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ヨハネの福音書(50)「大祭司の祈り(2) 弟子たちのための祈り」ヨハ17:6~19
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イエスは新約の共同体の核のために祈られた。その祈りを3区分して学ぶと、教会誕生の確実性が見えてくる。/p>
ヨハネの福音書(50)
「大祭司の祈り(2) 弟子たちのための祈り」
ヨハ17:6~19
1.文脈の確認
(1)前書き(1:1~18)
(2)イエスの公生涯(1:19~12:50)
(3)イエスの私的奉仕(13:1~17:26)
①最後の晩餐(13:1~30)
②階上の間の説教(13:31~16:33)
③大祭司の祈り(17:1~26)
2.注目すべき点
(1)弟子たちへの教えは、勝利のことばで終わった。
①「わたしはすでに世に勝ちました」(ヨハ16:33)
②十字架、復活、昇天が予見されている。
(2)この段階で、イエスの働きは預言者から祭司に移行した。
(3)ここでの祈りは、聖書の中の最高の祈りである。
3.アウトライン(大祭司の祈り)
(1)イエス自身のための祈り(17:1~5)
(2)弟子たちのための祈り(17:6~19)
(3)将来の信者たちのための祈り(17:20~26)
今回は、(2)を取り上げる。
イエスは新約の共同体の核のために祈られた。
その祈りを3区分して学ぶと、教会誕生の確実性が見えてくる。
Ⅰ.父から子に与えられた少数の人たち(6~8節)
1.6節
Joh 17:6 あなたが世から選び出して与えてくださった人たちに、わたしはあなたの御名を現しました。彼らはあなたのものでしたが、あなたはわたしに委ねてくださいました。そして彼らはあなたのみことばを守りました。
(1)この小さな群れ(11人の弟子集団)は、父から子に与えられたものである。
①彼らは、世から選び出された。
②ヨハ17章には、「世」ということばが18回も出てくる。
*「世」とは、神に敵対する勢力、システムのことである。
③父は彼らを子に贈り物として与えた(ヨハ6:37)。
(2)子は彼らに、父の御名を現した。
①御名とは、父のご人格、属性、特徴などである。
②イエスは、自分を見た者は父を見たと言われた。
③イエスは父(契約の神としての父)を完全に明らかにした(完結した行為)。
④御名は、契約関係の保証である。
(3)彼らは、父のみことばを守った。
①イエスは、彼らをほめておられる。
②彼らは、イエスが語る父のことばに応答した(完了形。今も続いている)。
③彼らは完ぺきではなかったが、献身の姿勢は正しかった。
④過去の失敗や、これから起ころうとしている裏切りへの言及は、一切ない。
2.7~8節
Joh 17:7 あなたがわたしに下さったものはすべて、あなたから出ていることを、今彼らは知っています。
Joh 17:8 あなたがわたしに下さったみことばを、わたしが彼らに与えたからです。彼らはそれを受け入れ、わたしがあなたのもとから出て来たことを本当に知り、あなたがわたしを遣わされたことを信じました。
(1)子は父を完ぺきに啓示した。
①子は父のことばを彼らに伝えた。
(2)今彼らは知っている。
①父と子が一つであることを信じた。
②その状態が続いている(完了形)。
③「今」とは、長い訓練と教えを経た上で到達した十字架直前の段階を指す。
④弟子たちは、イエスの教えも働きもすべて父から出ていることを悟った。
⑤旧約の啓示は、新約の使徒的証言へと橋渡しされる。
⑥以上のことを前提に、イエスは弟子たちのために大祭司として祈られた。
Ⅱ.弟子たちの守りを願う祈り(9~16節)
1.9~10節
Joh 17:9 わたしは彼らのためにお願いします。世のためにではなく、あなたがわたしに下さった人たちのためにお願いします。彼らはあなたのものですから。
Joh 17:10 わたしのものはすべてあなたのもの、あなたのものはわたしのものです。わたしは彼らによって栄光を受けました。
(1)これは、11人のための祈りである。
①これは、世のための祈りではない。
*世は不信仰であり、その状態に保たれる必要はないのである。
②これは、教会形成のための特別な祈りである。
*この祈りは、後のすべての信者のための祈り(17:20)へと展開する。
(2)子のものは父のもの、父のものは子のものである。
①弟子たちは、本質的に父に属する存在である。
②弟子たちは、父と子の一体性のゆえに、子のものでもある。
③子と父は、同じ権威を有する神である。
*人は神に向かって、「わたしのものはみなあなたのもの」と言える。
*しかし、「あなたのものはわたしのものです」とは言えない。
(3)「わたしは彼らによって栄光を受けました」
①これは、不完全な弟子たちにとって大いなる励ましと慰めである。
②将来の宣教活動において、さらに顕著になる。
2.11節
Joh 17:11 わたしはもう世にいなくなります。彼らは世にいますが、わたしはあなたのもとに参ります。聖なる父よ、わたしに下さったあなたの御名によって、彼らをお守りください。わたしたちと同じように、彼らが一つになるためです。
(1)状況が大きく変化しようとしているので、この祈りが必要となる。
①イエスは世を去り、父のみもとに行く。
②弟子たちは、世に残される。
③イエスに向けられていた「世からの憎しみ」は、弟子たちに向けられる。
④弟子たちを守る役割は、父に委ねられる。
(2)御名の中に保つ。
①父は、聖なる父であり、罪に汚れた被造世界からは分離している。
②イエスを信じた弟子たちは、聖なる者とされている(世からの分離)。
③弟子たちは、新しい契約の共同体として、神の性質に基づく保護下に置かれる。
(3)その目的は、彼らが一つとなるためである。
①彼らの性質や目的がイエスに似たものとなる。
②父と子が一つであることが、そのモデルとなる。
③彼らの一致と守りは、新約の啓示と福音が正しく伝えられるための不可欠条件。
3.12節
Joh 17:12 彼らとともにいたとき、わたしはあなたが下さったあなたの御名によって、彼らを守りました。わたしが彼らを保ったので、彼らのうちだれも滅びた者はなく、ただ滅びの子が滅びました。それは、聖書が成就するためでした。
(1)イエスは、良き羊飼いとして彼らを守った。
①これは、イエスの地上生涯への言及である。
(2)唯一の例外は、イスカリオテのユダである。
①彼は、滅びの子である。
②ユダは羊の一員ではなかった。最後に、それが明らかになった。
③彼はイエスを売り渡すことで、知らないうちにサタンの手先となった。
④ユダの裏切りは、詩41:9の成就である。
⑤彼は、自発的な選択によってその役割を担った。
4.13~14節
Joh 17:13 わたしは今、あなたのもとに参ります。世にあってこれらのことを話しているのは、わたしの喜びが彼らのうちに満ちあふれるためです。
Joh 17:14 わたしは彼らにあなたのみことばを与えました。世は彼らを憎みました。わたしがこの世のものでないように、彼らもこの世のものではないからです。
(1)イエスが励ましのことばを語っている理由
①イエスが死んだ後、弟子たちはイエスのことばを思い出すようになる。
②それによって、イエスの喜びが満ち溢れるようになる。
③イエスの喜びとは、悪に打ち勝ち、永遠のいのちをもたらしたということ。
(2)父の守りが必要な理由
①イエスは父のことばを彼らに与え、彼らはイエスのようになった。
②イエスが憎まれたように、彼らも世から憎まれる。
③彼らは、新約共同体の核である。それゆえ、霊的戦いの標的となる。
5.15~16節
Joh 17:15 わたしがお願いすることは、あなたが彼らをこの世から取り去ることではなく、悪い者から守ってくださることです。
Joh 17:16 わたしがこの世のものでないように、彼らもこの世のものではありません。
(1)神の計画は、彼らを世から取り去ることではない。
①むしろ、世にあって彼らを悪い者から守ることである。
②彼らには、この世にあって果たすべき使命が与えられていた。
(2)悪い者(男性名詞と解釈)とは、サタンのことである。
①サタンは、この世の頭である。
②信者を破壊するためならなんでもする。
③しかし、サタンの意図が成就することはない。
④神は、ご自身の民を守られる。
(3)イエスがこの世に属していないように、弟子たちもこの世のものではない。
①コロ1:13
Col 1:13 御父は、私たちを暗闇の力から救い出して、愛する御子のご支配の中に移してくださいました。
②この世からの誘惑を受けたとき、この聖句を思い出すべきである。
Ⅲ.弟子たちの聖めを願う祈り(17~19節)
1.17節
Joh 17:17 真理によって彼らを聖別してください。あなたのみことばは真理です。
(1)聖めとは、この世からの分離である。
①この世の価値観、罪、目的からの分離である。
②神の働きのための分離である。
(2)聖めの方法は、真理のみことばである。
①神のことばを学ぶなら、その人は聖め別たれる。
*心と知性が変化する。
*内面の変化は、生き方の変化をもたらす。
②この原則は、現代の信者にも適用される。
2.18節
Joh 17:18 あなたがわたしを世に遣わされたように、わたしも彼らを世に遣わしました。
(1)父が子を世に遣わした。
①子の使命は、父を啓示することである。
②イエスは、すべての信者のモデルである。
(2)イエスは弟子たちを世に遣わした。
①父を知らしめることが、弟子たちの使命である。
3.19節
Joh 17:19 わたしは彼らのため、わたし自身を聖別します。彼ら自身も真理によって聖別されるためです。
(1)「わたしは彼らのため、わたし自身を聖別します」
①イエスの性質は、聖めを必要としていない。
②このことばは、十字架の死への献身を意味している。
③イエスの死がなければ、宣教もない。
(2)真理は弟子たちを聖め別つ。
①イエスの贖いの死を信じる者は、この世から聖め別たれる。
結論:今日の信者への適用
1.自分の出所とアイデンティティを知る。
(1)自分が神によって生まれたという自己認識が、人生の方向性を定める。
(2)信者は、みことばを通して「神の性質と御心」を知る必要がある。
2.世の中での守りを求める。
(1)世の中に置かれているのは、使命を果たすためである。
(2)信者は神の所有物であり、その守りの中にある。
(3)祈りの焦点を、自分に託された人に向ける。
3.真理による聖別を受け入れる。
(1)みことばの学びによって、この世からは区別される。
(2)信者は、世にあっても世から出た者ではない。
(3)聖別の目的は、宣教の使命を全うするためである。
4.宣教のために遣わされている自覚を持つ。
(1)奉仕や宣教の背後には、キリストの犠牲による聖別が土台にある。
(2)「派遣されている者」である自覚が、日常生活の方向性を変える。
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