メシアの生涯(188)—ゲツセマネの園での祈り—

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ゲツセマネの園での祈りから、霊的戦いに勝利する秘訣を学ぶ。

「ゲツセマネの園での祈り」

マタ26:36~46

1.はじめに

  (1)文脈の確認

    ①イエスと弟子たちは、ゲツセマネの園に着いた。

    ②時間は、木曜日の夜10時~11時ごろであろう(当時の文化では、遅い時間)。

    ③イエスは、十字架を目前に控えて、必死の祈りをされた。

    ④この祈りは、史上最大の霊的戦いの内容を明らかにするものである。

      *私たちは、まさに聖なる地に足を踏み入れようとしている。

      *イエスの痛みを理解せずに、十字架の意味を味わうことは不可能である。

    (2)A.T.ロバートソンの調和表

    §152 ゲツセマネの園に着き、イエスは激しく苦悶する。

2.アウトライン

  (1)ゲツセマネの園に到着(36~38節)

  (2)最初の祈り(39~41節)

  (3)2度目の祈り(42~43節)

  (4)3度目の祈り(44~46節)

  3.結論

    (1)なんのためにイエスはこれほどまでに苦しまれたのか。

    (2)「杯」とは何か。

    (3)霊的戦いに勝利する方法は何か。

ゲツセマネの園での祈りから、霊的戦いに勝利する秘訣を学ぶ。

Ⅰ.ゲツセマネの園に到着(36~38節)

   1.36節

Mat 26:36 それからイエスは弟子たちといっしょにゲツセマネという所に来て、彼らに言われた。「わたしがあそこに行って祈っている間、ここにすわっていなさい。」

     (1)ゲツセマネの園は、オリーブ山の西側、エルサレムの城壁に隣接した位置にある。

      ①過越の祭りの夜は、エルサレムの域内に留まらなければならない。

      ②ベタニヤは、域外にある。

      ③ゲツセマネとは、「オリーブの絞り場」という意味。

        *オリーブの木から実を収穫し、油を絞っていた。神殿の灯火用に使用。

        *オリーブ油は聖霊の象徴である。

        *メシアは砕かれ、信じる者に聖霊を与えた。

      ④そこは、「いつもの場所」(ルカ22:39)であった。

    (2)弟子たちへの命令

      ①ユダはイエスを裏切ろうとして動いていた。

      ②11人の弟子たちが、イエスとともにゲツセマネの園に着いた。

      ③8人は、園の入り口に留まる。彼らは、第一の衛兵である。

      ④ルカ22:40

Luk 22:40 いつもの場所に着いたとき、イエスは彼らに、「誘惑に陥らないように祈っていなさい」と言われた。

      ⑤これは、イエスのためではなく、自分自身のために祈れという命令である。

      ⑥ここでの「誘惑」とは、信仰のテストである。ギリシア語のペイラスモス。

*イエスが逮捕された時に、イエスと父への信仰を放棄するかどうか。

   2.37~38節

Mat 26:37 それから、ペテロとゼベダイの子ふたりとをいっしょに連れて行かれたが、イエスは悲しみもだえ始められた。

Mat 26:38 そのとき、イエスは彼らに言われた。「わたしは悲しみのあまり死ぬほどです。ここを離れないで、わたしといっしょに目をさましていなさい。」

     (1)3人(ペテロ、ヤコブ、ヨハネ)は園の奥まで入って行った。

      ①彼らは、第二の衛兵である。

    (2)マコ14:33

Mar 14:33 そして、ペテロ、ヤコブ、ヨハネをいっしょに連れて行かれた。イエスは深く恐れもだえ始められた。

      ①深く恐れ

        *ギリシア語で「エクサムベオウ」。非常に驚くという意味。

        *「甚(いた)く驚(をどろ)き、」(文語訳)

        *「to be sore amazed」(KJV)

        *イエスは、何かに非常に驚かされたのである。

      ②もだえ始めた。

*ギリシア語で「アデイモネオウ」。重く感じるという意味

*イエスの肩に重荷が載せられたのである。

*「to be very heavy」

    (3)「わたしは悲しみのあまり死ぬほどです」

      ①イエスは、肉体の死をもたらすほどの精神的悲しみ(痛み)を経験している。

      ②このことを3人の弟子たちに率直に告げた。

      (例話)息子がガザ戦争に参加した母親の心

     (4)「ここを離れないで、わたしといっしょに目をさましていなさい」

      ①イエスは、弟子たちがイエスとともに祈ってくれることを願った。

      ②「目をさましていなさい」は、夜も更けて来たが、寝ないようにということ。

Ⅱ.最初の祈り(39~41節)

   1.39節

Mat 26:39 それから、イエスは少し進んで行って、ひれ伏して祈って言われた。「わが父よ。できますならば、この杯をわたしから過ぎ去らせてください。しかし、わたしの願うようにではなく、あなたのみこころのように、なさってください。」

(1)祈りの状態

  ①イエスは、3人の弟子たちから離れた所で祈られた。

      ②イエスの祈りは、「この杯をわたしから取りのけてください」であった。

      ③しかし最後は、父の御心がなることを求めた。

     (2)ルカ22:42~44からの追加情報

Luk 22:42 「父よ。みこころならば、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの願いではなく、みこころのとおりにしてください。」

Luk 22:43 すると、御使いが天からイエスに現れて、イエスを力づけた。

Luk 22:44 イエスは、苦しみもだえて、いよいよ切に祈られた。汗が血のしずくのように地に落ちた。

      ①天使(単数形)がイエスを力づけた(ルカだけの記録)。

        *「荒野の誘惑」では、誘惑が終わってから天使たちがイエスに仕えた。

        *ここでは、霊的戦いの最中に、天使がイエスを力づけた。

      ②弟子たちは眠りこけていたが、イエスは孤独ではなかった。

      ③汗が血のしずくのように地に落ちた(ルカだけの記録)

        *精神的なショックにより、発汗細胞が傷つき、血液が汗に混じる状態。

   2.40~41節

Mat 26:40 それから、イエスは弟子たちのところに戻って来て、彼らの眠っているのを見つけ、ペテロに言われた。「あなたがたは、そんなに、一時間でも、わたしといっしょに目をさましていることができなかったのか。

Mat 26:41 誘惑に陥らないように、目をさまして、祈っていなさい。心は燃えていても、肉体は弱いのです。」

     (1)イエスはペテロに言われた。

      ①彼は、イエスとともにどこまでも行くと2回も豪語していた。

      ②にもかかわらず、彼はイエスが最も励ましを必要としている時に寝ていた。

      ③「一時間」も目を覚ましていることができなかった(マコ14:37)。

    (2)イエスは3人の弟子たちを励ました。

①イエスは、人間が有限であることを認めておられた。

        *心では、キリストに従いたいという願いがある。

        *肉体は、休息を必要としている。

      ②ここでの「誘惑」とは、信仰のテストのことである。

Ⅲ.2度目の祈り(42~43節)

   1.42節

Mat 26:42 イエスは二度目に離れて行き、祈って言われた。「わが父よ。どうしても飲まずには済まされぬ杯でしたら、どうぞみこころのとおりをなさってください。」

    (1)イエスは弟子たちに祈りを教えたが、弟子たちとともに祈ったという記録はない。

      ①信者が父なる神に祈るのと、御子イエスが父に祈るのとでは、大きな差がある。

      ②「わが父よ」という呼びかけ

    (2)イエスは、杯はどうしても飲まねばならないものであることを認識された。

①再び、イエスは父への従順を優先された。

   2.43節

Mat 26:43 イエスが戻って来て、ご覧になると、彼らはまたも眠っていた。目をあけていることができなかったのである。

     (1)今度も弟子たちは眠っていた。

      ①「彼らは、イエスにどう言ってよいか、わからなかった」(マコ14:40b)

Ⅳ.3度目の祈り(44~46節)

   1.44節

Mat 26:44 イエスは、またも彼らを置いて行かれ、もう一度同じことをくり返して三度目の祈りをされた。

     (1)イエスは、同じような祈りを3度繰り返された。

      ①イエスの苦悶の姿と、弟子たちの眠りこけている姿とは、対照的である。

   2.45~46節

Mat 26:45 それから、イエスは弟子たちのところに来て言われた。「まだ眠って休んでいるのですか。見なさい。時が来ました。人の子は罪人たちの手に渡されるのです。

Mat 26:46 立ちなさい。さあ、行くのです。見なさい。わたしを裏切る者が近づきました。」

     (1)「まだ眠って休んでいるのですか」は、励ましの言葉であろう。

      ①文語訳

Mat 26:45 而(しか)して弟子(でし)たちの許(もと)に來(きた)りて言(い)ひ給(たま)ふ『今(いま)は眠(ねむ)りて休(やす)め。視(み)よ、時(とき)近(ちか)づけり、人(ひと)の子(こ)は罪人(つみびと)らの手(て)に付(わた)さるるなり。

      ②「Sleep on now, and take rest.」(KJV)

    (2)この眠りは、次の行動に移るために必要なものであった。

      ①次に、「立ちなさい。さあ、行くのです」が続く。

      ②時が来たとは、裏切る者が近づいて来たということ。

結論

  1.なんのためにイエスはこれほどまでに苦しまれたのか。

    (1)旧約聖書には、救いの計画が預言されている(イザ49章を取り上げる)。

      ①イザ49:4

Isa 49:4 しかし、私は言った。/「私はむだな骨折りをして、/いたずらに、むなしく、私の力を使い果たした。/それでも、私の正しい訴えは、【主】とともにあり、/私の報酬は、私の神とともにある。」

        *メシアはイスラエルを救おうとしたが、拒否された。

      ②イザ49:6

Isa 49:6 主は仰せられる。/「ただ、あなたがわたしのしもべとなって、/ヤコブの諸部族を立たせ、/イスラエルのとどめられている者たちを/帰らせるだけではない。/わたしはあなたを諸国の民の光とし、/地の果てにまでわたしの救いを/もたらす者とする。」

        *メシアは、イスラエルだけでなく、全人類のための過越の小羊となる。

      ③イザ49:8

Isa 49:8 【主】はこう仰せられる。/「恵みの時に、わたしはあなたに答え、/救いの日にあなたを助けた。/わたしはあなたを見守り、/あなたを民の契約とし、/国を興し、荒れ果てたゆずりの地を継がせよう。

        *千年王国の預言

        *「あなたを民の契約とし」とは、イスラエルとの契約が成就すること。

    (2)新約聖書でも同じことが語られている。

      ①使15:14

Act 15:14 神が初めに、どのように異邦人を顧みて、その中から御名をもって呼ばれる民をお召しになったかは、シメオンが説明したとおりです。

        *エルサレム会議で、異邦人の救いが承認された。

      ②ロマ9~11章

        *イスラエルの不信仰、異邦人の救い、イスラエルの回復

  2.「杯」とは何か。イエスは、杯を取りのけてくださいと祈られた。

    (2)「杯」とは、十字架の死のことではない。

      ①イエスは、十字架で死ぬために来られた。

      ②ルカ19:10、ヨハ12:27、ヘブ10:5~9、ピリ2:8

    (3)「杯」とは、罪に対する神の怒りのことである。

      ①聖書が聖書を解釈する。

②詩11:6、75:8、イザ51:17、エレ25:15、黙14:10

      ③神の怒りの杯を飲む者は、霊的に死んでいる不信者である。

      ④彼らは、神から切り離された者たちである。

      ⑤メシアの肉体的死は預言されていたが、霊的死の預言はない。

      ⑥イエスは神性と人性を持っていた。神性は死なない。人性は死ぬことができる。

      ⑦イエスは霊的死(父との分離)について知って、驚かれたのであろう。

      ⑧私たち人間には、父と子の分離がどういう意味をもつのか理解できない。

      ⑨霊的死を通過することで、イエスは私たちのために完璧な大祭司となられた。

  3.霊的戦いに勝利する方法は何か。

    (1)イエスの祈りは答えられなかったが、イエスは霊的戦いに勝利された。

      ①それは、父の御心を求め、それを実行したからである。

      ②ヨハ18:11

Joh 18:11 そこで、イエスはペテロに言われた。「剣をさやに収めなさい。父がわたしに下さった杯を、どうして飲まずにいられよう。」

    (3)アダムとイエスの対比

      ①アダムは父に背いて、死をもたらした。

      ②イエス(最後のアダム)は父への従順を学び、いのちをもたらした。

    (4)私たちの手本は、最初のアダムではなく、最後のアダムである。

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