メシアの生涯(203)—復活(1)—

  • 2016.06.20
  • マタイ28章:2〜4、ルカ24章:1〜8、ヨハネ20章:2〜10
  • スピーカー 中川健一
  • ハーベスト定例会
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このメッセージでは...

メシア復活の経緯を確認してみよう。

「復活(1)」

マタ28:2~4、ルカ24:1~8、ヨハ20:2~10

1.はじめに

  (1)文脈の確認

    ①福音の三要素が展開されて行く。

*キリストの死

*埋葬

*復活

(2)ユダヤ的時間の確認

  ①金曜の午後3時、イエスは息を引き取った。

  ②金曜の日没前に、イエスは埋葬された。

  ③土曜日(安息日)に、墓に封印がされた。

  ④そして、日曜日(夜明け前)に、女たちが行動を開始する。

(3)復活の記録は、細部を見ると矛盾しているかのように思える。

  ①しかし、これこそ福音記者たちが事実を記録している証拠である。

  ②調和をもって説明する方法が必ずある。

    (4)A.T.ロバートソンの調和表

      §170 地震によって開いた墓

 マタ28:2~4

      §171 天使の語りかけを受ける女たち

 マコ16:2~8、ルカ24:1~8、ヨハ20:1

      §172 使徒たちに報告する女たち

 ルカ24:9~12、ヨハ20:2~10

2.アウトライン

  (1)開いた墓

  (2)天使の語りかけ

  (3)使徒たちへの報告

  3.結論:復活信仰の型

    (1)ペテロの信仰

    (2)ヨハネの信仰

    (3)トマスの信仰

メシア復活の経緯を確認してみよう。

Ⅰ.開いた墓(マタ28:2~4)

   1.2~3節

Mat 28:2 すると、大きな地震が起こった。それは、主の使いが天から降りて来て、石をわきへころがして、その上にすわったからである。

Mat 28:3 その顔は、いなずまのように輝き、その衣は雪のように白かった。

     (1)「すると」

  ①時間は、日曜日の明け方頃である。

  ②女たちが墓に着く少し前に、この出来事が起こった。

  ③この情報は、マタイだけが記録しているものである。

(2)「大きな地震が起こった」

      ①イエスの死の瞬間に地震が起こった。

      ②イエスの復活の瞬間にも地震が起こった。

      ③この地震は、天使が天から降りて来て、石をころがしたことと関係している。

    (3)天使の姿

      ①顔はいなずまのように輝いていた。

      ②その衣は雪のように白かった。

      ③天使は、ローマの権威(封印)も祭司長たちの企ても粉砕した。

   2.4節

Mat 28:4 番兵たちは、御使いを見て恐ろしさのあまり震え上がり、死人のようになった。

     (1)番兵たちは、天使を見て震え上がった。

      ①死人のようになったとは、動けなくなったということ。

      ②彼らは、女たちが来る前に逃げ去った。

Ⅱ.天使の語りかけ(ルカ24:1~8)

   1.1~2節

Luk 24:1 週の初めの日の明け方早く、女たちは、準備しておいた香料を持って墓に着いた。

Luk 24:2 見ると、石が墓からわきにころがしてあった。

     (1)2つの婦人のグループが墓に来たようである。

      ①ヨハ20:1によれば、マグダラのマリアが先にひとりで墓に来ている。

Joh 20:1 さて、週の初めの日に、マグダラのマリヤは、朝早くまだ暗いうちに墓に来た。そして、墓から石が取りのけてあるのを見た。

      ②彼女は墓が空になっているのを見た。

      ③彼女は、イエスの体が盗まれたと思い込んで、行動を開始する。

      ④墓の中を確かめることをしなかったし、天使を見ることもなかった。

      ⑥すぐにペテロとヨハネに報告に行った。

    (2)第2の婦人のグループが墓に着いた。

      ①香料を持って来た。

      ②「墓の入口からあの石をころがしてくれる人が、だれかいるでしょうか」と心

配していた(マコ16:3)

③着いてみると、墓石がころがしてあるのを見た。

   2.3~4節

Luk 24:3 入って見ると、主イエスのからだはなかった。

Luk 24:4 そのため女たちが途方にくれていると、見よ、まばゆいばかりの衣を着たふたりの人が、女たちの近くに来た。

     (1)彼女たちは墓の中に入った。

      ①そこにはイエスのからだはなかった。

      ②彼女たちは途方にくれた(戸惑った)。

    (2)天使が現れた。

      ①ふたりの「男」(青年)である。

      ②まばゆいばかりの衣を着ていた。

      ③マコ16:5では、天使は「ひとり」となっている。

      ④これは矛盾ではない。ふたりの天使が現れたが、主にひとりが話したのである。

   3.5~7節

Luk 24:5 恐ろしくなって、地面に顔を伏せていると、その人たちはこう言った。「あなたがたは、なぜ生きている方を死人の中で捜すのですか。

Luk 24:6 ここにはおられません。よみがえられたのです。まだガリラヤにおられたころ、お話しになったことを思い出しなさい。

Luk 24:7 人の子は必ず罪人らの手に引き渡され、十字架につけられ、三日目によみがえらなければならない、と言われたでしょう。」

     (1)彼女たちは、地面に顔を伏せた。

①天使を見て恐れを覚えるのは、ユダヤ人として自然の感情である。

    (2)天使が語りかけた。

      ①「なぜ生きている方を死人の中で探すのか」

      ②イエスは復活された。

      ③ガリラヤにいた時に、イエスは預言しておられた。

      ④「人の子は必ず、罪人の手に渡され、十字架につけられ、三日目に復活するこ

とになっている」(新共同訳)

    (3)マコ16:7

Mar 16:7 ですから行って、お弟子たちとペテロに、『イエスは、あなたがたより先にガリラヤへ行かれます。前に言われたとおり、そこでお会いできます』とそう言いなさい。」

      ①「前に言われたとおり」とは、マタ26:32のことである。

      「しかしわたしは、よみがえってから、あなたがたより先に、ガリラヤへ行きま

す」

②弟子たちは、エルサレムにとどまるのではなく、ガリラヤに行きべきであった。

③弟子たちは、ガリラヤに行けという命令を2度目に受けたことになる。

   4.8節

Luk 24:8 女たちはイエスのみことばを思い出した。

     (1)女たちは、イエスが語った復活の預言をついに思い出した。

      ①彼女たちも、使徒たちと同じように復活の預言を忘れていた。

    (2)マコ16:8によれば、彼女たちは使徒たちに報告した。

      ①次に見るように、ペテロとヨハネはいなかった。

      ②使徒たち以外には、誰にも言わなかった。

Ⅲ.使徒たちへの報告(ヨハ20:2~10)

   1.2節

Joh 20:2 それで、走って、シモン・ペテロと、イエスが愛された、もうひとりの弟子とのところに来て、言った。「だれかが墓から主を取って行きました。主をどこに置いたのか、私たちにはわかりません。」

     (1)マグダラのマリアは、イエスのからだが盗まれたという前提で行動している。

      ①ペテロとヨハネに報告した。

      ②誰かが墓から死体を取って行った。

      ③別のグループの女たちは、自分たちが見聞きしたことを使徒たちに報告した。

      ④使徒たちは信じなかった。

      ⑤墓に走ったのは、マグダラのマリアの話を聞いたペテロとヨハネだけだった。

   2.3~5節

Joh 20:3 そこでペテロともうひとりの弟子は外に出て来て、墓のほうへ行った。

Joh 20:4 ふたりはいっしょに走ったが、もうひとりの弟子がペテロよりも速かったので、先に墓に着いた。

Joh 20:5 そして、からだをかがめてのぞき込み、亜麻布が置いてあるのを見たが、中に入らなかった。

     (1)ヨハネの方が、足が速かった。

      ①年齢差か。

      ②伝承では、ヨハネが使徒たちの中で最も若かった。

    (2)ヨハネは先に墓に着いたが、のぞき込んだだけで、中には入らなかった。

      ①亜麻布が置いてあるのを見た。

      ②マグダラのマリアは誤解したと思ったであろう。

      ③中に入らなかったのは、儀式的汚れを恐れてのことであろう。

   3.6~8節

Joh 20:6 シモン・ペテロも彼に続いて来て、墓に入り、亜麻布が置いてあって、

Joh 20:7 イエスの頭に巻かれていた布切れは、亜麻布といっしょにはなく、離れた所に巻かれたままになっているのを見た。

Joh 20:8 そのとき、先に墓に着いたもうひとりの弟子も入って来た。そして、見て、信じた。

     (1)ペテロは到着すると、中に入って様子を確かめた。

      ①亜麻布は、イエスの死体をくるんだ状態のままで残されていた。

        *頭に巻かれていた布切れは、離れた所に巻かれたままになっていた。

      ②つまり、イエスの体は亜麻布を通過してなくなっていた。

      ③これは、復活の体が地上の体とは異なることを示している。

      ④ラザロの場合は、亜麻布を解く必要があった。

      ⑤ペテロは、なぜ亜麻布がその状態で残されているのか戸惑ったことであろう。

    (2)ヨハネはペテロに続いて墓に入った。

      ①ヨハネも同じものを見たが、その意味を理解した。

      ②彼は、イエスが復活したことを信じた。

      ③墓が開いたのは、弟子たちが中に入って確かめるためであった。

   4.9~10節

Joh 20:9 彼らは、イエスが死人の中からよみがえらなければならないという聖書を、まだ理解していなかったのである。

Joh 20:10 それで、弟子たちはまた自分のところに帰って行った。

     (1)これは、ヨハネの感想である。

      ①使徒たちは、イエスが何度も教えてくださったことを、この時までまだ理解し

ていなかった。

②最初に理解したのは、ヨハネである。

    (2)墓に居続ける必要はないと判断し、彼らは町のどこかに戻って行った。

      ①他の使徒たちに伝えるために。

結論:復活信仰の型

  1.ペテロの信仰

    (1)ヨハ20:7

Joh 20:7 イエスの頭に巻かれていた布切れは、亜麻布といっしょにはなく、離れた所に巻かれたままになっているのを見た。

      ①「見た」はギリシア語で「セオウレオウ」(英語のtheaterの語源)である。

      ②これは、視覚的認識である。

    (2)ルカ24:12

Luk 24:12 しかしペテロは、立ち上がると走って墓へ行き、かがんでのぞき込んだところ、亜麻布だけがあった。それで、この出来事に驚いて家に帰った。

      ①ペテロは、不思議に思っただけである。

    (3)彼は、復活のイエスに出会って信じた。

  2.ヨハネの信仰

    (1)ヨハ20:8

Joh 20:8 そのとき、先に墓に着いたもうひとりの弟子も入って来た。そして、見て、信じた。

      ①「見た」はギリシア語で「エイドス」である。

      ②これは、深い意味を見たということである。

      ③ペテロの場合は「sight」でありヨハネの場合は「insight」である。

    (2)ヨハネは、亜麻布を見ただけで信じた。

  3.トマスの信仰

    (1)ヨハ20:29

Joh 20:29 イエスは彼に言われた。「あなたはわたしを見たから信じたのですか。見ずに信じる者は幸いです。」

      ①トマスは、使徒たちの証言だけで信じる人の型である。

      ②しかし彼は、最終的には復活のイエスを見て信じた。

    (2)神は私たちに、トマスの失敗から教訓を学ぶことを期待しておられる。

      ①弟子たちの証言は、生々しい目撃者の証言である。

      ②その証言を受け入れる以外に、復活を信じる方法はない。

      ③復活が事実なら、私たちの人生は根本的に変わる。

      ④「sight」ではなく、「insight」が与えられるように祈ろう。

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