創造から新天新地へ(06)―24章でたどる神の救済史 5章 「シナイ契約と神の民の召し」出エジプト記20章

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シナイ契約の目的は、「救われた民の生き方」を教えることである。シナイ契約の3つのポイントを学ぶと、いかに生きるべきかが分かる。

創造から新天新地へ―24 章でたどる神の救済史

5

章 「シナイ契約と神の民の召し」

出エジプト記20

1 .はじめに

(1)1章(創1章)では「世界の始まり」を取り上げた。

  ①天地創造の目的は、神の国の臣民を造り出すことにあった。

(2)2章(創3章)では「人類の堕落と救い主の約束」を取り上げた。

  ①悪魔は、悪魔の国を作ろうとしている。

  ②神は、救い主の約束を与えた。

(3)3章(創12章)では「アブラハムの選び」を取り上げた。

  ①救済史は、一人の人の選びから始まった。

  ②救済史は、選ばれた系譜の歴史である。

(4)4章(出12章)では「イスラエル民族の始まり」を取り上げた。

  ①ヤコブの子孫たちはエジプトで一大民族となり、そこを脱出した。

  ②旧約最大の救いの出来事は、イエスの十字架を指し示している。

(5)5章(出20章)では「シナイ契約と神の民の召し」について取り上げる。

  ①神はイスラエルの民とシナイ契約を結ばれる。

  ②律法は救いの条件ではなく、神とともに歩むための指針である。

シナイ契約の目的は、「救われた民の生き方」を教えることである。

シナイ契約の3 つのポイントを学ぶと、いかに生きるべきかが分かる。

Ⅰ.神の自己啓示

1.出20:1~2

Exo 20:1 それから神は次のすべてのことばを告げられた。

Exo 20:2 「わたしは、あなたをエジプトの地、奴隷の家から導き出したあなたの神、【主】である。

(1)律法は「救いの前提」ではなく「救いの結果」である。

  ①神はまず「解放者」としてご自身を啓示する。

  ②次に民に生き方を教える。

(2)神との関係は「恵みに基づく契約」であり、律法はその枠組み。

  ①イスラエルに613の律法が与えられた。

2.適用

(1)私たちも恵みによって救われ、その後に「主に従う」生活へ招かれる。

  ①神の国の臣民になるための準備が始まる。

Ⅱ.契約の民の義務

1.十戒(20:3~17)

(1)十戒は二方向に整理される。

2.第1〜第4戒:神への愛

(1)神だけを礼拝する。

(2)偶像を造らない。

(3)【主】の名をみだりに唱えない。

(4)安息日を守る。

3.第5〜第10戒:隣人への愛

(5)父母を敬う。

(6)殺してはならない。

(7)姦淫してはならない。

(8)盗んではならない。

(9)偽証してはならない。

(10)貪ってはならない。

4.適用

(1)イエスも「神を愛し、人を愛する」ことが律法全体の要約だと語られた。

  ①マタ22:37~40

(2)信仰生活は、「神への愛」「隣人への愛」という二つの方向で考えるべき。

Ⅲ.シナイ契約の3 つの意味

1.贖われた民の「契約的アイデンティティ」を確立する。

(1)イスラエルは、単なる解放奴隷集団ではない。

  ①【主】の所有の民

  ②祭司の王国

  ③聖なる国民

(2)シナイ契約は、神の国の民の雛形を地上に可視化する役割を果たす。

2.罪を啓示し、救済史を次の段階へ進める。

(1)律法は、罪を取り除く力は持たない。

  ①律法は、罪を明らかにする(ロマ3:20、7:7)。

(2)シナイ契約は、人間の限界を暴露する。

  ①より深い救い(新しい契約)への必要性を浮き彫りにする。

  ②「律法は、キリストに導く養育係でした。」(ガラ3:24)

3.メシア到来のための「舞台装置」を整える。

(1)シナイ契約は以下の概念を可視化した。

  ①祭司制度―仲介者の必要性

  ②犠牲制度―代償的贖い

  ③聖所(幕屋・神殿)―礼拝の方法

  ④清浄・汚れの区別―罪と聖さの区別

(2)ヘブル人への手紙の教え

  ①これらはすべて、キリストの十字架と大祭司的働きの予型である。

(3)新しい契約との関係

  ①シナイ契約:石の板、外面的規定

  ②新しい契約:心に書かれる律法(エレ31:31~34)

  ③救済史は、外的律法 → 内的刷新へと進展する。

(4)シナイ契約は失敗したのか。

  ①人間は律法を守れなかった。

  ②しかし律法は、その役割を果たした。

    * 罪を示し、救い主を待望させ、神の義の基準を明確にした。

適用:今日の信者への適用

1.すでに救われているという自覚

(1)シナイ契約は、すでに救われた民への生活の指針である。

(2)私たちもまた、行いによってではなく、恵みによって救われている。

(3)信仰生活は、「義務」から始まるのではなく、「解放」から始まる。

2.神の国の市民であるという自覚

(1)十戒は、神の国の価値観を地上で生きるための指針である。

(2)私たちは、「キリストの律法」(ガラ6:2)に従って生きる。

(3)聖霊によって愛の実践が可能になる。

3.キリストに望みを置いているという自覚

(1)律法は、私たちを義とすることはできない。

(2)律法が指し示していた犠牲は、十字架で完成した。

(3)祭司制度は、キリストの大祭司的働きによって成就した。

4.神の救済史を生きているという自覚

(1)創造から始まった神のご計画は、律法を通して罪を明らかにし、キリスト

によって完成へと導かれ、やがて新天新地において完全に実現する。

(2)私たちは、その救済史の只中に生きる「神の民」として、恵みによって救わ

れ、愛によって生きる者として歩んでいく。

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