私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ハーベスト春期聖会 説教について考える(1)-語る側の視点から-
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説教について語る側の視点から学ぶ。
ハーベスト春期聖会
説教について考える(1)
-語る側の視点から-
はじめに
(1)この説教を語る理由
①コロナ入院、2度の心筋梗塞治療、約2年弱の体調不良、そこからの復帰。
②自分にとって新しいスタートだと感じている。
③そこで、最優先課題である説教というテーマについて考えた。
④良い説教とは
*聖書的(Biblical)
*論理的(Logical)
*実際的(Practical)
⑤個人的には、この3点を説教のゴールとしている。
⑥説教について考えるのは、語る側にとっても、聴く側にとっても、重要なこと。
*説教について考える(1)-語る側の視点から-(春期聖会)
*説教について考える(2)-聞く側の視点から-(夏期聖会)
⑦今回は、インフォーマルな形で説教について論じてみたい。
*2007年からマタイの福音書の講解メッセージを開始した。
*その中で、主イエスのメッセージの特徴(あいうえお)を紹介した。
*毎回、メッセージの前にこの5点を確認している。
⑦このメッセージは、語る側にも聞く側にも、益となるはずである。
説教について語る側の視点から学ぶ。
Ⅰ.あ:愛(動機)
1.礼拝の場を支配するのは、愛である。
(1)そこには3つの愛が存在する。
①神への愛
*神への愛がなければ、みことばを字義どおりに扱うことはできない。
②聴衆への愛
*聴衆への愛がなければ、神の愛を伝えることはできない。
③健全な自己愛
*健全な自己愛のない人は、隣人を愛せない。
2.神は愛なり。
(1)旧約聖書における神の愛(契約に基づく愛、ヘセド)
①イザ54:10
「たとえ山が移り、丘が動いても、わたしの真実の愛はあなたから移らず、わたしの平和の契約は動かない」
②イスラエルに向けて語られた愛は、契約に基づく愛である。
(2)教会時代における神の愛(十字架によって示された愛)
①ロマ5:8
「しかし、私たちがまだ罪人であったとき、キリストが私たちのために死なれたことによって、神は私たちに対するご自分の愛を明らかにしておられます」
(3)永遠の御国における神の愛(成就した愛)
①黙21:3~4
「私はまた、大きな声が御座から出て、こう言うのを聞いた。『見よ、神の幕屋が人々とともにある。神は人々とともに住み、人々は神の民となる。神ご自身が彼らの神として、ともにおられる。神は彼らの目から涙をことごとくぬぐい取ってくださる。もはや死はなく、悲しみも、叫び声も、苦しみもない。以前のものが過ぎ去ったからである』」
3.イエスの復活の究極的証明は、神の愛である。
(1)神の愛が、イエスを十字架につけ、復活させた。
①罪と死に勝利するために、神はイエスを復活させた。
(2)復活は、信じる者が義とされるために必要であった。
①神の愛は、私たちを義とするためにイエスをよみがえらせた。
(3)復活は、神の愛による勝利の証明だった。
①神の愛は、死を打ち破り、希望と勝利をもたらした。
(4)イースターを祝うとき、私たちは神の愛をほめたたえているのである。
①礼拝は、何が起ころうとも怖くはないこと確認する場である。
Ⅱ.い:いのち(内容)
1.いのちに溢れる説教とは
(1)聴く人の霊を活かし、キリストにある新しいいのちを生み出す説教
①ヨハ6:63
「いのちを与えるのは御霊です。肉は何の益ももたらしません。わたしがあなたがたに話したことばは霊であり、またいのちです」
2.いのちに溢れる説教の特徴
(1)みことばに根ざした説教
①創1:3
「神は仰せられた。『光、あれ。』すると光があった」
*みことばにはいのちが宿っている。
②詩119:105
「あなたのみことばは、私の足のともしび、私の道の光です」
*みことばは、人生の道案内である。
(2)キリスト中心の説教
①キリストを語られなければ、いのちにはつながらない。
②キリストを見た者は、父なる神を見たのである。
③ヨハ5:24
「まことに、まことに、あなたがたに言います。わたしのことばを聞いて、わたしを遣わされた方を信じる者は、永遠のいのちを持ち、さばきにあうことがなく、死からいのちに移っています」
(3)聖霊に導かれた説教
①聖霊の導きのもとで説教を準備する。
②聖霊の導きのもとで説教を語る。
③祈りなしでは、いのちに溢れた説教は語れない。
Ⅲ.う:動き(流れ)
1.動きとは
(1)音楽におけるレガート(音と音のつながり)のようなものである。
①聖書全体の文脈(神の救済の物語を大きな視点で語る)
②取り上げている箇所の文脈(直前の文脈)
③論理的な流れをスムーズにつなげる(聴衆が迷子にならない)
(2)聴衆を霊的・感情的・知的に前進させる要素を指す。
①聴衆は、神のことばに応答し、信仰を深め、行動に移す。
②イエスの説教は、「動き」に満ちていた(決心を促した)。
*ニコデモ、サマリアの女、姦淫の女
③ペテロの説教も、「動き」に満ちていた(決心を促した)。
*ペンテコステの日の説教、サンヘドリンでの説教
(3)説教の骨組みは、動きを生み出すための重要な要素である。
①荒野を放浪するような説教を避ける。
②起承転結は、明確な「動き」の例である。
(ILL)ある女子神学生への助言が否定されたエピソード
(4)「動き」を生み出す要素
①効果的なイントロダクション
②明確な構造
③例話や物語
④聴衆へのチャレンジ
⑤感情の動きと調和した身体的動き
*準備不足の説教を身体的動きで補おうとするのは間違いである。
Ⅳ.え:絵(表現)
1.霊的真理の可視化
(1)ことばは人となった。
①ヨハ1:14
Joh 1:14
ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。父のみもとから来られたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに満ちておられた。
②説教者のうちに神のことばが受肉する必要がある。
*そのための努力は、一生続くプロセスである。
2.ことばで絵を描く。
(1)自分には、油絵的アプローチよりも水彩画的アプローチが合っている。
①水彩画的アプローチは、ストローク数が少ない。
②聴衆もともに絵を描いている。
③聴衆は、自分も出来事の現場にいるかのように感じる。
(2)イエスの教えやパウロの教授法から学ぶ。
①比ゆ、たとえ話、例話などを用いる。
*的確な例話がないなら、語らないほうがよい。
②ヨハ10:11
「わたしは良い牧者です。良い牧者は羊たちのためにいのちを捨てます」
③ロマ9:21
「陶器師は同じ土のかたまりから、あるものは尊いことに用いる器に、別のものは普通の器に作る権利を持っていないのでしょうか」
(3)歴史地理学の知識を活用する。
①イスラエルの歴史や文化を説明するための道具となる。
(4)現代のテクノロジーの活用
①パワーポイント
(5)身体的表現を加える。
①内的感動の外的表現
Ⅴ.お:権威(最終的な確証)
1.権威の源は、聖書である。
(1)権威は、説教者の地位や経歴や知恵などに宿るのではない。
①2テモ3:16
「聖書はすべて神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練のために有益です」
②ロマ1:16
「私は福音を恥としません。福音は、ユダヤ人をはじめギリシア人にも、信じるすべての人に救いをもたらす神の力です」
③女性が男性に聖書を教えるのは、創造の秩序に反する(権威の行使)。
④ことばは、アイデアを運ぶ手段である。
⑤神のことばは、神のアイデアを運んでいる。
⑥そのアイデアを説明できたときに、説教は権威あるものとなる。
2.聖霊の助けがなければ、権威ある説教にはならない。
(1)聴衆の心を開くのは、神である。
①使16:14
「リディアという名の女の人が聞いていた。ティアティラ市の紫布の商人で、神を敬う人であった。主は彼女の心を開いて、パウロの語ることに心を留めるようにされた」
②1コリ2:4
「そして、私のことばと私の宣教は、説得力のある知恵のことばによるものではなく、御霊と御力の現れによるものでした」
(2)自己顕示欲や承認欲求は、聖霊の働きを妨げる。
①ベストメッセージは、グッドメッセージの要素を含みながら、それ以上。
*聞き手の人生を変える影響力を持った説教
*神の御心と完全に一致した説教
*説教者の人格と信仰が伴っている説教。
3.福音を語らない妥協した説教に権威はない。
(1)説教者は、忠実に語ることで権威を賦与される。
①2テモ4:2
「みことばを宣べ伝えなさい。時が良くても悪くてもしっかりやりなさい。忍耐の限りを尽くし、絶えず教えながら、責め、戒め、また勧めなさい」
4.不品行によっても、権威は失われる。
(1)神がともにおられないなら、その説教者は霊的に死んでいる。
5.権威ある説教を語るための備え
(1)霊的備えと肉体的備え
①ロマ12:1
「ですから、兄弟たち、私は神のあわれみによって、あなたがたに勧めます。あなたがたのからだを、神に喜ばれる、聖なる生きたささげ物として献げなさい。それこそ、あなたがたにふさわしい礼拝です」
②プロの声楽家がソロを歌い始めるときのように、エネルギーを爆発させる。
③騒々しいエネルギーではなく、内的いのちのエネルギーである。
結論
1.説教は、語り手、聞き手、聖霊の共同作業によって成立する最高の芸術である。
(1)芸術であるがゆえに、非日常的、超日常的である。
(2)説教は、成立した瞬間に消え去る芸術である。
(3)しかし、その影響は残る。
2.説教者は、5つの要素が説教の中に含まれていることを確認する必要がある。
(1)愛(動機)、いのち(内容)、動き(流れ)、絵(表現)、権威(最終的な確証)
3.聞き手の責任は重い。
(1)聞き手は、説教を成立させる重要な要素である。
(2)次回のタイトル:「説教について考える(2)-聞く側の視点から-」
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