私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
メシアの生涯(186)—大祭司の祈り(2)—
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大祭司の祈りから、霊的教訓を学ぶ
「大祭司の祈り(2)」
ヨハ17:6~19
1.はじめに
(1)文脈の確認
①ヨハ17章 恐らく、ゲツセマネの園の近辺での祈りあろう。
②イエスの働きは、預言者から祭司に移行した。
③これは、大祭司の祈りである。
*聖書に記された最高の祈りである。
*イエスの心の中を覗くことができる祈りである。
*世界観の変更を迫る祈りである。
(2)A.T.ロバートソンの調和表
§151 キリストの執りなしの祈り
2.アウトライン
(1)自分自身のための祈り(1~5節)
(2)使徒たちのための祈り(6~19節)
①使徒たちとの関係(6~8節)
②使徒たちの守りを願う祈り(9~16節)
③使徒たちの聖めを願う祈り(17~19節)
(3)すべての信者のための祈り(20~26節)
3.結論:
(1)弟子たちのためのイエスの祈り
(2)弟子たちによって栄光を受けるイエス
大祭司の祈りから、霊的教訓を学ぶ
Ⅰ.使徒たちとの関係(6~8節)
1.6節
Joh 17:6 わたしは、あなたが世から取り出してわたしに下さった人々に、あなたの御名を明らかにしました。彼らはあなたのものであって、あなたは彼らをわたしに下さいました。彼らはあなたのみことばを守りました。
(1)この小さな群れ(11人の使徒集団)は、父から子に与えられたものである。
①彼らは、世から取り出された(選び出された)。
②ヨハ17章には、「世」という言葉が18回も出て来る。
*「世」とは、神に敵対する勢力、システムのことである。
③彼らは、父の選びによってこの世(不信仰な人類全体)から取り出された。
④父は彼らを子に贈り物として与えた。
⑤ヨハ6:37
「父がわたしにお与えになる者はみな、わたしのところに来ます。そしてわたし
のところに来る者を、わたしは決して捨てません」
(2)子は彼らに、父の御名を明らかにした(御名を現した)。
①御名とは、父のご人格、属性、特徴などである。
②イエスは、自分を見た者は父を見たと言われた。
③これは、イエスの神性宣言である。
(3)彼らは、父のみことばを守った。
①イエスは、彼らをほめておられる。
②彼らは、イエスが語る父のことばに応答した。
③彼らは完ぺきではなかったが、献身の姿勢は正しかった。
(例話)高校時代の代数:回答は間違っているが論理がよければ評価される。
④過去の失敗や、これから起ころうとしている裏切りへの言及は、一切ない。
2.7~8節
Joh 17:7 いま彼らは、あなたがわたしに下さったものはみな、あなたから出ていることを知っています。
Joh 17:8 それは、あなたがわたしに下さったみことばを、わたしが彼らに与えたからです。彼らはそれを受け入れ、わたしがあなたから出て来たことを確かに知り、また、あなたがわたしを遣わされたことを信じました。
(1)子は父を完ぺきに啓示した。
①子は父のことばを彼らに伝えた。
(2)彼らは、その啓示に応答した。
①父と子がひとつであることを信じた。
*ユダヤ的には、イエスが神であることを信じたということ。
②子が父から派遣されていることを信じた。
*イエスは完ぺきな【主】のしもべであることを信じたということ。
(3)以上のことを前提に、イエスは弟子たちのために大祭司として祈られた。
Ⅱ.使徒たちの守りを願う祈り(9~16節)
1.9~10節
Joh 17:9 わたしは彼らのためにお願いします。世のためにではなく、あなたがわたしに下さった者たちのためにです。なぜなら彼らはあなたのものだからです。
Joh 17:10 わたしのものはみなあなたのもの、あなたのものはわたしのものです。そして、わたしは彼らによって栄光を受けました。
(1)これは、11人のための祈りである。
①適用としては、すべての信者のための祈りとも言える。
②これは、世のための祈りではない。
*世は不信仰であり、その状態に保たれる必要はないのである。
③イエスが世のために祈ったことがないという意味ではない。
*事実、イエスは十字架上で世のために祈られた。
④イエスは大祭司として、11人を代表して御座の前で祈っている。
(2)子のものは父のもの、父のものは子のものである。
①これは、子と父の親密な関係を示している。
②子と父は、同じ権威を有する神である。
*人は神に向かって、「わたしのものはみなあなたのもの」と言える。
*しかし、「あなたのものはわたしのものです」とは言えない。
(3)「わたしは彼らによって栄光を受けました」
①これは、不完全な弟子たちにとって大いなる励ましと慰めである。
2.11節
Joh 17:11 わたしはもう世にいなくなります。彼らは世におりますが、わたしはあなたのみもとにまいります。聖なる父。あなたがわたしに下さっているあなたの御名の中に、彼らを保ってください。それはわたしたちと同様に、彼らが一つとなるためです。
(1)状況が大きく変化しようとしているので、この祈りが必要となる。
①イエスは世を去り、父のみもとに行く。
②弟子たちは、世に残される。
③イエスに向けられていた「世からの憎しみ」は、弟子たちに向けられる。
④弟子たちを守る役割は、父に委ねられる。
(2)御名の中に保つ。
①父は、聖なる父であり、罪に汚れた被造世界からは分離している。
*父は、無限に高いところにおられる。
②イエスを信じた弟子たちは、聖なる者とされている(世からの分離)。
③「御名の中に保つ」とは、父ご自身の守りを意味する。
(3)その目的は、彼らが一つとなるためである。
①彼らの性質や目的がイエスに似たものとなる。
②父と子が一つであることが、そのモデルとなる。
3.12節
Joh 17:12 わたしは彼らといっしょにいたとき、あなたがわたしに下さっている御名の中に彼らを保ち、また守りました。彼らのうちだれも滅びた者はなく、ただ滅びの子が滅びました。それは、聖書が成就するためです。
(1)イエスは、良き羊飼いとして彼らを守った。
①これは、イエスの地上生涯への言及である。
(2)唯一の例外は、イスカリオテのユダである。
①彼は、滅びの子である。
②ユダは羊の一員ではなかった。最後に、それが明らかになった。
③彼はイエスを売り渡すことで、知らない内にサタンの手先となった。
④神の主権は、人間の悪行の上にも及ぶ。
⑤ユダの裏切りは、詩41:9の成就である。
「私が信頼し、私のパンを食べた親しい友までが、私にそむいて、かかとを上げ
た」
4.13~14節
Joh 17:13 わたしは今みもとにまいります。わたしは彼らの中でわたしの喜びが全うされるために、世にあってこれらのことを話しているのです。
Joh 17:14 わたしは彼らにあなたのみことばを与えました。しかし、世は彼らを憎みました。わたしがこの世のものでないように、彼らもこの世のものでないからです。
(1)イエスが励ましのことばを語っている理由
①イエスが死んだあと、弟子たちはイエスのことばを思い出すようになる。
②それによって、イエスの喜びをフルに味わうようになる。
③イエスの喜びとは、悪に打ち勝ち、永遠のいのちをもたらしたということ。
(2)父の守りが必要な理由
①イエスは父のことばを彼らに与え、彼らはイエスのようになった。
②イエスが憎まれたように、彼らも世から憎まれる。
5.15~16節
Joh 17:15 彼らをこの世から取り去ってくださるようにというのではなく、悪い者から守ってくださるようにお願いします。
Joh 17:16 わたしがこの世のものでないように、彼らもこの世のものではありません。
(1)神の計画は、彼らを世から取り去ることではない。
①むしろ、世にあって彼らを悪い者から守ることである。
②彼らには、この世にあって果たすべき使命が与えられていた。
(2)悪い者とは、サタンのことである。
①サタンは、この世の頭である。
②信者を破壊するためならなんでもする。
③しかし、サタンの意図が成就することはない。
④神は、ご自身の民を守られる。
(3)イエスがこの世に属していないように、弟子たちもこの世のものではない。
①コロ1:13
「神は、私たちを暗やみの圧制から救い出して、愛する御子のご支配の中に移し
てくださいました」
②この世からの誘惑を受けたとき、この聖句を思い出すべきである。
Ⅲ.使徒たちの聖めを願う祈り(17~19節)
1.17節
Joh 17:17 真理によって彼らを聖め別ってください。あなたのみことばは真理です。
(1)聖めとは
①この世からの分離である。
*この世の価値観、罪、目的からの分離である。
②神の働きのための分離である。
(2)聖めの方法
①真理のみことばである。
②神のことばを学ぶなら、その人は聖め別たれる。
*心と知性が変化する。
*内面の変化は、生き方の変化をもたらす。
③この原則は、現代の信者にも適用される。
*みことばの学びによって、この世から別たれ、神の働きをするようになる。
*「聖書研究から日本の霊的覚醒(目覚め)が」
2.18節
Joh 17:18 あなたがわたしを世に遣わされたように、わたしも彼らを世に遣わしました。
(1)父が子を世に遣わした。
①子の使命は、父を啓示することである。
②イエスは、すべての信者のモデルである。
(2)イエスは弟子たちを世に遣わした。
①弟子たちには使命がある。
②父を知らしめることが、弟子たちの使命である。
③これは、イエスの大宣教命令と言ってもよい。
3.19節
Joh 17:19 わたしは、彼らのため、わたし自身を聖め別ちます。彼ら自身も真理によって聖め別たれるためです。
(1)「わたしは、彼らのため、わたし自身を聖め別ちます」とはどういう意味か。
①イエスの性質は、聖めを必要としていない。
②このことばは、十字架の死への献身を意味している。
(2)真理は弟子たちを聖め別つ。
①イエスの贖いの死を信じる者は、この世から聖め別たれる。
結論
1.弟子たちのためのイエスの祈り
(1)弟子たちを選ぶ前(ルカ6:12)
Luk 6:12 このころ、イエスは祈るために山に行き、神に祈りながら夜を明かされた。
(2)公生涯の終わり(ルカ22:32)
「しかし、わたしは、あなたの信仰がなくならないように、あなたのために祈りまし
た。だからあなたは、立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい」
(3)地上を去る前(ヨハ17:6~19)
(4)天上において
①ロマ8:34
「罪に定めようとするのはだれですか。死んでくださった方、いや、よみがえら
れた方であるキリスト・イエスが、神の右の座に着き、私たちのためにとりなし
ていてくださるのです」
②ヘブ7:25
「したがって、ご自分によって神に近づく人々を、完全に救うことがおできにな
ります。キリストはいつも生きていて、彼らのために、とりなしをしておられる
からです」
2.弟子たちによって栄光を受けるイエス
(1)旧約時代における神の栄光
①幕屋、神殿の至聖所にシャカイナグローリーが現れた。
②神がご自身の民の中に住み、栄光を表された。
(2)福音書の時代
①イエスの内にシャカイナグローリーが現れた。
②ヨハ1:14
「ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。
父のみもとから来られたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに
満ちておられた」
③弟子たちの信仰と生き方は、イエスのご性質の現れとなった。
*栄光とは、神のご臨在であり、ご性質である。
④それゆえイエスは、弟子たちによって栄光と受けたと言われたのである。
*これは、不完全な弟子たちにとって大いなる励ましと慰めである。
(3)教会時代
①聖霊が御子の栄光を表す。
②ヨハ16:14
「御霊はわたしの栄光を現します。わたしのものを受けて、あなたがたに知らせ
るからです」
③信者も御子の栄光を表す。
④エペ1:12
「それは、前からキリストに望みを置いていた私たちが、神の栄光をほめたたえ
るためです」(新改訳)
「これ夙(はや)くよりキリストに希望(のぞみ)を置(お)きし我(われ)らが、
神(かみ)の榮光(えいくわう)の譽(ほまれ)とならん爲(ため)なり」(文語訳)
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