ヨハネの福音書(57)「埋葬」ヨハ19:31~42

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私たちの信仰は歴史的事実の上に立っている。この箇所を3区分して読むと、そのことが分かる。

ヨハネの福音書(57)

「埋葬」

ヨハ19:31~42

1.文脈の確認

(4)イエスの受難(18~20章)

  ①イエスの逮捕(18:1~11)

  ②イエスの宗教裁判(18:12~27)

  ③イエスの政治裁判(18:28~40)

  ④有罪判決(19:1~16)

  ⑤十字架刑(19:17~30)

  ⑥埋葬(19:31~42)

2.注目すべき点

(1)「福音の三要素」は歴史的事実である(1コリ15:3~5)。

  ①キリストは、私たちの罪のために死なれた。

  ②また、葬られた。

  ③また、3日目によみがえられた。

(2)埋葬は、「メシアの辱め」の最後の段階である。

  ①イエスのわき腹が槍で刺された。

  ②イエスの遺体が墓に葬られた(復活を証明するための必須条件)。

  ③次に来るのが「メシアの高揚」である。

私たちの信仰は歴史的事実の上に立っている。

この箇所を3区分して読むと、そのことが分かる。

Ⅰ.イエスの死の確証(31~34節)

1.31節

Joh 19:31

その日は備え日であり、翌日の安息日は大いなる日であったので、ユダヤ人たちは、安息日に死体が十字架の上に残らないようにするため、その脚を折って取り降ろしてほしいとピラトに願い出た。

(1)「備え日」とは、安息日のために備えをする日=金曜日。

  ①ユダヤ教の祭りの中で最も重要なものは、安息日である。

  ②安息日が祭りの期間と重なると「大いなる日」(大安息日)と呼ばれた。

(2)ユダヤ人たちはイエスの死体の取り降ろしを願った。

  ①ローマ人たちは、死体をそのまま放置し、野獣や鳥に食わせた。

    *死体の埋葬をしないことは、十字架刑の一部であった。

  ②ユダヤ人たちは、十字架につけられた者の遺体は汚れていると考えた。

    *そのまま放置すれば、町が汚れる。

    *特に、安息日に町が汚れることは容認できない(申21:22~23)。

    *しかも、この安息日は「大安息日」であった。

(3)ユダヤ人たちは、3人の罪人の足のすねを折ることを願った。

  ①すねを折るのは、死期を早めるためである。

  ②ショック死、出血死、窒息死などが死因となる。

  ③数か所の骨を折ったと思われる。

  ④もし、すねを折らなければ、数時間から数日間、生き延びた。

(4)ユダヤ人たちの偽善

  ①イエスを十字架につけるという罪を犯しながら、儀式的な汚れにこだわった。

2.32~34節

Joh 19:32

そこで、兵士たちが来て、イエスと一緒に十字架につけられた一人目の者と、もう一人の者の脚を折った。

Joh 19:33

イエスのところに来ると、すでに死んでいるのが分かったので、その脚を折らなかった。

Joh 19:34

しかし兵士の一人は、イエスの脇腹を槍で突き刺した。すると、すぐに血と水が出て来た。

(1)兵士たちは、イエス以外の2人の罪人のすねを折った。

  ①彼らは、十字架上で6時間以上も苦しんでいた。

(2)イエスはすでに死んでいた。

  ①もはや、すねを折る必要はない。

  ②イエスの死は、自発的な死であった。

(3)確認のために、兵士の一人がイエスの脇腹を槍で突き刺した。

  ①血と水が出て来た。

  ②「イエスは本当には死ななかった」と主張する異端を退ける意味がある。

  ③血と水の流出は、イエスが確実に人間として死なれたことを証明する証拠。

    *心膜や胸膜に水がたまった状態を示唆している。

  ④二重の象徴(血と水)を読み取ることができる。

    *血は贖い、罪の赦しを示し、水は清めと聖霊による新しいいのちを示す。

Ⅱ.聖書預言の成就(35~37節)

1.35節

Joh 19:35

これを目撃した者が証ししている。それは、あなたがたも信じるようになるためである。その証しは真実であり、その人は自分が真実を話していることを知っている。

(1)「これを目撃した者」とはヨハネ自身のことである。

  ①彼は自分が書いている証言が事実に基づくものであると断言している。

  ②これは、後に出てくる異端的教えを退けるためのものである。

    *イエスは本当に死んだのではない。

    *イエスは肉体を持たなかった。

(2) 「それは、あなたがたも信じるようになるためである」

  ①ヨハネは単なる歴史の記録者ではなく、信仰を呼び起こす福音記者である。

  ②この証言が書かれた目的は、読者が信じるようになるためである。

    *イエスはまことに死なれた。

    *その死は贖罪のためである。

  ③ヨハ20:31

Joh 20:31
これらのことが書かれたのは、イエスが神の子キリストであることを、あなたがたが信じるためであり、また信じて、イエスの名によっていのちを得るためである。

  ④ヨハ19:35は、十字架の死の場面で、同じ目的をくり返している。

2.36~37節

Joh 19:36

これらのことが起こったのは、「彼の骨は、一つも折られることはない」とある聖書が成就するためであり、

Joh 19:37

また聖書の別のところで、「彼らは自分たちが突き刺した方を仰ぎ見る」と言われているからである。

(1)十字架の出来事は偶然ではなく、神の計画と旧約の成就である。

  ①ヨハネは、2つの旧約聖書の預言を引用する。

(2)骨が砕かれない。

  ①出12:46

Exo 12:46 これは一つの家の中で食べなければならない。あなたは家の外にその肉の一切れでも持ち出してはならない。また、その骨を折ってはならない。

  ②民9:12

Num 9:12
そのうちの少しでも朝まで残してはならない。また、その骨は折ってはならない。すべて過越のいけにえの掟のとおり、それを献げなければならない。

  ③詩34:20

Psa 34:20 主は彼の骨をことごとく守り/その一つさえ 折られることはない。

  ④イエスは過越の子羊としての死を遂げた。

  ⑤慣例に反して足を折られなかったことは、偶然ではなく神の救済計画の成就。

(3)刺し通された方を見る

  ①ゼカ12:10

Zec 12:10
わたしは、ダビデの家とエルサレムの住民の上に、恵みと嘆願の霊を注ぐ。彼らは、自分たちが突き刺した者、わたしを仰ぎ見て、ひとり子を失って嘆くかのように、その者のために嘆き、長子を失って激しく泣くかのように、その者のために激しく泣く。

  ②ここでは預言の部分的成就が示されている。

  ③将来イスラエルが民族的に悔い改めるときに完全な成就が訪れる。

Ⅲ.大胆な弟子たちの出現(38~42節)

1.38節

Joh 19:38

その後で、イエスの弟子であったが、ユダヤ人を恐れてそれを隠していたアリマタヤのヨセフが、イエスのからだを取り降ろすことをピラトに願い出た。ピラトは許可を与えた。そこで彼はやって来て、イエスのからだを取り降ろした。

(1)アリマタヤのヨセフ

  ①福音書すべてに登場(マタ27:57~60、マコ15:43~46、ルカ23:50~53)。

    *アリマタヤは、エルサレムの北西約35キロにある町。

  ②「金持ちの人」「有力な議員」「善良で正しい人」

  ③彼は公に信仰を表明できなかった。

  ④しかし、イエスの死を目撃した後、勇気を出して行動した。

  ⑤十字架が彼の人生の転換点となった。

(2)彼は、イエスのからだの取り降ろしをピラトに願い出た。

  ①これがなかったら、ユダヤ人がからだを取り降ろし、城壁の外に投げていた。

  ②アリマタヤのヨセフにとっては、自分になんの利益もない危険な行為である。

  ③ピラトは許可を与えた(恩赦)。彼なりのユダヤ人に対する抵抗である。

  ④埋葬は、時間がないので、大急ぎで行う必要があった。

(3)預言の成就

  ①イザ53:9

Isa 53:9 彼の墓は、悪者どもとともに、/富む者とともに、その死の時に設けられた。/彼は不法を働かず、/その口に欺きはなかったが。

  ②この預言が、金持ちであるヨセフによって成就した。

  ③ローマの処刑人は、墓地に投げ捨てられるか、共同墓地に葬られた。

  ④イエスは例外的に「金持ちの墓」に葬られた。

(4)神の摂理

  ①人間的に見れば、弟子たちは失望し逃げ去ったのは悲劇であった。

  ②しかし神は、「隠れた弟子」を用いて、メシアの葬りを成就した。

  ③救いの計画は、隠れた場所にいた人々を通しても進められる。

2.39~40節

Joh 19:39

以前、夜イエスのところに来たニコデモも、没薬と沈香を混ぜ合わせたものを、百リトラほど持ってやって来た。

Joh 19:40

彼らはイエスのからだを取り、ユダヤ人の埋葬の習慣にしたがって、香料と一緒に亜麻布で巻いた。

(1)ニコデモの登場

  ①読者は、「以前、夜イエスのところに来た」人物を覚えている。

  ②没薬(防腐剤)と沈香(香りづけ)を混ぜ合わせたものを持って来た。

    *100リトラ(約32㎏)とは莫大な量である。

    *王としての埋葬を示している。

  ③彼もまた隠れ信者であったが、自らの信仰を表明した。

(2)通常のユダヤ式埋葬法は、からだを洗い、没薬を用いながら亜麻布で巻く。

  ①ここでは、没薬と沈香を混ぜたものが使用されている。

  ②亜麻布は複数形であるので、トリノの聖骸布は偽物である。

3.41~42節

Joh 19:41

イエスが十字架につけられた場所には園があり、そこに、まだだれも葬られたことのない新しい墓があった。

Joh 19:42

その日はユダヤ人の備え日であり、その墓が近かったので、彼らはそこにイエスを納めた。

(1)イエスが埋葬された墓

  ①ゴルゴタに近い墓で、墓地ではなく、園にある墓である。

  ②誰も葬られたことのない新しい墓である。

  ③これはヨセフの墓、金持ちの墓である。

  ④それを見ていたのが、マグダラのマリアとほかのマリアである。

(2)神の摂理

  ①人間的には「急いだ結果、近くの墓に葬られた」にすぎない。

  ②神の視点から見ると、摂理の御手が働いた。

    *預言の成就(イザ53:9)

    *復活を証明する条件(新しい墓・他の遺体との混同なし)

    *王のように尊厳ある葬り(裕福な者の墓)

今日の信者への適用

1.歴史的事実に立つ信仰

(1)ヨハネは自らの証言を強調した。

(2)信仰は歴史的事実に基づいている。

(3)相対主義に対して、「信仰は事実に基づいている」と主張する必要がある。

2.キリストの死の主権性

(1)兵士がイエスの足を折らなかったのは、イエスがすでに死んでいたから。

(2)イエスの死は、自発的な死であった。

(3)骨が砕かれなかったこと、脇腹が刺されたことは旧約の預言の成就であった。

(4)救いは、主が成し遂げられたことを受け入れることで得られる。

3.血と水の証し

(1)血は贖い、水は清めや新しいいのちを象徴している。

(2)イエスの死は、赦しと新生を同時に与えるものである。

(3)日々「血による赦し」と「水による清め」の両方に生きることが大切である。

4.隠れた弟子たち

(1)アリマタヤのヨセフとニコデモは、これまで隠れていた弟子であった。

(2)イエスの十字架の死を機に公然と信仰を表明した。

(3)私たちの信仰にも転換期が訪れる。

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