ハーベスト冬期聖会「現代のクリスチャンに必要な3つのレンズ(2)」聖書的歴史観―歴史をどう読むか―

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クリスチャンは正しい歴史観を身に付けるべきである。
歴史が進展する4つのステップを学ぶことにより、それが可能になる。

ハーベスト冬期聖会

「現代のクリスチャンに必要な3つのレンズ(2)」

聖書的歴史観―歴史をどう読むか―

はじめに

  1.この説教を語る理由

    (1)時代に流されないために必要なレンズが3つある。

    ①「聖書的世界観―世界をどう見るか―」

      ②「聖書的歴史観―歴史をどう読むか―」

      ③「聖書的イスラエル論―イスラエルをどう理解するか―」

    (4)最も激しい霊的戦いは、人間の頭脳の中で行われている。

①それは、どのレンズを採用するかという戦いである。

②創3章でサタンが仕掛けたのは、事実の認知を巡る戦いである。

  2.3つの主要な歴史観

    (1)自然主義的歴史観

①この世界は自然法則と偶然によって存在する。

②歴史に目的はない。

③人間の価値や倫理の基盤が崩れ、 結果的に虚無主義や相対主義を生む。

    (2)循環的歴史観

①歴史は同じパターン(盛衰・輪廻)を何度も繰り返す。

②東洋思想(ヒンドゥー教・仏教)や古代ギリシア思想に多く見られる。

③解脱が究極の目標になるため、歴史に積極的に関わる動機が希薄になる。

        *輪廻の束縛から脱すること

    (3)聖書的歴史観

①歴史には、始まりがあり、終わりがある。

②創造→堕落→贖い→完成という直線的かつ目的論的な歴史観である。

  3.アウトライン

    (1)天地創造:神の国の計画

    (2)人類の堕落:悪魔の国の誕生

    (3) 類の贖い:神の国と悪魔の国の葛藤

    (4)神の国の完成:新天新地の出現

    結論:今日の信者への適用

クリスチャンは正しい歴史観を身に付けるべきである。

歴史が進展する4つのステップを学ぶことにより、それが可能になる。

Ⅰ.天地創造:神の国の計画(2ポイント)

  1.聖書的歴史観の土台は、無から有を創造する神の存在である。

    (1)神は、永遠の昔に、御自身が王として統治する「神の国」を造ろうとされた。

      ①神は、「世々の王」(永遠の王)(the King eternal)である(1テモ1:17)。

      ②エデンの園は、神の国の型である。

③詩103:19,145:13、マタ25:34、エペ1:4~5、1コリ15:24~25、

2テモ1:9など参照

    (2)「王国」が存在するためには、次の3つの要素がなければならない。

①王の存在

②王国を統治するための権威

③臣民の存在

  2.天地創造の目的は、神の国の臣民を造り出すことにあった。

    (1)最初に創造されたのが、天使たちである。

      ①天使は霊的存在であり、知性を有する(マタ22:30、ヘブ1:13~14)。

      ②天に住むように創造されたが、地に下ることも許された。

    (2)次に、神の国の臣民として創造されたのが、人間である。

      ①神が人間を創造したのは、地球に代理人を置き、管理させるため。

      ②神が代理人を通して地上を管理する統治形態を、神政政治と呼ぶ。

      ③地上の体が与えられたのは、領地をより良く理解するためである。

      ④創1:26~27、2:7

      ⑤人間には神への説明責任が伴う。

    (3)被造世界を見て、神は「非常に良かった」と評価された。

      ①物質は決して悪ではない。

      ②「非常に良かった」被造世界が、なぜ呪われた世界となったのか。

      ③その理由は、神の国と悪魔の国の葛藤にある。

Ⅱ.人類の堕落:悪魔の国の誕生(3ポイント)

  1.悪魔(サタン)は、悪魔の国を造るという野望を抱いた。

    (1)黙20:2には4種類のことばが出てくる。

①竜(ドラゴン)、蛇(オフィス)、悪魔(ディアボロス)、サタン(サタナス)

    (2)かつてサタンは、神によって創造された最高位の天使の一人であった。

      ①彼は、自らの力と美を過信し、自分も神のようになりたいと思った。

②イザ14:12~14、エゼ28:11~17、1テモ3:6

2.サタンの方法は、「神の国の臣民」を「悪魔の国の臣民」に作り替えること。

  (1)天的領域を支配するために、天使たちを誘惑した。

    ①天使の三分の一が堕落した(黙12:4)。

②サタンは、悪霊どもを組織化し、神の国とその臣民たちを攻撃し始めた。

    (2)地上的領域を支配するために、人間を誘惑した。

      ①蛇を通して、先ずエバを堕落させ、次にアダムも堕落させた(創3:1~5)。

      ②サタンは、「神のようになろう」という野望を抱いた(イザ14:12〜14)。

      ③人間もまた、同じ野望を抱いたために誘惑に乗り、堕落した。

  3.神への反抗(堕落)は、悲劇的な結果をもたらした。

    (1)人間は、罪を犯した瞬間に霊的に死んだ(創2:16~17)。

      ①神に敵対する性質のことを、神学的には「全的堕落」という。

      ②堕落した瞬間から、肉体の死に至る劣化のプロセスが始まった。

    (2)神の代理人(代官)として地上を管理する特権に、変化が生じた。

①サタンが「この世の神」(2コリ4:4)となった。

②人間は、地上を統治するのではなく、自然界を搾取するようになった。

③人間の堕落は自然界に呪いをもたらした(創3:17~18、ロマ8:19~22)。

    (3)人間は、神の国の臣民から、悪魔の国の臣民になった。

      ①アダムの子孫たちは、原罪を宿して誕生するようになった。

      ②生まれながらの人間には、新生体験が必要である。

(4)サタンは、「この世を支配する者」となった(ヨハ12:31、14:30、16:11)。

  ①彼は、天的領域と地上的領域に、自らが支配する国を造った。

  ②堕落した人間は、サタンの目的に従って利用される存在となった。

    (5)神は、直ちにサタンを粉砕することもできたが、そうはしなかった。

      ①神は、堕落した人間を愛し、彼らを救おうとされた。

      ②神は、天地創造の前から人間を救う計画を立てておられた。

      ③歴史は、神の国と悪魔の国の葛藤の記録である。

      ④聖書は、最後は神の国の勝利で終わることを約束している。

Ⅲ.人類の贖い:神の国と悪魔の国の葛藤(4ポイント)

  1.神は、悪魔が破壊した被造世界を元の状態に回復しようとされた。

(1)旧約預言のピークは、御国(神の王国)成就の約束である。

  ①この御国は、エデンの園の状態の回復である。

  ②字義どおりの地上における千年王国でなければ整合性が崩れる。

(2)人間の堕落直後に、贖い主の約束が与えられた。

  ①人間は霊的に死んだので、霊的に新しく誕生する必要がある(ロマ8:13)。

      ②肉体的な死に対する解決策は、復活である。

      ③呪われた地球環境を回復させる必要がある。

④「この世の神」となった悪魔を、完全に破壊する必要がある。

    (3)悪魔に対する裁きの宣言を「原福音」という(創3:15)。

Gen 3:15 わたしは敵意を、おまえと女の間に、/おまえの子孫と女の子孫の間に置く。/彼はおまえの頭を打ち、/おまえは彼のかかとを打つ。」

      ①「おまえの子孫」とは反キリスト、「女の子孫」とはメシアのことである。

      ②これ以降の歴史は、「女の子孫」を軸として進んで行く。

      ③サタンは、「女の子孫」の誕生を阻止しようとする。

      ④イエスが誕生して以降は、その働きを妨害しようとする。

  2.旧約時代は、メシア誕生に至るイスラエルの歴史である。

    (1)アブラハム契約で、メシアはアブラハムの子孫から誕生することが決まった。

      ①創12:1~3、15:14~17

②この契約は、アブラハム、イサク、ヤコブに継承された。

      ③ヤコブの預言により、メシアはユダ部族から出ることが決まった(創49)。

    (2)ダビデ契約で、メシアはダビデの子孫から誕生することが決まった。

      ①2サム7:12~16、1歴17:11~14

②ヨセフとマリアは、ともにダビデの家系から出た。

  3.福音書の時代は、メシアが「神の国」をイスラエルに提示した歴史である。

    (1)「神の国の福音」と「イエス・キリストの福音」を区別する必要がある。

      ①イスラエルは、イエスを拒否し、神の国を受け入れなかった。

  4.イエスは神の計画どおりに、十字架上で贖いの死を遂げた(創3:15)。

    (1)イエス・キリストの福音が異邦人にまで届けられる時代となった。

      ①教会は神の計画にあったが、誕生するまで啓示はされていなかった。

        *それを「奥義」という。

        *異邦人が約束の共同相続人とされるのは、「奥義」(エペ3:3~6)。

        *異邦人も神の国の臣民になるように招かれている。

      ②教会時代は、御国の時代ではない。

    (2)今は、恵みの時代(教会時代)が続いている。

      ①聖書が完成して以降の歴史も、二つの国の葛藤を軸に進んで来た。

      ②悪魔が攻撃するのは、「真理の源」である聖書である。

      ③また、アブラハム契約や新しい契約の受け手であるイスラエルである。

      ④すべての反ユダヤ主義は、神の計画の否定につながる。

Ⅳ.神の国の完成:新天新地の出現(5ポイント)

  1.教会の携挙

    (1)イスラエルの霊的回復の準備が整ったある段階で、教会は天に挙げられる。

      ①いつ起こるのかは分からないが、いつでもそれが起こりうる状況にある。

      ②携挙されるのは、地域教会ではなく、普遍的教会である(1テサ4・16~18)。

  2.患難期

    (1)患難期は、反キリストがイスラエルと7年の契約を締結したときに始まる。

      ①患難期の7年間は、「ダニエルの70週」(ダニ9章)の最後の週である。

    (2)患難期における悪魔のゴールは、以下の4つである。

      ①悪魔の王国(政治的王国)の確立

②神の証人たちの抹殺

③イスラエルの抹殺

④諸国の軍勢の招集

    (3)患難期における神のゴールは、以下の4つである。

      ①世界宣教(144,000人のユダヤ人)

②悪魔の国の破壊

③諸国の軍勢の招集

④イスラエルの悔い改め(再臨の条件である。ゼカ12:10)

  3.再臨

    (1)キリストはボツラ(現在のペトラ)に再臨する。

      ①イザ63:1~6

    (2)勝利したキリストはオリーブ山に立つ

      ①一連の天変地異は、神の国を地上に設立するための準備となる。

  4.御国

    (1)文字どおりの千年王国(黙20)は、ヘブル的希望である。

      ①旧約においてイスラエルに約束された数々の契約の成就の舞台となる。

②神がご自身の契約に忠実であることが証明される。

(2)千年王国で成就する主要な契約の約束

  ①アブラハム契約の土地の約束の成就(創12:1~3、15:18~21)

    *エジプトの川からユーフラテス川まで

  ②ダビデ契約の王位の成就(2サム7:12~16)

    *メシアであるイエスが、ダビデの子孫として、王として統治される。

③新しい契約の成就(エレ31:31~34)

  *神は、イスラエルとユダとに「新しい契約」を結ぶと宣言された。

  *律法が心に書き記される、すべての者が主を知る、罪が完全に赦される。

  *教会時代には、霊的祝福のみ部分的に享受されている。

*イスラエル全体が霊的に回復される(ゼカ12:10、ロマ11:26~27)。

      ④イスラエルの祭司的役割の回復(イザ61:6、ゼカ8:23)

        *イスラエルは諸国民に対して「祭司の国、仲介者の民」となる。

(3)千年王国は、エデンの園の状態の回復である。

  ①ミカ4:1~5(イザ2:2~4)

(4)悪魔は、御国の最後に底知れぬ所から再び解き放たれる。

①その理由は、再び人類を試すためである。

      ②サタンは、「火と硫黄の池」に投げ込まれる(黙20:10)。

    (5)白い御座の裁き

      ①黙20:11~12

      ②創1章以来存在している天と地が跡形もなくなる。

      ③次に、すべての時代の不信者が裁かれる。

  5.新天新地(永遠の秩序)

    (1)黙示録1~20章は、旧約聖書の終末預言を、時間順に並べている。

      ①21~22章は、それまでに啓示されていなかった新しい真理の啓示である。

②創世記1章以来続いていた被造世界は、やがて過ぎ去る。

③罪の影響を受けない新しい天と新しい地が創造される。

④新しいエルサレムが天から下ってくる。

    (2)創3章から始まった戦いは、神の国の勝利で終わる(黙21~22章)。

①今私たちは、神の国の勝利が確定する直前の時代に生かされている。

結論:今日の信者への適用

  1.聖書的歴史観の復習

    (1)天地創造:神の国の計画

    (2)人類の堕落:悪魔の国の誕生

    (3)人類の贖い:神の国と悪魔の国の葛藤

    (4)神の国の完成:新天新地の出現

  2.自問自答すべきテーマ

    (1)私は、どの物語の中に生きているか。

      ①世俗的歴史観の影響を受け、不安になっていないか。

(2)私は、神の国の市民として生きているか。

  ①神の国の市民としてのアイデンティティと希望を持っているか。

(3)私は、神の国を前進させる働きに参加しているか。

  ①「霊的戦い」に無関心で、戦線離脱をしていないか。

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