私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
メシアの生涯(199)—十字架上での最後の3時間—
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十字架での最後の3時間の意味について考えてみよう。
「十字架上での最後の3時間」
ヨハ19:28~30
1.はじめに
(1)文脈の確認
①午前9時から正午までの3時間
*人の怒りを体験する時間
②正午から午後3時までの3時間
*神の怒りを体験する時間
③今回は、最後の3時間について学ぶ。
(2)A.T.ロバートソンの調和表
§165 正午から午後3時までの3時間の暗闇
マコ15:33~37、マタ27:45~50、ルカ23:44~46、ヨハ19:28~30
2.アウトライン
はじめに:暗闇
(1)第4のことば
(2)第5のことば
(3)第6のことば
(4)第7のことば
3.結論:
(1)第4のことば
(2)第5のことば
(3)第6のことば
(4)第7のことば
十字架での最後の3時間の意味について考えてみよう。
はじめに:暗闇
1.マタ27:45、マコ15:33、ルカ23:44~45aに記録がある。
Luk 23:44 そのときすでに十二時ごろになっていたが、全地が暗くなって、三時まで続いた。
Luk 23:45 太陽は光を失っていた。
2.考古学上の証拠
(1)エジプトにいたギリシア人の科学者ディオニシウス
①彼は、ヘリオポリス(太陽の町)にいて暗闇を目撃した。
(2)エジプトにいたギリシア人の科学者ディオゲネス
「太陽が暗くなったが、それはまるで、神ご自身がその瞬間に苦しまれたか、あるい
は、苦しんでいる者に同情されたかのようであった」
(3)小アジア(トルコ)にいたギリシア人の歴史家フロゲオン
「それまで起きたことのないような驚くべき日食が起こった。正午ごろに、昼が、空
に星が輝く夜に変わった。ビテニアで大地震が起こり、多くの家が倒壊した」
3.暗闇の意味
(1)暗闇は、エジプトに下った10の裁きのひとつである。
Exo 10:22 モーセが天に向けて手を差し伸ばしたとき、エジプト全土は三日間真っ暗やみとなった。
(2)メシアの上に神の怒りが注がれている。
①「この杯をわたしから過ぎ去らせてください」と祈った杯(マタ26:39)
(3)イスラエルの民へのしるしである。
①彼らは、光である方を拒否した。
②それゆえ、神によって盲目にされた。
③ルカ22:53
Luk 22:53 あなたがたは、わたしが毎日宮でいっしょにいる間は、わたしに手出しもしなかった。しかし、今はあなたがたの時です。暗やみの力です」
Ⅰ.第4のことば
1.マタ27:46
Mat 27:46 三時ごろ、イエスは大声で、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と叫ばれた。これは、「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。
(1)最後の3時間の終わりに、このことばがイエスの口から発せられた。
①これは、メシア預言の成就である。
②イエスは、神の怒りの杯を飲んでおられる。
(2)詩22:1
Psa 22:1 わが神、わが神。/どうして、私をお見捨てになったのですか。/遠く離れて私をお救いにならないのですか。/私のうめきのことばにも。
①イエスはこの詩篇をご自身に適用しておられる。
②マルコでは「エロイ、エロイ」となっている(アラム語)。
2.マタ27:47
Mat 27:47 すると、それを聞いて、そこに立っていた人々のうち、ある人たちは、「この人はエリヤを呼んでいる」と言った。
(1)周りの人たちは、イエスのことばの意味を理解できなかった。
①預言者エリヤを呼んでいると思った。
②ヘブル語で「エリ」は「エリヤ」の短縮形である。
Ⅱ.第5のことば
1.ヨハ19:28
Joh 19:28 この後、イエスは、すべてのことが完了したのを知って、聖書が成就するために、「わたしは渇く」と言われた。
(1)イエスは、父なる神の怒りを受けておられる。
①イエスの意識は正常である。
(2)生ける水を提供するお方が、十字架上で渇きを覚えられた。
①これは、パラドックス(逆説)である。
Ⅲ.第6のことば
1.ヨハ19:29~30a
Joh 19:29 そこには酸いぶどう酒のいっぱい入った入れ物が置いてあった。そこで彼らは、酸いぶどう酒を含んだ海綿をヒソプの枝につけて、それをイエスの口もとに差し出した。
Joh 19:30 イエスは、酸いぶどう酒を受けられると、「完了した」と言われた。
(1)「酸いぶどう酒」とは、鎮痛剤ではなく、飲用のワインビネガーである。
①イエスはそれを受けられた。
②最後の2つのことばを明瞭に発音するためである。
③ヒソプは、過越の祭りを連想させる。
④出12:22
Exo 12:22 ヒソプの一束を取って、鉢の中の血に浸し、その鉢の中の血をかもいと二本の門柱につけなさい。朝まで、だれも家の戸口から外に出てはならない。
(2)「完了した」
①ギリシア語で「テテレスタイ」(負債は完済した)
②請求書に「テテレスタイ」というハンコが押されたパピルスが発掘されている。
③イエスは、罪の負債をすべて支払われた。
Ⅳ.第7のことば
1.ルカ23:46とヨハ19:30b
Luk 23:46 イエスは大声で叫んで、言われた。「父よ。わが霊を御手にゆだねます。」こう言って、息を引き取られた。
Joh 19:30b そして、頭をたれて、霊をお渡しになった。
(1)イエスは死の時をご自分で選ばれた。
①頭をたれた。
②霊をお渡しになった。
③通常は、死んでから頭をたれる。
(2)「父よ」という呼びかけ
①父との関係が回復した。
結論:
1.第4のことば
(1)「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」
(わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか)
①詩22:1の引用
②これは、絶望のことばではない。
③詩22篇の文脈からいうと、これは助けを求める叫びである。
(2)福音書では「父」という呼びかけが170回出てくる。
(3)「わが父」は21回出てくる。
(4)「わが神」という呼びかけは、ここだけである。
(5)イエスは、神の怒りの杯を飲んでおられる。
①これは、霊的死という杯である。
②霊的死とは、神との断絶である。
③イエスが罪となられた時、イエスの人間としての霊は父から切り離された。
(6)2コリ5:21
2Co 5:21 神は、罪を知らない方を、私たちの代わりに罪とされました。それは、私たちが、この方にあって、神の義となるためです。
(7)詩22:24
Psa 22:24 まことに、主は悩む者の悩みを/さげすむことなく、いとうことなく、/御顔を隠されもしなかった。/むしろ、彼が助けを叫び求めたとき、/聞いてくださった。
①イエスの祈りは、父なる神によって聞かれた。
②詩22篇の最後は、神への賛美で終わっている。
2.第5のことば
(1)「わたしは渇く」
(2)イエスの体験を理解するために、金持ちとラザロの物語が参考になる。
(3)ルカ16:22~24
Luk 16:22 さて、この貧しい人は死んで、御使いたちによってアブラハムのふところに連れて行かれた。金持ちも死んで葬られた。
Luk 16:23 その金持ちは、ハデスで苦しみながら目を上げると、アブラハムが、はるかかなたに見えた。しかも、そのふところにラザロが見えた。
Luk 16:24 彼は叫んで言った。『父アブラハムさま。私をあわれんでください。ラザロが指先を水に浸して私の舌を冷やすように、ラザロをよこしてください。私はこの炎の中で、苦しくてたまりません。』
①イエスは、罪人が受ける神の怒りを受けておられる。
3.第6のことば
(1)「完了した」
(2)イエスは、罪の代価をすべて支払われた。
(3)モーセの律法のいけにえは、罪を覆うだけのものであった。
①あるいは、分割払いで、完済するということがない支払であった。
(4)コロ2:13~14
Col 2:13 あなたがたは罪によって、また肉の割礼がなくて死んだ者であったのに、神は、そのようなあなたがたを、キリストとともに生かしてくださいました。それは、私たちのすべての罪を赦し、
Col 2:14 いろいろな定めのために私たちに不利な、いや、私たちを責め立てている債務証書を無効にされたからです。神はこの証書を取りのけ、十字架に釘づけにされました。
4.第7のことば
(1)「父よ。わが霊を御手にゆだねます」
(2)「父よ」という呼びかけのことば
①イエスは、霊的に復活された。
②父との関係が完全に回復された。
(3)イエスは、肉体的死と復活の前に、霊的死と復活を経験された。
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