリストの再臨の前に何が起こるかを見ている。
①10章~14章は、挿入箇所である。
*物語の進展はなく、状況の説明が入る。
*7章と同じである。
*例外は、11:15~19(第7のラッパが吹かれる)だけである。
*第7のラッパの内容は、黙16:1~21で啓示される。
②黙示録全体の中で12章が最も多くの象徴(シンボル)が登場する章である。
(2)12章~13章に登場する7人の主役たち(大患難時代の後半)
①ひとりの女:イスラエルの象徴
②赤い竜:サタンの象徴
③男の子:キリストの象徴
④ミカエル:天使長
⑤女の子孫の残りの者:レムナント、真の信仰者たち
⑥海から上って来た獣:反キリスト
⑦地から上って来た獣:偽預言者
(3)12章で、ヨハネは、サタンとイスラエルの戦いの歴史を振り返り、大患難時代に
起こることを預言している。
2.アウトライン
(1)ひとりの女(1~2節)
(2)赤い竜(3~4節)
(3)男の子(5~6節)
3.結論
(1)悪霊どもの活動について
(2)サタンがイスラエルを破壊しようとする理由について
イスラエルに対する戦い(1)について学ぶ。
Ⅰ.ひとりの女(1~2節)
1.1節
Rev 12:1 また、巨大なしるしが天に現れた。ひとりの女が太陽を着て、月を足の下に踏み、頭には十二の星の冠をかぶっていた。
(1)「巨大なしるしが天に現れた」
①これは、「大いなるしるし」(口語訳)である。
②「しるし」とは、神がなそうとしておられることの象徴である。
*多くの場合、預言的内容が含まれる。
③ここでの「しるし」とは、「ひとりの女」のことである。
④「しるし」は天に現れたが、それが象徴する出来事は地上で起こる。
*女は赤い竜によって苦しめられる。
⑤黙示録では、12:1以外に、「しるし」が6回現れる。
*12:3、13:13~14、15:1、16:14、19:20
⑥黙12:1の「しるし」は、「大いなる」という形容詞で他と区別されている。
(2)「ひとりの女」について、さまざまな解釈がある。
①大患難時代の教会のことである。
*これは、置換神学の立場である。
*この立場では、教会は大患難時代の間、地上に存在することになる。
*しかし、教会がキリストを生んだのではない。その逆である。
②イエスを生んだマリアのことである。
*これは、カトリック教会の見解である。
*カトリックはマリアの無痛分娩を主張するが、女は陣痛を経験している。
(3)「ひとりの女」の正しい解釈は、旧約聖書との関連から出て来る。
①「太陽を着て、月を足の下に踏み、頭には十二の星の冠をかぶっていた」
②創37:9~11
Gen 37:9 ヨセフはまた、ほかの夢を見て、それを兄たちに話した。彼は、「また、私は夢を見ましたよ。見ると、太陽と月と十一の星が私を伏し拝んでいるのです」と言った。
Gen 37:10 ヨセフが父や兄たちに話したとき、父は彼をしかって言った。「おまえの見た夢は、いったい何なのだ。私や、おまえの母上、兄さんたちが、おまえのところに進み出て、地に伏しておまえを拝むとでも言うのか。」
Gen 37:11 兄たちは彼をねたんだが、父はこのことを心に留めていた。
③太陽はヤコブ、月はラケル、11の星は11人の息子たちを象徴している。
④「ひとりの女」とは、イスラエルである。
*旧約聖書では、イスラエルは「ヤハウェの妻」として描かれる。
*イザ54:5~6、エレ3:6~8、31:32、エゼ16:32、ホセ2:16
⑤女の姿は、メシア的王国でのイスラエルの栄光に満ちた姿を預言している。
2.2節
Rev 12:2 この女は、みごもっていたが、産みの苦しみと痛みのために、叫び声をあげた。
(1)イスラエルがメシアを生み出す前の状況を描写している。
①イスラエルの歴史が回顧されている。
②イスラエルは、メシア誕生の前に数々の苦難を経験した。
Ⅱ.赤い竜(3~4節)
1.3節
Rev 12:3 また、別のしるしが天に現れた。見よ。大きな赤い竜である。七つの頭と十本の角とを持ち、その頭には七つの冠をかぶっていた。
(1)「別のしるし」
①ここでの「しるし」は、大きな赤い竜である。
②先に行くと、赤い竜がサタンの象徴だということが明らかになる。
③赤は、血を流すのが好きなサタンの性質を表していると思われる。
(2)「七つの頭と十本の角とを持ち、その頭には七つの冠をかぶっていた」
①これは、異邦人の時代における最後の世界帝国の姿である(サタンが支配する)。
②7つの頭と、10本の角については、先に行ってから詳しく学ぶ。
2.4節
Rev 12:4 その尾は、天の星の三分の一を引き寄せると、それらを地上に投げた。また、竜は子を産もうとしている女の前に立っていた。彼女が子を産んだとき、その子を食い尽くすためであった。
(1)サタンは、自分の支配下にあるすべての悪霊を動員し、メシアの業を妨害する。
①「天の星の三分の一」とは、堕落した天使の数である。悪霊の数。
②天使の三分の一が、サタンとともに堕落した。
③サタンは、メシア誕生に際して、悪霊どもを一か所に召集した。
(2)竜は、女が子を産むのを待っている。
①その子をすぐに破壊するためである。
②ベツレヘムの出来事への言及である。
*ベツレヘムの2歳以下の男の子がすべて殺された。
③竜は、当時の覇権国ローマ帝国(サタンに支配されている)である。
④ヘロデ大王は、ローマ帝国の手先として動いた。
Ⅲ.男の子(5~6節)
1.5節
Rev 12:5 女は男の子を産んだ。この子は、鉄の杖をもって、すべての国々の民を牧するはずである。その子は神のみもと、その御座に引き上げられた。
(1)「女は男の子を産んだ」
①イスラエルはメシアを産んだ。
②ここで、メシアの誕生からメシアの昇天まで一挙に飛んでいる。
③「この子は、鉄の杖をもって、すべての国々の民を牧するはずである」
*「治めることになっていた」(新共同訳)
*「治めるべき者である」(口語訳)
④これは、詩2:9の預言の成就である。
(2)「その子は神のみもと、その御座に引き上げられた」
①国々を統治する前に、天に引き上げられる。
②これは、メシアの昇天のことである。
③「男の子」を教会と解釈する人がいる。
*しかし、イスラエルが教会を産んだわけではない。
*また、教会はキリストの花嫁(女性形)であって男の子ではない。
*さらに、教会の使命は国々を統治することではない。
2.6節
Rev 12:6 女は荒野に逃げた。そこには、千二百六十日の間彼女を養うために、神によって備えられた場所があった。
(1)ここで、場面は大患難時代に移行する。
①イスラエルは、荒野に逃げる。
②そこには、神によって備えられた場所があった。
③イスラエルはそこで1260日の間守られる。
*3年半である。
(2)イスラエルが荒野に逃げるタイミング
①7年の中間で、反キリストはイスラエルとの契約を破棄する。
②自分を神と宣言し、自分の像を神殿に置く(2テサ2:4)。
②マタ24:16
Mat 24:16 そのときは、ユダヤにいる人々は山へ逃げなさい。
*荒野と山は、同じ場所である。
*そこは、(ボツラ)ペトラである。
*ミカ2:12~13参照
(2)5節と6節の間には、長い時間の経過がある。
①教会時代は、この間に過ぎ去っている。
②二重言及の法則に留意すること
*同じテーマであれば、時間の経過を無視して列挙される。
*旧約聖書のメシア預言は、初臨と再臨が続けて預言される。
結論:
1.悪霊どもの活動について
(1)旧約時代における悪霊の働き
①悪霊の働きは、ほんの数か所にしか出てこない。
(2)福音書の時代における悪霊の働き
①悪霊の働きが頻繁に観察される。
②サタンが、世界中にちらばっていた悪霊どもをイスラエルの地に召集した。
③メシアの贖いの業を妨害するためである。
④悪霊は、天使の3分の1の数存在する(黙12:4)。
(3)使徒の働き以降の時代になると、悪霊どもは旧約時代の状態に戻る。
①世界中に散って行った。
(4)大患難時代になると、悪霊どもの活動が再び活発になる。
①メシアの再臨を妨害するためである。
(5)歴史上起こったことを、そのまま私たちに適用してはならない。
2.サタンがイスラエルを破壊しようとする理由について
(1)旧約時代における反ユダヤ主義
①イスラエルがメシアを産み出すことを妨害する行為である。
②つまり、メシアの初臨を妨害する行為である。
(2)福音書における反ユダヤ主義
①メシアによる贖いの業を妨害する行為である。
②メシアは、神が定めた時と方法で死ぬ必要があった。
*過越の祭りの時
*十字架によって
③サタンは、それを妨害しようとした。
④赤子のイエスを殺そうとした。
*赤子のイエスが死んでも、それは贖いの死ではない。
⑤過越の祭り以外のタイミングで、イエスを殺そうとした。
(3)教会時代と大患難時代における反ユダヤ主義
①メシアの再臨を妨害する行為である。
②イスラエルの民族的救いが、メシア再臨の条件である。
③イスラエルを破壊すれば、メシアの再臨はなくなる。
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